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◆第1章 ゆっくりと籠に堕とされていく金糸雀

014.二人の永遠をこの青に誓って

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「.....はぁ」


 アリスは自室のベッドで上体を起こし、立てた膝に額をくっつけてため息をついた。


(私、オーウェン様と.....)


 昨日のことを思い出すと顔が真っ赤に色づくのが分かる。そして今日が学校のない日で良かったと本気で思った。昨日色々とありすぎたせいで、頭が全く追いついていないからだ。


 昨日あれから事が済んで、オーウェンに体力を一時的に回復する薬を飲ませてもらいどうにか身体を清め、それからはほぼ何事もなく家へと帰って来れたと思う。


 馬車の中で眠ってしまったが、そんなアリスをすぐ上の兄であるクラウスが自室に運んでくれたらしい。


 運ばれて割とすぐに起きたアリスはズキズキと痛む腰をそのままに自室にあるシャワールームでもう一度身体を洗うと、寝衣に着替えて夕飯も食べすにまた眠りについた。


 こういうアリスの行動は学院が休みの日の前日に良くあることなので、使用人たちは誰も気にする事はなかった。




「__…ロストブルー」


 アリスは膝にくっつけていた額を離し、それからオーウェンに昨日渡された美しい青い石のついたペンダントを見遣る。


 __ロストブルー。


 それは我が国オーリアノッドの王家を象徴する石だ。我が国の初代国王が彼の妻へと魔力を込めて送った石。


 彼がその苦悩を多く強いられた人生の中、暫く過ごしたという暗闇に満ちた場所でたまたま魔法を使い出会った宝石。海に接している我が国で、その海の青色は彼にとっての希望であり、同時に絶望だったらしい。


 もう一度あの海を見たい。しかし、そこから出なければその"青"は見られない。初代国王はその石に久しぶりに海を青を思い出した。まだ何事もなく過ごせたあの日々、失われた思い出の色ロストブルーを。




「頂いてしまったわ...」


 オーウェンの瞳と同じような色彩を放つ美しく、そして不思議な青い石。光の加減関係なくその青は色味を、放つ色の濃さを変えて輝いている。


 アリスはオーウェンの手で首に掛けられたチェーンの先についたその宝石を手に乗せる。その美しさに本当ならうっとりしたいのだが、今のアリスにはできなかった。


(これを貰ってしまったということは、つまり?)


 これは王家の人間が"結婚後に妃"に贈るものである。婚約をすっ飛ばして、結婚すらしてもいないのにアリスは贈られてしまったのだ。


 昨日はオーウェンにドロドロに溶かされた後、半分回っていない思考のまま首に掛けられてしまっていた。オーウェンは有無を言わせぬ笑みを浮かべていたし、王子に贈られた物は例え何であっても侯爵令嬢のアリスでは断れない。


「お父様に報告すべき、よね?」


 昨日は頭は回ってないし身体も怠いしで、それ所ではなかったが、今日起きてみて事の重大さを痛感した。


 オーウェンがロストブルーの扱いについて知らないわけがない。寧ろ王族の人たちほどこれについて知ってる者はいないだろう。それなのに渡されてしまったのだ。アリスはひたすらに困り果てていた。



「お嬢様、流石に昼食は食べに行きましょう」


 コンコン、ノックをしてライラが部屋に入ってきた。アリスの疲労が滲む顔を見ると休んでいて欲しいとも思ったが、彼女は今日の朝食どころか、昨日の夕食すら食べていない。身体はあまり強くなく、身体も細いアリスを心配する身からすると今日の昼食は食べて欲しかった。


 一応、と部屋のテーブルに準備しておいたクッキーにすら手を付けていない。これは身体が弱く、体調を崩すとまともにご飯が喉を通らなかったアリスが唯一食べれたもので、口の中で甘く溶けておいしいし、何より栄養補給もできるよう工夫しているのでとても重宝されてきたものだ。


