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第22話・砂の十字架
【雲にのりたい】
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時はうんと流れて…
2018年9月2日…
場所は、今治新都市《しんとし》のイオンモールのきらめきコートにて…
東西対抗会社経営者歌合戦は、24組目の社長さまおふたりがステージに上がった。
24組目からは、号泣ソングがつづく…
先攻東軍・68歳の輸入コスメ販売会社の女性社長さんが歌う曲目のイントロが流れた。
女性社長さんが歌う曲目は、黛《まゆずみ》ジュンさんの歌で『雲にのりたい』である。
音源は、発表された当時(1969年)の音であった。
ステージの後ろにいる私は、ひとことも言わずにじっと歌を聴いていた。
何年か前に、大阪の新歌舞伎座の長山洋子さんの座長公演に行った時のことを思い出した。
第二部のコンサートの最後の歌が『雲にのりたい』だった。
あの時も、私はじっと聴いていた。
私はまた、ものすごく悲しかった時分を思い出した。
(ピーッ、ゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトン…)
時は、1994年10月6日の朝6時50分頃であった。
私は、JR下松駅でトラックを降りたあと寝台特急《ブルートレイン》はやぶさに乗って西へ向かった。
私は、B寝台車の個室で寝ていた。
寝ている時も、私はウォークマンで歌を聴いていた。
イヤホンから黛ジュンさんの歌で『雲にのりたい』が流れていた。
私は、曲が終わるたびにテープを巻き戻して繰り返して聴いていた。
つらい…
おんまくつらい…
なんでこんな目に遭わなきゃいかんのだ…
私は、毛布をかぶったあと声をおさえながら泣いていた。
(ゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトン…キーッ…プシュー…)
朝8時半頃でだった。
寝台特急《ブルートレイン》が下関駅に到着した。
ショルダーバッグを持って列車から降りた私は、改札口を通って外に出た。
その後、私は下関市内一帯《しないいったい》を歩き回って大番頭《おおばんと》はんたちを探し回った。
仕事に必要な資格と修士号・博士号とアメリカ三軍の提督の位と陸自少年工科学校《りくじのダンシコー》と防衛大学校で支給された大金とイワマツの財産一式がないと仕事ができない…
あっても、ひとりの力だけで進めることは無理だ…
急げ…
時間がない…
時は、夕方4時頃であった。
私は、下関市内一帯《しないいったい》を歩き回って大番頭《おおばんと》はんたちを探し回った。
しかし、大番頭《おおばんと》はんたちを見つけることができなかった。
バンサクつきた…
もうだめだ…
ひどい悲しみにつつまれた私は、海を見つめながらつぶやいたあと下関の国際フェリーターミナルへ行こうと決めた。
マァマに会いに行こう…
マァマがいる韓国へ行こう…
………
2018年12月22日…
場所は、カナダ・プリンスエドワード島・フレンチリバーの本籍地の家の敷地にある特大豪邸の特大広間にて…
時は、夕方5時過ぎだった。
私は、テーブルに顔をふせて泣いていた。
テーブルの上には、エクスペリアのウォークマンが置かれていた。
イヤホンから長山洋子さんの歌で『雲にのりたい』が聞こえていた。
もちろん、一曲リピートにセットされていた。
(この時、大音量になっていた)
「うううううううううううううううう…桜子たち…アンナ…桜子たち…アンナ…うううううううううううううううううう…桜子たち…アンナ…桜子たち…アンナ…」
それから数分後であった。
私は、深眠《ねむり》についた。
この時、ものすごく悲しい時のことを思い出した。
時は、1994年10月6日の夕方4時半頃であった。
ところ変わって、下関国際フェリーターミナルにて…
私は、乗船申し込みの窓口に駆け込んだ。
この時、しめきり30分前であった。
私は、ものすごく切羽詰まった声で窓口にいる人に言うた。
「すみません!!」
「はい?」
「あの…きょうじゅうにプサン行きのフェリーに乗りたいのです!!…あの…空いている席はございますか!?」
「えっ?」
「空いている席があったら(チケット)1枚切ってください!!」
「えっ?」
「『えっ?』じゃなくて、チケット1枚切ってください!!」
「チケット1枚切ってって?」
「私は、きょうじゅうにプサン行きのフェリーに乗りたいのです!!フェリーに乗りたいからチケット1枚切ってください!!」
「あの…はちみつ大好きな…アレ…」
「それは『くまのプーさん』ですよ!!」
「えーと…無職がどうかしたのですか?」
「それは『プータロー』ですよ!!」
「あの…なんて言いましたか?」
「プサン!!」
「かわいいワンちゃん…」
「それは『プードル』ですよ!!」
「あの…ローンがまだ残っている…」
「それは『フサイ』ですよ!!私は切羽詰まってるのですよ!!」
「だからどうしたいのですか?」
「私は、きょうのプサン行きのフェリーに乗りたいのでチケット1枚切ってください!!」
「ですから、はちみつ大好きな…」
「もういい!!話にならん!!ふざけるな!!」
受付係の人が大パニックを起こしたので、プサン行きのフェリーのチケットを買うことができなかった。
どうしよう…
韓国へ行けなくなった…
マァマのもとへ行きたいのに…
行くことができなくなった…
サイアクだ…
