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第十二章(絡みあり)
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第十二章
倉庫から新宿に戻る車中、誰も口を開かなった。
後藤医院が入っている雑居ビルに到着し、車を降りようとする大山に、声をかけた。
「半谷ですよね。俺たちも……」
「お前たちの怪我も診てもらうか?」
「いえ、自分は」
「自分も大丈夫です」
「なら、お前たちは帰れ」
そう言うと大山は雑居ビルに入っていった。
高谷が成瀬に言う。
「どうします」
「気になるけど、帰るしかねえだろうな」
高谷がアクセルをゆっくりと踏みこむ。
成瀬は車中ずっと無言になり、1人考え込んでいた。
それを気にするかのように、高谷が声をかけてきた。
「アニキ、大丈夫ですか」
「ああ。何でもねえ……」
そう言うと、また1人で考え込んだ。
さっきの言葉……。俺の大事なもんか……。背負う覚悟と責任……。
大山と二宮が長谷川に言った言葉を頭の中で反芻している。
車が成瀬の自宅マンションの前に到着するが、成瀬は降りる気配を見せない。
「アニキ、つきましたよ。どうしました」
呼ばれた成瀬は、前を向いたまま言う。
「お前寄ってけよ」
「分かりました」
高谷は少し驚いた表情を見せたが、何も聞かず返事をして車を停めた。
成瀬は部屋に入るまで終始無言を貫いた。
高谷も空気を察して、ただ後を追うようについてきた。
部屋に入ると、ジャケットを脱ぎ、ネクタイを外して、ダイニングテーブルの上に放る。それを見た高谷が、ハンガーにかけなおした。
冷蔵庫を開ける。
「ビールでいいか?」
「あ、はい。なんでも」
高谷がグラスを戸棚から出し、成瀬が出したビールを受け取りグラスに注ぐ。それを成瀬に手渡すと2人でソファーに座り、グラスを交わした。
「お前、嫁みたいなとこ変わってねえな」
高谷は嬉しそうに答える。
「成瀬さんのお嫁さんですか」
成瀬は目を逸らしそうになった。
「いや、そういう意味じゃ……」
高谷は、透き通るような目で成瀬を見つめる。
それを見た成瀬は腹に力を入れた。
「翔太、俺たちの世界では、たえず命を張っている。それが他人の人生を蹂躙して生かされる代償だ」
「……はい」
「俺はお前を大事に思うことで、そこについてくる失う代償が恐かった。そんな代償を払うなら最初から持たない方が楽だからな。だが、さっきの若頭たちの言葉……。大事なもんを抱えたとき、失う代償よりも、背負う覚悟が必要だと気づかされた。俺は、戦う前から負けを考えてたんだ」
高谷は俯きながら、呟いた。
「背負う覚悟……」
「だから、俺はもう失うことは考えない。それよりも、俺の全てを賭けてでもお前を守っていく……。俺はお前が大事なんだ」
そこまで一気に話して呼吸を整えた。
高谷は成瀬の視線を優しく受け入れ、少し首を傾げながら、穏やかな声で話し始めた。
「……俺も覚悟はできています。俺の全てを賭けてでも、あなたとこの世界で生きぬいてみせます……」
そう言うと高谷が成瀬の頬に触れる。
ゾクッ――。
成瀬の鼓動が早くなる。
高谷の手が熱い。
高谷は目を細めながら
「そんな顔されたら、俺の理性が続かない」
そう言うと、成瀬の頬から手を放し、目を逸らした。
「翔太……」
呼ばれた高谷は、少し震えた声を出した。
「大事に思うって……どういう意味ですか。成瀬さんはノンケで――」
そう言う高谷の頬に、成瀬は両手を添えると、そっと唇を重ね、言葉で返せない思いを示した。
重ねた唇を離そうとすると、高谷が成瀬の身体をそっと抱き寄せ、成瀬の唇を挟み込む。