「お嬢様」
「.....分かったわ」


 そう呼びかけられてアリスはベッドからそっと下りる。先程飲んでおいた痛み止めが効いてきたのか腰の痛みはだいぶマシだった。



 ◇◆



「アリス、久しぶりだね」
「お父様…、そうですわね」


 いつも家族で食事を摂る部屋へと入るとそこには母や兄のクラウスだけでなく父も居た。長男は基本的に昼は屋敷にいないし、次男も魔法研究所の自分の研究室からあまり帰ってくることはない。


 父、デリックも基本的に城に勤めているので、朝や夕はいてもあまり昼は居なかった。特に最近は多忙らしく屋敷に帰ってくることが少なかったため、姿を見るのは久しぶりだ。



 アリスが席に着けばいつものように食事が始まる。ゆったりとした雰囲気の中で時折談笑しつつ恙無く食事の時間は進んでいった。


 部屋の端に控える使用人たちは、いつもと変わらぬほのぼのとした様子を微笑をたたえて見守る。大きなテーブルの真ん中にはアリスとクラウスが育てた花が生けてあって更に穏やかな雰囲気を滲ませた。



「……__そうだ、アリス」
「はい」
「後で話があるから書斎に来てくれないか?」
「…ええ。私もお父様にお話がございます」


 食事の時間が終わる頃、デリックはアリスにそう言った。アリスがデリックの方を向けば紅い目がこちらを見据えている。断る理由もなく、というか寧ろこちらも例の件で話があったので、父が屋敷に居るうちに言っておかなければならない。アリスはデリックに視線を合わせると、こくりと頷いた。



 ◇◆



「__お父様、アリスです」
「入りなさい」


 ノックをしてからそう言えば、すぐに返事が返ってくる。扉を開けて父の書斎へと入る。父、デリックの秘書やその他の使用人、護衛はアリスが入ってくると代わりに出て行ってしまった。


 デリックが執務用の椅子から部屋の中心にあるソファに座り直したので、アリスもそれに倣い彼の前の深緑のソファに腰を下ろす。ソファーの前のテーブルには使用人が用意してくれたのか紅茶が置いてあった。


「アリス、急な話だが君の婚約が決まった」
「え?」


 デリックから出されたその言葉に、アリスは思わず驚きの声を上げる。


(婚約?え、私が?)


 オーウェンとのことを切り出す前に、デリックからそれを切り出されてアリスは思わず固まる。アリスはオーウェンと関係を持ってしまっている。何なら想いもお互いに確認してしまった。


 それなのに昨日の今日でまさか婚約の話が出てくるとは夢にも思わなかった。アリスは落ち着くために紅茶のカップに手を伸ばし一口飲んだ。しかし、混乱であまり紅茶の味を感じない。


「__.....あの、お父様」
「そんなにおびえる必要はないさ。悪い話ではないからね」
「いや、あの.....」


 デリックはアリスを安心させるためかニコリと笑う。しかし、アリスは全く笑えない。一体どこの誰が相手なのか。オーウェンとのことをどう言えば良いのか。そればかりが頭を過る。


 シェッドスフィア家の人間と婚約するのだから、きっと他国の方だ。もしくは最近1目置かれている商家かもしれない。"家の役割上"、きっとそうなのだ。


「あの方はとても一途だ。アリスこれをご覧」


 デリックは席を立ち、本棚の一番下に入れられていた木箱を取り出して机に乗せた。彼が木箱を開ければそこには沢山の手紙が入っていた。


「お父様...、これは.....」
「手紙だね。アリスと婚約をしたいって言う内容ばかりだ」
「は、はぁ...」
「全部その人からだよ」
「え?」
「2人がまだ幼い頃からずっと送られてきていてね」


 アリスはそう言われてまた手紙に視線を移す。確かに中には少し古いものもある。


(こんなに熱心に手紙を送ってくれる方だなんて、一体どんな方?)


