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4巻
4-2
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「首都でこれほどの被害状況なら、ここから離れた辺境の町ではどうなっていることか……」
崩れかけの皇城の執務室にて。
物資の配給によって民から認められたディアダールだったが、その表情は憂いに満ちていた。
もちろん、国庫の物資は首都から離れた町にもすでに送ってある。
だが……
「こんなことは一時しのぎにすぎない。すぐに破綻するだろうな」
そもそも帝国は現在国力を回復させている最中だったのだ。すさまじいスピードで進んではいたが、それでも国庫を潤すには至っていなかった。
そんな矢先の大地震。物資の配給にもすぐに限界が来るのは目に見えていた。
この城だっていたるところが崩れているのだ。なんとか執務室や謁見室があるメイン箇所は無事だったが、天井が崩れて空が見えている廊下や、装飾品が粉々に割れてしまった部屋があるなど、なかなかに酷いありさまだ。離宮の一つなどは瓦礫の山と化しているほどだった。
予算を国民の生活に回すために、皇城の修繕をしてこなかったのが完全に裏目に出ていた。
身の回りさえ落ち着かない中では仕事の効率も下がるというものだ。
ディアダールは乱暴に目を擦る。
彼は地震が起きてから一睡もせずに復興の指揮を執っていた。疲労も眠気もすでに耐え難い領域にまで達している。それでも、ディアダールに休んでいる暇などない。
彼にはこの国の皇帝としての責任があるのだから。
「……何もかもが足りない」
一番の悩みは水不足である。水は生命に直結する最も重要な資源だ。海が涸れたことで、川や湖といった水源も急速に失われ始めていた。
「どうしたものか……」
荒れ果てた見るも無残な町の様子を窓から眺めつつ、そう呟いた時だった。
『私と契約する?』
「っ⁉」
突如青い光とともに現れたのは、水色の長髪と金の瞳を持つ踊り子のような服装の美女。
ディアダールは驚きのあまり、口をぽかんと開けたまま固まってしまった。
その表情を見た女性は、思わずといった様子で笑い出す。
『その顔、アイリーンとほんとそっくりね!』
アイリーンとは、ディアダールの母親であり、すでに亡くなった先の皇后の名前だ。
皇后の名前を呼び捨てにし、まるで転移魔法を使ったかのように不意に現れた上、宙に浮かぶ青白い光を放つ存在。
ディアダールはようやく、その正体に思い至る。
「もしかして、水の精霊……様、ですか? ……昔、母上から聞いたことがあります。帝国には代々、皇帝に力を貸してきた水の精霊がいると。そして自分も会ったことがあると」
『大正解! 私は水の上級精霊アクア。あなたのお母さんと契約してたわ』
「母上と契約までしていたのですか⁉」
上品に微笑むアクアに対し、ディアダールは驚愕の表情でガタッと音を立てて立ち上がった。
そんな話、聞いたこともなかったのだ。
そもそも精霊と契約するなど普通ではありえないこと。
(……あいつは例外だしな)
帝国を救ったばかりでなく、祝福まで与えてくれたアルライン。彼は神子と呼ばれる存在で、規格外の力を持っていた。
だが、ディアダールの母親は違う。皇后という立場以外は普通の人間だったはずだ。
そんな母親が『精霊と契約していた』という事実に、ディアダールは困惑を隠せなかった。
しかし、対するアクアは穏やかな笑みで頷いてみせる。
『ええ。今だってあなたがアイリーンの血を継いだ存在だからこそ、こうして契約を提案しているのよ』
「それは一体、どういう……?」
『精霊の名前は契約者がつけるものなの。でも、私にはまだアイリーンがつけてくれたアクアって名前がある』
そのままアクアは続ける。
アイリーンが亡くなった今も契約がまだ切れていないこと。一時外神に力を奪われていたが、アルラインの手助けもあり、どうにか取り戻したこと。そして、このような緊急事態に契約解除のために眠りにつくつもりはないこと……どうにか国の復興に手を貸したいこと。
しかし、契約が切れていない以上新たに契約を結ぶことはできず、しかし契約者なしでは十分に力を発揮することができないということも。
『でも、アイリーンと血のつながっているあなたであれば、契約を上書きすることができるの』