やがて、そのキスが深く熱いキスへと変わりだした。
高谷の舌先が優しく触れ、そのまま成瀬の舌を絡めとるように口の中へ……。
高谷の舌が熱い……いや、俺が熱いのか。
成瀬は、高谷の身体にそっと手を回した。
それを、待っていたように高谷が強く抱きしめると、お互いを貪るような激しいキスに変わった。
あぁ、気持ちいい……身体中が痺れる。セックスでも味わったことがない……。
今までに感じたことのない興奮が成瀬を襲った。
2人の呼吸が荒く激しく交差する。舌と唾液が絡み合い、相手の興奮が伝染し合う。
「俺、もう我慢できません」
高谷は声を震わせながら言うと、成瀬をソファーに押し倒し、ベルトに手をかけ、まだ火薬の匂いに包まれているスーツを剥ぎとり、身体を弄るように触ってきた。
成瀬は慌てて
「ちょ、ちょっと待て」
「もう、待てません。あなたにこんなに煽られて平常心でいられるほど、俺はできてない。もう余裕は」
「でも……」
言い返そうと顔を見ると、目を細め荒い呼吸で見つめてくる高谷に、喉が詰まるほどの色気を感じ、言葉が途切れた。
そのとき、自分の下半身に血液が集まり、張り裂けそうになっていることに気づく。
シャツのボタンを慣れた手つきで外されると、高谷の舌と手が身体に沿って、腹部からゆっくりと上部に移動するように這った。高谷の熱い舌と、節が分かる手の感覚に思わず腰が蠢いた。
「んぁ、ダ、メ……」
堪らず喘ぎ腰が撓む。
「感じますか? こんなに膨れてる」
高谷は、荒い呼吸をおさえつけながら、成瀬の胸の突起に吸いつき、舐め上げる。
「あっ……」
成瀬の喉奥から、濡れたような声が漏れた。
高谷が探るように胸の突起の周りを舐め、膨らんだ先端に吸いつく。
「成瀬さんの身体色っぽい。こっちもこんなに……」
成瀬のボクサーブリーフが、濡れて盛り上がっている。それを見た高谷は、シャツを脱ぎ捨て、下着になり興奮を伝えるように、成瀬のものに擦り合わせてきた。
「あっ――」
成瀬は思わず喉を震わせた。
高谷は成瀬の下着の上から、そっと手で揉むようにし、大腿部の内側からその手を入れ鼠径部で止めた。
あっ……。
焦らされて成瀬の腰が蠢く。
「触れて欲しいですか?」
「あっ……」
高谷の大きい手が、下着の上から脈を感じ取るように、成瀬のものを包んだ。成瀬は焦らされた感覚に身を捩り、浅い呼吸を繰り返す。
高谷は、成瀬の濃い色に染みを広げた下着をゆっくりとずらし、そこに露わになったものを口に含ませた。
成瀬は、大きく首を反らし
「だ、め……」力なく漏らす。
ずっと感情を押し殺していた反動から、直ぐにでも限界に達しそうになる。
「あぁ……やっとあなたを味わうことができた。成瀬さん、俺を見て。感じてる顔を見せてください」
女とヤッても、こんなに感じたことはない。
「む、り……あぁ、で、る」
既に掠れて言葉になっていない声で高谷に縋る。
「成瀬さん……。俺の口の中を満たして下さい……」
そう言うと高谷は、さらに吸いつくように咥え込み、上下に動かす。
薄っすらと目を開けた成瀬は、高谷が肩で呼吸をしながら、唾液を絡ませ自分のものを咥える姿に吸い込まれた。
――こんなに色気があったのか……。
視覚で受けた興奮が重なり、自分のものが限界値に達した。
「お前、エロい……あぁ、い、イ、ク…」
成瀬は、発した言葉とほぼ同時に、絶頂を迎えた。腰が大きく撓り、高谷の口にあるものが何度も脈を打っている。
高谷は、成瀬のものから放たれた、少し粘着質な液体を一気に啜り上げ飲み干した。
それを見た成瀬は、
「おまっ、飲んだ……」
高谷の深い愛情を強く感じさせられた。
高谷が口元を手で拭うと、肩で呼吸をしながら、差し迫った表情で、言葉を漏らした。
「あなたの中に入りたい……あなたを全身で感じたい」