 前世ではヤンデレ?ストーカー?といった疑惑が起きるかもしれないが、この世界ではこういうことはあまり珍しいことではない。


 基本的にパーティーなどで出席しない限りお互いに会わないし、年齢が離れていれば学院で交流はない。下手したら他国の人間だったりするので、そうなると一層手紙や贈り物などで熱心に相手の親へアピールして認知してもらい、せめて候補に入れてもらえないかと尽力するのだ。


「.......」


 オーウェンのこともあり、申し訳なさをさらに感じてしまった。


 アリスは丁寧に重ねられた手紙の1番上のものを手に取る。そして違和感を覚え、手紙に浮かんでいる模様を凝視した。


「お父様...」
「何かな?」
「見間違えでなければ、我が国の王家の紋様があるのですが...」
「うん。だってアリスにずっと求婚していたのは王族の方だし.....」
  

(いや、王家から頂いた手紙を普通に木箱に入れて仕舞わないでよ。無視とかしてないよね?不敬にならないの?お父様、大丈夫??)


 何でもない、というように微笑んだデリックにアリスは絶句する。そんなのんびりとした雰囲気で語られても正直困る。


(でも、王家ということはもしかして.....)


「お父様、この手紙の送り主って.....」
「第3王子のオーウェン様だ」
「えっ」


 アリスの反応を見て更にデリックは笑みを深めた。


「オーウェン様がアリスのことを好いていることはずっと知ってはいたが、あの方は策士だね」
「策士、ですか?」
「うちの家は特殊だ。その中でもアリスは特に、ね。幼い頃から陛下と一緒になってオーウェン様に諭してきたが、それでもあの方はアリスが良いのだと言ってきた」


 デリックは昔を懐かしむように目を細めて語り出した。アリスはそんな父の話を黙って聞く。


「オーウェン様は何年経ってもこの手紙は欠かさないし、アリスへの気持ちも変わらない。それでもやはりオーウェン様もアリスも立場が特殊だから陛下と困り果てていたんだ」
「.....」
「アリスはその目を持つから国外には出せない。できるだけ守りが強固な方に、早めに嫁いでもらいたかった」


 アリスにはこの目があるから、この国ではそこまで認知されなくても他国は違う。少し遠い国になれば"かの国"と少しでも親交がある国はある。すると嫁ぐ家によってはアリスのことを使って、"かの国"に影響を与えようとするし、取引材料にするかもしれない。


 だからと言って自国で下手に婚姻を済ませてしまうのも得策ではない。いずれ国と国を結ぶゲートは、その国と統治者が承認さえすれば、遥かに遠く離れた国とも繋がることになるだろう。


 そうなったとき、アリスが嫁いだ相手が"この目"をよく理解しておらず、そして隙があれば確実に問題が生じる。多少婚姻でリスクを軽減していてもゼロにはならないのだ。


「オーウェン様が問題な訳では無い。寧ろ王家なら良いかもしれないが、それだと"国の盾"である我らが足を引っ張るだろう...?だからできれば進めたくなかった」
「そう、だったのですね」
「ああ。だが、オーウェン様は諦めなかった。アリスが王太子の婚約者の最有力候補の1人に挙がっていると知った途端、あの方は"私と彼女の想いが通じ合えば婚約を認めて欲しい"と言ってきた」
「.....」
「アリスはもちろん候補になっていても婚約者になることはほぼないと分かっていただろうに、それでもオーウェン様はとても必死だった。私も陛下もその頃にはもう婚約させて良いだろう、と思っていたんだ。でもアリスの気持ちが伴わないのも、と思ってその言葉に頷くことにした」


 アリスはデリックから自分の知らない話を一気に聞いて驚くとともに、嬉しいと思った。オーウェンが自分をそんなに想ってくれていたと知ることができたのだ。こんな自分をそんなに想ってくれる人など滅多に現れないだろう。


