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第3話・どうぞこのまま
【アメリカンフィーリング】
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時は、12月23日の正午過ぎのことであった。
ところ変わって、ミンジュンさんが勤務している総合病院の食堂にて…
ミンジュンさんは、1セット5ドル50セントのBランチを注文して、ランチを摂ろうとしていた時であった。
この時、看護婦さんがイラついた表情でコードレスホンの子機を持って、ミンジュンさんのもとへやってきた。
「富永先生!!うちらに仕事中の私用電話はせられんと言うといてなんやねん一体もう!!」
(ドスーン!!)
看護婦さんは、右コブシでテーブルを殴りつけたあと、ブツブツ言いながらミンジュンさんのもとから立ち去った。
なんでそないに目くじら立てて怒っとん…
ミンジュン、しんどい…
ミンジュンさんは、ブツブツ言いながらコードレスホンの子機を持って話した。
「おかーさん、ミンジュンはお見合いイヤといよんのにどうして勝手に話を進めるのよ…えっ…アアアアアアアアアアアア!!」
ミンジュンさんは、思わずすっとんきょうな声をあげた。
電話は大番頭はんからであった。
そうとも知らずにあななことを言うたミンジュンさんは、大番頭はんからどぎつい声でおらばれた。
「すみませんでした…すみませんでした…すみませんでした…」
ミンジュンさんは、思い切り赤っ恥をかいたようだ。
12月24日、私とミンジュンさんは旅に出ることにした。
大番頭はんから受け取った電報は次のように書かれていた。
一ガツ一ニチヨリ、プロジェクトヲカイシスル…スグニタビダテ!!
これからハイスクール卒業式までの間、イワマツを作るプロジェクトと難易度の高い国家資格取得試験とプリント学習に加えて、卒業後に進学する予定のアメリカ合衆国の医大へ入学するための準備をしなければならないので、なにかと忙しくなる。
イワマツを作るプロジェクトは、1月1日から始動する。
時は、12月26日の朝8時頃のことであった。
私とミンジュンさんが乗っている専用機が高松空港に到着した。
専用機を降りた私とミンジュンさんは、車に乗って屋島へ向かった。
時は、8時40分頃のことであった。
場所は、屋島中町にある理髪店にて…
理髪店の前に立っている白のとんがり帽子の青赤の交互ななめのサインポールとかべについているガス灯の小さなトリコロールがくるくると回っている…
理髪店は、波止浜の施設で一緒に暮らしていた桃田なみさん(私より15歳年上)が働いている店である。
店内には、なみさんと経営者の十川あらたさんとあさみさん夫婦と28歳の女性従業員さんの4人が開店準備をしている。
その時に、私とミンジュンさんが店にやって来た…
「いらっしゃーい…まあ、よーくん。」
「なみさん。」
「よーくん、久しぶりやねぇ…ホンマにおおきなったねぇ…」
「はっ、おかげさまで…」
なみさんは、私を空いているチェアに案内した。
「よーくん、髪の毛がほがそ(ぐちゃぐちゃ)になってはるわね…お顔をきれいにしておこうね。」
私が空いているチェアにこしかけたあと、なみさんは私の身体にカバーをかけた…
「よーくんの好きなお歌かけておくわね。」
なみさんは、ユーセンのチューナーのボリュームを少し上げたあと、散髪を始める準備をする。
ユーセンのスピーカーから、中森明菜さんの歌で『スローモーション』が聞こえた。
(シュッ、シュッ、シュッ、シュッ…)
なみさんは、かたくなっている私の髪の毛をやわらかくするために霧吹きを使って濡らす。
かたくなっていた髪の毛がやわらかくなったあと、なみさんはクシで髪の毛をきれいにとぐ。