アクアがディアダールの眼をじっと見つめる。
(アイリーンと似た意志の強い眼差し。彼ならきっと私の力をよきことに使ってくれるでしょう)
落ちぶれていく皇帝の側で強く気高く生きたアイリーンを思い出し、アクアは穏やかに微笑んだ。
「でも、私に精霊様と契約できるような力は……」
ディアダールが口ごもる。
精霊との契約などという、奇跡にも近い幸運を自分が享受していいのか。自分なんかの弱い力や才気で精霊を縛っていいものか……
『あははは! ほんとアイリーンそっくり!』
「えっ?」
唐突に笑い出したアクアに、ディアダールはきょとんとする。
アクアは笑いすぎて溢れてきた涙をぬぐいつつ、ディアダールを見据える。
『あなた、困っているのでしょう? この帝国を救いたいのでしょう?』
「あ、ああ」
『じゃあ、この手を取ればいい。力を貸してあげるわ。この帝国が昔のような美しい国に戻るように』
アクアがその青白い手を差し出す。
『悩んでいる暇なんてないんじゃない? あなたはあなたのすべきことをしなきゃ』
「私が今すべきこと……」
『私は今まで見守ってきたこの国が、これ以上崩壊していく姿は見たくない。皇帝たちが、民たちが、そしてアイリーンが愛したこの国を守りたい。だから、最大限この国のために動けるようにあなたと契約しようと思った。あなたはどうなの?』
ディアダールはハッとした表情になる。
帝国の民を守り、国を建て直すこと。
それがディアダールの一番の願いだ。であれば、自分が精霊と契約するに値する人間かなんて、気にしている場合じゃない。
(ここで、彼女の力を借りないという選択肢はない……!)
ディアダールの顔つきが変わる。そして、アクアの手を取った。
その瞬間、辺りに大量の水が発生し、二人の周りをぐるぐると取り巻いた。その水は家具や壁などにぶつかっているはずなのに、それらを濡らすことなくただそこに存在し、うごめいている。
なんとも不思議で幻想的な光景だった。
「これは……」
『告げて、自分の名前と私の名前を。そして契約を望むという一言を』
「あ、ああ……」
思わず目を奪われていたディアダールだが、アクアの言葉を聞いて我に返る。息を深く吸うと、アクアを見つめ静かに告げた。
「私の名前はディアダール・ウォー・スフェルダム。水の上級精霊アクアとの契約を望む」
『完璧』
アクアがうれしそうに言ったとたん、辺りを巡っていた水が祝福するように一斉に高く噴き上がる。
「すごい……」
あまりにも神秘的な光景に、ディアダールは感嘆の声を漏らす。
やがて噴き上がった水は、再び二人をぐるぐると取り囲み包みながら収束すると、そのままアクアの中に吸い込まれていった。
『これで契約は完了よ。ご主人様?』
「あ……ご主人様だなんて。ディールとお呼びください。私の愛称です」
『わかったわ、ディール。あなたもその敬語、やめてちょうだい。こそばゆいわ』
「わかりま……わかった。アクア」
契約が完了したと言われてもあまり実感はない。
ただ、自分の水属性の魔力をより強く感じられるようになった気がした。
「ありがとう、アクア。私と契約してくれて。母上のことを覚えていてくれて」
ディアダールの言葉に今度はアクアが驚いた表情を浮かべる。
「母上の存在などもう忘れ去られたものだと諦めていた。でも君が覚えていてくれた。それが何よりもうれしい」
そして、ぎゅっと拳を握る。
「私はこの帝国を救って、母上が愛した美しい国を取り戻したい。だからどうか力を貸してくれ」
『もちろんよ!』
アクアが満面の笑みを浮かべて手を広げると、その両手から水が噴き出し、はじけるように広がっていく。
それが合図だったのだろうか。数え切れぬほどの水の下級精霊たちが、爆発的な速度で続々と集まってきた。
『アクアさまー!』
『ちからもどってる!』
『なんでぼくたちをよんだのー?』
契約したこととアクアの計らいで精霊が見えたディアダールは、その壮観な景色に目を見開いて立ち尽くした。
(奇跡だ……)
大勢の精霊たちの中心で、アクアは芝居がかった優雅な様子で、ディアダールに向けてお辞儀をする。
『陛下。我々にご下命を』
「っ……!」
息を呑むディアダール。
ようやく実感が湧いてきたのだ。精霊と契約するとはどういうことか。
できることなど無限大で……
(これで苦しんでいる民を助けることができる……!)
