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完全版【004】:変態は驚嘆し、異世界は咲う!(1)
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極寒の雪景色の中を空中に浮かぶ真っ裸の赤ちゃんが、次々にスノーラットとスノーラビットを狩っていく。
狩られた獲物は、全て瞬時に回収されて消えていく。
最高だなぁ~、生まれた初日からレベル上げが出来る何て堪らない!
俺は脳裏地図と脳裏情報と雪山を同時に視ながら、狩りに興じて居た。
仮想現実ゲームの世界で【廃神】と呼ばれる神プレイヤーとして、名を馳せていたプレイヤーネーム【カルマ】にとって、レベル上げとは快感と同義だった。
全てのゲームジャンルを網羅プレイしていた【カルマ】は、所謂ゲームが生活の一部に為っているゲーマー達の中でも、ドップリとゲームに嵌まっている【廃人】と呼ばれる人種を超越した存在。人生全てをゲームに捧げた異常進化種《プログレス》だった。
現実の世界の一秒が【二四秒】に相当する仮想現実の世界で、現実の人生の全てをゲームプレイに捧げ、【最大延長】で現実の世界の一秒が【百十万四千秒】に相当する【アルグリア戦記】の世界で、常にトップを独走する。
【アルグリア戦記の公式ホームページプレイヤーランキング】で、二位にトリプルスコアー以上の差を付けるゲーム脳の変態は、ゲームプレイヤー達の憧れで在り、正しく神だった。
従来の【創造神の試練】で約半年後に起こる村の襲撃イベントまでは、実質生命力(HP)・魔力(MP)・精神力(MSP)・持久力(EP)の状態値しか育成しようが無い。
常人にとって約半年間は育成期間では無く、只々無為の時間で苦痛でしかなかった。又、ゲーム脳の変態のように精神にダメージを受けても、嬉々として激痛に耐え増加する生命力・魔力・精神力・持久力に、未来の自分の姿を想像し愉悦する異常者は皆無と言って外ならない。
襲撃イベントが起きて初めて四つん這いで匍匐前進が出来るように為り、出来るように為っても生命力(HP)の数値次第では数秒から数十分で【0】ポイントに為り【ゲームオーバー】する未来が待って居るだけだった。
況してや封印に因る能力値【1】ポイント固定は、無理ゲーシナリオに拍車を掛けた。
常人にとって鬼畜仕様の無理ゲーと呼ばれる【創造神の試練】は、全く面白みの無い生き地獄其のものだった。
意味の無い半年間を過ごし凍死するか追手に殺される無限ループ地獄に心を折られ、心を病み本物の廃人と為るクラークプレイヤーの多くは完璧主義者だった。其の事実はゲーム規制の社会現象を巻き起こし、【創造神の試練】は鬼畜無理ゲーシナリオと呼ばれた。そんな禁断と言って良いシナリオを、十回以上も繰り返すプレイヤーは、常人の中には居なかった。
プレイヤーランキングのポイントは、プレイヤーの行動に因って採点され付与される。
一度クリアしたシナリオを前回と同様にプレイしても、同じポイントは得られない。初回クリア限定ポイント分で差が付くからだ。
つまり、各難易度シナリオごとに新規アバターでプレイしてゲームクリアすれば高得点が狙える。
勿論、高得点を叩き出すシナリオクリアとは【アルグリア大陸制覇】を意味する。
其れ故、ランキング二位とトリプルスコアーを付けるカルマに、畏怖し憧憬し崇拝したプレイヤー達が付けた異名が、廃人の中の廃人、廃人達の神の名こそ【廃神】だった。
過去に初回から数えて鬼畜無理ゲーシナリオの襲撃イベントの正解まで、通算四百七十七回行動不能の経験を持つ【カルマ】は、脳内地図を参考に効率よくスノーラットとスノーラビットを狩っていく。
そんな中、もう一人のカルマは暖炉の近くで、カルスとマルナに見守られスヤスヤと眠って居た。
<<個体名【カルマ】の個体レベルが上がりました!>>
<<個体名【カルマ】の無属性魔法レベルが上がりました!>>
順調に個体レベルとスキルレベルが上昇していく。
やっぱりスキル【神童LV1】の効果は凄い!
プレイアバター【カルマ】のウキウキは止まらない。無双プレイが嫌いなのでは無い。ドキドキする気持ちが依り感じられる未改造プレイが好みなだけだった。
【神童LV1】の効果で在る【18歳まで獲得経験値×10倍とする能力スキル】は、個体レベルだけに留まらずスキルレベルの経験値にまで適応される。
現在のスキルレベルこそ【1】レベルだが、此れが【2】レベルに為れば【18歳まで獲得経験値×20倍とする能力スキル】に効果は撥ね上がる。最大レベル【10】で【18歳まで獲得経験値×100倍とする能力スキル】と化けるチートスキルだった。
良いよ! オマエ(レベルの在るスキル)、良いよ!!
無属性魔法などの凡庸才能レベルが上がる快感に打ち震えるカルマだった。
通常、プレイヤーネーム【カルマ】は無双プレイを好まない。故にシナリオクリア特典で獲得した凡庸才能でさえカスタマイズ時に使用した事は一度も無かった。
理由は『勿体無い』からだった。
折角のキャラアバターの特性を弄るだなんてゲーム脳の変態に言わせれば、素材の味を活かさないシェフ(料理長)ぐらい愚かな行いだった。
そんなカルマが自分の楽しみよりも、【創造神の試練】の両親の早世と仲間の無念の運命を、覆し塗り直し改変する為に、死蔵して居た固有才能(レベル表示無し★)・特異才能(レベル表示無し☆)・凡庸才能(レベル表示有り)を惜し気も無くカスタマイズした。
全ては両親と仲間の為、カルマは自重を捨てた。
現在のプレイアバター【カルマ】は言う為れば、不正行為では無く超不正行為も通り越した埒外不正行為な存在。
其の埒外不正行為の一端が、母体と分体に分かれての効率的なレベル上げだった。
<<個体名【カルマ】の個体レベルが上がりました!>>
もうネズミとウサギじゃ効率が悪いな~、次はキツネかシカかな~クマもいいな~!
そんな風に思いながらもスノーラットとスノーラビット狩りは続いていくが、近くにスノーウルフが居ると解ると、方向転換して次の獲物を探し、【短距離転移】をしながら空中を進んでいく。
仲間には今は近づかないようにしないとな~!
獲物をスノーフォックスに切り替え効率的に狩りながらも、空中を進んで行くカルマの目の前に幾度と無く飛び降りた【因縁の割れ目】が姿を現したのだった。
半年前倒しの打っ付け本番か、・・・・・・ヤバいなドキドキする!
従来、【創造神の試練】時の【カルマ】は生後半年ほどで起きる村への襲撃イベントで、両親を亡くし極寒の中に放り出される。
其処で初めて匍匐前進が可能になった処から、本当の意味でのゲームが始まる。
放り出されてから約三十分までに【凍死するのが定番】で、高難易度シナリオ【創造神への挑戦(創造神の試練の次に高難度なシナリオ)】をクリアした廃人達が心をポキポキ折られる、・・・・・・【鬼畜の儀式】。
其の儀式をクリア出来る、【創造神の試練】時の正解が居る洞窟へ行く事が、今回でも正解かどうかはカルマとしても半年前倒しの状況では判断は付かなかった。
本当は洞窟の前で着地してから匍匐前進で奥へ進んで行き、従来の正解時の状況に少しでも近付けたかった。
しかし、レベル上げしたステータスを以てしても、【運命の設定】なのか、現状では匍匐前進が出来なかったのだ。
只、今回の行動が不正解だったとしても両親と仲間の運命を改変する為には、不正解も正解にする気概のカルマだった。
「あぅあぅあぅあぁぁ~!(あいきゃんふら~い!)」
既に空中に浮いているカルマが赤ちゃん言語で叫び、割れ目の中に姿を消して往った。既に目を瞑っていても攻略可能な氷柱アトラクションを軽快に捌いて、目的地の空間に到達する。洞窟は奥へ進んで行く程に、壁が淡く青く蒼く光っていて段々と明るさを増していき、最奥は碧光りする水晶が、花のように壁と天井に咲いている広間が拡がっている。
其処は幾度と無く訪れた場所だった。
そんな中、空中を進んで行く【カルマ】の目の前に、【従来の正解】が、鎮座していた。
・・・・・・むっちゃ! くちゃ! 見てるな!
従来、【半年後の正解】は眠っている状態だったが、半年前倒しの状況では、正解は起きていて【カルマ】を凝視している。
正解としても、見た目普精霊人の赤ちゃんが空中を【短距離転移】して進んで来る様は、異様其のものだったので凝視するしかなかった。
「あぅあぅあぅあぁぁ~♪(母さん・・・・・・いただきます~♪)」
碧光りする花水晶が咲く神秘空間で、空中に浮かぶ【カルマ】が真っ裸で叫ぶ!
其の視線の先には、蒼光りの陽炎に身を包んでいる、【白い巨狼】が静かに佇んで居たのだった。
なっ、何だ! 何なんだ、一体!
【十の災厄】の一角である【氷狼エンプレス】は唖然として固まった侭だった。
何じゃ、・・・・・・此の赤ん坊は!?
