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第6話・元気を出して
【恋なんて】
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そしてまた時はうんと流れて…
2010年1月8日のことであった。
A班のメンバーたちと三浦工業《みうらのほんしゃ》の海事部と海外販売部のスタッフさんたちとビーマックのスタッフさんたちが乗っている専用機が1月8日の朝8時頃に松山空港に到着した。
一行は、専用機から降りたあとタラップ付近に停車している特大バスに乗り込んだ。
一行が乗り込んだ特大バスは、朝8時40分頃に松山空港から出発した。
午前9時半頃、特大バスが堀江町にある三浦工業《みうらのほんしゃ》に到着した。
到着した後、三浦工業《みうらのほんしゃ》のみなさまにごあいさつなどを交わした。
その後、会議室に移って打ち合わせを60分間行った。
午前11時半頃、A班のメンバーたちとビーマックのスタッフさんたちが乗り込んだ特大バスが三浦工業《みうらのほんしゃ》の敷地内から出発した。
バスが出発した時、本社のスタッフさんたちが大きく手をふって見送った。
バスは、松山環状線から道後温泉~国道317号線を通って今治市ヘ向かった。
午後1時40分頃に、特大バスが野間にあるビーマックの本社の敷地内に到着した。
到着後、ビーマックの本社のスタッフさんたちとあいさつを交わした。
あいさつを交わしたあと、会議室に移って60分間の打ち合わせを行った。
1日の予定は、夕方4時半頃に終了した。
さて、その頃であった。
またところ変わって、今治市立花町《しないたちばなちょう》にある広告代理店にて…
オフィスの中には、数人の従業員さんたちがいた。
水色のネクタイでダークネイビーのスーツ姿の男性は、より激しいイライラを抱えながらデスクワークをしていた。
イライラしながらデスクワークをしている男性は、大保木和利《おおふきかずとし》(32歳)であった。
和利《かずとし》は、なんでイライラしながらデスクワークをしていたのか?
その原因は、家族で朝ごはんを食べていた時にあった。
話は、朝7時過ぎのことであった。
場所は、今治市枝掘町《しないえだぼりちょう》にある和利《かずとし》の家族が暮らしている大型サイズの和風建築の一戸建ての家にて…
この家で暮らしている家族は、和利《かずとし》の両親・福也《さちや》と華代《かよ》、兄・斐紹《あやつぐ》(43歳・激まじめで頭がカチンコチンに堅《かた》いエリート銀行員・一流大学《ヒトツバシ》卒)と兄嫁・一恵《かずえ》(46歳・専業主婦・バツ3で離婚歴あり)と長男・拡紹《ひろつぐ》(小4・英才・一恵《かずえ》のツレゴ)と和利《かずとし》の6人である。
テーブルの周りに家族6人が集まっていた。
テーブルの上には、一恵《かずえ》が作った朝ごはんがならんでいた。
この時、斐紹《あやつぐ》がものすごく怒った声で『行ってくる!!』と言うて席を立ち上がったあとジャケットと黒の手提げカバンを持って食卓から出ていった。
斐紹《あやつぐ》は、きょうもまた朝ごはんをたくさん残して出勤した。
この最近、斐紹《あやつぐ》はむしゃくしゃしていると家族に八つ当たりをするようになっていたので、家庭内の空気はどす黒く淀んでいた。
そんな中で、福也《さちや》と華代《かよ》は過度にやさしい声で和利《かずとし》に言うた。
「ああ、和利《かずとし》。」
「(ネクラな声で)なんやねん…」
「きょうは、久枝さまが紹介してくださる顧客《ひと》と会うのだね。」
和利《かずとし》は、めんどくさい声で福也《さちや》に言うた。
「またその話かよ…」
華代《かよ》は、心配げな声で和利《かずとし》に言うた。
「和利《かずとし》、そんなネクラな表情《かお》でいたら先方さまに失礼よ…」
和利《かずとし》は、ますますめんどくさい声で華代《かよ》に言うた。