(チョキンチョキンチョキン…チョキンチョキンチョキン…)
なみさんは、はさみを入れて私の髪の毛をていねいにカットする。
ほがそになっていた髪の毛は、はさみでカットされてバラバラになって、床に散らばった。
「よーくん、髪の毛がだいぶのびてはるね。」
曲は、石井明美さんの歌で『CHA-CHA-CHA(チャチャチャ)』に変わった。
なみさんは、お顔をそるシャボンが入っている入れ物を手に取って、小さな筆でかき混ぜている。
私の顔には、ひげと顔のうぶ毛をやわらかくするための蒸しタオルがのってる。
「よーくん、お顔をきれいにしようね。」
なみさんは、顔にのっていた蒸しタオルをのけたあと、シャボンを顔に塗る。
シャボンを塗ったあと、なみさんはカミソリを使って、ていねいにお顔をそる。
ユーセンのスピーカーからは、1980年代にはやった日本の歌謡曲が次々と流れている。
『CHA-CHA-CHA』『六本木純情派』『愛が止まらない』『runner(爆風スランプ)』『恋一夜』『赤いスイトピー』『けんかをやめて』『ファーストデイト』『romanticが止まらない』『涙のリクエスト』『男と女のラブゲーム』『スニーカーぶるーす』『チャコの海岸物語』『楽園のDoor』『待つわ』『めだかの兄妹』『初恋』『大都会』『メモリーグラス』『まちぶせ』『男の勲章』『お嫁サンバ』『ルビーの指輪』『泣かないで(舘ひろし)』『夢の途中』『メインテーマ』…
私がアメリカの学校にいた80年代に、日本でこんな歌がはやっとたんや。
なみさんは、私のお顔をそったあと髪の毛をシャンプーしている。
ユーセンのスピーカーから、松本伊代さんの歌で『センチメンタルジャーニー』が流れている。
私の髪の毛をシャンプーしているなみさんは、私にやさしい声で言うた。
「よーくんがアメリカの学校にいた80年代に日本ではユーセンで流れてはる歌がはやっとったんよ。」
ホンマやねぇ…
この日の午前中、他にお客さまがいなかった。
私は、ユーセンのスピーカーから流れている歌をゆっくり聴くことができた。
散髪が終わる頃、サーカスの歌で『アメリカンフィーリング』がスピーカーから流れていた…
歌を聴いている私は、気持ちを奮い立たせていた。
さあ、髪の毛とお顔がさっぱりしたけん、またがんばって行こう。
ところ変わって、ミンジュンさんが勤務している総合病院の食堂にて…
ミンジュンさんは、1セット5ドル50セントのBランチを注文して、ランチを摂ろうとしていた時であった。
この時、看護婦さんがイラついた表情でコードレスホンの子機を持って、ミンジュンさんのもとへやってきた。
「富永先生!!うちらに仕事中の私用電話はせられんと言うといてなんやねん一体もう!!」
(ドスーン!!)
看護婦さんは、右コブシでテーブルを殴りつけたあと、ブツブツ言いながらミンジュンさんのもとから立ち去った。
なんでそないに目くじら立てて怒っとん…
ミンジュン、しんどい…
ミンジュンさんは、ブツブツ言いながらコードレスホンの子機を持って話した。
「おかーさん、ミンジュンはお見合いイヤといよんのにどうして勝手に話を進めるのよ…えっ…アアアアアアアアアアアア!!」
ミンジュンさんは、思わずすっとんきょうな声をあげた。
電話は大番頭はんからであった。
そうとも知らずにあななことを言うたミンジュンさんは、大番頭はんからどぎつい声でおらばれた。
「すみませんでした…すみませんでした…すみませんでした…」
ミンジュンさんは、思い切り赤っ恥をかいたようだ。
12月24日、私とミンジュンさんは旅に出ることにした。
大番頭はんから受け取った電報は次のように書かれていた。
一ガツ一ニチヨリ、プロジェクトヲカイシスル…スグニタビダテ!!
