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第17話・夜と朝のあいだに
【噂の女】
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日付けが変わって、7月17日の午前2時過ぎであった。
またところ変わって、福岡市東区の国道3号線沿いにあるモーテルにて…
私は、部屋の中にある大きめのベッドでひとりでねていた。
部屋は、うすぐらいオレンジ色の足もと灯だけが灯っていた。
私がベッドで寝ていた時であった。
(ドン!!)
となりの部屋からカベドンの音が響いた。
ヒィィィィィィィィィ…
おとろしー…
私は、思わず叫び声をあげそうになった。
カベドンの音のあと、複数人の男の声が響いた。
「竹宮、となりの部屋にはだれもいてへんのか?」
「へえ、大丈夫でおます。」
となりの部屋にいるやつらは溝端屋のダンナと番頭《ばんと》はんたちだ…
私は、ゆっくりとベッドから降りたあとカベの30センチ手前まで接近した。
部屋の中には、溝端屋のダンナと番頭《ばんと》はんと田嶋《くみちょう》と小林と山岡たちがいた。
そしてもうひとり、なさけない男の声が聞こえた。
なさけない声のヌシは、例のヤクザ担当の記者の津乃峰《つのみね》か?
「ヒィィィィィィィィィィィィィィィィィィ~」
「コラ津乃峰《クソガキャ》!!」
津乃峰《あのヤロー》は…
どこでとっ捕まったのか…
津乃峰《つのみね》は、番頭《ばんと》はんにえりくびをつかまれた状態で溝端屋のダンナの前に突き出された。
津乃峰《つのみね》は、溝端屋のダンナから恐ろしい声ですごまれた。
「コラ!!津乃峰《クソガキャ》!!」
「ヒィィィィィィィィィィィィィィィ~」
「きょうの今ごろまでどこでなんしよった!?」
「ヒィィィィィィィィィィィィィィィ~こらえてください!!」
番頭《ばんと》はんは、ものすごくこわい声で津乃峰《つのみね》に言うた。
「コラ!!はけ!!」
「はけって?」
「この前、警固神社《けごじんじゃ》でオンドレに渡した1億の小切手をどこへやった!?」
「こ、こ、こ、こ、こ、こ…」
「オンドレはにわとりか!?」
「こらえてください…1億円の小切手は…私の妹のせがれの大学の費用に…あてた…ヒィィィィィィィィィ~」
(ドカッ!!)
津乃峰《つのみね》は、番頭《ばんと》はんからけりを喰らった。
溝端屋のダンナは、怒った声で言うた。
「ほんなら、1億を返すことはできん…と言うことだな!!」
「返します…だけどすぐに用意することができない…ヒィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ~」
津乃峰《つのみね》の身体を押さえつけている番頭《ばんと》はんは、サイフをぬきとったあと溝端屋のダンナに渡した。
溝端屋のダンナは、受け取ったサイフの中を調べた。
(チャリンチャリン…)
サイフの中から、十円玉と五円玉と一円玉が出てきた。
つづいて、サイフの中身からピンクチラシが大量に出た。
溝端屋のダンナは、怒った声で津乃峰《つのみね》に言うた。
「コラクソガキャ!!」
「ヒィィィィィィィィィィィィィィィ~」
「よくもワシにウソついたな…おい、やれ!!」
「へえ!!」
このあと、20人くらいの男たちが津乃峰《つのみね》に集団で襲いかかった。
「やめてくれ~」
津乃峰《つのみね》は、より大きな声をあげて助けを求めた。
(ビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリ!!)
つづいて、布が思い切り破れる音が響いた。
同時に、津乃峰《つのみね》のえげつない大声が響いた。
やめろ…
こななえげつない大声を出すな~
やめてくれ~
………………
時は流れて…
2018年9月2日の朝6時頃であった。
場所は、特大バスの中にて…
46歳の私は、リクライニングチェアにもたれて眠っていた。
「ヨシタカさん…ヨシタカさん…」
私は、ゆかさんの声でめざめた。
「ん…ゆかさん。」
「伊丹(国際空港)に着きましたよ。」
「もう伊丹?」
「ええ。」
めざめた私は、窓に写る風景を見つめた。
窓には、夜明けの大阪伊丹国際空港の風景が写っていた。
私は、ぼんやりとした表情でつぶやいた。
あ~
おとろしかった~
【第3部中編・終わり】
またところ変わって、福岡市東区の国道3号線沿いにあるモーテルにて…
私は、部屋の中にある大きめのベッドでひとりでねていた。
部屋は、うすぐらいオレンジ色の足もと灯だけが灯っていた。
私がベッドで寝ていた時であった。
(ドン!!)