「オレ…係長が顧客《おとくい》さまをオレに紹介したいと言う意味が分からないんだよ~」
福也《さちや》は、困った声で和利《かずとし》に言うた。
「和利《かずとし》、顧客《おとくい》さまはお前のことを気に入っているんだよ。」
「気に入ってる…オレのどういうところが気に入ってるんだよ?」
「お前が10年間1日も休まずに広告代理店《かいしゃ》づとめをしていたからだよ…」
「だから顧客《おとくい》さまはオレをどうしたいのかがわかねえんだよ~」
「それは会ってみなけりゃ分からないじゃないか~係長さんが紹介してくださる顧客《おとくい》さまは、係長さんが以前いたビーマックの極上おとくいさまのイワマツグループの総帥《オーナー》さまなんだよ。」
和利《かずとし》は、怒った声で言うた。
「オレに広告代理店《かいしゃ》やめろと言いたいのか!?」
華代《かよ》は、ものすごく困った声で言うた。
「係長さんは、広告代理店《かいしゃ》をやめろとは言うてないのよ…」
「いいや!!言うた!!」
「言うてないわよ~」
「係長は、オレに広告代理店《かいしゃ》をやめろといよんや!!」
「困ったわね~」
華代《かよ》は、ものすごく困った声で一恵《かずえ》に言うた。
「一恵《かずえ》さん。」
「なあに?」
「お向かいの家のご子息さまは、以前どこで働いていたの?」
「(めんどくさい声で)どこって…イチヒロ(タオル会社)のコウバだったわよ~」
「今はどこに勤めてるの?」
「(怒った声で)(JA)おちいま!!」
「ああ、思い出したわ…イチヒロの工場長さんの旧友《ゆうじん》さまが(JA)おちいまの本所の所長さんだったわね…たしか…あのときも、工場長さんの紹介で会ったよね。」
「そうだったな…」
福也《さちや》と華代《はなよ》がお向かいの家のご子息が(JA)おちいまに転職して成功した話をしていたのを聞いた和利《かずとし》は『はぐいたらしいんだよ!!』と怒鳴り声をあげたあとジャケットと黒の手提げカバンを持って席から立ち上がった。
福也《さちや》と華代《かよ》は、ものすごく困った表情で和利《かずとし》を見つめた。
和利《かずとし》は、福也《さちや》と華代《かよ》に対して怒った声で言うた。
「オレ、(夜の)7時に高校の時のダチと会う約束があるんや…行ってこうわい…」
その後、和利《かずとし》は家から出発した。
(キンコン~)
時は、夕方5時頃であった。
終業《おわり》をつげるチャイムが鳴ったので、従業員さんたちは帰宅準備に入った。
和利《かずとし》も帰宅の準備を始めた。
ジャケットを着て、手提げカバンを持ってオフィスから出ようとした和利《かずとし》を係長の久枝鎮房《ひさえだしげふさ》(51歳)が止めた。
「ああ、これこれ。」
「係長…」
「これ、どこへ行こうとしよんぞ?」
「係長!!係長は従業員をグロウしとんか!?」
「グロウしていないよぅ~」
「なんでぼくを止めるのですか!?」
「ワシはけさ、オドレに紹介したい人がいるから今夜はワシと一緒に行くんゾと言うたんぞ…聞いてないのか?」
「係長がいよる紹介したい人の意味が分かりません!!」
「顧客《おとくい》さまはオドレが気にいったからぜひお会いしたいといよんぞ!!今よりも条件のいい場所ヘ転職することができるまたとない機会なんだよ!!」
「はぐいたらしいんだよボケ!!」
「だまれクソアホンダラブカ!!」
(ガーン!!)
この時、端にいた女性従業員《オーエル》さんがパンプスの先で鎮房《しげふさ》のまたくらを激しくけとばした。
「ああああああああ!!」
鎮房《しげふさ》は、思わず叫び声をあげた。
ブチ切れた女性従業員《オーエル》さんは、怒った声で言うた。
「係長、ええかげんにしいよ!!従業員さんに八つ当たりをしていたからビーマックツイホーされたのでしょ!!」
「痛い痛い痛い痛い痛い…」
「はぐいたらしいクソアホンダラね!!久枝鎮房《ひさえだしげふさ》!!」
(グシャ!!)
