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第23話・もしも明日が

【恋唄綴り】

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時は、1994年10月8日の朝9時半頃だった。

岡山でヒッチハイクした長距離トラックが神戸市灘区の国道2号線と43号線がクロスする岩屋交差点《こうさてん》の付近にあるローソンに到着した。

ショルダーバッグを持ってトラックから降りた私は、JR灘駅へ向かって歩いた。

(ピーッ、ゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトン…)

私は、JR灘駅から米原行きの新快速電車に乗って京都へ向かった。

京都駅に新快速電車が到着したのは、12時1分頃だったと思う。

ショルダーバッグを持って電車から降りた私は、改札口を通って駅の外へ出た。

その後、京阪本線の電車に乗り継いで祇園四条駅《ぎおんしじょう》へ向かった。

祇園四条駅《ぎおんしじょう》で電車から降りた私は、大急ぎで目的地へ向かった。

ドナ姐《ねえ》はんの知り合いの人が先斗町通《ポントちょうどお》りで御茶屋《おちゃや》を営んでいる…

…と言う話を聞いたので、大急ぎで向かおうとした。

しかし…

(グーッ…)

この時、私のお腹がグーッと鳴った。

ああ…

こんな時に腹がへるなんて…

けれど…

ごはんを食べなきゃ…

ところ変わって、四条大橋のすぐ近くにあるすき家(牛丼屋)にて…

私は、牛丼の大盛りと冷や奴とみそ汁の健康セットでランチを摂った。

時は、午後1時過ぎだった。

私がごはんを全部食べ終えた時に、ヤキソバヘアでももけた腹巻き姿の番頭《ばんと》はんがやって来た。

番頭《ばんと》はんは、なれなれしい声で店の人に言うた。

「すいやせん…ビールといつもの頼むね…ヒヒヒヒ…」

その後、番頭《ばんと》はんは図々しく私が座っている籍にやって来た。

番頭《ばんと》はんは、私のもとにやって来るなりになれなれしい声で言うた。

「あっ、おったおった…」

私は、怒った声で言うた。

「なんや…なにしに来たのだ!?」

番頭《ばんと》はんは、ふざけた声で言うた。

「そないに怒らんでもええやん…ワテは、こちらの席が空いていたから…」
「他へ行けよ!!」
「そないに怒らんでもええやん~ワテはあんさんとごはんが食べたいねん~」
「ふざけるな!!」

思い切り怒った私は、ショルダーバッグを持って席から立った。

番頭《ばんと》はんは、気色悪い声で私に言うた。

「おや、どちらへ行きますか?」
「おあいそして出るのだよ!!」
「もうお帰りでおますか?」
「ふざけるな!!」

思い切り怒った私は、ショルダーバッグを持って席から離れたあとレジで会計をした。

レジで会計をすませた私は、ショルダーバッグを持って店から出た。

この時、店員さんが番頭《ばんと》はんが頼んだビールとアテを持って来た。

「へえ、おおきに。」

その後、番頭《ばんと》はんはニヤニヤとした表情でビールをのんだ。

それからまた40分後であった。

またところ変わって、二条城《ニジョウゴショ》の北大手門から上へ歩いて300から400メートル先の通りにあるファミマにて…

私は、ここで今夜食べる分の食料と酒を購入した。

レジで会計を済ませたあと、店から出た。

その後すぐに目的地へ向かおうとしたが、そこでえげつない現場をまた目撃した。

事件は、店舗の裏側にある従業員口で発生した。

従業員口付近で、なさけない男と女性従業員さんがもめている声が聞こえた。

こともあろうに、なさけない男は岡山のお寺さんで番頭《ばんと》はんともめたジョウネンジだった。

あのヤロー…

京都《ここ》になにしに来たのだ!?

私は、現場の80メートル手前の場所に接近した。

そこで私は、ふたりの会話を聞いた。

「イヤ!!イヤと言うたらイヤ!!」
「なんだよぅ…オレはお前じゃないとだめなんだよ~」
「なんでうちに求めて来るのよ!?」
「オレの周りの女は、冷たい女ばかりなんだよ~」
「だったら奥さんのもとへ帰りなさいよ!!」

あのヤローにしつこく求められている女は、たしかテレクラかなんかで知り合ったアレの関係だけの女か?

