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第6話・元気を出して
【遣(や)らずの雨】
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次の日の朝8時半頃であった。
またところ変わって、今治市立花町《しないたちばなちょう》にある広告代理店にて…
和利《かずとし》は、始業30分前にオフィスに入った。
「おはようございます。」
朝のあいさつをした和利《かずとし》は、鎮房《しげふさ》が使っているデスクをちらっと見たあと、近くにいる女性従業員《オーエルさん》にたずねた。
「あれ?係長は?」
女性従業員《オーエルさん》は、フキゲンな声で和利《かずとし》に言い返した。
「イボジが痛いから休むといよった!!」
「えっ?イボジが痛むって?」
「ホンマにホンマよ!!」
イボジが痛むから休ませてくださいって…
どういうこっちゃねん…
和利《かずとし》は、ひどくコンワクした表情でつぶやいた。
この時、別の女性従業員《オーエルさん》が和利《かずとし》にこう言うた。
「久枝係長が突然休んだ理由は知ってるわよ。」
「えっ?」
「久枝係長、近いうちに嫁はんと離婚するみたいよ。」
「リコン?」
「うん。」
「なんで?」
「そんなん決まってるわよ…久枝係長のDV《ボーリョク》が原因よ。」
「係長のDV《ボーリョク》?」
「あんた知らんかったん…久枝係長は過去に4度リコンしていたのよ…原因はぜーーーーーーんぶ係長のDV《ボーリョク》よ。」
「そんな~」
すると、そのまた近くにいた別の女性従業員《オーエルさん》が和利《かずとし》にこう言うた。
「係長は『男は所帯《かてい》を持てば一人前になれる…』といよるけど、言うた係長《テメー》が嫁はんにDV《ボーリョク》をふるっている…話にならないわよ~」
「ホンマやねぇ~」
「係長のオトンもオトンでドアホよねぇ~」
「そう言えば、係長のオトンの場合は20度もリコンしていたよね~」
「せやったね~」
「サイアクね~」
始業15分前になった頃に、ド派手な格好をした別の女性従業員《オーエルさん》が大型の紙袋を持ってやって来た。
和利《かずとし》は、ド派手な格好をしている女性従業員《オーエルさん》に声をかけた。
「おはようございます。」
「おはよ~」
ド派手な格好をしている女性従業員《オーエルさん》は、紙袋を広げたあと自分が使っていたデスクの整理を始めた。
和利《かずとし》は、近くにいる女性従業員《オーエルさん》にたずねた。
「あの~」
「なによう~」
「興居島《ごごしま》さん、なんで派手な格好で来たのかな?」
「そんなん決まってるわよ…興居島《ごごしま》さんは、ここやめるのよ!!」
「やめる?」
「せや。」
「なんでやめるの?」
「ここよりもいい場所《ところ》が見つかったからここやめるのよ!!」
「ここよりもいい場所《ところ》って?」
「言わなくても分かるでしょ…高松にある金瓶梅《ソープ》よ!!」
「えっ?」
「興居島《ごごしま》さんは、自分が副業でソープでバイトしていたことを今までだまっていたのよ…せやから高松へ遠出して足りない分を稼いでいたのよ…せやけど…先月頃に常連《おとくい》さまにみそめられたので気持ちが変わったのよ。」
「常連《おとくい》さんにみそめられたって?」
「だから!!興居島《ごごしま》さんは、常連《おとくい》さんに気に入られたから訣心《けっしん》したのよ!!」
「…って言うことは…興居島《ごごしま》さんは…」
「要するに、興居島《ごごしま》さんは常連《おとくい》さんとサイコンするのよ!!」
「サイコン!!」
「そうよ!!」
「でも、興居島《ごごしま》さんは、お子さんがふたりいたよね…お子さんはどうするのよ?」
すると、デスクの整理をしている女性従業員《オーエルさん》が怒った声で『あすなろ(波止浜にある児童養護施設)へ置き去りにした!!』と言うた。
それを聞いた別の女性従業員さんがコンワクした声で言うた。
「ちょっと興居島《ごごしま》さん!!なんでお子さんふたりを置いて行くのよ!?」
「めんどくさくなったのよ!!」
「だけどね!!」
「なによなによ!!アタシが訣《き》めた人生よ!!あんたたちに文句を言われるスジアイはないわよ!!」
派手な格好をした女性は、キーッと怒り狂いながらデスクの整理をつづけた。
(ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロ…ザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザー)
この時、外では雷を伴った雨が降り出した。
9時を過ぎた頃に、雨の降り方がさらに強くなったようだ。
(ドザー!!ドザー!!ドザー!!)
