【辛口ホームドラマ】チャーミー

佐伯達男

文字の大きさ
上 下
1 / 30
第1話・悲劇の始まり

【悲劇の始まり】

しおりを挟む
時は、2018年4月8日の午後2時過ぎであった。

場所は、今治市小泉にある市政50周年記念公園にて…

園内にある大蓮池《はすいけ》の近くの広場で深刻な事件が発生した。

広場のベンチに、5歳の女の子と30代の男性が座っていた。

この時、60前のなさけない男が女の子に接近した。

なさけない男は、女の子になれなれしい声で言うた。

「おじょうちゃん、ママがおじょうちゃんを探していたよ…一緒に行こうか。」

女の子は、首を横にふって『イヤだ!!』と言うた。

なさけない男は、女の子にやさしく言うた。

「おじちゃんは、パパとママの昔からの知り合いだよ。」

それでも女の子は、首を横にふって『イヤだ!!』と言うた。

なさけない男がちいちゃい女の子に対してしつように迫っていたので、となりにいた男性が止めに入った。

「コラオドレ!!」
「なんだよぅ~」
「女の子がいやがっているからやめろよ!!」
「ぼくはこの娘《こ》のご両親にたのまれたのです…」
「ウソつくな!!」

(ドカッ!!)

止めに入った男性は、なさけない男を体当たりで攻撃した。

「助けてくれ~」

なさけない男は、止めに入った男性から攻撃を受けたあとその場から逃げ出した。

しかし…

「わあああああああああああああああああああ!!」

(ドボーン!!)

なさけない男は、逃げる途中で大蓮池《はすいけ》に転落した。

「助けてくれ~」

なさけない男は、大蓮池《はすいけ》に転落したあとおぼれまくった。

それから2時間半後のことであった。

ところ変わって、イオンモール今治新都市の中にあるイオンスタイルにて…

家政婦《おてつだいさん》を務めている新居見志桜里《にいみしおり》(26歳)は、夕飯の材料の買い出しをしていた。

(ピッ、ピッ、ピッ…)

志桜里《しおり》は、やとい主の奥さまからたのまれた食材を購入したあと、セルフレジで精算していた。

しかし…

志桜里《しおり》は、うっかりミスをやらかした。

「ああ、きのこを買うの忘れてた~」

うっかりミスをやらかした志桜里《しおり》は、買い忘れたものを取りに行くためにセルフレジから離れた。

セルフレジには、精算途中の食材が放置されていた。

この日の夕食は、肉を焼く予定であった。

しかし、精算中にきのこを買い忘れたことに気がついたので志桜里《しおり》はオタオタおたついた。

オタオタしている志桜里《しおり》は、セルフレジから離れたあときのこが置かれている陳列だなに行った。

(ピンポン…)

そんな時であった。

館内にチャイムが鳴ったあと呼び出しの案内が放送された。

この時、志桜里《しおり》に警察署から電話がかかっていると言う知らせを聞いた。

志桜里《しおり》は、大急ぎでサービスカウンターへ行った。

ところ変わって、催事場《イベントスペース》にあるサービスカウンターにて…

志桜里《しおり》は、ものすごくおたついた表情でサービスカウンターにやって来た。

「すみません~」
「ああ、新居見志桜里《にいみしおり》さまですね。」

志桜里《しおり》は、受話器を受け取ったあと切羽《せっぱ》つまった声で話した。

「もしもし代わりました…今治警察署ですね…はい…祐希《ゆうき》さんは、うちのお屋敷のお嫁さんの弟ですが…市民の森の大蓮池《はすいけ》でおぼれていた…もしもし!!」

警察署の生活安全課《あんぽか》の職員からことの次第を聞いた志桜里《しおり》は、食材をセルフレジに放置した状態で店の外へ飛び出した。

昼過ぎに市民の森の広場でちいちゃい女の子にしつように声をかけていた男が止めに入った男性から暴行を受けた末に大蓮池《はすいけ》に転落しておぼれた…

おぼれた男は、それから40分後に助け出された…

男は、ブザマな姿で警察署に保護された…

志桜里《しおり》は、イオンスタイルからタクシーに乗って今治市中心部にある警察署へ向かった。

その頃、セルフレジの付近では深刻なもめごとが発生した。

志桜里《しおり》がセルフレジに食材をたくさん放《ほか》した状態で店から出ていった…

周辺の客たちは、ものすごく激怒していた…

セルフレジへ食材を放《ほか》した客はどこへ行った!!