あのヤローは、女になにを求めているのだ?

あのヤローは、お嫁さんのことがそんなにキライなのか?

…と考えた。

あのヤローは、なおも女に求めつづけた。

「たのむ…ダンナと別れてくれ…オレとサイコンしてくれ~」
「イヤと言うたらイヤ!!」
「なんでイヤなんだよ~」
「奥さんはどうするのよ!?」
「妻とフナカになったのだよ…妻がこの頃、暴力をふるうようになったのだよ~」

それはオドレがお嫁さんをソマツにしたからだろ…

それにはやく気づけよこのボケ野郎!!

私は、全身をぶるぶると震わせながら怒り狂った。

あのヤローは、なおも女に求めつづけた。

「たのむ…オレのそばにいてくれ~」
「イヤ!!イヤと言うたらイヤ!!」
「オレはお前じゃないとだめなんだよ~」
「ふざけるな!!」

(パチーン!!)

思い切りブチ切れた女性従業員さんは、平手打ちであのヤローの顔を激しくたたいたあと中に逃げ込んだ。

ことの次第を聞いた私は、ゆっくりと現場から立ち去った。

この時、私はドナ姐《ねえ》はんの知人が経営している御茶屋《おちゃや》へ行こうと思ったが、行くことを断念した。

(ピーッ、ゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトン…ゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトン…)

時は、午後4時頃だった。

私は、JR京都駅から播州赤穂行きの新快速電車に乗って大阪方面へ逃げた。

こわい…

おんまくこわい…

早く逃げなきゃ…

時は夕方5時半頃だった。

ところ変わって、大阪キタの新地・曽根崎通りにて…

私は、ショルダーバッグとファミマで購入した酒と食べ物が入っているレジ袋を持って通りを歩いていた。

通りにある店の看板の灯りとネオンが灯っていた。

若いカップルさんたちと大学生のグループたちと若い女性のグループたちが通りを歩いていた。

通りのスピーカーから、堀内孝雄さんの歌で『恋唄綴り』が流れていた。

通りに面した店の前に、客引《ポンび》きのニイチャンが『お安くしときますよ~』などと言うてカンユウしていた。

私は、そんなヒマはないのだよ…

悪いけど、他の客を選べよ…

私は、背中でそうつぶやきながら歩いた。

さて、その頃であった。

またところ変わって、京都中京区木屋之町《きょうとなかぎょうきやのちょう》にあるファミマにて…

例の事件が発生したファミマの従業員口にあのヤローがいた。

女性従業員さんに対してしつように愛を求めたあのヤローは、にえきらない表情を浮かべていた。

あのヤローは、女性従業員さんが出てくるのを待っていた。

そこへ、ヤキソバヘアでももけたハラマキ姿の番頭《ばんと》はんがやって来た。

「コラ御曹司《クソガキ》!!ちょっと話しがあるからテメェのツラを貸せ!!」
「なんやこの野郎!!ワーッ!!」

思い切りブチ切れたあのヤローは、番頭《ばんと》はんをボコボコに殴りつけた。

「やめろ…殺さないでくれ~」

番頭《ばんと》はんは、必死になって助けを呼んだ。

この時であった。

派手なシャツを着た10人前後のチンピラたちがかけつけた。

「ああ!!」
「竹宮《アニキ》!!」
「テメェ!!よくも竹宮《アニキ》をどつき回したな!!」
「なんやオドレ!!ワーッ!!」

思い切りブチ切れたあのヤローは、10人前後のチンピラたちに殴りかかった。

しかし、あのヤローは返り討ちを喰らった。

「離せ!!」
「オラ!!ふざけやがって!!」
「オドレ御曹司《クソガキャ》!!コンクリ詰めだ!!」
「イヤだ!!死にたくない!!」
「ふざけるなこの野郎!!」
「おい、連れて行け!!」
「へえ!!」

10人前後のチンピラたちは、ボロボロに傷ついたあのヤローを車に乗せたあと、現場から走り去った。

あのヤローは、その後コンクリ詰めに遭って亡くなった。

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