またところ変わって、上朝倉にある特大豪邸の6畳の部屋にて…
部屋の中には、ゆりこがいた。
この日、ゆりこは鎮房《しげふさ》とリコンすると訣心《けっしん》を固めたので、クローゼットの中にある着替え類とメイク道具を全部取り出すためにここへ来た。
ゆりこは、家に来た直後に鎮房《しげふさ》とドカバキの大ゲンカをくりひろげた。
ゆりこは、鎮房《しげふさ》をボコボコにいて回した。
ゆりこは、鎮房《しげふさ》から平手打ちで顔を叩かれた…
ゆりこは、仕返しに鎮房《しげふさ》の頭をパンプスでどつき回した。
その結果、ふたりともボロボロに傷ついた。
着替え類等を取り出す作業は、そのあとに始めた。
朝10時半頃であった。
ゆりこは、小さな手提げと着替えとメイク道具がぎっしりとつまっている大型の紙袋を持って家から出た。
この時、鎮房《しげふさ》はサントリーオールド(ウイスキー)をストレートでのんでいた。
デイスイ状態におちいった鎮房《しげふさ》は、女々しい声で泣きながらゆりこに怒った。
「なんや!!なんやオドレ!!」
ゆりこは、冷めた声で鎮房《しげふさ》に言うた。
「ゆりこ…あんたのこと大キライ!!あんたの女々しい性格が大キライ!!」
鎮房《しげふさ》は、弱々しい声でゆりこに言うた。
「ああ、そうだよ…オレは…所帯《かてい》を持つ資格なんか…生まれた時から…なかったんだよ…」
「さよなら…明日からは…自分ひとりで生きてよね…むしゃくしゃしていたら家中暴れまわったり、嫁はんに暴力をふるうあんたはドサイテーよ!!…あんたの性格は…上野介《おじいやん》そっくりね!!…ゆりこに暴力をふるったことは、母子保護施設《うちのしせつ》で暮らしている子どもさんたちとお母さま方たちに対する暴力とみなすから、覚悟しておきなさいよ!!…施設長《せんせい》が施設にいられなくなった時は…全部あんたのせいにするから!!…さよなら!!」
ゆりこに怒鳴られた鎮房《しげふさ》は、ビービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービー泣き出した。
(ブロロロロ…)
時は、正午前であった。
鎮房《しげふさ》のもとから飛び出したゆりこは、今治営業所行きのせとうちバスに乗って市内中心部ヘ向かった。
ゆりこは、窓の風景を見つめながら川中美幸さんの歌で『遣《や》らずの雨』を震える声で歌っていた。
ひと通り歌ったゆりこは、くすんくすんと泣き出した。
「くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…よーくん…よーくん…くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…よーくんに会いたい…よーくんに会いたい…くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…よーくんにあやまりたいよぅ…よーくんにあやまりたいよぅ…くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…」
またところ変わって、今治市立花町《しないたちばなちょう》にある広告代理店にて…
和利《かずとし》は、始業30分前にオフィスに入った。
「おはようございます。」
朝のあいさつをした和利《かずとし》は、鎮房《しげふさ》が使っているデスクをちらっと見たあと、近くにいる女性従業員《オーエルさん》にたずねた。
「あれ?係長は?」
女性従業員《オーエルさん》は、フキゲンな声で和利《かずとし》に言い返した。
「イボジが痛いから休むといよった!!」
「えっ?イボジが痛むって?」
「ホンマにホンマよ!!」
イボジが痛むから休ませてくださいって…
どういうこっちゃねん…
和利《かずとし》は、ひどくコンワクした表情でつぶやいた。
この時、別の女性従業員《オーエルさん》が和利《かずとし》にこう言うた。
「久枝係長が突然休んだ理由は知ってるわよ。」
「えっ?」
「久枝係長、近いうちに嫁はんと離婚するみたいよ。」
「リコン?」
「うん。」
「なんで?」
「そんなん決まってるわよ…久枝係長のDV《ボーリョク》が原因よ。」
「係長のDV《ボーリョク》?」
「あんた知らんかったん…久枝係長は過去に4度リコンしていたのよ…原因はぜーーーーーーんぶ係長のDV《ボーリョク》よ。」
「そんな~」
すると、そのまた近くにいた別の女性従業員《オーエルさん》が和利《かずとし》にこう言うた。
「係長は『男は所帯《かてい》を持てば一人前になれる…』といよるけど、言うた係長《テメー》が嫁はんにDV《ボーリョク》をふるっている…話にならないわよ~」
「ホンマやねぇ~」
「係長のオトンもオトンでドアホよねぇ~」
「そう言えば、係長のオトンの場合は20度もリコンしていたよね~」
「せやったね~」
「サイアクね~」
始業15分前になった頃に、ド派手な格好をした別の女性従業員《オーエルさん》が大型の紙袋を持ってやって来た。
和利《かずとし》は、ド派手な格好をしている女性従業員《オーエルさん》に声をかけた。
「おはようございます。」
「おはよ~」
ド派手な格好をしている女性従業員《オーエルさん》は、紙袋を広げたあと自分が使っていたデスクの整理を始めた。
和利《かずとし》は、近くにいる女性従業員《オーエルさん》にたずねた。
「あの~」
「なによう~」
