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第5話・おわりのはじまり
【新たな悲劇】
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(ツクツクホーシ、ツクツクホーシ、ツクツクホーシ…)
次の日の午後2時過ぎであった。
志桜里《しおり》は、家の前で水まきをしていた。
この日もまた、猛暑日であった。
前日、健一郎があつこのかたきを討《う》つために出刃包丁《はもの》を持って家出した。
あの様子だと、健一郎がボウキョに出る恐れがある…
家に戻ってきたあつこの心的外傷《トラウマ》がものすごく大きいので、適切なケアが必要である。
要介護度4と判定されたトメは、周囲の助けがなければ生きていくことができない…
重病の家族を抱えているのに、昭久《あきひさ》は家に不在であった。
家庭崩壊が現実味を帯びてきた…
この先、どうすればいいのか…
ところ変わって、豪邸《いえ》の大広間にて…
大広間にかおると八重《やえ》がいた…
八重《やえ》の心は、極限まで追い詰められていた。
八重《やえ》と隆三《りゅうぞう》が共稼ぎで多忙をきわめていたので、健一郎のメンドウを見ることができなかった…
だから、かおるの厚意《こうい》に甘えて健一郎のメンドウを頼んだ。
健一郎が幸せになれるようにと思って隆三《りゅうぞう》とふたりで一生懸命に努力したのに…
健一郎は、幸せになれなかった…
製造工場《こうじょう》はクビになった…
菜水《なみ》は、レイプ殺人事件の被害を受けて亡くなった…
自衛隊《ジエータイ》から脱走した事件を犯した末に、事件を起こして懲戒免職《クビ》になった…
再就職するためにシューカツ等をしたのに、不採用ばかりがつづいた。
そしてその末に、出刃包丁《ほうちょう》を持って家出した…
かおるからことの次第を聞いた八重《やえ》は、ものすごくつらい声で言うた。
「健ちゃんが…出刃包丁《ほうちょう》を持って家出した…なんで…なんで…」
「健ちゃんは、あつこをかたきを討《う》つんだと言うて…そのまま行方不明になったのよ。」
「あつこちゃんのかたきを討《う》つためって…」
「よくわからない…」
「どうしよう…」
八重《やえ》は、泣きそうな声でかおるに言うた。
「失敗した…大失敗した…」
「八重《やえ》さん…」
「こんなことになるのであれば、長男夫婦の家に移ればよかった…」
八重《やえ》は今さらなにいよんぞ…
おそいわ…
八重《やえ》は、かおるに泣きそうな声で言うた。
「話かわるけど…きょう…愛媛県警《けんけい》から亡くなった主人に対して、不名誉免職を言い渡されました。」
「不名誉免職…」
「ええ…」
「思いあたるフシはあるの?」
かおるの問いに対して、八重《やえ》は『思いあたるフシはありません…』と泣きそうな声で言うた。
かおるは、心配げな声で八重《やえ》に言うた。
「ほんとうに思いあたるフシはないの?」
「(むきな声で)ありません!!」
八重《やえ》は、ひと間隔おいてからかおるに言うた。
「主人は、愛媛県民《けんみん》の生命と安全を守るため…健ちゃんが幸せになることをはげみにして、愛媛県警《けんけい》に尽くしたのです…それなのに、不名誉免職だなんて…」
八重《やえ》は、かおるに対して泣きそうな声でいいわけを言うた。
八重《やえ》は、自分自身のことをこう伝えた。
「うちも、健ちゃんが幸せになれるようことをはげみに県病院に尽くした…それなのに…健ちゃんは幸せになれなかった…くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…」
かおるに対して見苦しいいいわけをならべまくった八重《やえ》は、テーブルに顔をふせた状態でくすんくすんと泣きまくった。
かおるは、ものすごくつらい表情で八重《やえ》を見つめた。
八重《やえ》は、くすんくすんと泣きながらかおるに言うた。
「うちが全部いかんのよ!!うちがナマクラだから健ちゃんがすさんだのよ…くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…」
かおるは、ものすごく困った表情で八重《やえ》を見つめていた。
