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7. 忌み子とは
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「しかし、気になるのだが、なぜ、そなたはそこまでティアフレア嬢のことを嫌っている?」
陛下の問いに殿下が信じられないという表情を浮かべる。それは私も同じだった。
どういうこと? 陛下は私が忌み子であることに気がついていらっしゃらない……?
混乱しているうちに、殿下が口を開く。
「当たり前でしょう。その女は忌み子なのです。存在するだけで国に害をもたらす存在を嫌いにならないわけがない」
「忌み子……? そなたらの国では白髪に青い瞳の女性のことを忌み子と言うのか?」
そなたらの国では? この国では忌み子とは言わないのかしら……?
「まさか……この国では言わないのですか!?」
殿下が声を荒げる。だが、その様子を気にもとめず陛下は頷いた。
「あぁ、むしろ神の子と言われている」
「「神の子!?」」
「白髪に青い瞳を持つ女性は国に幸福をもたらすと言われている。まぁ、反対に傷つければその国に災いを呼ぶ存在でもあるが。
そなたらの国では間違った言い伝えが広まったのだろう。そして、白髪に青い瞳を持つ女性に酷い行いをしたために災いが降りかかった。それだけの話であろうよ」
陛下の話に愕然とする。じゃあ、今までの私の人生は……。
「まあ今は関係なかろう。この話を信じるも信じないもそなた次第だ」
陛下は一方的にこの話を終わらせた。殿下は未だ呆然としている。
「さて、そなたの処遇は追って伝える。部屋に戻れ」
陛下はそんな殿下を一瞥すると言い捨てた。
「は、い……申し訳、ございませんでした」
「ああ。ティアフレア嬢は私と一緒においで」
「か、かしこまりました」
さっと身を翻した陛下に慌ててついていく。殿下の横を通り過ぎた時、彼は愕然とした表情を浮かべていた。
陛下の問いに殿下が信じられないという表情を浮かべる。それは私も同じだった。
どういうこと? 陛下は私が忌み子であることに気がついていらっしゃらない……?
混乱しているうちに、殿下が口を開く。
「当たり前でしょう。その女は忌み子なのです。存在するだけで国に害をもたらす存在を嫌いにならないわけがない」
「忌み子……? そなたらの国では白髪に青い瞳の女性のことを忌み子と言うのか?」
そなたらの国では? この国では忌み子とは言わないのかしら……?
「まさか……この国では言わないのですか!?」
殿下が声を荒げる。だが、その様子を気にもとめず陛下は頷いた。
「あぁ、むしろ神の子と言われている」
「「神の子!?」」
「白髪に青い瞳を持つ女性は国に幸福をもたらすと言われている。まぁ、反対に傷つければその国に災いを呼ぶ存在でもあるが。
そなたらの国では間違った言い伝えが広まったのだろう。そして、白髪に青い瞳を持つ女性に酷い行いをしたために災いが降りかかった。それだけの話であろうよ」
陛下の話に愕然とする。じゃあ、今までの私の人生は……。
「まあ今は関係なかろう。この話を信じるも信じないもそなた次第だ」
陛下は一方的にこの話を終わらせた。殿下は未だ呆然としている。
「さて、そなたの処遇は追って伝える。部屋に戻れ」
陛下はそんな殿下を一瞥すると言い捨てた。
「は、い……申し訳、ございませんでした」
「ああ。ティアフレア嬢は私と一緒においで」
「か、かしこまりました」
さっと身を翻した陛下に慌ててついていく。殿下の横を通り過ぎた時、彼は愕然とした表情を浮かべていた。
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