「興居島《ごごしま》さん、なんで派手な格好で来たのかな?」
「そんなん決まってるわよ…興居島《ごごしま》さんは、ここやめるのよ!!」
「やめる?」
「せや。」
「なんでやめるの?」
「ここよりもいい場所《ところ》が見つかったからここやめるのよ!!」
「ここよりもいい場所《ところ》って?」
「言わなくても分かるでしょ…高松にある金瓶梅《ソープ》よ!!」
「えっ?」
「興居島《ごごしま》さんは、自分が副業でソープでバイトしていたことを今までだまっていたのよ…せやから高松へ遠出して足りない分を稼いでいたのよ…せやけど…先月頃に常連《おとくい》さまにみそめられたので気持ちが変わったのよ。」
「常連《おとくい》さんにみそめられたって?」
「だから!!興居島《ごごしま》さんは、常連《おとくい》さんに気に入られたから訣心《けっしん》したのよ!!」
「…って言うことは…興居島《ごごしま》さんは…」
「要するに、興居島《ごごしま》さんは常連《おとくい》さんとサイコンするのよ!!」
「サイコン!!」
「そうよ!!」
「でも、興居島《ごごしま》さんは、お子さんがふたりいたよね…お子さんはどうするのよ?」
すると、デスクの整理をしている女性従業員《オーエルさん》が怒った声で『あすなろ(波止浜にある児童養護施設)へ置き去りにした!!』と言うた。
それを聞いた別の女性従業員さんがコンワクした声で言うた。
「ちょっと興居島《ごごしま》さん!!なんでお子さんふたりを置いて行くのよ!?」
「めんどくさくなったのよ!!」
「だけどね!!」
「なによなによ!!アタシが訣《き》めた人生よ!!あんたたちに文句を言われるスジアイはないわよ!!」
派手な格好をした女性は、キーッと怒り狂いながらデスクの整理をつづけた。
(ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロ…ザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザー)
この時、外では雷を伴った雨が降り出した。
9時を過ぎた頃に、雨の降り方がさらに強くなったようだ。
(ドザー!!ドザー!!ドザー!!)
またところ変わって、上朝倉にある特大豪邸の6畳の部屋にて…
部屋の中には、ゆりこがいた。
この日、ゆりこは鎮房《しげふさ》とリコンすると訣心《けっしん》を固めたので、クローゼットの中にある着替え類とメイク道具を全部取り出すためにここへ来た。
ゆりこは、家に来た直後に鎮房《しげふさ》とドカバキの大ゲンカをくりひろげた。
ゆりこは、鎮房《しげふさ》をボコボコにいて回した。
ゆりこは、鎮房《しげふさ》から平手打ちで顔を叩かれた…
ゆりこは、仕返しに鎮房《しげふさ》の頭をパンプスでどつき回した。
その結果、ふたりともボロボロに傷ついた。
着替え類等を取り出す作業は、そのあとに始めた。
朝10時半頃であった。
ゆりこは、小さな手提げと着替えとメイク道具がぎっしりとつまっている大型の紙袋を持って家から出た。
この時、鎮房《しげふさ》はサントリーオールド(ウイスキー)をストレートでのんでいた。
デイスイ状態におちいった鎮房《しげふさ》は、女々しい声で泣きながらゆりこに怒った。
「なんや!!なんやオドレ!!」
ゆりこは、冷めた声で鎮房《しげふさ》に言うた。
「ゆりこ…あんたのこと大キライ!!あんたの女々しい性格が大キライ!!」
鎮房《しげふさ》は、弱々しい声でゆりこに言うた。
「ああ、そうだよ…オレは…所帯《かてい》を持つ資格なんか…生まれた時から…なかったんだよ…」
「さよなら…明日からは…自分ひとりで生きてよね…むしゃくしゃしていたら家中暴れまわったり、嫁はんに暴力をふるうあんたはドサイテーよ!!…あんたの性格は…上野介《おじいやん》そっくりね!!…ゆりこに暴力をふるったことは、母子保護施設《うちのしせつ》で暮らしている子どもさんたちとお母さま方たちに対する暴力とみなすから、覚悟しておきなさいよ!!…施設長《せんせい》が施設にいられなくなった時は…全部あんたのせいにするから!!…さよなら!!」
ゆりこに怒鳴られた鎮房《しげふさ》は、ビービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービー泣き出した。
(ブロロロロ…)
時は、正午前であった。
鎮房《しげふさ》のもとから飛び出したゆりこは、今治営業所行きのせとうちバスに乗って市内中心部ヘ向かった。
ゆりこは、窓の風景を見つめながら川中美幸さんの歌で『遣《や》らずの雨』を震える声で歌っていた。
ひと通り歌ったゆりこは、くすんくすんと泣き出した。
「くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…よーくん…よーくん…くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…よーくんに会いたい…よーくんに会いたい…くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…よーくんにあやまりたいよぅ…よーくんにあやまりたいよぅ…くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…」
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