その思いに全身が高鳴り、高谷を強く抱き寄せると、心臓の鼓動がぶつかり合った。
「俺も……お前が欲しい。お前を感じさせてくれ――」
自然と言葉を発していた。
高谷は荒くなった呼吸のまま、言葉を押し出す。
「そんなこと言って……俺、もう止まりませんよ」
高谷は成瀬の腰を掴み軽々と持ち上げた。
成瀬は背面にされ、大腿部を掴まれると、足を広げさせられた。
「手え、ついてて」
そのまま臀部の周りを撫でまわし、熱くなった舌で舐めてきた。
「成瀬さん、この情景凄い扇情的です。物凄くいやらしい」
「っや――」
高谷の荒い呼吸を臀部に感じる。
「俺に全部委ねて……」
成瀬は後ろの窄まりから、内部に舌を入れられ、絶頂を迎えたばかりのものを、上から下へとやんわりと握られた。
「うっ――」
イッたばかりで、俺また……頭がおかしくなりそうだ。
舌を入れられた熱い内部に、ゆっくりと高谷の指がねじ込まれる。
徐々に奥へ。粘膜が重なり合い不規則に絡み合っている。
ビクッ――。
成瀬の身体が震えた。
高谷がそれを感じ取った。
「ここ、感じますか?」
高谷が成瀬の顔を覗き込み、さらに指を増やし内部奥深くにねじ込む。
「うぁ、あぁ」
理性どころか、意識が飛びそうになる。
「あぁ、その声もっと聞かせて……」
「ん、ん……ぁ……」
成瀬はよがり喘ぐ声が止まらない。
高谷は、成瀬の熱くなった肉壁を弄り続ける。
「あぁ、溶けてる。俺もう……我慢できません」
そう言うと、成瀬の臀部に、先端が濡れほそった高谷のものを擦りつけた。
あっ、高谷の――熱い。脈が……。
思わず腰が蠢き、。絶頂を迎えたばかりの成瀬のものが、また固くなった。
臀部を掴み開かれると、窄まりから内部の粘膜を押し開くように、高谷の熱く固いもので穿たれた。
「んぁぁぁ」
「成瀬さん、息吐いて……。そう……。上手。ああ……。やっとあなたの中に入れた。俺もうそれだけで――」
「んぁ……苦し――」
高谷は、成瀬の逃げる身体を強く抱き寄せ、腰をゆっくりと動かしながら、成瀬の固くなったものを手で上下に動かす。
「い、やぁ。だ、だめ、なんかヤバい」
成瀬の身体が大きく撓る。高谷は成瀬の腰にそっと手を当て、
「このまま……。このまま、もっと俺を全身で感じて」
言うと高谷は激しく腰を動かし、突き上げてくる。
何度も……高谷のものが全身に響く。それを成瀬の肉壁が包み込み受け入れる
ビクッ――。ビクッ――。
「あぁっ」
成瀬の肉壁が激しく痙攣した。
今まで感じたことのない快感。身体中の毛細血管までが暴れ、外へと打ち放たれていくような、物凄い早い動きを感じる。
「はぁ、はぁ……成瀬さん凄い……」
成瀬は涙が溢れて止まらない。
「そんな顔されたら……俺もう……もたない……」
「あぁ、イ、イク――」
後を追うように、高谷も絶頂を迎え、成瀬を仰向かせた。高谷は成瀬の顔を見つめ、大きく節のある手で、成瀬の頬を包むと、ゆっくりと唇の周りを指で撫でまわした。閉口を忘れた成瀬の口に、その指を落としこみ、上顎を奥から誘うようにそっと弾き始める。
成瀬は無意識に首を反りあげた。
「あっ……欲しい……キス……して」
成瀬の喉奥が反応して、高谷の舌を欲しがった。
「その顔、たまらない……」
高谷は満足そうな顔で、成瀬に深いキスを与えた。やがて、高谷の舌は、成瀬の口から這い出し、首筋を伝い、鎖骨に降りてきた。
成瀬の五分袖に彫った牡丹見切りに沿うように、舌を這わせて、胸の下で止めると、そこに自分のものの証を残すように、強く吸いつく。顔を上げた高谷の口から、言葉が零れた。
「足りない……」
そう言うと、恍惚状態の中にいる成瀬の腰を掴んで、今度は堪能するかのように、ゆっくり挿入し、大きな動きで、成瀬の奥壁に擦りつけていく。