希望を胸に、深く息を吸う。
そして――
「苦しむ民を助けてほしい。すべての民に笑顔と希望が芽生えるように」
『かしこまりました』
アクアが水の精霊たちに告げる。
『あなたたち、人間を助けるわよ!』
『わかったー』
『けがしたひとたちをたすけてくる!』
『みんなでにんげんをすくうんだ!』
無数の精霊たちは、各々に頼もしい声を上げながら勢いよく飛び出していった。
その日から、目に見えない何者かに救われる人々が頻出した。
民は彼らを精霊様と崇め、ディアダールを精霊に愛された皇帝として祝福した。
水の精霊の力を借りて次々と人々を救っていくディアダールの姿は、後世まで語り継がれ、類を見ない名君として歴史に名を残すことになる。
【とある冒険者side 暁の誓い】
「おらぁ!」
ギギギギッー!
野太い掛け声とともに、倒れていた家屋の主柱が退かされる。人一人で動かせるとは到底思えない太さの柱が、たった一人の男に持ち上げられる様は圧巻だ。ただ……
「ノット! そんな獣みたいな声を上げたら子供たちがびっくりするだろう⁉」
「いいじゃねーか、このほうが力入るんだし。なあ、ラウザン?」
「そうだな」
「お前らなぁ……」
Aランク冒険者パーティー「暁の誓い」の一人――レンは、リーダーのノットともう一人の仲間ラウザンの言葉にうんざりした表情を浮かべた。
数年前、盗賊に襲われていたところをアルラインに救われた彼らは、今ではAランク冒険者にまで昇格していた。
冒険者は依頼の達成数に応じてF、E、D、C、B、A、Sランクに格付けされているが、Cランクから先にはなかなか昇格できない者が多く、Sランクになれることは滅多にない。それを踏まえると、冒険者としてはほとんど最上位に位置するランク――A。
自分たちより遥かに幼い少年に圧倒的な力を見せつけられた日から、彼らは少年を超えるべく特訓を積み重ね、その座を勝ち取ったのだ。
立場は変わっても、豪快なノットにしっかり者のレン、寡黙なラウザンという構図は今も変わっていないのはご愛嬌だが。
そんな彼らが、こうして地方のこの村で家屋の建て直しを手伝っているのは、地震が起きた際に討伐依頼で偶然滞在していたからだった。
「まあまあ、レンさん。我々のことは気にしないでくださいませ。こうやって地震に見舞われ、家が倒壊してしまった我々を助けてくれたこと、感謝しかありませぬ」
ノットたちの作業を見守っていた一人の老人が、杖を突きながらレンに近づいてきた。
「村長……」
「それにお若い方々がいてくださるだけで、老人が多いこの村も活気づきますのじゃ」
「村長もそう言っているだろ? 大丈夫だって」
「だからってなぁ……」
リーダーであるノットの軽い調子に、レンはため息をつくことしかできない。
ここは、まだまだ地震の爪痕が残り、誰もが不安そうな面持ちで過ごしている村なのだ。
たまたま居合わせただけの冒険者としては、どれだけ気を遣っても遣いすぎということはないだろう。
実際、三人のことを遠巻きに見守っていた数組の親子は、ノットの声にびっくりして体を震わせていた。そのことに気付いていたレンは、村長がいいと言っても簡単には頷けない。
(リーダーとしては頼れるやつなのに、こういうことには鈍感すぎる……)
豪快に笑うノットに、困った様子のレン。ラウザンはそんな二人の様子を静かに見ている。
「ほっほ、元気な若者を見ていると儂まで元気になってくるようじゃ」
「こいつを甘やかさないでください……」
レンがため息をついた時だった。
「わー! お兄さんたちすげぇ!」
「あっ、待って!」
「待ちなさい、リューキ!」
一人の男の子――リューキが、三人が作業する倒壊した家の側に駆け寄ってきた。ここらは崩れやすくなっている。レンと村長が制止するが、リューキは明らかに周りが見えていないようだ。しかし、レンは柱を縄で固定している最中で手が離せない。そして案の定。
「わっ!」
リューキは柱を固定するために張っていた縄に引っかかって転ぶ。さらに、その衝撃でつながっていた柱が倒れてきた。
「危ない!」
レンが叫ぶ。リューキの胴体より明らかに太いそれが直撃すれば、ただの怪我では済まないだろう。
顔を上げたリューキは、倒れてくる柱を見て絶望的な表情を浮かべる。
誰もが最悪の事態を想像した――その時だった。
「よっと」
ノットがその大きな図体に見合わない軽快な動きで駆け寄り、リューキを抱きかかえて飛びのいた。直後。
ドサドサッ!