店員さんたちは、お客さまたちのクレーム対応にクリョしていた。

時は、夜7時40分頃であった。

またところ変わって、今治市宮下町《しないみやしたちょう》にある特大豪邸にて…

特大豪邸《ごうてい》は、志桜里《しおり》のやとい主の神谷《こうのたに》トメ(96歳)の家である。

この家で暮らしている家族は、トメと息子・昭久《あきひさ》(70歳・重役職)と嫁・かおる(69歳・パート主婦)と孫・あつこ(長女・32歳)とてつや(長男・30歳)の5人家族とかおるのオイ・五名竜史《ごみょうたつし》(35歳)と住み込みの家政婦《おてつだいさん》の志桜里《しおり》が暮らしていた。

祐希《ゆうき》は、かおるの実の弟であるが、家でイソウロウしていた。

この時間、家にいるのはトメと祐希《ゆうき》と志桜里《しおり》だけであった。

毛布にくるまっている祐希《ゆうき》は、弱々しい声で『寒いよ~凍えるよ~』と訴えていた。

トメは、柱についている天気予報時計をみつめながらイライラしていた。

志桜里《しおり》は、ひどくおたついていた。

この時、昭久《あきひさ》とかおるとあつことてつやと竜史《たつし》はまだ帰宅していなかった。

こんな非常時に、なんしよんかしら…

トメは、イライラしながら昭久《あきひさ》たちの帰りを待っていた。

祐希《ゆうき》は、この日の日中市民の森にある大蓮池《はすいけ》に落ちておぼれた…

しかし、祐希《ゆうき》には前科があった。

8年前の2010年の4月頃、祐希《ゆうき》は市民の森の広場のベンチでひとりで座っていた4歳の女の子に声をかけたあと無理やり連れ出した事件を犯した…

事件発生から48時間後に、玉川町竜岡《たまがわちょうりゅうおか》のダム湖の近くにある公園で保護された。

祐希《ゆうき》は、松山市中心部にあるパチンコ店で刑事たちに発見されたあと誘拐罪で逮捕された。

それから数ヶ月後に行われた裁判員裁判《さいばん》の最終弁論で、祐希《ゆうき》は裁判長に対してメソメソ泣きながら『ケームショはイヤだ!!もうちいちゃい子に近づきません…こらえてください…』と訴えた。

判決は、執行猶予9年の有罪判決を受けた。

祐希《ゆうき》は、シャクホウされたあと昭久《あきひさ》たちのもとへ移った…

しかし、執行猶予期間中にまた同じあやまちを犯した…

この時、家族は限度を大きく超えていた…

これ以上、祐希《ゆうき》を家に置いておくわけにはいかない…

ケームショへ行ってもらうより他にはない…

昭久《あきひさ》たちは、口々に祐希《ゆうき》に対する攻撃を強めた。

家族の悲劇は、ここより始まる。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

隠れドS上司をうっかり襲ったら、独占愛で縛られました

加地アヤメ
恋愛
商品企画部で働く三十歳の春陽は、周囲の怒涛の結婚ラッシュに財布と心を痛める日々。結婚相手どころか何年も恋人すらいない自分は、このまま一生独り身かも――と盛大に凹んでいたある日、酔った勢いでクールな上司・千木良を押し倒してしまった!? 幸か不幸か何も覚えていない春陽に、全てなかったことにしてくれた千木良。だけど、不意打ちのように甘やかしてくる彼の思わせぶりな言動に、どうしようもなく心と体が疼いてしまい……。「どうやら私は、かなり独占欲が強い、嫉妬深い男のようだよ」クールな隠れドS上司をうっかりその気にさせてしまったアラサー女子の、甘すぎる受難!

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語

六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。

【短編小説】親友と紹介された女の子

遠藤良二
現代文学
 今日は一年の始まりの元旦。友人と二人で初詣に行った。俺はくじを引いたら大吉だった。「やったー!」 と喜んだ。嬉しい。 俺の名前は|大坂順二《おおさかじゅんじ》という。年齢は二十歳で短期大学を卒業したばかり。今は四月で仕事はコンクリートを製造する工場で働いている。仕事はきついけれど、人間関係が楽しい。気の合うやつらばかりで。肉体労働なので細マッチョ。もう一人の友人は会社の同僚でそいつも大吉だった。

壁乳

リリーブルー
BL
俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。 (作者の挿絵付きです。)

鬼母(おにばば)日記

歌あそべ
現代文学
ひろしの母は、ひろしのために母親らしいことは何もしなかった。 そんな駄目な母親は、やがてひろしとひろしの妻となった私を悩ます鬼母(おにばば)に(?) 鬼母(おにばば)と暮らした日々を綴った日記。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

迷子の神絵師を助けたら、妙に懐かれてしまった私の日常と生活について

コタツの上
現代文学
雨中の迷子・駅前の酔っぱらい・律儀な客――形を変えて何度も出会った迂闊な女、羽鳥湊咲。いつも目元の隈が消えない彼女は、なぜか私の傍では上手く眠れると言う。 湊咲の秘密と、流れる季節と、美味しい食事の中で。 不器用に近づいていく私たちの日常は、少しずつ変わっていく。 “きっと他の誰かでもよかった。でも、あなただった。”

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

処理中です...