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第7話

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あの日を境にアタシとタメルランはそれっきりになった。

タメルランと別れた翌日のことだった。

ところ変わって、フライドチキン屋さんにて…

アタシがバイトをしていた時、店のチーフが『従業員口に、年輩の男性の方がアリョーナさんに会いにきている。』と声をかけた。

何事かと思ったアタシは、従業員口へ行ってみた。

店の従業員口に、タメルランの父親と幼いきょうだいたちがいた。

タメルランの父親は、アタシに『タメルランをみなかったか?』とたずねた。

アタシは『みていない。』と答えた。

そしたら、タメルランの父親はアタシにあつかましい声で言うた。

「アリョーナさん!!うちは今とても困っているのだぞ!!」
「だから、あんたたちは何に困っていると言うのよ!?あいつ(タメルラン)とアタシはとっくに別れたのよ!!あいつがどうなろうとも、アタシは知らないわよ!!」

アタシは、タメルランが1月7日に結婚式場で起こしたもめごとをタメルランの家族に話した。

その際に、タメルランが口にした新婦さんの名前をあげた。

しかし、タメルランの父親は『ワシはそんな女なんか知らない!!』と言うた。

「ナタリアさんと言う女性なんか、ワシは知らんぞ!?」
「ええ?知らない?」
「あれは、タメルランの狂言だ!!」
「ちょっ、ちょっと待ってくださいあいつはナタリアさんのことが…」
「あんたはタメルランのことをよく知らないようだな!!」
「ちょっと、それはどう言うことなのよ!?」
「タメルランは、見境がつかなくなったらところかまわずにゴタゴタを起こすんだぞ!!わしらは、ナタリアさんと新郎さんの家にあやまりに行った…なのに、許してくれなかった…ナタリアの両親が激怒していた…新郎さんは職場に出勤しなくなった…わしらは、タメルランを一生許さない!!」

タメルランの父親が目を真っ赤に染めて激怒していたので、アタシの気持ちはより不安定になった。

「アリョーナさん!!もしタメルランを見たらすぐにワシに知らせてくれ!!たのむ、この通りだ!!」

タメルランの父親は、アタシに言うたあと家族を連れて立ち去った。

アタシは、ボーゼンとした表情でたたずんでいた。

午後3時頃であった。

バイトを終えたアタシは、ウォーターフロントにあるクリストファー・コロンブス・ウォーターフロント公園に行った。

アタシは、公園のベンチにこしかけてゆっくりと考えごとをした。

あいつが思い違いをして、新婦さんの控え室に土足で上がった…

…と言うことは、新婦さんとあいつの関係はムカンケイだと言うことよね…

つまり、あいつは…

祝儀袋のカネを強奪する目的で…

ゴタゴタを起こした…

後になって、問題となっていたナタリアさんの胎内にいる赤ちゃんの父親は、タメルランではないことがわかった。

ナタリアさんの胎内にいる赤ちゃんの父親は、新郎さんの直属の上司の男だった。

ナタリアさんは、新郎さんの直属の上司に犯されて妊娠した。

激怒した新郎さんは、職場を相手取って損害賠償請求訴訟を起こした。

話しがコロコロと変わって行く…

一体、どうなっているのよ!?

一体、何が真実なの!?

もし、タメルランと会ったら『ふざけるな!!』と怒鳴りつけて往復ビンタを前回の2~3倍・ううん、10倍喰らわせたいと言う気持ちにかられた。

アタシの怒りは、さらに増幅した。

アタシは、タメルランの父親が来たあの日を境にタメルランとの距離はますます遠くなった。

タメルランは、アメリカ合衆国に不法入国していたうたがいで、FBI(連邦捜査当局)からも追われる身になった。

そんな中でも、アタシはいつも通りにフライドチキン屋さんとナイトクラブのバイトを続けた。

2月4日のことであった。

アタシは、インテリア家具屋さんのおかみさん夫婦からお見合いの話をすすめられた。

アタシのお見合い相手は、ビーコンヒルのエーコン通りに住んでいるボブさんと言う35歳の男性である。

職業は、マサチューセッツ州の州庁の職員で年収は10万ドル…

最終学歴は、コネチカット州の州立大学の通信制卒業である。

ボストンの大学と言うたら、ハーバード大学やマサチューセッツ州立工科大学などの一流大学が思い浮かぶけど、コネチカット州の大学の通信制と聞いたから、ワケが分からなくなった。