女性従業員《オーエル》さんは、パンプスのかかとで鎮房《しげふさ》の足を激しくふみつけた。
鎮房《しげふさ》は、よりし烈な叫び声をあげた。
「ああああああああああああああ!!」
(ブロロロロ…)
さて、その頃であった。
またところ変わって、上朝倉のJAのすぐ近くにあるバス停にて…
到着したバスの中から、白のブラウスとユニクロのジーンズ姿で小さな手提げを持っているゆりこと悠馬《ゆうま》と美桜《みお》の母子3人が降りた。
ゆりこは、2003~2008年の間に男がらみのもめごとを繰り返すなどして周囲にメーワクをかけまくった。
2009年夏に、ヨリイさん夫婦の知人のお顔を利用して鎮房《しげふさ》とお見合いをしてサイコンした。
ゆりこ母子3人は、本来ならばダム湖の奥にある西条市の小さな集落にある小さな家に帰らなければならないが、歩いて5分のところにある大型豪邸に帰っていた。
大型豪邸は、鎮房《しげふさ》の父・久枝上野介《ひさえだこうずけのすけ》が暮らしている家である。
家には、上野介《こうずけのすけ》と住み込みの家政婦さんのふたりが暮らしていた。
食事もお風呂も洗濯など…は、上野介《こうずけのすけ》の家で全部していた。
黒谷《ダムこのおくのしゅうらく》にある家は、一部が倒壊《こわれる》おそれがあるので帰宅することができないと思う。
またところ変わって、特大豪邸にて…
豪邸の大広間のテーブルの上には、家政婦さんが作った晩ごはんが家族の人数分ならんでいた。
テーブルのイスには、上野介《こうずけのすけ》だけが座っていた。
上野介《こうずけのすけ》は、うでぐみした状態でイライラキリキリとしていた。
居合わせた家政婦さんは、ものすごく困った声で上野介《こうずけのすけ》に言うた。
「ご主人さま…そんなにイライラしていたら…」
上野介《こうずけのすけ》は『分かっとるワ!!』と言うて怒鳴り声をあげたあと、家政婦さんに言うた。
「それよりも、鎮房《しげふさ》はまだ帰っていないのか!?」
「おぼっちゃまは、ビーマック(前の職場)にいた時の上司の徳常《とくつね》さまと会うと言うてました。」
上野介《こうずけのすけ》は『ふざけとんか!!』と言うて怒鳴り声をあげたあと、鎮房《しげふさ》をボロクソになじった。
「鎮房《あのアホンダラセガレ》は、家族はうんと後回しと言うた…だからワシは、鎮房《アホンダラ》を一生許さない!!」
「ご主人さま、落ちついてくださいませ~」
ゆりこ母子3人が特大豪邸に着いた時であった。
家の中で、上野介《こうずけのすけ》がわけの分からないことを言いながら暴れ回っていた。
それを見たゆりこ母子3人は、特大豪邸に入るのをやめた。
ゆりこ母子3人は、今夜もまた波止浜の母子保護施設《しせつ》で寝泊まりすると決めたので家に帰ることをやめた。
家に帰るのは…
イヤ…
久枝の家なんか…
イヤ…
よーくんに会いたい…
よーくんに会いたい…
よーくんに会いたい…
2010年1月8日のことであった。
A班のメンバーたちと三浦工業《みうらのほんしゃ》の海事部と海外販売部のスタッフさんたちとビーマックのスタッフさんたちが乗っている専用機が1月8日の朝8時頃に松山空港に到着した。
一行は、専用機から降りたあとタラップ付近に停車している特大バスに乗り込んだ。
一行が乗り込んだ特大バスは、朝8時40分頃に松山空港から出発した。
午前9時半頃、特大バスが堀江町にある三浦工業《みうらのほんしゃ》に到着した。
到着した後、三浦工業《みうらのほんしゃ》のみなさまにごあいさつなどを交わした。
その後、会議室に移って打ち合わせを60分間行った。
午前11時半頃、A班のメンバーたちとビーマックのスタッフさんたちが乗り込んだ特大バスが三浦工業《みうらのほんしゃ》の敷地内から出発した。
バスが出発した時、本社のスタッフさんたちが大きく手をふって見送った。
バスは、松山環状線から道後温泉~国道317号線を通って今治市ヘ向かった。
午後1時40分頃に、特大バスが野間にあるビーマックの本社の敷地内に到着した。
到着後、ビーマックの本社のスタッフさんたちとあいさつを交わした。
あいさつを交わしたあと、会議室に移って60分間の打ち合わせを行った。
1日の予定は、夕方4時半頃に終了した。
さて、その頃であった。
またところ変わって、今治市立花町《しないたちばなちょう》にある広告代理店にて…
オフィスの中には、数人の従業員さんたちがいた。
水色のネクタイでダークネイビーのスーツ姿の男性は、より激しいイライラを抱えながらデスクワークをしていた。
イライラしながらデスクワークをしている男性は、大保木和利《おおふきかずとし》(32歳)であった。
和利《かずとし》は、なんでイライラしながらデスクワークをしていたのか?
