乳房星(たらちねぼし)〜再出発版

佐伯達男

文字の大きさ
上 下
183 / 200
第19話・哀しみ本線日本海

【化石の森】

しおりを挟む
時は、1994年10月10日の夜8時頃であった。

またところ変わって、大阪ミナミ千日前の相合橋筋商店街《あいおいばしすじしょうてんがい》の通りにて…

ショルダーバッグを持っている私は、相合橋《あいおいばし》へ向かってあてもなく歩いていた。

通りのスピーカーから柏原芳恵《かしわばらよしえ》さんの歌で『化石の森』が流れていた。

私は、今の今ごろまであちらこちらを逃げ回っていたので心身ともにヒヘイしていた。

もうイヤや…

日本《このくに》からはよ出国したい…

一刻もニュウカン(入国管理局)へ行かなきゃ…

私の気持ちは、ものすごくあせっていた。

そんな時であった。

通りにあるキャバレーの入口に突っ立っていたチャラいカッコウのポン引きのニイチャンが私に声をかけてきた。

「ニイチャンひとり?」
「えっ?」
「よかったらどう?おやすくしておくよ。」
「(とまどいの表情で)えっ?おやすくしておくよって?」

ポン引きのニイチャンは、私に対して小指を立てながら『ええオナゴいてまっせ~』と言うた。

ポン引きのニイチャンがいよることがまったく分からん…

私は、コンワクした表情でつぶやいた。

この時、ポン引きのニイチャンは私の右手を強引につかんだ。

ちょっと、なにしまんねん…

その後、私を露地裏《ろじうら》へ無理やり連れて行った。

コラ!!

なにすんねん、離せ!!

またところ変わって、商店街の露地裏《ろじうら》にて…

(ドサッ)

私は、ポン引きのニイチャンにわらの上に無理やり倒された。

「な、なにしまんねん!!」

ポン引きのニイチャンは、気色悪い声で私に言うた。

「うっふ~ん、あんたかわいいねぇ~」

なにいよんかさっぱり分からん…

それよりも、ポン引きのニイチャンは私をわらの上に寝かしてどないするつもりや!?

ポン引きのニイチャンは、ものすごく気色悪い声で私に言うた。

「うっふ~ん、これから楽しいことしましょ…うちはかわいい男性《おとこ》が好きなのよ…ねぇいいでしょ~」

ポン引きのニイチャンは、気色悪い声で言いながら私が着ていた濃いネイビーのボブソンのジーンズを脱がした。

「やめてくれ!!」

私は、必死になって叫んだ。

しかし、ポン引きのニイチャンは私が着ていたジーンズを脱がしたあとその下に着ていたブリーフを脱がした。

「やめろ!!あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」

その後、私はポン引きのニイチャンに無理やり犯されてしまった。

それから80分後であった。

ポン引きのニイチャンは『お詫び料よ。』と言うて私に現金1000万円を渡した。

その後、何も言わずに私の前から立ち去った。

ポン引きのニイチャンに犯された私は、心身ともにひどく傷ついた。

時は、深夜11時40分頃であった。

またところ変わって、千日前2丁目にある小さなホテルにて…

私が館内に入った時、従業員さんがひとりもいなかった。

私は『すんまへん~』と言うてホテルの従業員さんを呼んだ。

この時、女性従業員さんがフロントにやって来た。

女性従業員さんは、私を見るなりにこう言うた。

「あら、おひとり?」
「えっ?」
「ぼくちゃんはひとりで来たの?」

『ぼくちゃん…』ってどう言うことやねん…

私は、ムッとした表情でつぶやいた。

女性従業員さんは、過度にやさしい声で私に言うた。

「ねぇ、ぼくちゃんはいくつ?」

私は、ムッとした表情で言い換えした。

「あんたは客に対して口が悪いのぉ~!!オレは近所のガキか!?」

女性従業員さんは、過度にやさしい声で私に言うた。

「うちは悪気があって言うたのじゃないのよ~」

私は、ものすごく怒った声で言い換えした。

「はぐいたらしい従業員《おんな》やのぉ!!オドレはふざけとんか!?」

女性従業員さんは、泣きそうな声で『オーナー~』と言いながら奥へ逃げて行った。

あの従業員《おんな》はふざけとんか…

ちょっとおらばれたぐらいで『ウェーン~』と泣いて、人に助けを求めに行く…

ああいうやからは、ホンマに腹立つワ!!

そこへ、ホテルのオーナーがフロントにやって来た。

ここのオーナーは、田嶋《たじま》(ヤクザの事務所)に出入りしていた小林であった。

小林は、私に対してやや怒った声で言うた。

「なんや!!一体なにがあったんぞ!?」
「すんまへん…ちょっと…女性従業員《じゅうぎょういん》さんが客に対して失言《しつれいなことば》を言うたので注意しただけです…それなのに、ちょっとおらばれただけで『ウェーン~』と泣いた…せやけん怒っとんや!!」

小林は、おだやかな声で私に言うた。

「それはえらいすまなんだのぉ~」

女性従業員さんは、ザメザメした表情で言うた。

「うちは、カップルさん専門のホテルですよと説明しただけなのにィ~」

小林は、怒った声で女性従業員さんに言うた。

「やかましい!!向こうへ行け!!」

小林は、ホテルから出ていこうとする私を呼び止めた。

「ぼうず、待て!!」
「はっ?」
「ぼうずは、どこから来たんぞ!?」
「えっ?」
「ぼうずの家はどこぞ!?」
「家は…ありまへん…」
「家はないんか!?」
「日本《このくに》には、家がありません。」
「ほな、ぼうずの本籍地はどこぞ!?」
「私の本籍地は、海外にあるのです!!」
「ほな、ぼうずは外国人か?」
「はい。」
「話はよぉ分かった…住むところがないのであれば、うちにおれ。」
「お、おおきに…おおきに…」

私は、小林の厚意《こうい》に甘える形でここ(ラブボ)に滞在することになった。

その間に大番頭《おおばんと》はんたちとゆかさんを探さなきゃ…
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

借金した女(SМ小説です)

浅野浩二
現代文学
ヤミ金融に借金した女のSМ小説です。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

その時、私有明はー

睦月遥
現代文学
主人公有明(うみょう)が様々な姿になり物語を紡いでいきます。 基本一話完結なのでどの話から読んで頂いても楽しめます。 AI小説です

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

М女と三人の少年

浅野浩二
恋愛
SМ的恋愛小説。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

処理中です...