リューキが今の今までいた場所に、柱が大きな音を立てて倒れたのだった。
呆気に取られているレン。しかしすぐに我に返ると、持っていた縄を急いで縛り、ノットとリューキに駆け寄った。
「大丈夫か⁉」
慌てふためくレンに対し、ノットは余裕の笑みを浮かべている。
「ああ、しっかり避けたから怪我はねーよ。なあ坊主?」
「えっ……あ……」
ノットが腕の中のリューキを見るが、リューキは何が起きたかわかっていないのか、辺りを見回しながら目を瞬かせている。
「おーい? 大丈夫かー?」
「お、おい、そんなに揺らすな。怖がるだろう」
「これくらい大丈夫だろ。なあ?」
ノットがリューキの顔を覗き込む。だが、リューキは見る見るうちに目に涙をため……
「うわぁぁぁあああん」
「うおっ、なんで今泣くんだよ⁉」
突然の号泣に驚くノット。それを見てレンが声を荒らげる。
「お前の顔が怖いからだろ!」
「なんだと⁉」
「うわあああああん!」
「ほら、大きい声を出すから!」
「そういうお前だって……!」
てんやわんやになる二人をよそに、真っ先に動いたのは意外にもラウザンだった。
「坊主。柱、怖かったな」
ラウザンがリューキの頭に手をのせて呟くように言うと、リューキは泣きじゃくりながら頷く。
「「っ⁉」」
そこで、ようやくノットとレンも気付く。
「そうか、そりゃそうだよな……あんな柱が倒れてきたら怖くて当たり前か」
「俺の顔が怖いんじゃなかったか……」
「よかったな」
「うるせぇ」
「二人とも黙って」
「「お、おう……」」
思いもよらぬラウザンからの苦言に、すっと二人はしおらしくなる。
ラウザンはそのままリューキの頭を撫で、安心させるようにゆっくり言葉を紡ぐ。
「でも、この兄ちゃんが助けてくれたから大丈夫だ」
「うん……」
「今度からはこういう場所で無暗に走るなよ。弱っちい坊主じゃすぐ怪我しちまうからな」
「……僕、弱くないもん」
ラウザンの言葉にリューキが小さく言い返す。どうやら弱いと言われて拗ねている様子。
そんなリューキにラウザンはかすかに微笑む。
「こいつを超すくらい強くなれ」
「えっ?」
リューキが驚いて顔を上げる。ラウザンはその顔を見返す。
「俺たちはAランク冒険者パーティーだ。そしてお前を助けた男――ノットはこのパーティーのリーダー。こいつを超すくらい強くなれば自分を守れるだろ?」
「……家族も? 友達も守れる?」
期待したような声音にラウザンが驚く。
(こんな小さいのに優しいな……)
恐らく、今回の地震で周りが大変な思いをしているのを見たことで、こんな言葉が出てきたのだろう。
「ああ。ノットがお前を助けたように、お前も他のやつを助けられるはずだ」
リューキの顔がぱぁっと明るくなる。いつの間にか涙は止まっていた。
「わかった! 僕、強くなる! お兄さんたちを超えるくらい強くなるよ! 強くなってお兄さんたちのことも助けてあげる!」
「おお、言ったな? 楽しみにしておく」
ラウザンが笑みを見せて、リューキの頭を乱暴に撫でる。
その時、リューキの母親が駆け寄ってきた。
「リューキ、大丈夫⁉」
「母さん!」
リューキはノットの膝から飛び降りて母親に抱き着く。
「もう、危ないことしちゃだめっていつも言っているでしょ! 村長から聞いてびっくりしたんだから!」
「ごめんなさい……」
「ほんとに、もう……」
しゅんとするリューキを母親が強く抱きしめる。
「一時はどうなることかと思ったが、ノット殿が助けてくれてのう。大した怪我もないようで何よりじゃ」
今にも泣きそうな母親の後ろから顔を見せたのは村長だった。息を切らしている様子を見るに、リューキの無事を確認してすぐ、急いで母親に伝えに行ってくれたようだった。
崩れかけの皇城の執務室にて。
物資の配給によって民から認められたディアダールだったが、その表情は憂いに満ちていた。
もちろん、国庫の物資は首都から離れた町にもすでに送ってある。
だが……
「こんなことは一時しのぎにすぎない。すぐに破綻するだろうな」
