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第4話・同じ空の下

【愚図(ぐず)】

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日付が変わって…

5月11日の深夜0時10分頃であった。

またところ変わって、古川北にある晋也《しんや》の家の前にて…

晋也《しんや》とゆりこと悠馬《ゆうま》と美桜《みお》の4人が帰宅した時に、大家さんが声をかけた。

(晋也《しんや》の家族が暮らしている家は借家である)

「(困った声で)晋也さん。」
「(おだやかな声で)大家さん。」
「(困った声で)こなな遅い時間まで、どちらへ行かれていたのですか?」
「(おだやかな声で)ああ、明日は連休だから、家族を連れてごはんを食べに行ってたのですよ。」
「(ものすごく困った声で)晋也《しんや》さん、今治《いまはる》からヨリイの伯母《おば》さまと伯父《おじ》さまがお越しになられてますよ…」
「(おどろいた声で)えっ?ヨリイの伯母《おば》さまがうちに?」

大家さんは、晋也《しんや》に対して『早く帰ってあげなさい!!』とたしなめる声で言うた。

晋也《しんや》は、いじけた声で『わかったよう…』と言うた。

またところ変わって、家の中にて…

ダイニングキッチンは、ゆりこと悠馬《ゆうま》と美桜《みお》の3人が手作りハンバーグを作っていた時のままになっていた。

居間のダイニングテーブルのいすに、ヨリイさんとヨリイさんのダンナが座っていた。

ヨリイさんのダンナは、よりけわしい表情を浮かべながら腕組みをしていた。

ヨリイさんは、ソワソワとした表情を浮かべながらあたりを見渡した。

そんな時に、晋也《しんや》とゆりこと悠馬《ゆうま》と美桜《みお》の4人が帰宅した。

晋也《しんや》は、おだやかな声でヨリイさんに言うた。

「伯母《おば》さま、伯父《おじ》さま~」

ヨリイさんは、ものすごくつらい声で晋也《しんや》に言うた。

「こんな遅い時間まで、どこまで行ってたのよ!?」
「どこまでって、ゆりこと悠馬《ゆうま》と美桜《みお》を連れて大街道まで行ってました…」

晋也《しんや》は、ヨリイさんにゆりこ母子3人を連れて大街道ヘお出かけしたと説明した。

しかし、ヨリイさんのダンナはものすごい血相で怒りながら『また晋也《しんや》がクソたわけたいいわけをいよる…』とつぶやいた。

晋也《しんや》は、ものすごく困った表情で言うた。

「この最近、仕事が忙しかったから…家族でお出かけする機会がなかったのですよ…ああ、家族も大事ですよ~」

ヨリイさんは、ものすごくつらい声で晋也《しんや》に言うた。

「ゆりこちゃんと悠馬《ゆうま》くんと美桜《みお》ちゃんを寝室《おへや》ヘ連れて行くから…」

ヨリイさんは、ゆりこ母子3人にやさしい声で言うた。

「ゆりこちゃん、悠馬《ゆうま》くん、美桜《みお》ちゃん…寝室《おへや》ヘ行こうね。」

6畳の寝室にて…

悠馬《ゆうま》と美桜《みお》は小さなインナー姿、ゆりこは白のバンドゥとレギュラーショーツ姿で眠っていた。

ヨリイさんは、しきふとんの上でスヤスヤと眠っているゆりこ母子3人をつらそうな表情で見つめていた。

眠っているゆりこの両目から涙がたくさんあふれていた。

ゆりこちゃん…

ゆりこちゃんごめんね…

ゆりこちゃんごめんね…

ヨリイさんは、つらそうな表情でつぶやきながらゆりこにわびた。

再びダイニングにて…

晋也《しんや》とヨリイさんのダンナは、イスに座っていた。

ヨリイさんがとなりの寝室《へや》からダイニングにやって来た。

ヨリイさんのダンナは、けわしい表情でヨリイさんに言うた。

「どうだった?」
「ゆりこちゃんと悠馬《ゆうま》くんと美桜《みお》ちゃん…泣いていたわよ。」
「泣いていた?」

ヨリイさんは、ものすごくつらい表情でコクンとうなずいた。

その後、ヨリイさんは晋也《しんや》の向かいの席に座った。

ヨリイさんは、ものすごくつらい表情で晋也《しんや》に言うた。