禁忌の【ハルベルト山脈】の主は、空中を短距離転移しながら、自分のある一点だけを見つめながら、畏れもなく進んで来る、真っ裸の赤ちゃんに呆然としてしまい為す術が無かった。
「あぅあぅあぅあぁぁ~♪(母さん・・・・・・いただきます~♪)」
そして、徐に自分の乳房に吸い付いた赤ちゃんに対して、【氷狼】エンプレスは為れるが侭だった。
何故なら、十の災厄である彼女に対して、此処まで無防備に接して来た存在は今まで居なかった事と、此の極寒の地を人の身で、況してや生後間もないであろう赤ちゃんが、真っ裸で短距離転移しながら近付き、一心不乱に自分の乳房に吸い付く姿に不覚にも完全に思考停止して居たからだった。
か・・・・・・か・・・・・・可愛い!
其れが、【氷狼】エンプレスの母性が目覚めた瞬間だった! ・・・・・・其の瞬間から、無我夢中に赤ちゃんは母乳を飲み始めた!
<<ずきゅ~ん♪ ・・・・・・固有個体名【エンプレス】の個体名【カルマ】への好感度が一定の値に達しました!>>
<<個体名【カルマ】が称号【氷狼の加護】を獲得しました!>>
従来、【創造神の試練】時の【氷狼】エンプレスとカルマの邂逅は、一つの奇跡だった。
極寒の中、放り出されて死の時間制限の制約を課せられ、徐々に減っていく生命力(HP)と寒さで悴んで思うように動かない身体で、匍匐前進しながら【氷狼】エンプレスに辿り着いた時には、カルマの生命力(HP)は残り僅かだった。
カルマは【氷狼】エンプレスに辿り着き、母乳を飲む事によって称号【氷狼の加護】を獲得して、何とか生き延びたのだった。
廃人の中の廃人、【廃神】と呼ばれるカルマの体感レベルは、勿論最大値で設定しているので、現実の世界以上の敏感な体感(触覚・痛覚等)が在る。
他の仮想現実ゲームでも常に、体感レベルと痛覚レベル機能の設定調節(ゲームごとに体感と痛覚との詳細なゲーム設定が各々違う)は最大値設定にして、格闘系、射撃系、隠密系、恋愛系などのゲームの最精鋭達と日々凌ぎを削って居たカルマのPSは、現実で実現可能なレベルまで技術として昇華して居た。
其れが、【廃神】と呼ばれる所以の一つでも在った。
しかし、単純に体感レベルを上げればゲームが上手になる訳では無い。
研ぎ澄まされる感覚を使い熟し、痛みと其の恐怖に打ち勝って技術に昇華してこそ上達していくのだった。
但し、体感レベルを最大値に近付けると言う事は、現実世界で実際に痛みを伴う行為と同義以上に近付けると言う事(小さい痛みが体感レベルの上昇値により、数倍の激痛として感じる事)を先ず理解しなければならない。
体感レベルの設定値の制作運営会社の推奨は三十パーセント(現実世界の体感と同等設定は五十パーセント)で、それ以上の設定にするには、ゲーム規約にある体感レベルによる障害事故及び死亡事故などはプレイヤーの自己責任で、制作運営会社は一切の責任を負わない旨に了解のサインをした廃人だけが挑める変態達の狂宴なのだ。
極寒の寒さで身体が悴み、思う様に動かない生後半年ほどの赤ちゃんが、最適解を導き出す為に凍死三百十八回と爆散死百五十八回を繰り返し試行して、【鬼畜の儀式】を体感レベル最大値設定で、嬉々として潜り抜けた。
ゲームに人生の全てを捧げたゲーム脳の変態が、【廃神】と呼ばれるカルマの真の姿だった。
ウグウグっ! ・・・・・・母さん! 母乳が美味過ぎる・・・・・・ゲポっ!
FHSLG【アルグリア戦記】に於いて、最高難易度のシナリオ【創造神の試練】が鬼畜無理ゲー(超難易度過ぎて攻略が不可能、無理でしょうって言うゲーム)と言われるのは、単純にクリアしたプレイヤーが誰一人として居なかったからで在る。
【創造神の試練】を攻略するには、あらゆる全てのものを活用しなければならない。
其の一つが、【称号の効果】である。
【アルグリア戦記】には、キャラアバターが元々所持してる称号と、行動によって獲得出来る称号が在る。行動の結果で、所持称号が上位称号に書き替えられ進化する場合も在る。
カルマが最初に獲得した称号【氷狼の加護】の効果は、寒冷耐性と狼系生物への威圧と魅了だった。
お腹一杯に為りスヤスヤと眠る赤ちゃんを、白い巨狼が自分の尻尾で愛おしく包んで居る。
巨狼は何故此の普精霊人(見た目が)の赤ちゃんは自分に対して、こんなにも無防備で居られるのか自問自答する。
そして、自分への絶対的な信頼と一途な愛情を感じ、理由を考える事を放棄したのだった。
十の災厄の一角、【氷狼】エンプレスは運命の設定上、【群れない孤高の狼】だった。
狼は群れる習性が在り、其れが本能でも在った。
其れを在る意味、強引に螺子曲げた設定との不条理が、【不具合】を生んだのかもしれない。
赤ちゃんの寝顔を見ていると、其の存在を守りたい無償の欲求が高まっていく。
其の熱い眼差しを感じた赤ちゃんが目を覚し、自分を見つめる巨狼にくしゃっと笑いかけた。
<<ずきゅ~ん♪ 固有個体名【エンプレス】の個体名【カルマ】への【好感度】が上限に達しました!>>
<< 固有個体名【エンプレス】の個体名【カルマ】への【好感度】が【愛情度】に書き替えられました!>>
<<固有個体名【エンプレス】の個体名【カルマ】への【愛情度】が上限に達しました!>>
<<固有個体名【エンプレス】の個体名【カルマ】への【愛情度】が上限に達しました!>>
<<固有個体名【エンプレス】の個体名【カルマ】への【愛情度】が上限に達しました!>>
<<固有個体名【エンプレス】の個体名【カルマ】への【愛情度】が上限に達しました!>>
<<固有個体名【エンプレス】の個体名【カルマ】への【愛情度】が限界突破しました!>>
<<個体名【カルマ】の称号【氷狼の加護】が【氷狼の寵愛】に書き替えられました!>>
<<個体名【カルマ】の称号【氷狼の寵愛】が【氷狼の愛息】に書き替えられました!』
「あぅ!?(えっ、マジ!?)」
極寒の洞窟の中、巨狼の尻尾で包まれながらカルマが真っ裸で呟く!
其の視線の先には、慈愛の眼差しで見つめる蒼い瞳のもう一人の母親が微笑んで居た。
「あぅあぅあぅあぁぁ!(ふむふむ・・・・・・マジか・・・・・・まっ、良っか!」
従来の【創造神の試練】では、此の段階で【カルマ】が獲得出来た称号は【氷狼の加護】のみで、十八才で成人を迎えた時に称号【氷狼の寵愛】を獲得出来るのだったが。
【氷狼の寵愛】を超える上位称号が在ったとは!?
称号【氷狼の加護】の効果は、寒冷耐性と狼系生物への威圧と魅了だった。
其の称号効果を活かして【カルマ】はスノーウルフを仲間にし、鬼畜仕様の縛りで能力値(筋力・知力など)は、【1】ポイントより上がりも下がりもしないが、個体レベル上げを十八才の成人に為るまで続けた。
そして、【氷狼の寵愛】の称号を獲得してから、其の効果の寒冷無効と狼系生物への統制と魅惑を使って、スノーウルフの群れを統率して大陸制覇の足掛かりにするのだった。
其れが今や、其れを超える称号を獲得した。
其の称号【氷狼の愛息】の効果は、寒冷無効・寒冷操作と狼系生物への支配と傾国だった。
FHSLG【アルグリア戦記】のステータス表示には、【情報表示】・【状態表示】・【能力表示】・【部隊編成表示】が在る。
【情報表示】には、名前・個体レベル・備考(年齢・種族・身分・職業・称号・才能・説明)が、【状態表示《シチュエーション》】には生命力(HP)・魔力(MP)・精神力(MSP)・持久力(EP)・満腹度(FP)が、【能力表示】には、筋力(STR)・耐久力(VIT)・知力(INT)・敏捷(AGI)・器用(DEX)・魅力(CHA)が、【部隊編成表示】には、統率力(LEA)・攻撃力(OFF)・防御力(DEF)・機動力(MOB)・持久力(END)・戦法力(TAC)・士気力(MOR)・詳細が表示されて居る。
鬼畜仕様の縛りで在る能力値を全て【1】ポイント固定で適用される能力値は、筋力・耐久力・知力・敏捷・器用・魅力で、どれだけ個体レベルを上げても【1】ポイントの侭で在った。
そんな状態で鬼畜仕様の最高難易度シナリオである【創造神の試練】をクリアするには称号効果と、もう一つのステータス情報である【隠されたデータ】への理解が必要で在る。
称号【氷狼の加護】、【氷狼の寵愛】で言えば、魅了は現在の魅力値×【10】倍の効果が在り、魅惑は×【100】倍だった。
つまり、能力表示上の魅力能力値が【1】ポイントでも、称号効果で【10】、【100】と狼系生物限定で、【隠されたデータ】として反映される。
威圧と統制は称号効果で在り才能ではないので、鬼畜仕様の縛りである才能枠の【0】で固定による、才能を修得出来ない効果は元から適用外で在った。
【カルマ】は、威圧と魅了の併用効果でスノーウルフを仲間にして、統制と魅惑の併用効果でスノーウルフの群れを統率したのだった。
《氷狼の愛息》、ヤバい!!!