時は、夜8時55分頃であった。
ところ変わって、松山市三番町にある八坂公園にて…
昭久《あきひさ》は、ハートマーケット(テレクラ)で知り合った33歳くらいの人妻《おんな》と一緒にベンチに座って身の上話をしていた。
昭久《あきひさ》は、泣きそうな声で人妻《おんな》に愛を求めた。
「むなしいよぅ…むなしいよぅ…」
人妻《おんな》は、切ない声で昭久《あきひさ》に言うた。
「よしよし…つらかったのね。」
「子どもたちにきらわれた…会社をなくした…家に帰るのもイヤや…」
「よしよし…」
昭久《あきひさ》は、なおも人妻《おんな》に愛を求めつづけた。
このあと、昭久《あきひさ》と人妻《おんな》は公園内にある身障者用トイレに入った。
ところ変わって、身障者用トイレの中にて…
昭久《あきひさ》は、ズボンとブリーフを脱いだあと人妻《おんな》に抱きついた。
その後、ふたりはより激しいキスをかわした。
「ん、ん、ん、ん…」
「ん、ん、ん、ん…」
それから2分後に、昭久《あきひさ》は人妻《おんな》が着ていた衣服と下着を全部脱がした。
そして、昭久《あきひさ》自身も全裸《はだか》になった。
それから240分後…
「ああ…(人妻)…」
「ああ…昭久《あきひさ》、昭久《あきひさ》…」
昭久《あきひさ》と人妻《おんな》は、より激しい声をあげながら求めあった。
ふたりが求め合う声は、トイレの外からも響いていた。
そして…
(バーン!!)
「ああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
「イヤァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」
トイレの中にいるふたりは、より激しい叫び声をあげたあと倒れてしまった…
ふたりは、トイレの中で腹上死《なくなっ》た…
昭久《あきひさ》は、脳の血管にできたコブがハレツしたことによるくも膜下出血で亡くなった。
人妻《おんな》は、心臓発作《ほっさ》による心不全症で亡くなった…
ふたりが亡くなった時、身元が確認できるものを所持していなかったので、ケーサツは身元不明の男女がトイレ内で腹上死《なくなっ》たと伝えた。
昭久《あきひさ》が亡くなった知らせは神谷《いえ》に伝わらなかった。
次の日の午後2時過ぎであった。
志桜里《しおり》は、家の前で水まきをしていた。
この日もまた、猛暑日であった。
前日、健一郎があつこのかたきを討《う》つために出刃包丁《はもの》を持って家出した。
あの様子だと、健一郎がボウキョに出る恐れがある…
家に戻ってきたあつこの心的外傷《トラウマ》がものすごく大きいので、適切なケアが必要である。
要介護度4と判定されたトメは、周囲の助けがなければ生きていくことができない…
重病の家族を抱えているのに、昭久《あきひさ》は家に不在であった。
家庭崩壊が現実味を帯びてきた…
この先、どうすればいいのか…
ところ変わって、豪邸《いえ》の大広間にて…
大広間にかおると八重《やえ》がいた…
八重《やえ》の心は、極限まで追い詰められていた。
八重《やえ》と隆三《りゅうぞう》が共稼ぎで多忙をきわめていたので、健一郎のメンドウを見ることができなかった…
だから、かおるの厚意《こうい》に甘えて健一郎のメンドウを頼んだ。
健一郎が幸せになれるようにと思って隆三《りゅうぞう》とふたりで一生懸命に努力したのに…
健一郎は、幸せになれなかった…
製造工場《こうじょう》はクビになった…
菜水《なみ》は、レイプ殺人事件の被害を受けて亡くなった…
自衛隊《ジエータイ》から脱走した事件を犯した末に、事件を起こして懲戒免職《クビ》になった…
再就職するためにシューカツ等をしたのに、不採用ばかりがつづいた。
そしてその末に、出刃包丁《ほうちょう》を持って家出した…
かおるからことの次第を聞いた八重《やえ》は、ものすごくつらい声で言うた。
「健ちゃんが…出刃包丁《ほうちょう》を持って家出した…なんで…なんで…」
「健ちゃんは、あつこをかたきを討《う》つんだと言うて…そのまま行方不明になったのよ。」
「あつこちゃんのかたきを討《う》つためって…」
「よくわからない…」
「どうしよう…」
八重《やえ》は、泣きそうな声でかおるに言うた。