そもそも帝国は現在国力を回復させている最中だったのだ。すさまじいスピードで進んではいたが、それでも国庫を潤すには至っていなかった。
そんな矢先の大地震。物資の配給にもすぐに限界が来るのは目に見えていた。
この城だっていたるところが崩れているのだ。なんとか執務室や謁見室があるメイン箇所は無事だったが、天井が崩れて空が見えている廊下や、装飾品が粉々に割れてしまった部屋があるなど、なかなかに酷いありさまだ。離宮の一つなどは瓦礫の山と化しているほどだった。
予算を国民の生活に回すために、皇城の修繕をしてこなかったのが完全に裏目に出ていた。
身の回りさえ落ち着かない中では仕事の効率も下がるというものだ。
ディアダールは乱暴に目を擦る。
彼は地震が起きてから一睡もせずに復興の指揮を執っていた。疲労も眠気もすでに耐え難い領域にまで達している。それでも、ディアダールに休んでいる暇などない。
彼にはこの国の皇帝としての責任があるのだから。
「……何もかもが足りない」
一番の悩みは水不足である。水は生命に直結する最も重要な資源だ。海が涸れたことで、川や湖といった水源も急速に失われ始めていた。
「どうしたものか……」
荒れ果てた見るも無残な町の様子を窓から眺めつつ、そう呟いた時だった。
『私と契約する?』
「っ⁉」
突如青い光とともに現れたのは、水色の長髪と金の瞳を持つ踊り子のような服装の美女。
ディアダールは驚きのあまり、口をぽかんと開けたまま固まってしまった。
その表情を見た女性は、思わずといった様子で笑い出す。
『その顔、アイリーンとほんとそっくりね!』
アイリーンとは、ディアダールの母親であり、すでに亡くなった先の皇后の名前だ。
皇后の名前を呼び捨てにし、まるで転移魔法を使ったかのように不意に現れた上、宙に浮かぶ青白い光を放つ存在。
ディアダールはようやく、その正体に思い至る。
「もしかして、水の精霊……様、ですか? ……昔、母上から聞いたことがあります。帝国には代々、皇帝に力を貸してきた水の精霊がいると。そして自分も会ったことがあると」
『大正解! 私は水の上級精霊アクア。あなたのお母さんと契約してたわ』
「母上と契約までしていたのですか⁉」
上品に微笑むアクアに対し、ディアダールは驚愕の表情でガタッと音を立てて立ち上がった。
そんな話、聞いたこともなかったのだ。
そもそも精霊と契約するなど普通ではありえないこと。
(……あいつは例外だしな)
帝国を救ったばかりでなく、祝福まで与えてくれたアルライン。彼は神子と呼ばれる存在で、規格外の力を持っていた。
だが、ディアダールの母親は違う。皇后という立場以外は普通の人間だったはずだ。
そんな母親が『精霊と契約していた』という事実に、ディアダールは困惑を隠せなかった。
しかし、対するアクアは穏やかな笑みで頷いてみせる。
『ええ。今だってあなたがアイリーンの血を継いだ存在だからこそ、こうして契約を提案しているのよ』
「それは一体、どういう……?」
『精霊の名前は契約者がつけるものなの。でも、私にはまだアイリーンがつけてくれたアクアって名前がある』
そのままアクアは続ける。
アイリーンが亡くなった今も契約がまだ切れていないこと。一時外神に力を奪われていたが、アルラインの手助けもあり、どうにか取り戻したこと。そして、このような緊急事態に契約解除のために眠りにつくつもりはないこと……どうにか国の復興に手を貸したいこと。
しかし、契約が切れていない以上新たに契約を結ぶことはできず、しかし契約者なしでは十分に力を発揮することができないということも。
『でも、アイリーンと血のつながっているあなたであれば、契約を上書きすることができるの』
アクアがディアダールの眼をじっと見つめる。
(アイリーンと似た意志の強い眼差し。彼ならきっと私の力をよきことに使ってくれるでしょう)
落ちぶれていく皇帝の側で強く気高く生きたアイリーンを思い出し、アクアは穏やかに微笑んだ。
「でも、私に精霊様と契約できるような力は……」