「ずっとあなたが好きだった。あなたを俺の全てで感じたかった」
成瀬の内部は高谷の粘着質な液体を含み、動く度に卑猥な音を出している。
その音に浸るよう、ゆっくりと何度も腰を前後に動かす。
成瀬は涙を浮かべて、高谷にすがりつくように声を押し出した。
「もう、むり……」
「っ――。だから……そんな顔見せられたらおさえられない」
高谷の動きが増した。前後から、上下に変わり奥へと突き上げる。
成瀬の肉壁は、動きの1つ1つを敏感に捉えている。
掴まれた腰、荒い呼吸がかかる胸元、視線を感じる顔、成瀬は全てで高谷を感じている。
「翔太……」
成瀬は涙目のまま見つめる。
高谷は成瀬に口づけをして、
「あなたを愛している」
そう言うと、成瀬の熱く溶け出している肉壁に包まれながら、ゆっくりと爆ぜた。
成瀬の肉壁は痙攣が収まらない。
高谷は、成瀬の胸につけた、自分の証を指でそっとなぞった。
成瀬は頭の天辺から爪先まで、脈を強く感じるも、全身から力が抜けて動けない。
自分が自分じゃないみたいだ……
「あなたをもっと感じたい。この先もずっとあなたを感じていたい……」
返す言葉が見つからない……。胸の中で、痛いほどに、何かが暴れている。心臓がぶっ壊れそうなほどに、こいつが愛おしい。
成瀬は、少し照れた表情で力なく言う。
「お前が愛おしい」
そう言うと、力が上手く入らない腕で、高谷をそっと抱きしめた。
やっと俺も覚悟ができた。
「あっ――」
抱きしめられた高谷の下半身が、また反応を示す。そして成瀬に言う。
「もう一度いいですか?」
ガンッ――。
成瀬は、上手く力が入らない足で、高谷を蹴飛ばした。
「て、めぇ、指、詰めさせんぞ」
そういう成瀬の顔は優しく、それを見た高谷が幸せそうな顔をした。
「すいません」
やっとこいつと向き合えたのか……。
成瀬は、高谷との絆が深く刻まれたように感じた。
倉庫から新宿に戻る車中、誰も口を開かなった。
後藤医院が入っている雑居ビルに到着し、車を降りようとする大山に、声をかけた。
「半谷ですよね。俺たちも……」
「お前たちの怪我も診てもらうか?」
「いえ、自分は」
「自分も大丈夫です」
「なら、お前たちは帰れ」
そう言うと大山は雑居ビルに入っていった。
高谷が成瀬に言う。
「どうします」
「気になるけど、帰るしかねえだろうな」
高谷がアクセルをゆっくりと踏みこむ。
成瀬は車中ずっと無言になり、1人考え込んでいた。
それを気にするかのように、高谷が声をかけてきた。
「アニキ、大丈夫ですか」
「ああ。何でもねえ……」
そう言うと、また1人で考え込んだ。
さっきの言葉……。俺の大事なもんか……。背負う覚悟と責任……。
大山と二宮が長谷川に言った言葉を頭の中で反芻している。
車が成瀬の自宅マンションの前に到着するが、成瀬は降りる気配を見せない。
「アニキ、つきましたよ。どうしました」
呼ばれた成瀬は、前を向いたまま言う。
「お前寄ってけよ」
「分かりました」
高谷は少し驚いた表情を見せたが、何も聞かず返事をして車を停めた。
成瀬は部屋に入るまで終始無言を貫いた。
高谷も空気を察して、ただ後を追うようについてきた。
部屋に入ると、ジャケットを脱ぎ、ネクタイを外して、ダイニングテーブルの上に放る。それを見た高谷が、ハンガーにかけなおした。
冷蔵庫を開ける。
「ビールでいいか?」
「あ、はい。なんでも」
高谷がグラスを戸棚から出し、成瀬が出したビールを受け取りグラスに注ぐ。それを成瀬に手渡すと2人でソファーに座り、グラスを交わした。
「お前、嫁みたいなとこ変わってねえな」
高谷は嬉しそうに答える。
「成瀬さんのお嫁さんですか」
成瀬は目を逸らしそうになった。