「晋也《しんや》!!」
「伯母《おば》さま~」
「ダイニングに顔向けてよーく見なさい!!」

晋也《しんや》は、ぼーっとした表情でダイニングの方を見た。

ゆりこ母子が3人で手作りハンバーグを作っていた時のまま放置されていた様子を見た晋也《しんや》は、おどろいた表情を浮かべながらつぶやいた。

ゆりこ・悠馬《ゆうま》・美桜《みお》…

そのあとの言葉は、出なかった。

ヨリイさんのダンナは、怒った声で晋也《しんや》に言うた。

「オドレは、あれ見てなんとも思わないのか!?」
「えっ?」
「ワシのいよる言葉が聞こえんのか!?」

ヨリイさんのダンナは、よりし烈な怒りを込めて晋也《しんや》を怒鳴りつけた。

なんでぼくがおらばれなアカンねん…

晋也《しんや》は、ひどくコンワクした表情を浮かべながらつぶやいた。

ヨリイさんは、たしなめる声で晋也《しんや》に言うた。

「晋也《しんや》!!」
「伯母《おば》さま~」
「さきほど、香我美《かがみ》さんがお前のことを心配して、うちに電話をかけてきたのよ!!」

ヨリイさんのダンナは、怒りを込めながら晋也《しんや》に言うた。

「オドレは、係長昇進《ひとつうえにしょうしん》した翌日からえらそうなふるまいをしているみたいだな…むしゃくしゃしていたら特定の従業員さんに対して暴力をふるっていたとも聞いたゾ!!」

ヨリイさんのダンナに怒られた晋也《しんや》は『えらそうにしてませんよぅ~』と口答えした。

ヨリイさんのダンナは、よりし烈な声で晋也《しんや》を怒鳴りつけた。

「オドレクソアホンダラ!!」
「あなたやめて…」

ヨリイさんは、ダンナを止めたあとたしなめる声で晋也《しんや》に言うた。

「晋也《しんや》!!」
「なんやねん…」
「お前は、伯父《おじ》さまが言うた言葉の意味が全く理解できてないみたいね!!」
「理解してますよぅ~」

ヨリイさんは、バックの中から小さな国語辞典を取り出したあと怒った声で言いながら晋也《しんや》の前に出した。

「晋也《しんや》!!辞書をひらいて『親しき仲にも礼儀あり』と言う言葉を調べなさい!!…そのあと言葉の意味を伯母《おば》さんと伯父《おじ》さんの前で発表しなさい!!」

ヨリイさんから辞書を突きつけられた晋也《しんや》は、ひどくコンワクした表情でつぶやいた。

なんで辞書ひかなアカンねん…

ヨリイさんは、ものすごく怒った表情で晋也《しんや》に言うた。

「お前は、ゆりこちゃんと悠馬《ゆうま》くんと美桜《みお》ちゃんも大事と言うたわね!!…ということは、ゆりこちゃんと悠馬《ゆうま》くんと美桜《みお》ちゃんは二の次で会社が最優先だと言うことよね!!」
「そんなことは言ってませんよぅ~」
「晋也《しんや》!!」
「なんやねん~」
「ゆりこちゃんと悠馬《ゆうま》くんと美桜《みお》ちゃんは、あんたが早く帰って来ると思って、母子3人で手作りハンバーグを作っていたのよ!!」
「だけど、急な予定が入ったから~」
「それだったら、なんで前もってゆりこちゃんに電話しなかったの!?」
「朝方、出勤した時に上の人から香我美《かがみ》さまからの伝言がありましたと聞いたよ…だけど…きょう中に残っているお仕事を全部仕上げる方が最優先…」
「…だったから、ゆりこちゃんに知らせなかったのね。」
「伯母《おば》さま~」

ヨリイさんのダンナは、けわしい表情で晋也《しんや》にダメ出しを喰らわせた。

「お前はやっぱり、家庭を持つことには向いていなかったみたいだな…」

ヨリイさんは、困った声でダンナに言うた。

「向いていないじゃなくて、晋也《しんや》が向いて行くのよ!!」
「(ものすごく怒った声で)どっちだっていいだろ!!」
「あなた~」

ヨリイさんは、ものすごく怒った表情で晋也《しんや》に言うた。

「話を変えるけど、ゆうべ香我美《かがみ》さんがお前に紹介して下さった時に、初対面の人の前で暴言を吐いたみたいね。」
「あれは…尾儀原《クソアホンダラ》が言うた…ぼくは悪くない…」

(ゴツーン!!ゴツーン!!ゴツーン!!)