ディアダールが口ごもる。
精霊との契約などという、奇跡にも近い幸運を自分が享受していいのか。自分なんかの弱い力や才気で精霊を縛っていいものか……
『あははは! ほんとアイリーンそっくり!』
「えっ?」
唐突に笑い出したアクアに、ディアダールはきょとんとする。
アクアは笑いすぎて溢れてきた涙をぬぐいつつ、ディアダールを見据える。
『あなた、困っているのでしょう? この帝国を救いたいのでしょう?』
「あ、ああ」
『じゃあ、この手を取ればいい。力を貸してあげるわ。この帝国が昔のような美しい国に戻るように』
アクアがその青白い手を差し出す。
『悩んでいる暇なんてないんじゃない? あなたはあなたのすべきことをしなきゃ』
「私が今すべきこと……」
『私は今まで見守ってきたこの国が、これ以上崩壊していく姿は見たくない。皇帝たちが、民たちが、そしてアイリーンが愛したこの国を守りたい。だから、最大限この国のために動けるようにあなたと契約しようと思った。あなたはどうなの?』
ディアダールはハッとした表情になる。
帝国の民を守り、国を建て直すこと。
それがディアダールの一番の願いだ。であれば、自分が精霊と契約するに値する人間かなんて、気にしている場合じゃない。
(ここで、彼女の力を借りないという選択肢はない……!)
ディアダールの顔つきが変わる。そして、アクアの手を取った。
その瞬間、辺りに大量の水が発生し、二人の周りをぐるぐると取り巻いた。その水は家具や壁などにぶつかっているはずなのに、それらを濡らすことなくただそこに存在し、うごめいている。
なんとも不思議で幻想的な光景だった。
「これは……」
『告げて、自分の名前と私の名前を。そして契約を望むという一言を』
「あ、ああ……」
思わず目を奪われていたディアダールだが、アクアの言葉を聞いて我に返る。息を深く吸うと、アクアを見つめ静かに告げた。
「私の名前はディアダール・ウォー・スフェルダム。水の上級精霊アクアとの契約を望む」
『完璧』
アクアがうれしそうに言ったとたん、辺りを巡っていた水が祝福するように一斉に高く噴き上がる。
「すごい……」
あまりにも神秘的な光景に、ディアダールは感嘆の声を漏らす。
やがて噴き上がった水は、再び二人をぐるぐると取り囲み包みながら収束すると、そのままアクアの中に吸い込まれていった。
『これで契約は完了よ。ご主人様?』
「あ……ご主人様だなんて。ディールとお呼びください。私の愛称です」
『わかったわ、ディール。あなたもその敬語、やめてちょうだい。こそばゆいわ』
「わかりま……わかった。アクア」
契約が完了したと言われてもあまり実感はない。
ただ、自分の水属性の魔力をより強く感じられるようになった気がした。
「ありがとう、アクア。私と契約してくれて。母上のことを覚えていてくれて」
ディアダールの言葉に今度はアクアが驚いた表情を浮かべる。
「母上の存在などもう忘れ去られたものだと諦めていた。でも君が覚えていてくれた。それが何よりもうれしい」
そして、ぎゅっと拳を握る。
「私はこの帝国を救って、母上が愛した美しい国を取り戻したい。だからどうか力を貸してくれ」
『もちろんよ!』
アクアが満面の笑みを浮かべて手を広げると、その両手から水が噴き出し、はじけるように広がっていく。
それが合図だったのだろうか。数え切れぬほどの水の下級精霊たちが、爆発的な速度で続々と集まってきた。
『アクアさまー!』
『ちからもどってる!』
『なんでぼくたちをよんだのー?』
契約したこととアクアの計らいで精霊が見えたディアダールは、その壮観な景色に目を見開いて立ち尽くした。
(奇跡だ……)
大勢の精霊たちの中心で、アクアは芝居がかった優雅な様子で、ディアダールに向けてお辞儀をする。
『陛下。我々にご下命を』
「っ……!」
息を呑むディアダール。
ようやく実感が湧いてきたのだ。精霊と契約するとはどういうことか。
できることなど無限大で……
(これで苦しんでいる民を助けることができる……!)