その原因は、家族で朝ごはんを食べていた時にあった。
話は、朝7時過ぎのことであった。
場所は、今治市枝掘町《しないえだぼりちょう》にある和利《かずとし》の家族が暮らしている大型サイズの和風建築の一戸建ての家にて…
この家で暮らしている家族は、和利《かずとし》の両親・福也《さちや》と華代《かよ》、兄・斐紹《あやつぐ》(43歳・激まじめで頭がカチンコチンに堅《かた》いエリート銀行員・一流大学《ヒトツバシ》卒)と兄嫁・一恵《かずえ》(46歳・専業主婦・バツ3で離婚歴あり)と長男・拡紹《ひろつぐ》(小4・英才・一恵《かずえ》のツレゴ)と和利《かずとし》の6人である。
テーブルの周りに家族6人が集まっていた。
テーブルの上には、一恵《かずえ》が作った朝ごはんがならんでいた。
この時、斐紹《あやつぐ》がものすごく怒った声で『行ってくる!!』と言うて席を立ち上がったあとジャケットと黒の手提げカバンを持って食卓から出ていった。
斐紹《あやつぐ》は、きょうもまた朝ごはんをたくさん残して出勤した。
この最近、斐紹《あやつぐ》はむしゃくしゃしていると家族に八つ当たりをするようになっていたので、家庭内の空気はどす黒く淀んでいた。
そんな中で、福也《さちや》と華代《かよ》は過度にやさしい声で和利《かずとし》に言うた。
「ああ、和利《かずとし》。」
「(ネクラな声で)なんやねん…」
「きょうは、久枝さまが紹介してくださる顧客《ひと》と会うのだね。」
和利《かずとし》は、めんどくさい声で福也《さちや》に言うた。
「またその話かよ…」
華代《かよ》は、心配げな声で和利《かずとし》に言うた。
「和利《かずとし》、そんなネクラな表情《かお》でいたら先方さまに失礼よ…」
和利《かずとし》は、ますますめんどくさい声で華代《かよ》に言うた。
「オレ…係長が顧客《おとくい》さまをオレに紹介したいと言う意味が分からないんだよ~」
福也《さちや》は、困った声で和利《かずとし》に言うた。
「和利《かずとし》、顧客《おとくい》さまはお前のことを気に入っているんだよ。」
「気に入ってる…オレのどういうところが気に入ってるんだよ?」
「お前が10年間1日も休まずに広告代理店《かいしゃ》づとめをしていたからだよ…」
「だから顧客《おとくい》さまはオレをどうしたいのかがわかねえんだよ~」
「それは会ってみなけりゃ分からないじゃないか~係長さんが紹介してくださる顧客《おとくい》さまは、係長さんが以前いたビーマックの極上おとくいさまのイワマツグループの総帥《オーナー》さまなんだよ。」
和利《かずとし》は、怒った声で言うた。
「オレに広告代理店《かいしゃ》やめろと言いたいのか!?」
華代《かよ》は、ものすごく困った声で言うた。
「係長さんは、広告代理店《かいしゃ》をやめろとは言うてないのよ…」
「いいや!!言うた!!」
「言うてないわよ~」
「係長は、オレに広告代理店《かいしゃ》をやめろといよんや!!」
「困ったわね~」
華代《かよ》は、ものすごく困った声で一恵《かずえ》に言うた。
「一恵《かずえ》さん。」
「なあに?」
「お向かいの家のご子息さまは、以前どこで働いていたの?」
「(めんどくさい声で)どこって…イチヒロ(タオル会社)のコウバだったわよ~」
「今はどこに勤めてるの?」
「(怒った声で)(JA)おちいま!!」
「ああ、思い出したわ…イチヒロの工場長さんの旧友《ゆうじん》さまが(JA)おちいまの本所の所長さんだったわね…たしか…あのときも、工場長さんの紹介で会ったよね。」
「そうだったな…」
福也《さちや》と華代《はなよ》がお向かいの家のご子息が(JA)おちいまに転職して成功した話をしていたのを聞いた和利《かずとし》は『はぐいたらしいんだよ!!』と怒鳴り声をあげたあとジャケットと黒の手提げカバンを持って席から立ち上がった。
福也《さちや》と華代《かよ》は、ものすごく困った表情で和利《かずとし》を見つめた。
和利《かずとし》は、福也《さちや》と華代《かよ》に対して怒った声で言うた。
「オレ、(夜の)7時に高校の時のダチと会う約束があるんや…行ってこうわい…」
その後、和利《かずとし》は家から出発した。
(キンコン~)
時は、夕方5時頃であった。
終業《おわり》をつげるチャイムが鳴ったので、従業員さんたちは帰宅準備に入った。
和利《かずとし》も帰宅の準備を始めた。
ジャケットを着て、手提げカバンを持ってオフィスから出ようとした和利《かずとし》を係長の久枝鎮房《ひさえだしげふさ》(51歳)が止めた。
「ああ、これこれ。」
「係長…」
「これ、どこへ行こうとしよんぞ?」
「係長!!係長は従業員をグロウしとんか!?」
「グロウしていないよぅ~」
「なんでぼくを止めるのですか!?」
「ワシはけさ、オドレに紹介したい人がいるから今夜はワシと一緒に行くんゾと言うたんぞ…聞いてないのか?」
「係長がいよる紹介したい人の意味が分かりません!!」
「顧客《おとくい》さまはオドレが気にいったからぜひお会いしたいといよんぞ!!今よりも条件のいい場所ヘ転職することができるまたとない機会なんだよ!!」
「はぐいたらしいんだよボケ!!」
「だまれクソアホンダラブカ!!」
(ガーン!!)
