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第10話・長い夜

【美し過ぎるミステイク】

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またところ変わって、道後樋又《どうごひまた》の県道沿いにあるすき家(牛丼チェーン)にて…

私たちは、ここでランチを摂ることにした。

私たちは、牛丼の健康セット(みそ汁と冷やっこのセット)を注文した。

私は、生卵《たまご》を追加で注文した。

全員にセットが行き渡ったので、ランチに入った。

(コンコン…パカッ…)

私は、小鉢に入れた生卵《たまご》をときながらウェンビンさんに言うた。

「ミンジュンさん、いつまで椿館《つばきかん》にいるのかな?」
「さあ、分かりまへんけど…あの様子だと、めんどいことを頼まれているかもしれまへん。」

ウェンビンさんは、私にそう言うたあと小さなトングでベニ(香り付け)をつまんで牛丼に盛り付けた。

私は、とき卵を牛丼に入れながらウェンビンさんに言うた。

「めんどいこと?」
「きょうは、ミンジュンさんのお兄の次男くん…ええ、ミンジュンさんのオイゴくんの七歳《ななつ》の誕生日です…オイゴくんの誕生日パーティーをかねて…ミンジュンさんのお見合いをする予定だったと思いますよ。」

たつろうさんは、みそ汁をひとくちすすったあとウェンビンさんに言うた。

「もしかしたら、ミンジュンさんは何らかのトラブルに巻き込まれたのでは…」

ウェンビンさんは、たつろうさんに『かもしれまへんねん…』と答えた。

リチャードさんは、ウェンビンさんに言うた。

「たとえばこう言うことではないでしょうか?」

たつろうさんは『たとえばって?』と言うた。

リチャードさんは、たつろうにこう言うた。

「よくある話ですが、ミンジュンさんのオイゴさんに贈るプレゼントを持って行く人が忘れてしまった…それで、ミンジュンさんのお見合い相手の人が代わりに届けた…その後、プレゼントを届けた人はミンジュンさんの伯父さまからミンジュンさんを紹介される…そしてふたりはめでたくゴールイン…」

ウェンビンさんは、リチャードさんにこう言うた。

「その形《パターン》は…日出《ひじ》(大分県)の役場に勤務している私のイトコのお見合い結婚が…そうだったのです。」

たつろうさんは『えっ?そうだったのですか?』とおどろいた声で言うた。

ウェンビンさんは『そうでおます…』と答えた。

私は、お茶をひとくちのんでからウェンビンさんに言うた。

「ミンジュンさん、今ごろどこにいるのかな?」

ウェンビンさんは、つらい声で私に言うた。

「どこへ行ったか分かりまへんけど、あの様子だとオイゴのわがままに付き合わされていると思います…ミンジュンさんのお兄《にい》と嫁はんは共稼ぎなので、親子が過ごす時間が全くないのです…ミンジュンさんのご両親もお忙しい方なので…孫のめんどうを見ることができないのです…」

たつろうさんは、心配げな声で言うた。

「その間、ミンジュンさんのオイゴくんふたりは、どこヘ預けられていたのかな?」

ウェンビンさんは、つらい声で言うた。

「オイゴくんふたりは、嫂《おねえ》の知人に預けていたのです…ミンジュンさんの嫂《おねえ》も嫂《おねえ》で…なに考えているのかと言いたくなりまんねん。」

たつろうさんは『…と言うと?』とウェンビンさんに言うた。

ウェンビンさんは、つらい声でたつろうさんに言うた。

「嫂《おねえ》は、ふたりのオイゴくんに『他人に甘えたらいいよ…』…といよるねん…」

近くの席に座っている事務長はんが厳しい声で『ミンジュンの嫂《おねえ》は(モノマネの)みかんか!?』と言うた。

リチャードさんは、おどろいた声で言うた。

「みかん…って?」

たつろうさんは、リチャードさんに分かるように説明した。

「愛媛県《じもと》出身の女性モノマネタレントさんです。」

ウェンビンさんは、つらい声で言うた。

「話は変わるけど…ミンジュンさん…いまごろオイゴくんたちと一緒に大街道か銀天街にいると思います…あの様子だと、ミンジュン…オイゴくんたちのわがままにて耐えきれずにヒーコラ言いまくっている…と思いますよ…嫂《おねえ》とお兄は、ふたりともアカンわ…嫂《おねえ》の実家《いえ》の両親《おやご》がものすごくおそい年齢の時に嫂《おねえ》が生まれてきた…『ホーデホーデホーデホーデ…』と言われて甘やかされて育ったから…アカンなったんや…ホンマに困ったのぉ…」

ウェンビンさんは、大きくため息をついた。

私は、何も言わずにランチを摂っていた。
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