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第23話・もしも明日が

【哀しみ本線日本海】

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(ピーッ、ゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトン…ゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトン…)

時は、夜7時半頃であった。

私は、JR大阪駅から最終の特急はくとに乗って鳥取方面へ向かった。

ドナ姐《ねえ》はんを探しに京都に行ったとばかり思っていた…

だが、あとになって近畿北部へ行ったことが分かった。

ドナ姐《ねえ》はんはどこへ行ったのか?

天橋立《はしだて》…

城崎温泉《きのさき》…

香住《かすみ》…

それとも、浜坂《はまさか》…

どこなのだ?

ところ変わって、列車の中にて…

私は、自由席車の窓側の席に座っていた。

小さなテーブルの上には、沢の鶴の1・5合の酒《ワンカップ》とアテのスルメイカとファミチキが置かれていた。

私は、ウォークマンで歌を聴きながら夜の風景を見つめていた。

イヤホンから森昌子さんの全曲集に収録されている歌がたくさん流れていた。

『せんせい』『おかあさん』『彼岸花』『立待岬』『越冬つばめ』『愛傷歌(あいしょうか)』『哀しみ本線日本海』…

…………

私は、酒《ワンカップ》をひとくちのんだあと大きくため息をついた。

列車は、上郡駅《かみごおり》から智頭急行《ちずきゅうこうせん》~因美線《いんびせん》を通って、鳥取方面へ向かった。

夜10時過ぎであった。

列車が終点・鳥取駅に到着した。

ショルダーバッグを持って列車から降りた私は、改札口を通って外へ出た。

(ブロロロロ…)

それから60分後であった。

私は、ヒッチハイクした長距離トラックに乗って旅に出た。

トラックは、国道9号線を通って豊岡方面へ向かった。

日付けが変わって、10月9日の深夜2時半頃であった。

私が乗っていたトラックは、香住町《かすみちょう》の国道9号線沿いにある終夜営業のラーメン屋に着いた。

私は、ショルダーバッグを持ってトラックから降りたあとラーメン屋に入った。

ところ変わって、ラーメン屋の中にて…

店内には、トラックの運転手《うんちゃん》たち数人がいた。

私は、おでんとぎょうざと白ごはんで夜食を摂りながらつぶやいた。

これからどこへ行こうか…

ドナ姐《ねえ》はん…

ドナ姐《ねえ》はんは…

今、どこにいるのだろうか?

(ザザーン、ザザーン、ザザーン、ザザーン…)

時は、10月9日の夕方4時頃であった。

ところ変わって、県道香美久美浜線沿いにある海岸にて…

ショルダーバッグを持っている私は、沢の鶴の酒《ワンカップ》をのみながら夕暮れの海を見つめながらつぶやいた。

この先、どうすればいいのだ…

ドナ姐《ねえ》はんは、どこにいるのか?

ドナ姐《ねえ》はんを大急ぎで見つけないと…

手遅れになってしまう…

どうすればいいのだ…

私は酒《ワンカップ》をのみほしたあと、泣きそうな声で『哀しみ本線日本海』をワンコーラス歌った。

しかし、歌っている途中で泣き出した。

「うううううううううううううううううううううううううううううう…お嫁さんがいないと…生きて行くことができない…一人では…生きて行くことができない…うううううううううううううううううううううううううううううううううううう…」

つらい…

おんまくつらい…

男ひとりで生きて行くのは…

ものすごくつらい…

「うううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううう…ううううううううううううううううううううううううううううううううううううううう…」

私は、森昌子さんの代表曲のひとつ『越冬つばめ』を震える声で歌った。

ワンコーラス歌ったあと、大泣きした。

だけと、それで気持ちが晴れなかった。

男ひとりで生きて行くことはできない…

お嫁さんがいないと…

生きて行けないよぅ~
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