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第15話・じょんがら女節

【大事なもの全て】

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(ゴーッ…)

時は、3月7日の夕方4時頃であった。

A班のメンバーたちが乗っている専用機が大阪伊丹国際空港に到着した。

A班のメンバーたちは、専用機から降りたあとタラップ下に停まっている阪急バスのロゴ入りの特大バスに乗り込んだ。

(ブロロロ…)

夕方4時半頃であった。

A班のメンバーたちが乗り込んだ特大バスが大阪伊丹国際空港から出発した。

バスは、阪神高速道路を通って大阪市内へ向かった。

夕方5時50分頃であった。

ところ変わって、大阪市中央区城見《おおさかちゅうおうくしろみ》にあるテレビ局の正面玄関前にて…

正面玄関の前に特大バスが到着したあと、付き人軍団の男たち300人がバスを取り囲んだ。

(プシュー…)

それから2分後にバスのトビラがひらいた。

A班のメンバーたちは、付き人軍団の男たちに護《まも》られた状態でテレビ局に入った。

3月8日の深夜0時から24時間の予定で日曜昼のディベート番組の大量収録が行われる。

本来は男性評論家のAさんが出演する予定だったが、スケジュールの関係で出演できなくなったので私が代わりに出演することになった。

時は、夜7時頃であった。

ところ変わって、局内にある楽屋にて…

A班のメンバーたちは、丸徳寿司チェーンのバッテラの盛り合わせ弁当で夕食を摂っていた。

この時、福也《さちや》さんは楽屋にいなかった。

福也《さちや》さんは、テレビ局の人から『電話がかかってきたので出て下さい。』と言われたのでエントランスホールへ行った。

またところ変わって、局内のエントランスホールにて…

福也《さちや》さんは、受付にある電話機で応対をしていた。

電話は、一恵《かずえ》からであった。

福也《さちや》さんは、一恵《かずえ》から『お休みはいつなの?』と言われたのでものすごく怒っていた。

「かあさん!!いいかげんにしてくれよ!!かあさんはオレにどうしてほしいんだよ!!電話するたびに『お休みはいつ?』と言うからこっちはものすごく怒ってるのだよ!!」

ところ変わって、福也《さちや》さんの実家の大広間にて…

大広間のテーブルには、章弘《あきひろ》と麻里子《まりこ》の家族たち5人が集まっていた。

テーブルには、麻里子《まりこ》が作った晩ゴハンが並んでいた。

しかし、家族たちはまだ晩ゴハンをひとくちも食べていなかった。

一恵《かずえ》が電話をかけていたので、家族たちが晩ゴハンを食べることができなかった。

電話をかけている一恵《かずえ》は、受話器ごしにいる福也《さちや》さんに対してものすごく困った声で言うた。

「福也《さちや》、なんでそんなにガーガーおらぶのよ…おかーさんはしんどいのよ…おかーさんは、次のお休みの日はいつと聞いているのよ~」

福也《さちや》さんは、怒った声で一恵《かずえ》に言うた。

「だから、かあさんはオレにどうしろと言うのだよ!?」
「おかーさんは、福也《さちや》に帰って来てほしいのよ。」
「だから、かあさんはなにを求めているのだよ!?」
「おかーさんは、家族全員で過ごす時間がほしいのよ~」
「またそれかよ…かあさんは『心細い心細い心細い心細い心細い心細い心細い心細い心細い心細い心細い心細い心細い心細い心細い心細い心細い心細い…』といよるだけじゃないか!!」
「おかーさんは、家族しか楽しみがないのよ…家族しか楽しみがないおかーさんの気持ちが分からないの!!」

(ガーン!!)

