陰陽ノ花〜現代陰陽師奇譚〜

・壱 第一集 白狐の式神

 その言葉を聞いた紫苑は、着ていた和服の袖から最初に白利に投げた札と同じ種類の符を取り出し、その符に白利の名を書くとそれを白利に渡した。


紫苑「その札の端っこを持って、あなたの霊力を篭めて頂戴。」


　白利は言われたとおりに霊力を籠めながら札を持っている。


  紫苑は、白利と反対側の端を持ち自身の霊力を札に籠めると


紫苑「霊狐・白利を陰陽師・安倍　紫苑の式神となさん。...主式ノ契り（しゅしきのちぎり）。」



と呟いた。すると...



札が発光し、札の中央に光る五芒星が刻まれた。



紫苑「これからよろしくね。白利。」


札の光が消え、ただの五芒星の紋様になったのを確認した紫苑は、白利に自身の手を差し出し握手しようとした。　が。




ちゅっ　



紫苑の耳に、握手では聞こえるはずのないリップ音が響いた。

白利が、紫苑の頬に口づけをしていたのだ。



紫苑「////っ～！何すんのよ！」



ーー父さん、母さん。私、とんでもない男を式神にしてしまいました....



・壱　第一集　　　完。