「いや、そういう意味じゃ……」
高谷は、透き通るような目で成瀬を見つめる。
それを見た成瀬は腹に力を入れた。
「翔太、俺たちの世界では、たえず命を張っている。それが他人の人生を蹂躙して生かされる代償だ」
「……はい」
「俺はお前を大事に思うことで、そこについてくる失う代償が恐かった。そんな代償を払うなら最初から持たない方が楽だからな。だが、さっきの若頭たちの言葉……。大事なもんを抱えたとき、失う代償よりも、背負う覚悟が必要だと気づかされた。俺は、戦う前から負けを考えてたんだ」
高谷は俯きながら、呟いた。
「背負う覚悟……」
「だから、俺はもう失うことは考えない。それよりも、俺の全てを賭けてでもお前を守っていく……。俺はお前が大事なんだ」
そこまで一気に話して呼吸を整えた。
高谷は成瀬の視線を優しく受け入れ、少し首を傾げながら、穏やかな声で話し始めた。
「……俺も覚悟はできています。俺の全てを賭けてでも、あなたとこの世界で生きぬいてみせます……」
そう言うと高谷が成瀬の頬に触れる。
ゾクッ――。
成瀬の鼓動が早くなる。
高谷の手が熱い。
高谷は目を細めながら
「そんな顔されたら、俺の理性が続かない」
そう言うと、成瀬の頬から手を放し、目を逸らした。
「翔太……」
呼ばれた高谷は、少し震えた声を出した。
「大事に思うって……どういう意味ですか。成瀬さんはノンケで――」
そう言う高谷の頬に、成瀬は両手を添えると、そっと唇を重ね、言葉で返せない思いを示した。
重ねた唇を離そうとすると、高谷が成瀬の身体をそっと抱き寄せ、成瀬の唇を挟み込む。
やがて、そのキスが深く熱いキスへと変わりだした。
高谷の舌先が優しく触れ、そのまま成瀬の舌を絡めとるように口の中へ……。
高谷の舌が熱い……いや、俺が熱いのか。
成瀬は、高谷の身体にそっと手を回した。
それを、待っていたように高谷が強く抱きしめると、お互いを貪るような激しいキスに変わった。
あぁ、気持ちいい……身体中が痺れる。セックスでも味わったことがない……。
今までに感じたことのない興奮が成瀬を襲った。
2人の呼吸が荒く激しく交差する。舌と唾液が絡み合い、相手の興奮が伝染し合う。
「俺、もう我慢できません」
高谷は声を震わせながら言うと、成瀬をソファーに押し倒し、ベルトに手をかけ、まだ火薬の匂いに包まれているスーツを剥ぎとり、身体を弄るように触ってきた。
成瀬は慌てて
「ちょ、ちょっと待て」
「もう、待てません。あなたにこんなに煽られて平常心でいられるほど、俺はできてない。もう余裕は」
「でも……」
言い返そうと顔を見ると、目を細め荒い呼吸で見つめてくる高谷に、喉が詰まるほどの色気を感じ、言葉が途切れた。
そのとき、自分の下半身に血液が集まり、張り裂けそうになっていることに気づく。
シャツのボタンを慣れた手つきで外されると、高谷の舌と手が身体に沿って、腹部からゆっくりと上部に移動するように這った。高谷の熱い舌と、節が分かる手の感覚に思わず腰が蠢いた。
「んぁ、ダ、メ……」
堪らず喘ぎ腰が撓む。
「感じますか? こんなに膨れてる」
高谷は、荒い呼吸をおさえつけながら、成瀬の胸の突起に吸いつき、舐め上げる。
「あっ……」
成瀬の喉奥から、濡れたような声が漏れた。
高谷が探るように胸の突起の周りを舐め、膨らんだ先端に吸いつく。
「成瀬さんの身体色っぽい。こっちもこんなに……」
成瀬のボクサーブリーフが、濡れて盛り上がっている。それを見た高谷は、シャツを脱ぎ捨て、下着になり興奮を伝えるように、成瀬のものに擦り合わせてきた。
「あっ――」
成瀬は思わず喉を震わせた。
高谷は成瀬の下着の上から、そっと手で揉むようにし、大腿部の内側からその手を入れ鼠径部で止めた。