この時であった。

思い切りブチ切れた章弘《あきひろ》が右足で電話台をけとばした。

電話機は、台ごと飛ばされた。

章弘《あきひろ》は、ものすごく怒った声で一恵《かずえ》に言うた。

「やめろ!!」
「あなた!!」
「福也《さちや》は、この家に帰りたくないといよんや!!」
「あなた!!」
「40過ぎの大の男に変なヨーキューを求めるな!!」
「あなた!!」
「もういい!!」

思い切りブチ切れた章弘《あきひろ》は『外へのみに行く!!』と言うたあと家からゴーインに出ていった。

残された家族たちは、ものすごくつらい表情を浮かべながら晩ゴハンを食べ始めた。

時は、深夜11時半過ぎであった。

ところ変わって、テレビ局のスタジオにて…

私は、所定のパネラー席についたあと討論テーマの資料を読んでいた。

収録開始20分前に7人の出演者さまたちがスタジオ入りした。

私は、7人の出演者さまたちとあいさつを交わしたあと所定の席に戻った。

またところ変わって、楽屋にて…

A班のメンバーたちは、楽屋に待機中もお仕事をしていた。

そんな時であった。

ゆかさんは、ソニーバイオ(ノートパソコン)をとじたあと福也《さちや》さんを呼んだ。

「福也《さちや》さん。」
「はい。」
「話があるけど、いい?」
「あっ、はい。」

福也《さちや》さんは、ゆかさんのもとに行った。

ゆかさんは、福也《さちや》さんにこう言うた。

「夜7時頃に、実家のオカンから電話があったのね。」
「はい。」
「あんた、オカンからなにを言われたの?」
「『次のお休みはいつなのか…』…です。」

ゆかさんは、困った声で言うた。

「あんたのオカンは、なにを考えているのかしらね…」
「わたくしも、そう思います。」
「『次のお休みはいつ…』とあんたに聞くオカンも…あんたのオトンも『井の中のカワズ大海《たいかい》しらず』ねぇ…」
「その通りでございます。」
「話し変わるけど…この先、休みは1日もないわよ…それだけは伝えておくわよ。」
「かしこまりました。」

ゆかさんは、ひと間隔おいてから福也《さちや》さんに言うた。

「福也《さちや》さん。」
「ゆかさん。」
「もうひとつ聞くけど…あんた…順子《よりこ》さんのことが好きなのね。」
「はい…好きです。」

ゆかさんは、やや厳しい声で福也《さちや》さんに言うた。

「真剣に考えているの?」
「はい…順子《よりこ》さんとわたくしは…真剣にお付き合いをしています。」
「それだったらいいわよ。」

ゆかさんは、厳しい声で福也《さちや》さんに言うた。

「でも…ひとことだけうちに言わせて!!…ひとりの女性を一途に愛しつづけると言うことは生やさしいものじゃないのよ!!…それはよくわかるよね!!」
「はい。」
「姉とうちと3人の妹は、やむを得ない理由でムコはんをもらうことができんかった…末の義妹《いもうと》(ゆきさん)は、最初のダンナと結婚して子を産んだけど…最初のダンナがヤクザともめたことが原因で、たったひとりの子を亡くした…その上に、義妹《いもうと》も…ヤクザの男たちに手ごめにされたあとコンクリ詰めに遭う危機にひんしたのよ…2度目のダンナの時は…ダンナのテテオヤに手ごめにされて…子をはらまされたのよ…それからもリコンとサイコンを繰り返したのよ…今はどないしてはるのかわからんけど…福也《さちや》さん。」
「はい。」
「周囲の人間からやかましく言われても、順子《よりこ》さんと真剣にお付き合いをしていることをきちんと提示するのよ!!…あんたに伝えることはそれだけよ…うちが言うたことは…しっかりと肝に銘じるのよ!!」
「かしこまりました。」
「持ち場にもどりなさい。」

福也《さちや》さんは、再び持ち場に戻った。

ゆかさんは、再びソニーバイオをひらいたあとお仕事を再開した。

またところ変わって、スタジオにて…

収録開始5分前に、司会を務める男性シンガーソングライターさんと男性アナウンサーがスタジオ入りした。

そして、午前0時の時報と共に大量番組収録が開始された。
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