称号効果が凄いのは勿論だが、【氷狼エンプレス】がカルマを尻尾で抱え込んで離さないのが一番ヤバかった。
称号【氷狼の愛息】の効果で在る【傾国】は、狼系生物限定で現在の魅力値×【1000】倍だった。
【カルマ】が現在のステータス情報を確認する。
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【情報表示】:▼
氏名:【カルマ】
個体LV:【18】
備考:▼
年齢:【0歳】
種族:【森精霊人と普精霊人の混血】
身分:【未設定】
職業:【未設定】
称号:【異世界転生者】▼
【異世界転生者】:転生した異界者の称号。異世界言語を使用可能。
【プレイヤー】▼
【プレイヤー】:ゲームプレイヤーの称号。ゲームシステムを使用可能。
【氷狼の愛息】▼
【氷狼の愛息】:寒冷無効・寒冷操作と狼系生物へ支配と【傾国】効果。
才能:【分体分裂★】▼
【分体分裂★】:母体と分体に分裂する能力スキル。
【存在遮断★】▼
【存在遮断★】:存在を別次元に隔離遮断する能力スキル。
【睡眠修行★】▼
【睡眠修行★】:睡眠中に経験値を獲得(極)する能力スキル。
【魔力無双☆】▼
【魔力無双☆】:現在の魔力値×10000倍にする能力スキル。
【状態異常無効☆】▼
【状態異常無効☆】: 諸有状態異常を無効状態にする能力スキル。
【心眼☆】▼
【心眼☆】:鑑定眼の上位版の能力スキル。
【神童LV3】▼
【神童LV3】:18歳まで獲得経験値×30倍とする能力スキル。
【念話LV1】▼
【念話LV1】:念で意思疎通を図る能力スキル。
【時空魔法LV1】▼
【時空魔法LV1】:時空を操る魔法スキル。
【無属性魔法LV4】▼
【無属性魔法LV4】:無属性の魔法スキル。
【他】▽
説明:▼
【運命と宿命の申し子】
【状態表示】:▼
生命力:【346/346】
魔力 :【3480000/3480000】
精神力:【349/349】
持久力:【343/343】
満腹度:【99/100】
【能力表示】:▼
筋力 :【341】
耐久力 :【341】
知力 :【341】
敏捷 :【341】
器用 :【341】
魅力 :【341】
【部隊編成表示】:▼
統率力:【未設定】
攻撃力:【未設定】
防御力:【未設定】
機動力:【未設定】
持久力:【未設定】/【未設定】
戦法力:【未設定】/【未設定】
士気力:【未設定】/【未設定】
詳細:▼
主将:【未設定】
副将:【未設定】
副将:【未設定】
部隊:【未設定】
戦法:【未設定】
特性:【未設定】
説明:【未設定】
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良し! 状態値と能力値共に【340】成長ポイントも加算されて居る!
【神童】スキルの効果で成長ポイント(レベルアップ時に自動的に【1】~【20】ランダム付与)が確定で【20】ポイントづつ付与されるからだ。
【神童】スキル! なんて怖ろしい子なんだ・・・・・・
おっ、個体レベルが【18】に為ってる!
眠る前が確か個体レベルが【16】だった筈、大体一時間ほどでレベルが二つも上がってる!
やっぱり【固有才能】はチートだな!?
俺は眠る前にスキルの入れ替えをして居た。
FHSLG【アルグリア戦記】のルールの一つで在るスキル枠十枠の制限は、スキル枠撤廃券で解除されてスキルを十枠以上プレイアバターに付与可能に為った。
しかし、常時無限にスキルが使用出来る訳では無い。
十枠の制限ルールは存在した。
飽くまでも使用出来るのは【情報表示】にセットされて居る十枠のスキルのみだった。
良かった、準備して居て。
特別シナリオ【ゲーム世界に転生】をスタートするに当たり、両親と仲間の運命を改変する為に、一切の妥協と自重をカルマはしなかった。
特典の能力値の限界突破券を使用して、普精霊人と森精霊人の混血の成長限界能力値(筋力・耐久力・知力・敏捷・器用・魅力の成長限界値)の壁を突破し、英雄ポイントで限界まで成長限界能力値を上げた。
其の結果、成長限界身体能力値の各数値が【∞】になって居る。
つまり、上限無しで育成出来ると言う事で在った。
そんな状態で育成出来ないのは俗に言う【蛇の生殺し】で在り、廃人の中の廃人、【廃神】と畏怖を込めて呼ばれて居たカルマには我慢が出来ない事だった。
「あぅあぅあぅあぁぁ~!(育成出来ないじゃないかぁ~!)」
カルマにとって育成とは寸暇を惜しんでするもので、御褒美、否至上の喜び以外の何物でもなかった。
しかし、こう言う事態にも対処する為に、準備万端で生物との意志疎通を図る才能《スキル》【念話LV1】を、カスタマイズ時にキャラアバター【カルマ】に付与して居た。
『母さん、少し離して欲しいんだけど?』
『なっ! ・・・・・・』
【氷狼エンプレス】は、カルマから初めて念話で話し掛けられた衝撃よりも、初めて拒絶された事に衝撃を受けているようだった。
<<固有個体名【エンプレス】が個体名【カルマ】から精神攻撃を受け状態異常【精神崩壊】になりました!>>
えっ!?
【氷狼エンプレス】はカルマに拒絶されたと思い込み、初めての【反抗期】の衝撃で魂に大打撃を受けたのだった。
『そ、そん、・・・・・・な!?』
<<個体名【カルマ】は固有個体名【エンプレス】に精神攻撃を仕掛けました!>>
【氷狼エンプレス】は苦悶の表情で、カルマを見つめた侭大粒の泪をポロポロと溢し出す。
あああ~、此の状況は何度も見た事が在る!
デレデレにデレた【親バカ】にバージョンアップした母さんだ!!
でも、何かいつもよりも大袈裟じゃ無いかな?
いつもは目に泪を溜めるだけだったのに!?
あっ! 【氷狼の愛息】か!?
確か【傾国】は、狼系生物限定で現在の魅力値×【1000】倍。
つまり、【能力表示】上は魅力値は【341】ポイントでも、【隠されたデータ】では、【341000】ポイントに為る!?
あっ、やっちまったか、・・・・・・も?
ゴクリ・・・・・・
【氷狼エンプレス】は懊悩煩悶の極地に達して居た。此の赤ん坊を護りたい想いで満ち溢れ慈しんで居た処を、最愛の存在に昇華した赤ん坊に拒絶された。
【氷狼エンプレス】は痛恨の攻撃を精神に受けて、病んでバッタリと倒れ伏したのだった。
<<個体名【カルマ】は固有個体名【エンプレス】を討伐しました!>>
「あぅあぅあぅあぁぁ~!(えええぇぇ~マジか~!)」
極寒の洞窟の中、驚愕の表情でカルマが真っ裸で叫ぶ!
其の視線の先には、白い巨狼のもう一人の母親が、瞬時に【回収】されて消えていく、空虚な空間だけが映っていた。
真っ裸のカルマは驚愕の表情で、瞬時に【回収】されて消えていくもう一人の母親見つめながら、何故か遠い目をして居た。
<<個体名【カルマ】の個体レベルが上がりました!>>
<<個体名【カルマ】の個体レベルが上がりました!>>
<<個体名【カルマ】の個体レベルが上がりました!>>
<<個体名【カルマ】の個体レベルが上がりました!>>
<<個体名【カルマ】の個体レベルが上がりました!>>
<<個体名【カルマ】の個体レベルが上がりました!>>
<<個体名【カルマ】の個体レベルが上がりました!>>
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<<個体名【カルマ】の個体レベルが上がりました!>>
<<個体名【カルマ】は称号【氷狼の討伐者】を獲得しました!>>
<<個体名【カルマ】は称号【精神破壊者】を獲得しました!>>
<<個体名【カルマ】は災厄武器【氷狼の長剣と丸盾】を獲得しました!>>
FHSLG【アルグリア戦記】に於いて、ゲームクリアとは【アルグリア大陸制覇】で在るが、其のゲームクリアの仕方によってクリア結果が別れていた。
所属する勢力の【覇者】としてクリアする【通常制覇】と、在る条件を満たして所属する勢力の覇者としてクリアする【完全制覇】が在り、所属する勢力の【一員】としてクリアする【所属制覇】と、在る条件を満たして所属する勢力の【一員】としてクリアする【完全所属制覇】が在った。
又、【単独】で自分以外の勢力を殲滅してクリアする【殲滅制覇】と、在る条件を満たして【単独】で自分以外の勢力を殲滅してクリアする【完全殲滅制覇】が在る。
此れらの制覇の中の在る条件を満たしての条件とは、【十の災厄の全討伐】で在る。
災厄には弱点が個体ごとに存在するが、其の弱点が判明しても討伐不可能なのが災厄で在った。
災厄の縄張りを犯しただけで【敵認定】され、最低でも所属勢力が滅ぶ危険度が限りなく高いのは、【不可避の神罰】と呼ばれる所以で在る。
そんな鬼畜仕様の存在で在る【十の災厄】を全討伐して、鬼畜仕様シナリオ【創造神の試練】を完全制覇したカルマを以てしても、もう一人の母親が亡くなった理由が、自分の何気ない一言で在った事実を受け入れる事は難しかった。
従来の【創造神の試練】では、十の災厄の一角、【不死鳥】との戦いで、もう一人の母親が、【不死鳥】の動きを封じカルマは泣く泣く母親諸共【不死鳥】を討伐した経緯が在る。
真逆自分の一言が原因で、こんなにも呆気なく亡くなるとは・・・・・・
嘘だと言ってくれよ! 母さん!