あっ……。
焦らされて成瀬の腰が蠢く。
「触れて欲しいですか?」
「あっ……」
高谷の大きい手が、下着の上から脈を感じ取るように、成瀬のものを包んだ。成瀬は焦らされた感覚に身を捩り、浅い呼吸を繰り返す。
高谷は、成瀬の濃い色に染みを広げた下着をゆっくりとずらし、そこに露わになったものを口に含ませた。
成瀬は、大きく首を反らし
「だ、め……」力なく漏らす。
ずっと感情を押し殺していた反動から、直ぐにでも限界に達しそうになる。
「あぁ……やっとあなたを味わうことができた。成瀬さん、俺を見て。感じてる顔を見せてください」
女とヤッても、こんなに感じたことはない。
「む、り……あぁ、で、る」
既に掠れて言葉になっていない声で高谷に縋る。
「成瀬さん……。俺の口の中を満たして下さい……」
そう言うと高谷は、さらに吸いつくように咥え込み、上下に動かす。
薄っすらと目を開けた成瀬は、高谷が肩で呼吸をしながら、唾液を絡ませ自分のものを咥える姿に吸い込まれた。
――こんなに色気があったのか……。
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「お前、エロい……あぁ、い、イ、ク…」
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高谷は、成瀬のものから放たれた、少し粘着質な液体を一気に啜り上げ飲み干した。
それを見た成瀬は、
「おまっ、飲んだ……」
高谷の深い愛情を強く感じさせられた。
高谷が口元を手で拭うと、肩で呼吸をしながら、差し迫った表情で、言葉を漏らした。
「あなたの中に入りたい……あなたを全身で感じたい」
その思いに全身が高鳴り、高谷を強く抱き寄せると、心臓の鼓動がぶつかり合った。
「俺も……お前が欲しい。お前を感じさせてくれ――」
自然と言葉を発していた。
高谷は荒くなった呼吸のまま、言葉を押し出す。
「そんなこと言って……俺、もう止まりませんよ」
高谷は成瀬の腰を掴み軽々と持ち上げた。
成瀬は背面にされ、大腿部を掴まれると、足を広げさせられた。
「手え、ついてて」
そのまま臀部の周りを撫でまわし、熱くなった舌で舐めてきた。
「成瀬さん、この情景凄い扇情的です。物凄くいやらしい」
「っや――」
高谷の荒い呼吸を臀部に感じる。
「俺に全部委ねて……」
成瀬は後ろの窄まりから、内部に舌を入れられ、絶頂を迎えたばかりのものを、上から下へとやんわりと握られた。
「うっ――」
イッたばかりで、俺また……頭がおかしくなりそうだ。
舌を入れられた熱い内部に、ゆっくりと高谷の指がねじ込まれる。
徐々に奥へ。粘膜が重なり合い不規則に絡み合っている。
ビクッ――。
成瀬の身体が震えた。
高谷がそれを感じ取った。
「ここ、感じますか?」
高谷が成瀬の顔を覗き込み、さらに指を増やし内部奥深くにねじ込む。
「うぁ、あぁ」
理性どころか、意識が飛びそうになる。
「あぁ、その声もっと聞かせて……」
「ん、ん……ぁ……」
成瀬はよがり喘ぐ声が止まらない。
高谷は、成瀬の熱くなった肉壁を弄り続ける。
「あぁ、溶けてる。俺もう……我慢できません」
そう言うと、成瀬の臀部に、先端が濡れほそった高谷のものを擦りつけた。
あっ、高谷の――熱い。脈が……。
思わず腰が蠢き、。絶頂を迎えたばかりの成瀬のものが、また固くなった。
臀部を掴み開かれると、窄まりから内部の粘膜を押し開くように、高谷の熱く固いもので穿たれた。
「んぁぁぁ」
「成瀬さん、息吐いて……。そう……。上手。ああ……。やっとあなたの中に入れた。俺もうそれだけで――」
「んぁ……苦し――」
高谷は、成瀬の逃げる身体を強く抱き寄せ、腰をゆっくりと動かしながら、成瀬の固くなったものを手で上下に動かす。
