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第6話・時間よ止まれ

【時代おくれ】

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時は、11月8日の正午過ぎであった。

またところ変わって、大阪中央区今橋《おおさかいまばし》にある大手生命保険会社の本社のエントランスホールにて…

経理事務服姿の奈保子《なおこ》さんは、ランチを摂るために外へ出ようとしていた。

この時、奈保子《なおこ》さんは一番に大好きな恋人・古沢敬幸《ふるさわたかゆき》さん(33歳)と再会した。

敬幸《たかゆき》さんは、昨日まで北海道の小さな都市《まち》にある支店で勤務していた。

この日は、急な呼び出しがあったので本社《ここ》に来ていた。

敬幸《たかゆき》さんは、うれしい声で奈保子《なおこ》さんに声をかけた。

「奈保子《なおこ》、奈保子《なおこ》~」
「敬幸《たかゆき》さ~ん~」

奈保子《なおこ》さんは、うれしい表情で敬幸《たかゆき》さんのもとへかけて行った。

「敬幸《たかゆき》さん…うち…あんたに会いたかった…」
「ぼくも、奈保子《なおこ》に会いたかったよ~」
「よかった…うれしい~」

ふたりは、再会をよろこびあったあと外へ出かけた。

またところ変わって、職場のすぐ近くにある複合ビルの中にあるスタバにて…

テーブルの上には、ドリップコーヒーのグランデサイズとイングリッシュマフィンが載っているお皿が並んでいた。

奈保子《なおこ》さんと敬幸《たかゆき》さんは、向かい合って座っていた。

この時、敬幸《たかゆき》さんは奈保子《なおこ》さんに対してより強い決断を下すことを訣《き》めたと伝えた。

その後、敬幸《たかゆき》さんは濃いネイビーの小さな箱を奈保子《なおこ》さんに差し出しながら言うた。

「奈保子《なおこ》。」
「なあに?」
「結婚しよう。」
「えっ?」
「これ…プロポーズの印だよ。」

奈保子《なおこ》さんは、敬幸《たかゆき》さんから差し出された小さな箱を受け取ったあとふたをひらいた。

箱の中には、カメリアダイヤモンドの婚礼指輪が入っていた。

「わあ~…きれい~」

奈保子《なおこ》さんは、目を細めながら喜んだ。

その後、奈保子《なおこ》さんは敬幸《たかゆき》さんに今の気持ちを伝えた。

「敬幸《たかゆき》さん…」
「奈保子《なおこ》…」
「うち…訣《き》めたわ。」
「奈保子《なおこ》…」
「うち…敬幸《たかゆき》さんについていく。」
「奈保子《なおこ》。」
「うち…敬幸《たかゆき》さんじゃないと…アカンの…うちをもらって…」
「奈保子《なおこ》。」

敬幸《たかゆき》さんは、両手で奈保子《なおこ》さんの両手をにぎりしめながら言うた。

「今から、市役所に婚姻届《しょめん》を出しに行こう…」
「敬幸《たかゆき》さん…うれしい~」

敬幸《たかゆき》さんのやさしい気持ちにふれた奈保子《なおこ》さんは、かんきわまって泣いた。

それから1時間後であった。

奈保子《なおこ》さんと敬幸《たかゆき》さんは、大阪市の市役所に婚姻届《しょめん》を出した。

これにより、奈保子《なおこ》さんと敬幸《たかゆき》さんは正式に夫婦となった。

ところ変わって、市役所の正面玄関前にて…

敬幸《たかゆき》さんは、奈保子《なおこ》さんに対して大事なお知らせを伝えた。

「奈保子《なおこ》。」
「なあに?」
「もう一つ、大事なお知らせがあるのだよ…オレ…来週から本社勤務になった…来週から始まる…新商品の開発チームで働くことになったよ…それで…オレ…チーム長を務めることになったよ。」
「敬幸《たかゆき》さん…えらくなったのね。」
「うん…オレ…がんばるよ…お前のためにがんばるよ。」
「うれしい~」

奈保子《なおこ》さんは、敬幸《たかゆき》さんに抱きついたあと無我夢中で甘えた。

敬幸《たかゆき》さんは、奈保子《なおこ》さんを両手でぎゅっと抱きしめた。
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