ひねた声で言うた晋也《しんや》に対して、ヨリイさんのダンナがグーで晋也《しんや》の頭にげんこつを喰らわせた。

その後、ヨリイさんのダンナは声を震わせながら泣いた。

ヨリイさんは、ものすごく怒った声で晋也《しんや》に言うた。

「晋也《しんや》!!お前は伯父《おじ》さんのげんこつを喰らわないと分からないみたいね!!」

ヨリイさんのダンナのげんこつを喰らった晋也《しんや》は、ハンロンすることができなかった。

ヨリイさんは、怒った声で晋也《しんや》に言うた。

「お前に暴力をふるわれた従業員さんは…母子保護施設《うちのしせつ》で暮らしていた子どもさんなのよ!!…ゆりこちゃんも…母子保護施設《うちのしせつ》で暮らしていた子どもさんなのよ…そして…香我美《かがみ》さんが紹介して下さった…イワマツグループのオーナー様も…母子保護施設《うちのしせつ》で暮らしていた子どもさんなのよ!!」

ヨリイさんからボロクソに言われた晋也《しんや》は、力ない声で『知らなかった~』と言うた。

(パチーーーーン!!パチーーーーン!!パチーーーーン!!パチーーーーン!!パチーーーーン!!)

ヨリイさんのダンナは、よりし烈な怒りを込めて晋也《しんや》の顔を平手打ちで100回以上たたいた。

ヨリイさんのダンナは、泣きながら『クソアホンダラはオドレだ!!』と叫んだ。

平手打ちが終わったあと、ヨリイさんはあきれた表情で晋也《しんや》に言うた。

「晋也《しんや》の悪い性格は、戸郷《とごう》の戸主《おじいやん》にそっくりね!!…大きいのは身体《しんたい》だけで…考え方は稚拙《よーちい》ねぇ…戸郷《とごう》の家の親類《にんげん》がみな稚拙《よーちい》からそのようになったのよ…そんな稚拙《よーちい》あんたに、家庭を持つ資格も役職に就く資格もないと言うことをよぉーにおぼえておきなさい!!…伯母《おば》さんと伯父《おじ》さんは、晋也《しんや》とゆりこちゃんの結婚は認めません…(書面を出しながら言う)…離婚届《これ》書いておきなさい…来週の土曜日に取りに来るから…それまでに書いておきなさい!!」

なんで離婚届を書かなアカンねん…

ヨリイさんから離婚届を突きつけられた晋也《しんや》は、ひどくコンワクしながらつぶやいた。

しかし、ヨリイさんからダメ出しを喰らった上にヨリイさんのダンナのげんこつを喰らったので、ハンロンすることができなかった。

さて、その頃であった。

A班のメンバーたちが乗っている特大バスが大阪伊丹国際空港に到着した。

バスは、松山高松自動車道~瀬戸中央自動車道~山陽自動車道~中国自動車道を通ったあと中国池田インターで降りて、一般道を通って空港《ここ》に到着した。

バスは、専用機につながるタラップに到着した。

バスを降りたA班のメンバーたちは、専用機に乗り込んだ。

専用機の中にて…

A班のメンバーたちは、座席に座ったあとひざの上にアタッシュケースを載せた。

外では、出発準備が進められていた。

A班のメンバーたちが乗り込んだ専用機は、朝5時頃に大阪伊丹国際空港から飛び立った。

さて、その頃であった。

ヨリイさん夫妻から厳しく非難された晋也《しんや》は、砥部町にあるラブボにいた。

晋也《しんや》は、愛人《おんな》とふたりで全裸《はだか》になってベッドの上で抱き合っていた。

しかし…

「イヤだ!!死にたくない!!」

愛人《おんな》の元婚約者の男が出刃包丁《はもの》を持って乱入した。

晋也《しんや》は、男に出刃包丁《はもの》でズタズタに刺されて殺された。

晋也《しんや》を刺した男は、晋也《しんや》のせいで取り引き先の会社に出向となった元部下であった。

その後、元部下の男の知人の男《チンピラ》たち50人が部屋に入った。

晋也《しんや》は、男《チンピラ》たちに部屋から運び出されたあとどこかで処分された…

ゆりこは、晋也《しんや》と死別《わかれた》あと悠馬《ゆうま》と美桜《みお》を連れて母子保護施設《しせつ》に出戻った。
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