「い、やぁ。だ、だめ、なんかヤバい」
成瀬の身体が大きく撓る。高谷は成瀬の腰にそっと手を当て、
「このまま……。このまま、もっと俺を全身で感じて」
言うと高谷は激しく腰を動かし、突き上げてくる。
何度も……高谷のものが全身に響く。それを成瀬の肉壁が包み込み受け入れる
ビクッ――。ビクッ――。
「あぁっ」
成瀬の肉壁が激しく痙攣した。
今まで感じたことのない快感。身体中の毛細血管までが暴れ、外へと打ち放たれていくような、物凄い早い動きを感じる。
「はぁ、はぁ……成瀬さん凄い……」
成瀬は涙が溢れて止まらない。
「そんな顔されたら……俺もう……もたない……」
「あぁ、イ、イク――」
後を追うように、高谷も絶頂を迎え、成瀬を仰向かせた。高谷は成瀬の顔を見つめ、大きく節のある手で、成瀬の頬を包むと、ゆっくりと唇の周りを指で撫でまわした。閉口を忘れた成瀬の口に、その指を落としこみ、上顎を奥から誘うようにそっと弾き始める。
成瀬は無意識に首を反りあげた。
「あっ……欲しい……キス……して」
成瀬の喉奥が反応して、高谷の舌を欲しがった。
「その顔、たまらない……」
高谷は満足そうな顔で、成瀬に深いキスを与えた。やがて、高谷の舌は、成瀬の口から這い出し、首筋を伝い、鎖骨に降りてきた。
成瀬の五分袖に彫った牡丹見切りに沿うように、舌を這わせて、胸の下で止めると、そこに自分のものの証を残すように、強く吸いつく。顔を上げた高谷の口から、言葉が零れた。
「足りない……」
そう言うと、恍惚状態の中にいる成瀬の腰を掴んで、今度は堪能するかのように、ゆっくり挿入し、大きな動きで、成瀬の奥壁に擦りつけていく。
「ずっとあなたが好きだった。あなたを俺の全てで感じたかった」
成瀬の内部は高谷の粘着質な液体を含み、動く度に卑猥な音を出している。
その音に浸るよう、ゆっくりと何度も腰を前後に動かす。
成瀬は涙を浮かべて、高谷にすがりつくように声を押し出した。
「もう、むり……」
「っ――。だから……そんな顔見せられたらおさえられない」
高谷の動きが増した。前後から、上下に変わり奥へと突き上げる。
成瀬の肉壁は、動きの1つ1つを敏感に捉えている。
掴まれた腰、荒い呼吸がかかる胸元、視線を感じる顔、成瀬は全てで高谷を感じている。
「翔太……」
成瀬は涙目のまま見つめる。
高谷は成瀬に口づけをして、
「あなたを愛している」
そう言うと、成瀬の熱く溶け出している肉壁に包まれながら、ゆっくりと爆ぜた。
成瀬の肉壁は痙攣が収まらない。
高谷は、成瀬の胸につけた、自分の証を指でそっとなぞった。
成瀬は頭の天辺から爪先まで、脈を強く感じるも、全身から力が抜けて動けない。
自分が自分じゃないみたいだ……
「あなたをもっと感じたい。この先もずっとあなたを感じていたい……」
返す言葉が見つからない……。胸の中で、痛いほどに、何かが暴れている。心臓がぶっ壊れそうなほどに、こいつが愛おしい。
成瀬は、少し照れた表情で力なく言う。
「お前が愛おしい」
そう言うと、力が上手く入らない腕で、高谷をそっと抱きしめた。
やっと俺も覚悟ができた。
「あっ――」
抱きしめられた高谷の下半身が、また反応を示す。そして成瀬に言う。
「もう一度いいですか?」
ガンッ――。
成瀬は、上手く力が入らない足で、高谷を蹴飛ばした。
「て、めぇ、指、詰めさせんぞ」
そういう成瀬の顔は優しく、それを見た高谷が幸せそうな顔をした。
「すいません」
やっとこいつと向き合えたのか……。
成瀬は、高谷との絆が深く刻まれたように感じた。
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