称号【氷狼《ヒョウロウ》の討伐者】は、他のプレイアバターを含めて討伐経験があるので称号効果は知って居る。
純粋に強くなる称号で、効果は現在の【身体能力値×10倍】と【獲得経験値×10倍】で在った。
そして、【氷狼】エンプレスを言葉(精神攻撃)だけで討伐したからか、称号【精神破壊者】を獲得したのだった。
称号【精神破壊者】の効果は、任意に【精神破壊効果】を攻撃に付与すると言う【超不正行為】なものだった。
攻撃する度に精神をゴリゴリ削っていき、精神力(MSP)値が【0】ポイントに為ったキャラアバターが気絶状態に為るだけでも凄い効果なのに、部隊編成した者にも精神破壊効果を付与するものだからだ。
精神破壊者か、【師匠】が好きそうな効果だなぁ~!
カルマは前世では仮想現実ゲームを色々プレイして居たが、FHSLG『アルグリア戦記』は一人用やり込み型戦争ゲームなので【師匠】と絡む機会は少なかった。
其の為、【ボイスチャット】でゲームプレイ中に情報交換をして居た。
しかし、師匠と呼ぶ理由や所以は決して、仮想現実の世界では口にしなかった。
内密な話は情報が漏れない【アナログな方法(手紙)】で、現実世界でのみ情報交換をして居た。
師匠に何故此のような手間を掛けるのかと問うと、決まって『カルマ、此の世の中には知らない方が幸せな事が結構在るんだ』と手紙に記される。
徹底した秘密主義の師匠。イカれた変態は現実世界でもイカれた存在なのかも知れない。
あの【やられたらやり返す】ルールに忠実な、狂人のプライベートを知りたいとは全く思わない。
だが、ゲーム世界に現実に転生して、唯一現実世界の心残りは【師匠】の事だけだった。
ゲームを一緒に遊んだ仲間は沢山居るが、一緒に遊んでいて心から楽しいと思ったのは師匠だけだった。
PS|(プレイヤースキル)は超下手くそな癖に、DOQで最精鋭廃人の知り合いが結構居る変わった人だった。
初めて師匠と出会ったゲームは、MMOWG【矛盾】で、多人数参加型戦争ゲーム(矛盾の世界時間は二十四分の一秒で、現実世界の一時間が仮想現実世界の二十四時間に相当する)だった。
戦争の度に【独特な文言の歌】を唄いながら、敵を容赦無く襲う人だった。
そんな師匠の口癖が、『俺達は戦争ゲームをしているんじゃない! 心理ゲームをしているんだ!』、『心を攻めろ! 精神を削るんだ! ゴリゴリ削れ!』、『どんな最精鋭も心が折れたら、只の木偶の坊だ! 心を削れ!』だった。
【矛盾】では師匠は忌み嫌われていたが、決して自分からは戦争を仕掛けなかったし全て報復戦争で、一旦戦争が始まると敵が数倍の圧倒的勢力でも、確実に勝てないと判断出来る相手でも、畏れなかったし、諦めなかったし、止まらなかった。
現実世界での夜討ち朝駆けの時刻でする仮想現実世界の夜討ち朝駆けは当たり前で、人が嫌がる攻撃を余りにする行為と、攻撃されなければ決して攻撃しない師匠の【独特な掟】から付いた渾名が【凶神】だった。
そうだ! 俺は師匠の強烈な意志に惹き付けられたんだ!
茫然自失から解けたカルマは、積極的に動き出した。
【氷狼エンプレス】が討伐されたと言う事は、氷狼の息吹で凍ったものが溶け始める。
確か設定情報ではハルベルト山脈に隣接する氷柩の王国と呼ばれる地域が在る。現在脳裏地図と脳裏情報では、旧アクリス王国跡の注釈が付く場所だ。
氷解し始めて春期になったら氷柩の王国が真の姿を現す。此れは大事に為る。
呆けてる時間は無いぞ! 父ちゃんと母ちゃんと仲間の運命を改変するんだ!
洞窟を飛び出したカルマは旧アクリス王国跡を目指し、脳内地図を参考にして、【長距離転移】したのだった。
「あぅあぅあぅあぁぁ~!(根刮ぎ、いただきます~!)」
極寒の雪化粧の中、空中に突然出現したカルマが真っ裸で叫ぶ!
其の視線の先には、【氷柩の王国】と呼ばれる、雪が降り積った旧アクリス王国跡が沈黙を守って居た。
やっと着いた!
旧アクリス王国の王都ロックスまでに在る、全ての村・町・市街を脳内地図と脳内情報で、漏れが無いように確認しながら訪れ、建物以外全てのものを回収しながら来たカルマだった。
結構手間取ったな、では! 根刮ぎ、いただきます!
見渡す限りの雪原の中で、一ヶ所だけ氷が三角帽子のように出っ張っている処が、王都ロックスにある石塔を頂点とするロックス城だっだ。
そして、カルマは休む間も無く空中を短距離転移をしながら、その氷の山の中に消えていった。
寒冷操作、ヤバい効果だ!
称号【氷狼の愛息】の効果で在る、寒冷無効と寒冷操作の併用効果で、雪嵐の中だろうが氷の中だろうが、関係なく息も出来て何も無い空気中のように進んで行けるのだった。
そして、任意で自由に寒冷を操作して称号効果で自身のMP(魔力)を一切使わずに周囲の魔素を取り込んで雪嵐を起こし、任意の範囲を凍り漬け(氷柩の王国と同じ効果)に出来る、超不正行為を超える埒外不正行為な効果だった。
氷中世界のロックス城は、王族を始め王城で働く全ての人々の時間が止まって固まって居り、其れはまるで生きているかのようだった。
FHSLG【アルグリア戦記】は、一人用やり込み型ファンタジー歴史シミュレーションゲームで熱狂的な愛好者を獲得して居た。
お気に入りのキャラアバターで戦争関係無くアルグリア大陸の生活を楽しむプレイヤーが居れば、同じ所属勢力内キャラアバターで立場を代えて楽しむプレイヤーも居る。
現実世界の様々な立場のプレイヤーがゲーム世界で自分好みの様々な立場のプレイヤーとしてプレイをする。
そんな現実を束の間忘れさせてくれる究極の娯楽世界。
制作運営会社曰く、『アルグリア戦記』が一人用であるのは、同じ時間軸で色々なキャラアバターで遊ぶ事で歴史のもしも(if)を体験して貰いたかったからだった。
弱小勢力でもアルグリア大陸の歴史を知っていれば(知識チート)、この時代に存在しない政策(内政チート)、存在しない武器(生産チート)を駆使して歴史を誰もが創意工夫で変える事が出来る、可能性を秘めた世界がFHSLG『アルグリア戦記』だった。
やっと終わった!
王都ロックスを含め、氷柩の王国に囚われた旧アクリス王国の全ての村・町・市街を訪れ、建物以外の全てのものを回収し、寒冷操作で氷柩の王国と同様に再度凍り漬けにして、氷狼が討伐された証拠を封印したカルマだった。
災厄の縄張りは迷宮だから、洞窟まで一回で転移出来ないのが手間だなぁ~!
そう思いながらカルマは氷柩の王国から、長距離転移を使用して一瞬で姿を消した。
やっと帰って来た・・・・・・
カルマは洞窟を進み、碧光りのする花水晶の間に短距離転移で入っていく。
『お帰り、坊や!』
『ただいま! 母さん!』
極寒の花水晶の間で、空中に浮かぶカルマが真っ裸で元気に挨拶をする!
其の視線の先には、自分が討伐してしまった白い巨狼、もう一人の母親が静かに微笑んで居た。
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【アルグリア戦記】には、セーブ機能は存在しない。全て最初からのスタートと為る。現実の世界で、セーブなどは出来る筈もない。此処は【アルグリア世界】、もう一つの現実の世界。現実の一秒が、三千百十万四千秒に相当する仮想の現実世界。現実の一時間が、百二十九万六千日(三千五百五十年と二百五十日)に相当する【悠久の歴史を刻む世界】。
果たして、【アルグリア世界】は、仮想の現実世界なのだろうか? 其れとも、実はもう一つの現実世界【異世界】なのだろうか? 其の答えは【プレイヤー】だけが知っている。
To be continued! ・・・・・・
狩られた獲物は、全て瞬時に回収されて消えていく。
最高だなぁ~、生まれた初日からレベル上げが出来る何て堪らない!