「しかし、昨日は驚いたな」
「...っ」


 アリスは"昨日"と聞いてピクリと反応した。そんな様子を見て、デリックは苦笑する。


「陛下も私もしてやられたよ。昨日、陛下と2人で仕事の話を終えたところにいらっしゃったかと思えば、オーウェン様は"アリスに自分のロストブルーを捧げました"と言ったのだから」
「...えっと、その.....」


 アリスが話したかったそれが父から出てきてアリスは言葉に詰まる。せっかくしてきた心の準備がいとも簡単に崩れた。


「先程も言っただろう?オーウェン様は策士だ、って。想いが通じれば婚約を認める、と言ったのは確かだが、まさか想いが通じた途端、婚約も結婚もすっ飛ばしてロストブルーをアリスに渡してしまうとは.....」
「あはは.......。そ、そうですわね...」


 もう何を言っていいのかも分からず、アリスは父の言葉に頷く。アリスは気まずくなって父から視線を逸らして、本棚を視界に入れた。


「怒ってはいないよ。寧ろオーウェン様らしい。あの方を理解していたつもりだったが、昨日は陛下と一緒に虚をつかれてしまった。.....ロストブルーを見せて貰えるかな?」
「.....はい」


 アリスはデリックの言葉に素直に頷いて、その石を父に見せた。デリックはそれをしっかり確認して、それから息をつく。


「アリスはオーウェン様と結婚するしかなくなったね」
「ええ.....」



 .....__ロストブルー。


 もう一度言うが、王家の人間が基本的に"結婚後に妃"に贈るものだ。なぜ結婚後であるのか。それは二人が初夜を共にした証だからだ。お互いの同意のもとに魔力を混ぜて輝かせるのがロストブルーである。


 お互いの魔力を篭めているため、1度渡してしまえば、"お互いが"同意しない限り取り消せない。片方が嫌がればその繋がりは永遠だ。たとえそれがまだ結婚の契りを交わしていなくともこの石は有効だ。


 いつの間に彼がこの石に二人の魔力を入れ込んだのかは分からないが、父の言う通り本当にしてやられたらしい。


 今となってはロストブルーを王族が意中の相手に渡すのはただの慣例に近いことだが、建国史を大事にしているこの国での威力は絶大だ。


 他国からすれば魔力を込めると不思議な青色を伴って光る魔法石。この国からすれば王族が共に国を支えていく伴侶に与える最上級の愛。それがこの宝石だ。


 アリスに渡されたロストブルーは相変わらず美しく、色を少しづつ変えながらも根底の青を保ち、薄ら輝いている。



「どうしてもこちらに有無を言わせたくなかったのだろうね。確実に承認を得るためには最も有効な手だ」
「.....」
「アリス、そんな顔をしないでおくれ。怒っていないと言っているだろう?__寧ろここまでオーウェン様の行動を見てきたが、彼ほど君を想ってくれて守ってくれる人はいないだろう、と再確認した」
「はい」
「それに、アリスもオーウェン様のこと好きだろう?」
「っ、はいっ。.....とてもお慕いしております」


 実の父に言うのは何だか気恥ずかしかったが、アリスは顔を赤くしながら何回も頷きそう言った。デリックは「その気持ちが1番大事だ」と言って手を伸ばしてアリスの頭を撫でた。


「まあそんな訳だから正式にオーウェン様との婚約が決まった。いくら"それ"があってもさすがにまだ学生だからね」
「はい」
「まあ、あまり生活に影響はないだろう。学院の人間も貴族もアリスとオーウェン様は恋仲だと思っているらしいし。__.....はあ、とんだ策士だな」