希望を胸に、深く息を吸う。
そして――
「苦しむ民を助けてほしい。すべての民に笑顔と希望が芽生えるように」
『かしこまりました』
アクアが水の精霊たちに告げる。
『あなたたち、人間を助けるわよ!』
『わかったー』
『けがしたひとたちをたすけてくる!』
『みんなでにんげんをすくうんだ!』
無数の精霊たちは、各々に頼もしい声を上げながら勢いよく飛び出していった。
その日から、目に見えない何者かに救われる人々が頻出した。
民は彼らを精霊様と崇め、ディアダールを精霊に愛された皇帝として祝福した。
水の精霊の力を借りて次々と人々を救っていくディアダールの姿は、後世まで語り継がれ、類を見ない名君として歴史に名を残すことになる。
【とある冒険者side 暁の誓い】
「おらぁ!」
ギギギギッー!
野太い掛け声とともに、倒れていた家屋の主柱が退かされる。人一人で動かせるとは到底思えない太さの柱が、たった一人の男に持ち上げられる様は圧巻だ。ただ……
「ノット! そんな獣みたいな声を上げたら子供たちがびっくりするだろう⁉」
「いいじゃねーか、このほうが力入るんだし。なあ、ラウザン?」
「そうだな」
「お前らなぁ……」
Aランク冒険者パーティー「暁の誓い」の一人――レンは、リーダーのノットともう一人の仲間ラウザンの言葉にうんざりした表情を浮かべた。
数年前、盗賊に襲われていたところをアルラインに救われた彼らは、今ではAランク冒険者にまで昇格していた。
冒険者は依頼の達成数に応じてF、E、D、C、B、A、Sランクに格付けされているが、Cランクから先にはなかなか昇格できない者が多く、Sランクになれることは滅多にない。それを踏まえると、冒険者としてはほとんど最上位に位置するランク――A。
自分たちより遥かに幼い少年に圧倒的な力を見せつけられた日から、彼らは少年を超えるべく特訓を積み重ね、その座を勝ち取ったのだ。
立場は変わっても、豪快なノットにしっかり者のレン、寡黙なラウザンという構図は今も変わっていないのはご愛嬌だが。
そんな彼らが、こうして地方のこの村で家屋の建て直しを手伝っているのは、地震が起きた際に討伐依頼で偶然滞在していたからだった。
「まあまあ、レンさん。我々のことは気にしないでくださいませ。こうやって地震に見舞われ、家が倒壊してしまった我々を助けてくれたこと、感謝しかありませぬ」
ノットたちの作業を見守っていた一人の老人が、杖を突きながらレンに近づいてきた。
「村長……」
「それにお若い方々がいてくださるだけで、老人が多いこの村も活気づきますのじゃ」
「村長もそう言っているだろ? 大丈夫だって」
「だからってなぁ……」
リーダーであるノットの軽い調子に、レンはため息をつくことしかできない。
ここは、まだまだ地震の爪痕が残り、誰もが不安そうな面持ちで過ごしている村なのだ。
たまたま居合わせただけの冒険者としては、どれだけ気を遣っても遣いすぎということはないだろう。
実際、三人のことを遠巻きに見守っていた数組の親子は、ノットの声にびっくりして体を震わせていた。そのことに気付いていたレンは、村長がいいと言っても簡単には頷けない。
(リーダーとしては頼れるやつなのに、こういうことには鈍感すぎる……)
豪快に笑うノットに、困った様子のレン。ラウザンはそんな二人の様子を静かに見ている。
「ほっほ、元気な若者を見ていると儂まで元気になってくるようじゃ」
「こいつを甘やかさないでください……」
レンがため息をついた時だった。
「わー! お兄さんたちすげぇ!」
「あっ、待って!」
「待ちなさい、リューキ!」
一人の男の子――リューキが、三人が作業する倒壊した家の側に駆け寄ってきた。ここらは崩れやすくなっている。レンと村長が制止するが、リューキは明らかに周りが見えていないようだ。しかし、レンは柱を縄で固定している最中で手が離せない。そして案の定。
「わっ!」
リューキは柱を固定するために張っていた縄に引っかかって転ぶ。さらに、その衝撃でつながっていた柱が倒れてきた。
「危ない!」
レンが叫ぶ。リューキの胴体より明らかに太いそれが直撃すれば、ただの怪我では済まないだろう。
顔を上げたリューキは、倒れてくる柱を見て絶望的な表情を浮かべる。
誰もが最悪の事態を想像した――その時だった。
「よっと」
ノットがその大きな図体に見合わない軽快な動きで駆け寄り、リューキを抱きかかえて飛びのいた。直後。
ドサドサッ!