サイアクだ…
日本《このくに》から出たいのに出ることができない…
どうしたらいいのだ…
2018年9月2日…
場所は、今治新都市《しんとし》のイオンモールのきらめきコートにて…
東西対抗会社経営者歌合戦は、24組目の社長さまおふたりがステージに上がった。
24組目からは、号泣ソングがつづく…
先攻東軍・68歳の輸入コスメ販売会社の女性社長さんが歌う曲目のイントロが流れた。
女性社長さんが歌う曲目は、黛《まゆずみ》ジュンさんの歌で『雲にのりたい』である。
音源は、発表された当時(1969年)の音であった。
ステージの後ろにいる私は、ひとことも言わずにじっと歌を聴いていた。
何年か前に、大阪の新歌舞伎座の長山洋子さんの座長公演に行った時のことを思い出した。
第二部のコンサートの最後の歌が『雲にのりたい』だった。
あの時も、私はじっと聴いていた。
私はまた、ものすごく悲しかった時分を思い出した。
(ピーッ、ゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトン…)
時は、1994年10月6日の朝6時50分頃であった。
私は、JR下松駅でトラックを降りたあと寝台特急《ブルートレイン》はやぶさに乗って西へ向かった。
私は、B寝台車の個室で寝ていた。
寝ている時も、私はウォークマンで歌を聴いていた。
イヤホンから黛ジュンさんの歌で『雲にのりたい』が流れていた。
私は、曲が終わるたびにテープを巻き戻して繰り返して聴いていた。
つらい…
おんまくつらい…
なんでこんな目に遭わなきゃいかんのだ…
私は、毛布をかぶったあと声をおさえながら泣いていた。
(ゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトン…キーッ…プシュー…)
朝8時半頃でだった。
寝台特急《ブルートレイン》が下関駅に到着した。
ショルダーバッグを持って列車から降りた私は、改札口を通って外に出た。
その後、私は下関市内一帯《しないいったい》を歩き回って大番頭《おおばんと》はんたちを探し回った。
仕事に必要な資格と修士号・博士号とアメリカ三軍の提督の位と陸自少年工科学校《りくじのダンシコー》と防衛大学校で支給された大金とイワマツの財産一式がないと仕事ができない…
あっても、ひとりの力だけで進めることは無理だ…
急げ…
時間がない…
時は、夕方4時頃であった。
私は、下関市内一帯《しないいったい》を歩き回って大番頭《おおばんと》はんたちを探し回った。
しかし、大番頭《おおばんと》はんたちを見つけることができなかった。
バンサクつきた…
もうだめだ…
ひどい悲しみにつつまれた私は、海を見つめながらつぶやいたあと下関の国際フェリーターミナルへ行こうと決めた。
マァマに会いに行こう…
マァマがいる韓国へ行こう…
………
2018年12月22日…
場所は、カナダ・プリンスエドワード島・フレンチリバーの本籍地の家の敷地にある特大豪邸の特大広間にて…
時は、夕方5時過ぎだった。
私は、テーブルに顔をふせて泣いていた。
テーブルの上には、エクスペリアのウォークマンが置かれていた。
イヤホンから長山洋子さんの歌で『雲にのりたい』が聞こえていた。
もちろん、一曲リピートにセットされていた。
(この時、大音量になっていた)
「うううううううううううううううう…桜子たち…アンナ…桜子たち…アンナ…うううううううううううううううううう…桜子たち…アンナ…桜子たち…アンナ…」
それから数分後であった。
私は、深眠《ねむり》についた。
この時、ものすごく悲しい時のことを思い出した。
時は、1994年10月6日の夕方4時半頃であった。
ところ変わって、下関国際フェリーターミナルにて…
私は、乗船申し込みの窓口に駆け込んだ。
この時、しめきり30分前であった。
私は、ものすごく切羽詰まった声で窓口にいる人に言うた。
「すみません!!」
「はい?」
「あの…きょうじゅうにプサン行きのフェリーに乗りたいのです!!…あの…空いている席はございますか!?」
「えっ?」
「空いている席があったら(チケット)1枚切ってください!!」
「えっ?」
「『えっ?』じゃなくて、チケット1枚切ってください!!」
「チケット1枚切ってって?」
「私は、きょうじゅうにプサン行きのフェリーに乗りたいのです!!フェリーに乗りたいからチケット1枚切ってください!!」
「あの…はちみつ大好きな…アレ…」
「それは『くまのプーさん』ですよ!!」
「えーと…無職がどうかしたのですか?」
「それは『プータロー』ですよ!!」
「あの…なんて言いましたか?」
「プサン!!」
「かわいいワンちゃん…」
「それは『プードル』ですよ!!」
「あの…ローンがまだ残っている…」
「それは『フサイ』ですよ!!私は切羽詰まってるのですよ!!」
「だからどうしたいのですか?」
「私は、きょうのプサン行きのフェリーに乗りたいのでチケット1枚切ってください!!」
「ですから、はちみつ大好きな…」
「もういい!!話にならん!!ふざけるな!!」
受付係の人が大パニックを起こしたので、プサン行きのフェリーのチケットを買うことができなかった。
どうしよう…
韓国へ行けなくなった…
マァマのもとへ行きたいのに…
行くことができなくなった…
サイアクだ…
サイアクだ…
日本《このくに》から出たいのに出ることができない…
どうしたらいいのだ…
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