ボブさんは、精神面の不安定を理由に通っていたハイスクールを中退した。

働きながら学べる通信制のハイスクールに替えて、ハイスクールの卒業の単位を取得した。

コネチカット州の州立大学の通信制は、知人のコネで進学した。

同時に、マサチューセッツ州の州庁に再就職した。

通信制大学卒業後も、引き続き州庁で働いている。

…と聞いたけど、それは本当かしら~

アタシは、おかみさんからボブさんは結婚に関して深刻な問題を抱えていると言う話を聞いた。

ボブさんは、本来ならばお母さまがとなり近所の家の娘さんとの結婚の約束を取り付けていた。

しかし、ボブさんが『ちがう女に替えろ!!』と言うて家の中で暴れた。

こわくなったおかあさまは、テキトーにアタシを選んだ…

…ということである。

ボブさんが本来結婚をするはずだった女性は、約束を取り付けた時点ではまだ15歳で成人年齢に達してなかった。

女性がハイスクールを卒業後に結婚の約束を取り付けた。

しかし、ハイスクールを卒業する3ヶ月前に『大学に行きたい。』と女性が言うた。

女性のお母さまから『娘が大学を卒業するまで待ってください。』と伝えられたので、卒業までの4年間待たされることになった。

大学卒業が間近になった時、女性は『大学院に行きたい。』と言うたので、さらに6年待たされることになった。

ボブさんは『これ以上は待てない!!女替えろ!!』と怒号をあげて家中を暴れ回った。

ひどく動揺したおかあさまは、インテリア家具屋さんのおかみさんにテキトーにお願いした。

だから、おかみさんはテキトーにアタシを選んだ。

今回のお見合いは、何の準備もしていない中でお見合いすることになった。

お見合いの日取りは、2月8日にバックベイ中心部にあるトリニティ教会の近くにある洋食レストランでお見合いをすることになった。

しかし、予約を入れた先の店の店主が電話口でいやそうな声で言うた。

2月8日は、レストランの予約の客がほぼ満杯である…

そんな中で急な予約のお客さまが来たので、店主が電話口でいやそうな声をしたと思う。

何とかキャンセル待ちが出た。

予約をひとつ確保できたものの、料理はハンバーガー2~3個とコンソメスープ…

…と、テキトーなメニューであった。

あまりにもテキトーすぎるから、お見合いはうまく行かない…

…とアタシは思った。

そして2月8日、お見合いの日がやって来た。

場所は、トリニティ教会のすぐ近くにある洋食レストランにて…

ボブさんは、お母さまと一緒に30分早くレストランに到着していた。

テーブルの上には、スープのお皿とスプーンとミネラルウォーターが入っている大きめのタンブラが置かれている。

ふだんならば、料理長おまかせのフルコースランチでいろんな料理が出てくるようになっている。

けど、急な予約に料理長さんがウンザリしていたので、見習いのコックがおつかいで買ったマクドのビックバーガーがお皿の上に載っていた。

店で用意できるのは、コンソメスープだけ…

インテリア家具屋さんのおかみさんはソワソワしながらアタシが到着するのを待っていた。

ボブさんは、イライラキリキリとした表情を浮かべている。

お母さまは、オタオタした声でおかみさん夫婦に言うた。

「あのー、すみませんけど…お見合いの日にちを替えてほしいのですが…」
「日を替えてほしいって?」
「ちょっと、都合が悪くなったのです…」

そんな中で、アタシは約束のギリギリの時間に店に到着した。

アタシは、濃いピンク色のキャミソールでブラのストラップが見えている状態の上から白のブラウスを羽織って、ボタンは1個だけ止めて、下は黒のデニムパンツをはいて、足もとにはボロボロになっているスニーカーをはいた姿で、赤茶色のバッグを持って店にやって来た。

顔のメイクも、どぎつい色で染めている。

きちんとした服装でお見合いの席にいたボブさんとボブさんのお母さまはビックリした。

だらしないカッコウのアタシをみたボブさんは、ナイトクラブのホステスかと思った。

あのね…

これしか着て行く服がないのよ!!

アタシは、ふてくされた表情を浮かべた。

…と言うわけでお見合いは始まった。

開始早々から、雰囲気は険悪になった。

ボブさんは、出されたハンバーガーを大きな口をあけて豪快に食べた。

コンソメスープのいただき方も、ずるずると音を立てるなど、下品だ…

アタシは『ボブさんは、テーブルマナーをゼンゼン理解していないねぇ…』としらけていた。

ボブさんは、食事を終えた後にタンブラに入っているミネラルウォーターをごくごくとのみほした。

そして、おかみさん夫婦に結婚を強行すると言うた。

「おかみさん…今すぐに…アリョーナさんと結婚します…月曜日に婚姻届けを出します…」

ボブさんが唐突にアタシとの結婚を申し込んだ。

それを聞いたおかみさんは、困り果てた。

「ボブさん、結婚したいと言うお気持ちはよく分かるけど、もう少し時間を置いてみてはどうですか?」

おかみさんは、ボブさんに『おかあさまと話し合いをしてから決めた方が…』と言うた。

けど、ボブさんはますますイコジになった。

「いいや!!待てない!!」
「ボブさん。」
「話し合いって、何をどう話し合えと言うのですか!?」
「どうしてって…結婚は大切な問題なのだから、話し合いをして決めた方が…」
「そんな時間なんか1分もない!!オレは35歳であとがないのだよ!!」
「ボブさん。」

ボブさんのイライラが頂点に達したので、ボブさんのお母さまはおかみさんに切迫つまった声で言うた。

「おかみさん…ボブはこれ以上は待てないのです…ボブの怒りを鎮めるために…お願いします。」
「お母さま、本当にそれでいいのですか?先に約束をなされていた娘さんとの結婚のことも選択の余地を残しておいた方が…」
「それはムリです!!先に結婚を約束をしていた娘さんは、大学院に行きたいと言うて先延ばしにしたのです…あとになって、進学をするどころか、卒業の3ヶ月前に大学を休学したのです…ダラダラした状態が今も続いているのです!!…うちらは、だまされたのですよ!!だから、アリョーナさんとボブの婚姻届けを書かせます…」

ボブさんのお母さまは、おかみさんの言葉を一方的にさえぎって、アタシとボブさんの結婚を強行すると言うた。

おかみさんは、ボブさんのお母さまを説得することを断念した。

アタシは、おかみさんからボブさんのイライラを鎮めるために結婚をしてほしいと言われたので、仕方なくボブさんと結婚をすることにした。

アタシは、ボブさんと結婚はするけど婚姻届なんか出さないから…(ひねくれ顔)
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