リューキが今の今までいた場所に、柱が大きな音を立てて倒れたのだった。
呆気に取られているレン。しかしすぐに我に返ると、持っていた縄を急いで縛り、ノットとリューキに駆け寄った。
「大丈夫か⁉」
慌てふためくレンに対し、ノットは余裕の笑みを浮かべている。
「ああ、しっかり避けたから怪我はねーよ。なあ坊主?」
「えっ……あ……」
ノットが腕の中のリューキを見るが、リューキは何が起きたかわかっていないのか、辺りを見回しながら目を瞬かせている。
「おーい? 大丈夫かー?」
「お、おい、そんなに揺らすな。怖がるだろう」
「これくらい大丈夫だろ。なあ?」
ノットがリューキの顔を覗き込む。だが、リューキは見る見るうちに目に涙をため……
「うわぁぁぁあああん」
「うおっ、なんで今泣くんだよ⁉」
突然の号泣に驚くノット。それを見てレンが声を荒らげる。
「お前の顔が怖いからだろ!」
「なんだと⁉」
「うわあああああん!」
「ほら、大きい声を出すから!」
「そういうお前だって……!」
てんやわんやになる二人をよそに、真っ先に動いたのは意外にもラウザンだった。
「坊主。柱、怖かったな」
ラウザンがリューキの頭に手をのせて呟くように言うと、リューキは泣きじゃくりながら頷く。
「「っ⁉」」
そこで、ようやくノットとレンも気付く。
「そうか、そりゃそうだよな……あんな柱が倒れてきたら怖くて当たり前か」
「俺の顔が怖いんじゃなかったか……」
「よかったな」
「うるせぇ」
「二人とも黙って」
「「お、おう……」」
思いもよらぬラウザンからの苦言に、すっと二人はしおらしくなる。
ラウザンはそのままリューキの頭を撫で、安心させるようにゆっくり言葉を紡ぐ。
「でも、この兄ちゃんが助けてくれたから大丈夫だ」
「うん……」
「今度からはこういう場所で無暗に走るなよ。弱っちい坊主じゃすぐ怪我しちまうからな」
「……僕、弱くないもん」
ラウザンの言葉にリューキが小さく言い返す。どうやら弱いと言われて拗ねている様子。
そんなリューキにラウザンはかすかに微笑む。
「こいつを超すくらい強くなれ」
「えっ?」
リューキが驚いて顔を上げる。ラウザンはその顔を見返す。
「俺たちはAランク冒険者パーティーだ。そしてお前を助けた男――ノットはこのパーティーのリーダー。こいつを超すくらい強くなれば自分を守れるだろ?」
「……家族も? 友達も守れる?」
期待したような声音にラウザンが驚く。
(こんな小さいのに優しいな……)
恐らく、今回の地震で周りが大変な思いをしているのを見たことで、こんな言葉が出てきたのだろう。
「ああ。ノットがお前を助けたように、お前も他のやつを助けられるはずだ」
リューキの顔がぱぁっと明るくなる。いつの間にか涙は止まっていた。
「わかった! 僕、強くなる! お兄さんたちを超えるくらい強くなるよ! 強くなってお兄さんたちのことも助けてあげる!」
「おお、言ったな? 楽しみにしておく」
ラウザンが笑みを見せて、リューキの頭を乱暴に撫でる。
その時、リューキの母親が駆け寄ってきた。
「リューキ、大丈夫⁉」
「母さん!」
リューキはノットの膝から飛び降りて母親に抱き着く。
「もう、危ないことしちゃだめっていつも言っているでしょ! 村長から聞いてびっくりしたんだから!」
「ごめんなさい……」
「ほんとに、もう……」
しゅんとするリューキを母親が強く抱きしめる。
「一時はどうなることかと思ったが、ノット殿が助けてくれてのう。大した怪我もないようで何よりじゃ」
今にも泣きそうな母親の後ろから顔を見せたのは村長だった。息を切らしている様子を見るに、リューキの無事を確認してすぐ、急いで母親に伝えに行ってくれたようだった。
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