俺は脳裏地図と脳裏情報と雪山を同時に視ながら、狩りに興じて居た。
仮想現実ゲームの世界で【廃神】と呼ばれる神プレイヤーとして、名を馳せていたプレイヤーネーム【カルマ】にとって、レベル上げとは快感と同義だった。
全てのゲームジャンルを網羅プレイしていた【カルマ】は、所謂ゲームが生活の一部に為っているゲーマー達の中でも、ドップリとゲームに嵌まっている【廃人】と呼ばれる人種を超越した存在。人生全てをゲームに捧げた異常進化種《プログレス》だった。
現実の世界の一秒が【二四秒】に相当する仮想現実の世界で、現実の人生の全てをゲームプレイに捧げ、【最大延長】で現実の世界の一秒が【百十万四千秒】に相当する【アルグリア戦記】の世界で、常にトップを独走する。
【アルグリア戦記の公式ホームページプレイヤーランキング】で、二位にトリプルスコアー以上の差を付けるゲーム脳の変態は、ゲームプレイヤー達の憧れで在り、正しく神だった。
従来の【創造神の試練】で約半年後に起こる村の襲撃イベントまでは、実質生命力(HP)・魔力(MP)・精神力(MSP)・持久力(EP)の状態値しか育成しようが無い。
常人にとって約半年間は育成期間では無く、只々無為の時間で苦痛でしかなかった。又、ゲーム脳の変態のように精神にダメージを受けても、嬉々として激痛に耐え増加する生命力・魔力・精神力・持久力に、未来の自分の姿を想像し愉悦する異常者は皆無と言って外ならない。
襲撃イベントが起きて初めて四つん這いで匍匐前進が出来るように為り、出来るように為っても生命力(HP)の数値次第では数秒から数十分で【0】ポイントに為り【ゲームオーバー】する未来が待って居るだけだった。
況してや封印に因る能力値【1】ポイント固定は、無理ゲーシナリオに拍車を掛けた。
常人にとって鬼畜仕様の無理ゲーと呼ばれる【創造神の試練】は、全く面白みの無い生き地獄其のものだった。
意味の無い半年間を過ごし凍死するか追手に殺される無限ループ地獄に心を折られ、心を病み本物の廃人と為るクラークプレイヤーの多くは完璧主義者だった。其の事実はゲーム規制の社会現象を巻き起こし、【創造神の試練】は鬼畜無理ゲーシナリオと呼ばれた。そんな禁断と言って良いシナリオを、十回以上も繰り返すプレイヤーは、常人の中には居なかった。
プレイヤーランキングのポイントは、プレイヤーの行動に因って採点され付与される。
一度クリアしたシナリオを前回と同様にプレイしても、同じポイントは得られない。初回クリア限定ポイント分で差が付くからだ。
つまり、各難易度シナリオごとに新規アバターでプレイしてゲームクリアすれば高得点が狙える。
勿論、高得点を叩き出すシナリオクリアとは【アルグリア大陸制覇】を意味する。
其れ故、ランキング二位とトリプルスコアーを付けるカルマに、畏怖し憧憬し崇拝したプレイヤー達が付けた異名が、廃人の中の廃人、廃人達の神の名こそ【廃神】だった。
過去に初回から数えて鬼畜無理ゲーシナリオの襲撃イベントの正解まで、通算四百七十七回行動不能の経験を持つ【カルマ】は、脳内地図を参考に効率よくスノーラットとスノーラビットを狩っていく。
そんな中、もう一人のカルマは暖炉の近くで、カルスとマルナに見守られスヤスヤと眠って居た。
<<個体名【カルマ】の個体レベルが上がりました!>>
<<個体名【カルマ】の無属性魔法レベルが上がりました!>>
順調に個体レベルとスキルレベルが上昇していく。
やっぱりスキル【神童LV1】の効果は凄い!
プレイアバター【カルマ】のウキウキは止まらない。無双プレイが嫌いなのでは無い。ドキドキする気持ちが依り感じられる未改造プレイが好みなだけだった。
【神童LV1】の効果で在る【18歳まで獲得経験値×10倍とする能力スキル】は、個体レベルだけに留まらずスキルレベルの経験値にまで適応される。
現在のスキルレベルこそ【1】レベルだが、此れが【2】レベルに為れば【18歳まで獲得経験値×20倍とする能力スキル】に効果は撥ね上がる。最大レベル【10】で【18歳まで獲得経験値×100倍とする能力スキル】と化けるチートスキルだった。
良いよ! オマエ(レベルの在るスキル)、良いよ!!
無属性魔法などの凡庸才能レベルが上がる快感に打ち震えるカルマだった。
通常、プレイヤーネーム【カルマ】は無双プレイを好まない。故にシナリオクリア特典で獲得した凡庸才能でさえカスタマイズ時に使用した事は一度も無かった。
理由は『勿体無い』からだった。
折角のキャラアバターの特性を弄るだなんてゲーム脳の変態に言わせれば、素材の味を活かさないシェフ(料理長)ぐらい愚かな行いだった。
そんなカルマが自分の楽しみよりも、【創造神の試練】の両親の早世と仲間の無念の運命を、覆し塗り直し改変する為に、死蔵して居た固有才能(レベル表示無し★)・特異才能(レベル表示無し☆)・凡庸才能(レベル表示有り)を惜し気も無くカスタマイズした。
全ては両親と仲間の為、カルマは自重を捨てた。
現在のプレイアバター【カルマ】は言う為れば、不正行為では無く超不正行為も通り越した埒外不正行為な存在。
其の埒外不正行為の一端が、母体と分体に分かれての効率的なレベル上げだった。
<<個体名【カルマ】の個体レベルが上がりました!>>
もうネズミとウサギじゃ効率が悪いな~、次はキツネかシカかな~クマもいいな~!
そんな風に思いながらもスノーラットとスノーラビット狩りは続いていくが、近くにスノーウルフが居ると解ると、方向転換して次の獲物を探し、【短距離転移】をしながら空中を進んでいく。
仲間には今は近づかないようにしないとな~!
獲物をスノーフォックスに切り替え効率的に狩りながらも、空中を進んで行くカルマの目の前に幾度と無く飛び降りた【因縁の割れ目】が姿を現したのだった。
半年前倒しの打っ付け本番か、・・・・・・ヤバいなドキドキする!
従来、【創造神の試練】時の【カルマ】は生後半年ほどで起きる村への襲撃イベントで、両親を亡くし極寒の中に放り出される。
其処で初めて匍匐前進が可能になった処から、本当の意味でのゲームが始まる。
放り出されてから約三十分までに【凍死するのが定番】で、高難易度シナリオ【創造神への挑戦(創造神の試練の次に高難度なシナリオ)】をクリアした廃人達が心をポキポキ折られる、・・・・・・【鬼畜の儀式】。
其の儀式をクリア出来る、【創造神の試練】時の正解が居る洞窟へ行く事が、今回でも正解かどうかはカルマとしても半年前倒しの状況では判断は付かなかった。
本当は洞窟の前で着地してから匍匐前進で奥へ進んで行き、従来の正解時の状況に少しでも近付けたかった。
しかし、レベル上げしたステータスを以てしても、【運命の設定】なのか、現状では匍匐前進が出来なかったのだ。
只、今回の行動が不正解だったとしても両親と仲間の運命を改変する為には、不正解も正解にする気概のカルマだった。
「あぅあぅあぅあぁぁ~!(あいきゃんふら~い!)」
既に空中に浮いているカルマが赤ちゃん言語で叫び、割れ目の中に姿を消して往った。既に目を瞑っていても攻略可能な氷柱アトラクションを軽快に捌いて、目的地の空間に到達する。洞窟は奥へ進んで行く程に、壁が淡く青く蒼く光っていて段々と明るさを増していき、最奥は碧光りする水晶が、花のように壁と天井に咲いている広間が拡がっている。
其処は幾度と無く訪れた場所だった。
そんな中、空中を進んで行く【カルマ】の目の前に、【従来の正解】が、鎮座していた。
・・・・・・むっちゃ! くちゃ! 見てるな!
従来、【半年後の正解】は眠っている状態だったが、半年前倒しの状況では、正解は起きていて【カルマ】を凝視している。
正解としても、見た目普精霊人の赤ちゃんが空中を【短距離転移】して進んで来る様は、異様其のものだったので凝視するしかなかった。
「あぅあぅあぅあぁぁ~♪(母さん・・・・・・いただきます~♪)」
碧光りする花水晶が咲く神秘空間で、空中に浮かぶ【カルマ】が真っ裸で叫ぶ!
其の視線の先には、蒼光りの陽炎に身を包んでいる、【白い巨狼】が静かに佇んで居たのだった。
なっ、何だ! 何なんだ、一体!
【十の災厄】の一角である【氷狼エンプレス】は唖然として固まった侭だった。
何じゃ、・・・・・・此の赤ん坊は!?