この時、端にいた女性従業員《オーエル》さんがパンプスの先で鎮房《しげふさ》のまたくらを激しくけとばした。
「ああああああああ!!」
鎮房《しげふさ》は、思わず叫び声をあげた。
ブチ切れた女性従業員《オーエル》さんは、怒った声で言うた。
「係長、ええかげんにしいよ!!従業員さんに八つ当たりをしていたからビーマックツイホーされたのでしょ!!」
「痛い痛い痛い痛い痛い…」
「はぐいたらしいクソアホンダラね!!久枝鎮房《ひさえだしげふさ》!!」
(グシャ!!)
女性従業員《オーエル》さんは、パンプスのかかとで鎮房《しげふさ》の足を激しくふみつけた。
鎮房《しげふさ》は、よりし烈な叫び声をあげた。
「ああああああああああああああ!!」
(ブロロロロ…)
さて、その頃であった。
またところ変わって、上朝倉のJAのすぐ近くにあるバス停にて…
到着したバスの中から、白のブラウスとユニクロのジーンズ姿で小さな手提げを持っているゆりこと悠馬《ゆうま》と美桜《みお》の母子3人が降りた。
ゆりこは、2003~2008年の間に男がらみのもめごとを繰り返すなどして周囲にメーワクをかけまくった。
2009年夏に、ヨリイさん夫婦の知人のお顔を利用して鎮房《しげふさ》とお見合いをしてサイコンした。
ゆりこ母子3人は、本来ならばダム湖の奥にある西条市の小さな集落にある小さな家に帰らなければならないが、歩いて5分のところにある大型豪邸に帰っていた。
大型豪邸は、鎮房《しげふさ》の父・久枝上野介《ひさえだこうずけのすけ》が暮らしている家である。
家には、上野介《こうずけのすけ》と住み込みの家政婦さんのふたりが暮らしていた。
食事もお風呂も洗濯など…は、上野介《こうずけのすけ》の家で全部していた。
黒谷《ダムこのおくのしゅうらく》にある家は、一部が倒壊《こわれる》おそれがあるので帰宅することができないと思う。
またところ変わって、特大豪邸にて…
豪邸の大広間のテーブルの上には、家政婦さんが作った晩ごはんが家族の人数分ならんでいた。
テーブルのイスには、上野介《こうずけのすけ》だけが座っていた。
上野介《こうずけのすけ》は、うでぐみした状態でイライラキリキリとしていた。
居合わせた家政婦さんは、ものすごく困った声で上野介《こうずけのすけ》に言うた。
「ご主人さま…そんなにイライラしていたら…」
上野介《こうずけのすけ》は『分かっとるワ!!』と言うて怒鳴り声をあげたあと、家政婦さんに言うた。
「それよりも、鎮房《しげふさ》はまだ帰っていないのか!?」
「おぼっちゃまは、ビーマック(前の職場)にいた時の上司の徳常《とくつね》さまと会うと言うてました。」
上野介《こうずけのすけ》は『ふざけとんか!!』と言うて怒鳴り声をあげたあと、鎮房《しげふさ》をボロクソになじった。
「鎮房《あのアホンダラセガレ》は、家族はうんと後回しと言うた…だからワシは、鎮房《アホンダラ》を一生許さない!!」
「ご主人さま、落ちついてくださいませ~」
ゆりこ母子3人が特大豪邸に着いた時であった。
家の中で、上野介《こうずけのすけ》がわけの分からないことを言いながら暴れ回っていた。
それを見たゆりこ母子3人は、特大豪邸に入るのをやめた。
ゆりこ母子3人は、今夜もまた波止浜の母子保護施設《しせつ》で寝泊まりすると決めたので家に帰ることをやめた。
家に帰るのは…
イヤ…
久枝の家なんか…
イヤ…
よーくんに会いたい…
よーくんに会いたい…
よーくんに会いたい…
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