「失敗した…大失敗した…」
「八重《やえ》さん…」
「こんなことになるのであれば、長男夫婦の家に移ればよかった…」
八重《やえ》は今さらなにいよんぞ…
おそいわ…
八重《やえ》は、かおるに泣きそうな声で言うた。
「話かわるけど…きょう…愛媛県警《けんけい》から亡くなった主人に対して、不名誉免職を言い渡されました。」
「不名誉免職…」
「ええ…」
「思いあたるフシはあるの?」
かおるの問いに対して、八重《やえ》は『思いあたるフシはありません…』と泣きそうな声で言うた。
かおるは、心配げな声で八重《やえ》に言うた。
「ほんとうに思いあたるフシはないの?」
「(むきな声で)ありません!!」
八重《やえ》は、ひと間隔おいてからかおるに言うた。
「主人は、愛媛県民《けんみん》の生命と安全を守るため…健ちゃんが幸せになることをはげみにして、愛媛県警《けんけい》に尽くしたのです…それなのに、不名誉免職だなんて…」
八重《やえ》は、かおるに対して泣きそうな声でいいわけを言うた。
八重《やえ》は、自分自身のことをこう伝えた。
「うちも、健ちゃんが幸せになれるようことをはげみに県病院に尽くした…それなのに…健ちゃんは幸せになれなかった…くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…」
かおるに対して見苦しいいいわけをならべまくった八重《やえ》は、テーブルに顔をふせた状態でくすんくすんと泣きまくった。
かおるは、ものすごくつらい表情で八重《やえ》を見つめた。
八重《やえ》は、くすんくすんと泣きながらかおるに言うた。
「うちが全部いかんのよ!!うちがナマクラだから健ちゃんがすさんだのよ…くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…」
かおるは、ものすごく困った表情で八重《やえ》を見つめていた。
時は、夜8時55分頃であった。
ところ変わって、松山市三番町にある八坂公園にて…
昭久《あきひさ》は、ハートマーケット(テレクラ)で知り合った33歳くらいの人妻《おんな》と一緒にベンチに座って身の上話をしていた。
昭久《あきひさ》は、泣きそうな声で人妻《おんな》に愛を求めた。
「むなしいよぅ…むなしいよぅ…」
人妻《おんな》は、切ない声で昭久《あきひさ》に言うた。
「よしよし…つらかったのね。」
「子どもたちにきらわれた…会社をなくした…家に帰るのもイヤや…」
「よしよし…」
昭久《あきひさ》は、なおも人妻《おんな》に愛を求めつづけた。
このあと、昭久《あきひさ》と人妻《おんな》は公園内にある身障者用トイレに入った。
ところ変わって、身障者用トイレの中にて…
昭久《あきひさ》は、ズボンとブリーフを脱いだあと人妻《おんな》に抱きついた。
その後、ふたりはより激しいキスをかわした。
「ん、ん、ん、ん…」
「ん、ん、ん、ん…」
それから2分後に、昭久《あきひさ》は人妻《おんな》が着ていた衣服と下着を全部脱がした。
そして、昭久《あきひさ》自身も全裸《はだか》になった。
それから240分後…
「ああ…(人妻)…」
「ああ…昭久《あきひさ》、昭久《あきひさ》…」
昭久《あきひさ》と人妻《おんな》は、より激しい声をあげながら求めあった。
ふたりが求め合う声は、トイレの外からも響いていた。
そして…
(バーン!!)
「ああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
「イヤァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」
トイレの中にいるふたりは、より激しい叫び声をあげたあと倒れてしまった…
ふたりは、トイレの中で腹上死《なくなっ》た…
昭久《あきひさ》は、脳の血管にできたコブがハレツしたことによるくも膜下出血で亡くなった。
人妻《おんな》は、心臓発作《ほっさ》による心不全症で亡くなった…
ふたりが亡くなった時、身元が確認できるものを所持していなかったので、ケーサツは身元不明の男女がトイレ内で腹上死《なくなっ》たと伝えた。
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