禁忌の【ハルベルト山脈】の主は、空中を短距離転移しながら、自分のある一点だけを見つめながら、畏れもなく進んで来る、真っ裸の赤ちゃんに呆然としてしまい為す術が無かった。
「あぅあぅあぅあぁぁ~♪(母さん・・・・・・いただきます~♪)」
そして、徐に自分の乳房に吸い付いた赤ちゃんに対して、【氷狼】エンプレスは為れるが侭だった。
何故なら、十の災厄である彼女に対して、此処まで無防備に接して来た存在は今まで居なかった事と、此の極寒の地を人の身で、況してや生後間もないであろう赤ちゃんが、真っ裸で短距離転移しながら近付き、一心不乱に自分の乳房に吸い付く姿に不覚にも完全に思考停止して居たからだった。
か・・・・・・か・・・・・・可愛い!
其れが、【氷狼】エンプレスの母性が目覚めた瞬間だった! ・・・・・・其の瞬間から、無我夢中に赤ちゃんは母乳を飲み始めた!
<<ずきゅ~ん♪ ・・・・・・固有個体名【エンプレス】の個体名【カルマ】への好感度が一定の値に達しました!>>
<<個体名【カルマ】が称号【氷狼の加護】を獲得しました!>>
従来、【創造神の試練】時の【氷狼】エンプレスとカルマの邂逅は、一つの奇跡だった。
極寒の中、放り出されて死の時間制限の制約を課せられ、徐々に減っていく生命力(HP)と寒さで悴んで思うように動かない身体で、匍匐前進しながら【氷狼】エンプレスに辿り着いた時には、カルマの生命力(HP)は残り僅かだった。
カルマは【氷狼】エンプレスに辿り着き、母乳を飲む事によって称号【氷狼の加護】を獲得して、何とか生き延びたのだった。
廃人の中の廃人、【廃神】と呼ばれるカルマの体感レベルは、勿論最大値で設定しているので、現実の世界以上の敏感な体感(触覚・痛覚等)が在る。
他の仮想現実ゲームでも常に、体感レベルと痛覚レベル機能の設定調節(ゲームごとに体感と痛覚との詳細なゲーム設定が各々違う)は最大値設定にして、格闘系、射撃系、隠密系、恋愛系などのゲームの最精鋭達と日々凌ぎを削って居たカルマのPSは、現実で実現可能なレベルまで技術として昇華して居た。
其れが、【廃神】と呼ばれる所以の一つでも在った。
しかし、単純に体感レベルを上げればゲームが上手になる訳では無い。
研ぎ澄まされる感覚を使い熟し、痛みと其の恐怖に打ち勝って技術に昇華してこそ上達していくのだった。
但し、体感レベルを最大値に近付けると言う事は、現実世界で実際に痛みを伴う行為と同義以上に近付けると言う事(小さい痛みが体感レベルの上昇値により、数倍の激痛として感じる事)を先ず理解しなければならない。
体感レベルの設定値の制作運営会社の推奨は三十パーセント(現実世界の体感と同等設定は五十パーセント)で、それ以上の設定にするには、ゲーム規約にある体感レベルによる障害事故及び死亡事故などはプレイヤーの自己責任で、制作運営会社は一切の責任を負わない旨に了解のサインをした廃人だけが挑める変態達の狂宴なのだ。
極寒の寒さで身体が悴み、思う様に動かない生後半年ほどの赤ちゃんが、最適解を導き出す為に凍死三百十八回と爆散死百五十八回を繰り返し試行して、【鬼畜の儀式】を体感レベル最大値設定で、嬉々として潜り抜けた。
ゲームに人生の全てを捧げたゲーム脳の変態が、【廃神】と呼ばれるカルマの真の姿だった。
ウグウグっ! ・・・・・・母さん! 母乳が美味過ぎる・・・・・・ゲポっ!
FHSLG【アルグリア戦記】に於いて、最高難易度のシナリオ【創造神の試練】が鬼畜無理ゲー(超難易度過ぎて攻略が不可能、無理でしょうって言うゲーム)と言われるのは、単純にクリアしたプレイヤーが誰一人として居なかったからで在る。
【創造神の試練】を攻略するには、あらゆる全てのものを活用しなければならない。
其の一つが、【称号の効果】である。
【アルグリア戦記】には、キャラアバターが元々所持してる称号と、行動によって獲得出来る称号が在る。行動の結果で、所持称号が上位称号に書き替えられ進化する場合も在る。
カルマが最初に獲得した称号【氷狼の加護】の効果は、寒冷耐性と狼系生物への威圧と魅了だった。
お腹一杯に為りスヤスヤと眠る赤ちゃんを、白い巨狼が自分の尻尾で愛おしく包んで居る。
巨狼は何故此の普精霊人(見た目が)の赤ちゃんは自分に対して、こんなにも無防備で居られるのか自問自答する。
そして、自分への絶対的な信頼と一途な愛情を感じ、理由を考える事を放棄したのだった。
十の災厄の一角、【氷狼】エンプレスは運命の設定上、【群れない孤高の狼】だった。
狼は群れる習性が在り、其れが本能でも在った。
其れを在る意味、強引に螺子曲げた設定との不条理が、【不具合】を生んだのかもしれない。
赤ちゃんの寝顔を見ていると、其の存在を守りたい無償の欲求が高まっていく。
其の熱い眼差しを感じた赤ちゃんが目を覚し、自分を見つめる巨狼にくしゃっと笑いかけた。
<<ずきゅ~ん♪ 固有個体名【エンプレス】の個体名【カルマ】への【好感度】が上限に達しました!>>
<< 固有個体名【エンプレス】の個体名【カルマ】への【好感度】が【愛情度】に書き替えられました!>>
<<固有個体名【エンプレス】の個体名【カルマ】への【愛情度】が上限に達しました!>>
<<固有個体名【エンプレス】の個体名【カルマ】への【愛情度】が上限に達しました!>>
<<固有個体名【エンプレス】の個体名【カルマ】への【愛情度】が上限に達しました!>>
<<固有個体名【エンプレス】の個体名【カルマ】への【愛情度】が上限に達しました!>>
<<固有個体名【エンプレス】の個体名【カルマ】への【愛情度】が限界突破しました!>>
<<個体名【カルマ】の称号【氷狼の加護】が【氷狼の寵愛】に書き替えられました!>>
<<個体名【カルマ】の称号【氷狼の寵愛】が【氷狼の愛息】に書き替えられました!』
「あぅ!?(えっ、マジ!?)」
極寒の洞窟の中、巨狼の尻尾で包まれながらカルマが真っ裸で呟く!
其の視線の先には、慈愛の眼差しで見つめる蒼い瞳のもう一人の母親が微笑んで居た。
「あぅあぅあぅあぁぁ!(ふむふむ・・・・・・マジか・・・・・・まっ、良っか!」
従来の【創造神の試練】では、此の段階で【カルマ】が獲得出来た称号は【氷狼の加護】のみで、十八才で成人を迎えた時に称号【氷狼の寵愛】を獲得出来るのだったが。
【氷狼の寵愛】を超える上位称号が在ったとは!?
称号【氷狼の加護】の効果は、寒冷耐性と狼系生物への威圧と魅了だった。
其の称号効果を活かして【カルマ】はスノーウルフを仲間にし、鬼畜仕様の縛りで能力値(筋力・知力など)は、【1】ポイントより上がりも下がりもしないが、個体レベル上げを十八才の成人に為るまで続けた。
そして、【氷狼の寵愛】の称号を獲得してから、其の効果の寒冷無効と狼系生物への統制と魅惑を使って、スノーウルフの群れを統率して大陸制覇の足掛かりにするのだった。
其れが今や、其れを超える称号を獲得した。
其の称号【氷狼の愛息】の効果は、寒冷無効・寒冷操作と狼系生物への支配と傾国だった。
FHSLG【アルグリア戦記】のステータス表示には、【情報表示】・【状態表示】・【能力表示】・【部隊編成表示】が在る。
【情報表示】には、名前・個体レベル・備考(年齢・種族・身分・職業・称号・才能・説明)が、【状態表示《シチュエーション》】には生命力(HP)・魔力(MP)・精神力(MSP)・持久力(EP)・満腹度(FP)が、【能力表示】には、筋力(STR)・耐久力(VIT)・知力(INT)・敏捷(AGI)・器用(DEX)・魅力(CHA)が、【部隊編成表示】には、統率力(LEA)・攻撃力(OFF)・防御力(DEF)・機動力(MOB)・持久力(END)・戦法力(TAC)・士気力(MOR)・詳細が表示されて居る。
鬼畜仕様の縛りで在る能力値を全て【1】ポイント固定で適用される能力値は、筋力・耐久力・知力・敏捷・器用・魅力で、どれだけ個体レベルを上げても【1】ポイントの侭で在った。
そんな状態で鬼畜仕様の最高難易度シナリオである【創造神の試練】をクリアするには称号効果と、もう一つのステータス情報である【隠されたデータ】への理解が必要で在る。
称号【氷狼の加護】、【氷狼の寵愛】で言えば、魅了は現在の魅力値×【10】倍の効果が在り、魅惑は×【100】倍だった。
つまり、能力表示上の魅力能力値が【1】ポイントでも、称号効果で【10】、【100】と狼系生物限定で、【隠されたデータ】として反映される。
威圧と統制は称号効果で在り才能ではないので、鬼畜仕様の縛りである才能枠の【0】で固定による、才能を修得出来ない効果は元から適用外で在った。
【カルマ】は、威圧と魅了の併用効果でスノーウルフを仲間にして、統制と魅惑の併用効果でスノーウルフの群れを統率したのだった。
《氷狼の愛息》、ヤバい!!!