となりの部屋からカベドンの音が響いた。
ヒィィィィィィィィィ…
おとろしー…
私は、思わず叫び声をあげそうになった。
カベドンの音のあと、複数人の男の声が響いた。
「竹宮、となりの部屋にはだれもいてへんのか?」
「へえ、大丈夫でおます。」
となりの部屋にいるやつらは溝端屋のダンナと番頭《ばんと》はんたちだ…
私は、ゆっくりとベッドから降りたあとカベの30センチ手前まで接近した。
部屋の中には、溝端屋のダンナと番頭《ばんと》はんと田嶋《くみちょう》と小林と山岡たちがいた。
そしてもうひとり、なさけない男の声が聞こえた。
なさけない声のヌシは、例のヤクザ担当の記者の津乃峰《つのみね》か?
「ヒィィィィィィィィィィィィィィィィィィ~」
「コラ津乃峰《クソガキャ》!!」
津乃峰《あのヤロー》は…
どこでとっ捕まったのか…
津乃峰《つのみね》は、番頭《ばんと》はんにえりくびをつかまれた状態で溝端屋のダンナの前に突き出された。
津乃峰《つのみね》は、溝端屋のダンナから恐ろしい声ですごまれた。
「コラ!!津乃峰《クソガキャ》!!」
「ヒィィィィィィィィィィィィィィィ~」
「きょうの今ごろまでどこでなんしよった!?」
「ヒィィィィィィィィィィィィィィィ~こらえてください!!」
番頭《ばんと》はんは、ものすごくこわい声で津乃峰《つのみね》に言うた。
「コラ!!はけ!!」
「はけって?」
「この前、警固神社《けごじんじゃ》でオンドレに渡した1億の小切手をどこへやった!?」
「こ、こ、こ、こ、こ、こ…」
「オンドレはにわとりか!?」
「こらえてください…1億円の小切手は…私の妹のせがれの大学の費用に…あてた…ヒィィィィィィィィィ~」
(ドカッ!!)
津乃峰《つのみね》は、番頭《ばんと》はんからけりを喰らった。
溝端屋のダンナは、怒った声で言うた。
「ほんなら、1億を返すことはできん…と言うことだな!!」
「返します…だけどすぐに用意することができない…ヒィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ~」
津乃峰《つのみね》の身体を押さえつけている番頭《ばんと》はんは、サイフをぬきとったあと溝端屋のダンナに渡した。
溝端屋のダンナは、受け取ったサイフの中を調べた。
(チャリンチャリン…)
サイフの中から、十円玉と五円玉と一円玉が出てきた。
つづいて、サイフの中身からピンクチラシが大量に出た。
溝端屋のダンナは、怒った声で津乃峰《つのみね》に言うた。
「コラクソガキャ!!」
「ヒィィィィィィィィィィィィィィィ~」
「よくもワシにウソついたな…おい、やれ!!」
「へえ!!」
このあと、20人くらいの男たちが津乃峰《つのみね》に集団で襲いかかった。
「やめてくれ~」
津乃峰《つのみね》は、より大きな声をあげて助けを求めた。
(ビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリ!!)
つづいて、布が思い切り破れる音が響いた。
同時に、津乃峰《つのみね》のえげつない大声が響いた。
やめろ…
こななえげつない大声を出すな~
やめてくれ~
………………
時は流れて…
2018年9月2日の朝6時頃であった。
場所は、特大バスの中にて…
46歳の私は、リクライニングチェアにもたれて眠っていた。
「ヨシタカさん…ヨシタカさん…」
私は、ゆかさんの声でめざめた。
「ん…ゆかさん。」
「伊丹(国際空港)に着きましたよ。」
「もう伊丹?」
「ええ。」
めざめた私は、窓に写る風景を見つめた。
窓には、夜明けの大阪伊丹国際空港の風景が写っていた。
私は、ぼんやりとした表情でつぶやいた。
あ~
おとろしかった~
【第3部中編・終わり】
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