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第12話・はぐれそうな天使

【窓ガラス】

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話は、それから15日後の1月27日のことであった。

四国島内で展開するレジャー関連施設・店舗が全部完成した。

この日の午前中に綾歌町岡田上《あやうたちょうおかだかみ》(丸亀市)にあるレオマワールドでひらかれた。

営業開始予定日は、翌28日の朝9時である。

式典が終了したあと、A班のメンバーたちとゆかさんと麻美さんはバスに乗って松山市へ向かった。

27日の夕方5時半頃に松山市堀江町にある三浦工業《みうらのほんしゃ》にバスが到着した。

ここで販売部のスタッフさんたちと海事部・海外販売部・船舶事業部のスタッフさんたち30人と入れ替わる予定である。

2月1日から7月頃までの間の予定で海外各地と沖縄にある建物と超特大豪華客船に設置されているボイラー機器をすべて新機種に取り替える作業が行われる予定である。

しかし、A班のメンバーたちの男やもめ3人(大番頭《おおばんと》はんと事務長はんと宮出さん)が2月1日から長期休暇で各家庭に帰るために班から離れることになった…

事務長はんがしていたお仕事は、たつろうさんとケントさんとリチャードさんの3人に引き継がれた。

たつろうさんとケントさんとリチャードさんは、公正証書を作成するお仕事にたずさわっていた実績など…熟練度が高いので、事務長はんがしていたお仕事を分担して行うことになった。

宮出さんがしていたお仕事は、麻美さんに引き継がれた。

麻美さんは医療事務の資格も保有している他、事務関係の資格もたくさん保有していたので、宮出さんがしていたお仕事を担当することになった。

大番頭《おおばんと》はんがしていたお仕事は、ゆかさんに引き継がれた。

ゆかさんはスケジュール管理ができるので、大番頭《おおばんと》はんがしていたお仕事をすべて担当することになった。

事務長はんは五十崎《いかざき》…

宮出さんは、伊予市…

…にあるそれぞれの家に帰宅した。

大番頭《おおばんと》はんは、三田市《さんだ》で暮らしている麗斗《かずと》充希《みつき》夫婦の家族が暮らしている家に帰宅することになった。

再合流する時期は、未定である。

時は、1月30日の朝9時過ぎであった。

またところ変わって、西ノ宮市鞍掛町《にしのみやくらかけちょう》にあるスタバの店内にて…

店内には、A班のメンバーたちとゆかさんと麻美さんと三浦工業《みうらのほんしゃ》のスタッフさんたち30人と麗斗《かずと》夫婦とゆみさんがいた。

ゆかさんと大番頭《おおばんと》はんとゆみさんと麗斗《かずと》夫婦は、別の席で話し合いをしていた。

テーブルの上には、グランテドリップコーヒーとニューヨークチーズケーキが並んでいた。

ゆみさんはポムじいさん方の農園にいたが、ゆみさんの出番が極力減ったので休暇を取ることにした。

ゆみさんがしていたお仕事は、エレンさんが引き受けることになった。

そしてまた、麗斗《かずと》夫婦の家も家族の都合が悪くなった。

西宮北口の充希《みつき》の実家の母親が1月29日に脳いっけつで倒れて緊急入院した…

父親は10日ほど前に阪急今津線の線路に立ち入ったことが原因で電車の運行を止めてしまったトラブルを起こした…

そして、その2日後に要介護度4に相当する重度の認知症であると診断された。

充希《みつき》は、父親を介護することができないので北摂能勢郡《ほくせつのせぐん》にある特別養護老人ホームに入所させた…と言うた。

充希《みつき》から話を聞いたゆかさんは、ものすごく困った声で言うた。

「困ったわね…それで、充希《みつき》さんは明日からどうするつもりでいるのよ?」

充希《みつき》は、心苦しい表情でゆかさんに言うた。

「うちは、母の看病をするために、西ノ宮へ行くことにしたわ…父については、施設の職員さんにおまかせすることにしたわ。」
「せやけど、子どもたちはどないすんねん?」

ゆみさんは、困った声でゆかさんに言うた。

「麗斗《かずと》の子どもたちは、おとーちゃんとゆみで世話することにしたわ…麗斗《かずと》は来月から年度末調整などで多忙になるから…子どもたちの学校の送り迎えができんのよ…」

大番頭《おおばんと》はんは、落ちついた声で言うた。

「ええってええって…わしは孫たちと過ごす時間ができたけんええと思ってんねん…(旧制の)中学を卒業後、溝端屋の本家(和歌山市内にある)で丁稚奉公《でっちどん》から始めて、内子の溝端屋の大番頭《おおばんと》からイワマツグループのメンバーに至るまでの間、60年間休まずに働き通した…おかあちゃんが亡くなったあと、ゆりたち6人を男手ひとつで育てながら今までがんばって来た…ええやんええやん…」

ゆみさんは、ゆかさんに事務長はんと宮出さんのことを聞いた。

「ゆかねーちゃん、宮出さんと事務長はんはなんで帰ったの?」
「宮出さんは、シングルの長男が脳腫瘍で(国立)四国がんセンターに入院することになったので、看病するのよ…次男さんと三男さんは妻子がいるから長男さんのメンドーはみれんのよ。」
「事務長はんは?」
「野村(西予市)で暮らしている次女夫婦からオイゴを説得してくれと頼まれたのよ。」
「なんで?」
「オイゴさんがバツイチの子持ちの女性と結婚したい…と寝ぼけたこといよるけんよ!!」
「バツイチの女性と結婚したいって…」
「事務長はんのオイゴは、ややこしい男だから次女夫婦はものすごく困っているのよ…事務長はんはオイゴに言うことをきかせるために休暇を取った…という事よ…ややこしいねんもう…」

ゆかさんは、のみかけのコーヒーをのんだあと大きくため息をついた。

(ゴー…)

夕方5時頃であった。

私・たつろうさん・ケントさん・リチャードさん・ゆかさん・麻美さんの6人と三浦工業《みうらのほんしゃ》のスタッフさんたち30人が乗り込んだ専用機が大阪伊丹国際空港から飛び立った。

2月1日から7月末くらいまでの間は、ボイラー機器の機種変更工事に取り組むために世界各地と沖縄をまわる予定である。

次回、来日する予定は未定である…
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