称号効果が凄いのは勿論だが、【氷狼エンプレス】がカルマを尻尾で抱え込んで離さないのが一番ヤバかった。
称号【氷狼の愛息】の効果で在る【傾国】は、狼系生物限定で現在の魅力値×【1000】倍だった。
【カルマ】が現在のステータス情報を確認する。
----------
【情報表示】:▼
氏名:【カルマ】
個体LV:【18】
備考:▼
年齢:【0歳】
種族:【森精霊人と普精霊人の混血】
身分:【未設定】
職業:【未設定】
称号:【異世界転生者】▼
【異世界転生者】:転生した異界者の称号。異世界言語を使用可能。
【プレイヤー】▼
【プレイヤー】:ゲームプレイヤーの称号。ゲームシステムを使用可能。
【氷狼の愛息】▼
【氷狼の愛息】:寒冷無効・寒冷操作と狼系生物へ支配と【傾国】効果。
才能:【分体分裂★】▼
【分体分裂★】:母体と分体に分裂する能力スキル。
【存在遮断★】▼
【存在遮断★】:存在を別次元に隔離遮断する能力スキル。
【睡眠修行★】▼
【睡眠修行★】:睡眠中に経験値を獲得(極)する能力スキル。
【魔力無双☆】▼
【魔力無双☆】:現在の魔力値×10000倍にする能力スキル。
【状態異常無効☆】▼
【状態異常無効☆】: 諸有状態異常を無効状態にする能力スキル。
【心眼☆】▼
【心眼☆】:鑑定眼の上位版の能力スキル。
【神童LV3】▼
【神童LV3】:18歳まで獲得経験値×30倍とする能力スキル。
【念話LV1】▼
【念話LV1】:念で意思疎通を図る能力スキル。
【時空魔法LV1】▼
【時空魔法LV1】:時空を操る魔法スキル。
【無属性魔法LV4】▼
【無属性魔法LV4】:無属性の魔法スキル。
【他】▽
説明:▼
【運命と宿命の申し子】
【状態表示】:▼
生命力:【346/346】
魔力 :【3480000/3480000】
精神力:【349/349】
持久力:【343/343】
満腹度:【99/100】
【能力表示】:▼
筋力 :【341】
耐久力 :【341】
知力 :【341】
敏捷 :【341】
器用 :【341】
魅力 :【341】
【部隊編成表示】:▼
統率力:【未設定】
攻撃力:【未設定】
防御力:【未設定】
機動力:【未設定】
持久力:【未設定】/【未設定】
戦法力:【未設定】/【未設定】
士気力:【未設定】/【未設定】
詳細:▼
主将:【未設定】
副将:【未設定】
副将:【未設定】
部隊:【未設定】
戦法:【未設定】
特性:【未設定】
説明:【未設定】
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良し! 状態値と能力値共に【340】成長ポイントも加算されて居る!
【神童】スキルの効果で成長ポイント(レベルアップ時に自動的に【1】~【20】ランダム付与)が確定で【20】ポイントづつ付与されるからだ。
【神童】スキル! なんて怖ろしい子なんだ・・・・・・
おっ、個体レベルが【18】に為ってる!
眠る前が確か個体レベルが【16】だった筈、大体一時間ほどでレベルが二つも上がってる!
やっぱり【固有才能】はチートだな!?
俺は眠る前にスキルの入れ替えをして居た。
FHSLG【アルグリア戦記】のルールの一つで在るスキル枠十枠の制限は、スキル枠撤廃券で解除されてスキルを十枠以上プレイアバターに付与可能に為った。
しかし、常時無限にスキルが使用出来る訳では無い。
十枠の制限ルールは存在した。
飽くまでも使用出来るのは【情報表示】にセットされて居る十枠のスキルのみだった。
良かった、準備して居て。
特別シナリオ【ゲーム世界に転生】をスタートするに当たり、両親と仲間の運命を改変する為に、一切の妥協と自重をカルマはしなかった。
特典の能力値の限界突破券を使用して、普精霊人と森精霊人の混血の成長限界能力値(筋力・耐久力・知力・敏捷・器用・魅力の成長限界値)の壁を突破し、英雄ポイントで限界まで成長限界能力値を上げた。
其の結果、成長限界身体能力値の各数値が【∞】になって居る。
つまり、上限無しで育成出来ると言う事で在った。
そんな状態で育成出来ないのは俗に言う【蛇の生殺し】で在り、廃人の中の廃人、【廃神】と畏怖を込めて呼ばれて居たカルマには我慢が出来ない事だった。
「あぅあぅあぅあぁぁ~!(育成出来ないじゃないかぁ~!)」
カルマにとって育成とは寸暇を惜しんでするもので、御褒美、否至上の喜び以外の何物でもなかった。
しかし、こう言う事態にも対処する為に、準備万端で生物との意志疎通を図る才能《スキル》【念話LV1】を、カスタマイズ時にキャラアバター【カルマ】に付与して居た。
『母さん、少し離して欲しいんだけど?』
『なっ! ・・・・・・』
【氷狼エンプレス】は、カルマから初めて念話で話し掛けられた衝撃よりも、初めて拒絶された事に衝撃を受けているようだった。
<<固有個体名【エンプレス】が個体名【カルマ】から精神攻撃を受け状態異常【精神崩壊】になりました!>>
えっ!?
【氷狼エンプレス】はカルマに拒絶されたと思い込み、初めての【反抗期】の衝撃で魂に大打撃を受けたのだった。
『そ、そん、・・・・・・な!?』
<<個体名【カルマ】は固有個体名【エンプレス】に精神攻撃を仕掛けました!>>
【氷狼エンプレス】は苦悶の表情で、カルマを見つめた侭大粒の泪をポロポロと溢し出す。
あああ~、此の状況は何度も見た事が在る!
デレデレにデレた【親バカ】にバージョンアップした母さんだ!!
でも、何かいつもよりも大袈裟じゃ無いかな?
いつもは目に泪を溜めるだけだったのに!?
あっ! 【氷狼の愛息】か!?
確か【傾国】は、狼系生物限定で現在の魅力値×【1000】倍。
つまり、【能力表示】上は魅力値は【341】ポイントでも、【隠されたデータ】では、【341000】ポイントに為る!?
あっ、やっちまったか、・・・・・・も?
ゴクリ・・・・・・
【氷狼エンプレス】は懊悩煩悶の極地に達して居た。此の赤ん坊を護りたい想いで満ち溢れ慈しんで居た処を、最愛の存在に昇華した赤ん坊に拒絶された。
【氷狼エンプレス】は痛恨の攻撃を精神に受けて、病んでバッタリと倒れ伏したのだった。
<<個体名【カルマ】は固有個体名【エンプレス】を討伐しました!>>
「あぅあぅあぅあぁぁ~!(えええぇぇ~マジか~!)」
極寒の洞窟の中、驚愕の表情でカルマが真っ裸で叫ぶ!
其の視線の先には、白い巨狼のもう一人の母親が、瞬時に【回収】されて消えていく、空虚な空間だけが映っていた。
真っ裸のカルマは驚愕の表情で、瞬時に【回収】されて消えていくもう一人の母親見つめながら、何故か遠い目をして居た。
<<個体名【カルマ】の個体レベルが上がりました!>>
<<個体名【カルマ】の個体レベルが上がりました!>>
<<個体名【カルマ】の個体レベルが上がりました!>>
<<個体名【カルマ】の個体レベルが上がりました!>>
<<個体名【カルマ】の個体レベルが上がりました!>>
<<個体名【カルマ】の個体レベルが上がりました!>>
<<個体名【カルマ】の個体レベルが上がりました!>>
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
<<個体名【カルマ】の個体レベルが上がりました!>>
<<個体名【カルマ】は称号【氷狼の討伐者】を獲得しました!>>
<<個体名【カルマ】は称号【精神破壊者】を獲得しました!>>
<<個体名【カルマ】は災厄武器【氷狼の長剣と丸盾】を獲得しました!>>
FHSLG【アルグリア戦記】に於いて、ゲームクリアとは【アルグリア大陸制覇】で在るが、其のゲームクリアの仕方によってクリア結果が別れていた。
所属する勢力の【覇者】としてクリアする【通常制覇】と、在る条件を満たして所属する勢力の覇者としてクリアする【完全制覇】が在り、所属する勢力の【一員】としてクリアする【所属制覇】と、在る条件を満たして所属する勢力の【一員】としてクリアする【完全所属制覇】が在った。
又、【単独】で自分以外の勢力を殲滅してクリアする【殲滅制覇】と、在る条件を満たして【単独】で自分以外の勢力を殲滅してクリアする【完全殲滅制覇】が在る。
此れらの制覇の中の在る条件を満たしての条件とは、【十の災厄の全討伐】で在る。
災厄には弱点が個体ごとに存在するが、其の弱点が判明しても討伐不可能なのが災厄で在った。
災厄の縄張りを犯しただけで【敵認定】され、最低でも所属勢力が滅ぶ危険度が限りなく高いのは、【不可避の神罰】と呼ばれる所以で在る。
そんな鬼畜仕様の存在で在る【十の災厄】を全討伐して、鬼畜仕様シナリオ【創造神の試練】を完全制覇したカルマを以てしても、もう一人の母親が亡くなった理由が、自分の何気ない一言で在った事実を受け入れる事は難しかった。
従来の【創造神の試練】では、十の災厄の一角、【不死鳥】との戦いで、もう一人の母親が、【不死鳥】の動きを封じカルマは泣く泣く母親諸共【不死鳥】を討伐した経緯が在る。
真逆自分の一言が原因で、こんなにも呆気なく亡くなるとは・・・・・・
嘘だと言ってくれよ! 母さん!