これからハイスクール卒業式までの間、イワマツを作るプロジェクトと難易度の高い国家資格取得試験とプリント学習に加えて、卒業後に進学する予定のアメリカ合衆国の医大へ入学するための準備をしなければならないので、なにかと忙しくなる。
イワマツを作るプロジェクトは、1月1日から始動する。
時は、12月26日の朝8時頃のことであった。
私とミンジュンさんが乗っている専用機が高松空港に到着した。
専用機を降りた私とミンジュンさんは、車に乗って屋島へ向かった。
時は、8時40分頃のことであった。
場所は、屋島中町にある理髪店にて…
理髪店の前に立っている白のとんがり帽子の青赤の交互ななめのサインポールとかべについているガス灯の小さなトリコロールがくるくると回っている…
理髪店は、波止浜の施設で一緒に暮らしていた桃田なみさん(私より15歳年上)が働いている店である。
店内には、なみさんと経営者の十川あらたさんとあさみさん夫婦と28歳の女性従業員さんの4人が開店準備をしている。
その時に、私とミンジュンさんが店にやって来た…
「いらっしゃーい…まあ、よーくん。」
「なみさん。」
「よーくん、久しぶりやねぇ…ホンマにおおきなったねぇ…」
「はっ、おかげさまで…」
なみさんは、私を空いているチェアに案内した。
「よーくん、髪の毛がほがそ(ぐちゃぐちゃ)になってはるわね…お顔をきれいにしておこうね。」
私が空いているチェアにこしかけたあと、なみさんは私の身体にカバーをかけた…
「よーくんの好きなお歌かけておくわね。」
なみさんは、ユーセンのチューナーのボリュームを少し上げたあと、散髪を始める準備をする。
ユーセンのスピーカーから、中森明菜さんの歌で『スローモーション』が聞こえた。
(シュッ、シュッ、シュッ、シュッ…)
なみさんは、かたくなっている私の髪の毛をやわらかくするために霧吹きを使って濡らす。
かたくなっていた髪の毛がやわらかくなったあと、なみさんはクシで髪の毛をきれいにとぐ。
(チョキンチョキンチョキン…チョキンチョキンチョキン…)
なみさんは、はさみを入れて私の髪の毛をていねいにカットする。
ほがそになっていた髪の毛は、はさみでカットされてバラバラになって、床に散らばった。
「よーくん、髪の毛がだいぶのびてはるね。」
曲は、石井明美さんの歌で『CHA-CHA-CHA(チャチャチャ)』に変わった。
なみさんは、お顔をそるシャボンが入っている入れ物を手に取って、小さな筆でかき混ぜている。
私の顔には、ひげと顔のうぶ毛をやわらかくするための蒸しタオルがのってる。
「よーくん、お顔をきれいにしようね。」
なみさんは、顔にのっていた蒸しタオルをのけたあと、シャボンを顔に塗る。
シャボンを塗ったあと、なみさんはカミソリを使って、ていねいにお顔をそる。
ユーセンのスピーカーからは、1980年代にはやった日本の歌謡曲が次々と流れている。
『CHA-CHA-CHA』『六本木純情派』『愛が止まらない』『runner(爆風スランプ)』『恋一夜』『赤いスイトピー』『けんかをやめて』『ファーストデイト』『romanticが止まらない』『涙のリクエスト』『男と女のラブゲーム』『スニーカーぶるーす』『チャコの海岸物語』『楽園のDoor』『待つわ』『めだかの兄妹』『初恋』『大都会』『メモリーグラス』『まちぶせ』『男の勲章』『お嫁サンバ』『ルビーの指輪』『泣かないで(舘ひろし)』『夢の途中』『メインテーマ』…
私がアメリカの学校にいた80年代に、日本でこんな歌がはやっとたんや。
なみさんは、私のお顔をそったあと髪の毛をシャンプーしている。
ユーセンのスピーカーから、松本伊代さんの歌で『センチメンタルジャーニー』が流れている。
私の髪の毛をシャンプーしているなみさんは、私にやさしい声で言うた。
「よーくんがアメリカの学校にいた80年代に日本ではユーセンで流れてはる歌がはやっとったんよ。」
ホンマやねぇ…
この日の午前中、他にお客さまがいなかった。
私は、ユーセンのスピーカーから流れている歌をゆっくり聴くことができた。
散髪が終わる頃、サーカスの歌で『アメリカンフィーリング』がスピーカーから流れていた…
歌を聴いている私は、気持ちを奮い立たせていた。
さあ、髪の毛とお顔がさっぱりしたけん、またがんばって行こう。
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