 デリックは相変わらず苦笑をたたえてそう言った。最後にポツリ何かを呟いたが、アリスにはよく聞こえない。兄たちも父もこういう所はそっくりだった。


「さて、アリス。用件はこれで終わりだ。.....そうだ。先程マーサが菓子を焼くと言っていたからキッチンに行ってみるといい」
「まあ、そうなんですか?」


 マーサとはこの家に長く務める侍女だ。彼女の焼くお菓子はどれも絶品で、屋敷の人間はみんな彼女の焼く菓子が好きだった。


 アリスは父の言葉にパッと立ち上がる。その顔は先程まであった不安を感じさせない明るいものだ。昨日のことをデリックにどう話そうか迷っていたらしく昼食の時のアリスの表情はいつもよりも暗かったから、そんな顔が見れてデリックはほっとした。


「アリス、シートルヒ産の茶葉をオーダース殿から頂いたから使用人たちと皆で飲むといい」
「まあ、本当ですか?シートルヒの茶葉で淹れた紅茶は本当に素晴らしいからみんな喜ぶわ!」


 オーダースとは公爵家だ。デリックの言うオーダース殿というのは、アリスがよく学院のあのベンチで微笑みながら見守っていたエイダの父である。


「もちろん私たちの分は残しておいてくれよ?茶葉の場所はきっとマーサも知っているだろう」
「ええ、もちろんですわ!__では、お父様失礼致します」
「ああ...」


 アリスはにっこりと笑うと、礼をしてそのまま書斎を出ていった。デリックは可愛らしい末っ子を見送ると、ふうと息をついて、それから書斎の横の部屋へと中から行くことができる扉を見やる。


「グレン、テイト、クラウス」


 デリックは3人の息子の名前を呼んだ。するとその扉が開き彼らが入ってくる。1人はいつものようにニコニコ笑い、1人は拗ねた表情を浮かべ、1人は無表情だ。


「あー.....。俺のアリスちゃんが、腹黒王子に.....」
「くそ、やられた...」
「.....」


 3人揃って末の妹をそれはもう溺愛しているのでその事実に多少ショックを受けているらしい。


 3人ともアリスに集ろうとする虫を振り払うどころか徹底的に(主に精神攻撃等で)潰してきた訳だが、流石にオーウェン相手には効かなかったらしい。確かに相手は王子だが、この兄弟は敬っているし、守ってもいるが、アリスのこととなると容赦ない。


 しかし、オーウェンもオーウェンだ。王子だから、という理由で眼中に無いどころか、寧ろそうやって容赦なく色々と妨害されることを喜んでいた。決してMではない。誰よりも多く妨害を受けた彼は、それによって強烈な印象を兄弟に与え、自分の存在をどの男よりも示してから、アリスをかっ攫っていった。


「.....流石だ、オーウェン様」
「はぁあ...」
「.....」


 三者三様の反応を見せる息子を見つめてデリックはため息をついた。


「クラウスはともかくどうしてグレンとテイトがいるんだい?」
「クロード様が俺に教えてくれた。そんで、テイトに教えた」
「うん。...僕は兄貴から聞いた」


 クラウスはどうせ先程食事の場でアリスのことを呼んだから気になって来たのだろう。そしてグレンは歳は離れているが幼なじみとして仲の良い王太子クロードから聞き、そしてそれをテイトに話したらしい。テイトはあまり研究室から出て来ないが、こういう話になると動きが活発になるようだ。


「もう分かっただろう?たとえ陛下であっても"これ"は覆せないからね」
「ロストブルーか。してやられた~っ!」
「クラウス、アリスのこともっと見てろよ」
「.....無茶言うな。授業中は無理だ」


 ガックリと肩を落として項垂れる長男に、三男を睨みつける次男。そして、自分より少しばかり背の低い次男を横目で見てため息混じりに言葉を返す三男。


 いつも通りの光景だ。


 内容はあれだが、それでもいつも通りのシスコンな息子たちのやり取りを見てデリックは安堵のため息をついた。


「ま、これからは2人を邪魔するやつを蹴散らすか」
「ちっ、アリスのためだ。仕方ない」
「.....はぁ」


 相変わらずの男どもを見て、デリックは「程々にね」と言ってただ苦笑した。
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