称号【氷狼《ヒョウロウ》の討伐者】は、他のプレイアバターを含めて討伐経験があるので称号効果は知って居る。
純粋に強くなる称号で、効果は現在の【身体能力値×10倍】と【獲得経験値×10倍】で在った。
そして、【氷狼】エンプレスを言葉(精神攻撃)だけで討伐したからか、称号【精神破壊者】を獲得したのだった。
称号【精神破壊者】の効果は、任意に【精神破壊効果】を攻撃に付与すると言う【超不正行為】なものだった。
攻撃する度に精神をゴリゴリ削っていき、精神力(MSP)値が【0】ポイントに為ったキャラアバターが気絶状態に為るだけでも凄い効果なのに、部隊編成した者にも精神破壊効果を付与するものだからだ。
精神破壊者か、【師匠】が好きそうな効果だなぁ~!
カルマは前世では仮想現実ゲームを色々プレイして居たが、FHSLG『アルグリア戦記』は一人用やり込み型戦争ゲームなので【師匠】と絡む機会は少なかった。
其の為、【ボイスチャット】でゲームプレイ中に情報交換をして居た。
しかし、師匠と呼ぶ理由や所以は決して、仮想現実の世界では口にしなかった。
内密な話は情報が漏れない【アナログな方法(手紙)】で、現実世界でのみ情報交換をして居た。
師匠に何故此のような手間を掛けるのかと問うと、決まって『カルマ、此の世の中には知らない方が幸せな事が結構在るんだ』と手紙に記される。
徹底した秘密主義の師匠。イカれた変態は現実世界でもイカれた存在なのかも知れない。
あの【やられたらやり返す】ルールに忠実な、狂人のプライベートを知りたいとは全く思わない。
だが、ゲーム世界に現実に転生して、唯一現実世界の心残りは【師匠】の事だけだった。
ゲームを一緒に遊んだ仲間は沢山居るが、一緒に遊んでいて心から楽しいと思ったのは師匠だけだった。
PS|(プレイヤースキル)は超下手くそな癖に、DOQで最精鋭廃人の知り合いが結構居る変わった人だった。
初めて師匠と出会ったゲームは、MMOWG【矛盾】で、多人数参加型戦争ゲーム(矛盾の世界時間は二十四分の一秒で、現実世界の一時間が仮想現実世界の二十四時間に相当する)だった。
戦争の度に【独特な文言の歌】を唄いながら、敵を容赦無く襲う人だった。
そんな師匠の口癖が、『俺達は戦争ゲームをしているんじゃない! 心理ゲームをしているんだ!』、『心を攻めろ! 精神を削るんだ! ゴリゴリ削れ!』、『どんな最精鋭も心が折れたら、只の木偶の坊だ! 心を削れ!』だった。
【矛盾】では師匠は忌み嫌われていたが、決して自分からは戦争を仕掛けなかったし全て報復戦争で、一旦戦争が始まると敵が数倍の圧倒的勢力でも、確実に勝てないと判断出来る相手でも、畏れなかったし、諦めなかったし、止まらなかった。
現実世界での夜討ち朝駆けの時刻でする仮想現実世界の夜討ち朝駆けは当たり前で、人が嫌がる攻撃を余りにする行為と、攻撃されなければ決して攻撃しない師匠の【独特な掟】から付いた渾名が【凶神】だった。
そうだ! 俺は師匠の強烈な意志に惹き付けられたんだ!
茫然自失から解けたカルマは、積極的に動き出した。
【氷狼エンプレス】が討伐されたと言う事は、氷狼の息吹で凍ったものが溶け始める。
確か設定情報ではハルベルト山脈に隣接する氷柩の王国と呼ばれる地域が在る。現在脳裏地図と脳裏情報では、旧アクリス王国跡の注釈が付く場所だ。
氷解し始めて春期になったら氷柩の王国が真の姿を現す。此れは大事に為る。
呆けてる時間は無いぞ! 父ちゃんと母ちゃんと仲間の運命を改変するんだ!
洞窟を飛び出したカルマは旧アクリス王国跡を目指し、脳内地図を参考にして、【長距離転移】したのだった。
「あぅあぅあぅあぁぁ~!(根刮ぎ、いただきます~!)」
極寒の雪化粧の中、空中に突然出現したカルマが真っ裸で叫ぶ!
其の視線の先には、【氷柩の王国】と呼ばれる、雪が降り積った旧アクリス王国跡が沈黙を守って居た。
やっと着いた!
旧アクリス王国の王都ロックスまでに在る、全ての村・町・市街を脳内地図と脳内情報で、漏れが無いように確認しながら訪れ、建物以外全てのものを回収しながら来たカルマだった。
結構手間取ったな、では! 根刮ぎ、いただきます!
見渡す限りの雪原の中で、一ヶ所だけ氷が三角帽子のように出っ張っている処が、王都ロックスにある石塔を頂点とするロックス城だっだ。
そして、カルマは休む間も無く空中を短距離転移をしながら、その氷の山の中に消えていった。
寒冷操作、ヤバい効果だ!
称号【氷狼の愛息】の効果で在る、寒冷無効と寒冷操作の併用効果で、雪嵐の中だろうが氷の中だろうが、関係なく息も出来て何も無い空気中のように進んで行けるのだった。
そして、任意で自由に寒冷を操作して称号効果で自身のMP(魔力)を一切使わずに周囲の魔素を取り込んで雪嵐を起こし、任意の範囲を凍り漬け(氷柩の王国と同じ効果)に出来る、超不正行為を超える埒外不正行為な効果だった。
氷中世界のロックス城は、王族を始め王城で働く全ての人々の時間が止まって固まって居り、其れはまるで生きているかのようだった。
FHSLG【アルグリア戦記】は、一人用やり込み型ファンタジー歴史シミュレーションゲームで熱狂的な愛好者を獲得して居た。
お気に入りのキャラアバターで戦争関係無くアルグリア大陸の生活を楽しむプレイヤーが居れば、同じ所属勢力内キャラアバターで立場を代えて楽しむプレイヤーも居る。
現実世界の様々な立場のプレイヤーがゲーム世界で自分好みの様々な立場のプレイヤーとしてプレイをする。
そんな現実を束の間忘れさせてくれる究極の娯楽世界。
制作運営会社曰く、『アルグリア戦記』が一人用であるのは、同じ時間軸で色々なキャラアバターで遊ぶ事で歴史のもしも(if)を体験して貰いたかったからだった。
弱小勢力でもアルグリア大陸の歴史を知っていれば(知識チート)、この時代に存在しない政策(内政チート)、存在しない武器(生産チート)を駆使して歴史を誰もが創意工夫で変える事が出来る、可能性を秘めた世界がFHSLG『アルグリア戦記』だった。
やっと終わった!
王都ロックスを含め、氷柩の王国に囚われた旧アクリス王国の全ての村・町・市街を訪れ、建物以外の全てのものを回収し、寒冷操作で氷柩の王国と同様に再度凍り漬けにして、氷狼が討伐された証拠を封印したカルマだった。
災厄の縄張りは迷宮だから、洞窟まで一回で転移出来ないのが手間だなぁ~!
そう思いながらカルマは氷柩の王国から、長距離転移を使用して一瞬で姿を消した。
やっと帰って来た・・・・・・
カルマは洞窟を進み、碧光りのする花水晶の間に短距離転移で入っていく。
『お帰り、坊や!』
『ただいま! 母さん!』
極寒の花水晶の間で、空中に浮かぶカルマが真っ裸で元気に挨拶をする!
其の視線の先には、自分が討伐してしまった白い巨狼、もう一人の母親が静かに微笑んで居た。
・
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・
【アルグリア戦記】には、セーブ機能は存在しない。全て最初からのスタートと為る。現実の世界で、セーブなどは出来る筈もない。此処は【アルグリア世界】、もう一つの現実の世界。現実の一秒が、三千百十万四千秒に相当する仮想の現実世界。現実の一時間が、百二十九万六千日(三千五百五十年と二百五十日)に相当する【悠久の歴史を刻む世界】。
果たして、【アルグリア世界】は、仮想の現実世界なのだろうか? 其れとも、実はもう一つの現実世界【異世界】なのだろうか? 其の答えは【プレイヤー】だけが知っている。
To be continued! ・・・・・・
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