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第1話・風のララバイ

【強がりはよせよ】

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それからまた10日の間もカラオケ流しをしながら大番頭《おおばんと》はんたちを探し回る旅を続けた。

しかし、1月3日頃あたりから苦痛を感じるようになった。

長崎~熊本~鹿児島~宮崎~大分~山口~高知…とまわって大番頭《おおばんと》はんたちを探しながらカラオケ流しでおひねりをもらう暮らしをしたけど、もう限界だ…

きのうかおとといのことであった。

場所はどこかおぼえてないけど、飛び入り参加をしたカラオケイベントで若い女の子たちから大量におひねりをいただいたあとだったと思う。

この時だったけど、おひねりをいただいた女の子たちのひとりの親御《おや》からめんどいことをグチャグチャに言われた。

女の子の親御《おや》は私に対して『あんたはうちの娘に色目を使う気か!?』と言うた。

女の子の親御《おや》からグチャグチャと言われた私は、わけがわからずにコンワクした。

1月8日頃に私はめんどいもめ事に巻き込まれた。

あの日の夜おそくに、私は広島市内のスナックにカラオケ流しに行った。

この時の様子を、私は日記に記した。

1月8日・雪

サイアクだ…

ドサイアクだ…

きょうは、人生史上ドサイアクの日だ。

私は、広島市中区中町《なかくなかまち》の(スナックの名前)でカラオケ流しをした。

話は、的場町《まとばちょう》の酒場街を歩いていた時であった。

フラフラと歩いていた私に、店《パブ》の前にいた客引《ポンビキ》のニイチャンがなれなれしい声で『お安くしとくから…』…と言うてさそった。

客引《ポンビキ》のニイチャンの言葉に負けた私は、フラフラと店《パブ》に入った。

私は、ホステスのコと遊んだ…

しかし…

入店してから40分後に、私は店《パブ》の店長にボコボコにはりまわされた(殴られた)。

店《パブ》の店長からなにを言われたのか知らない…

けど、ボコボコにはりまわされた私は心が大きく傷ついた。

1950年から今までの間、楽しいことを全部犠牲にして、勤勉ひとすじの暮らしだけを送った…

イワマツを作るプロジェクトを始める準備と仕事に必要な資格を取得することと大学・大学院の資格を取得することだけに取り組んで生きてきた…

陸上自衛隊少年工科学校《りくじのだんしこう》~防衛大学校~ブートキャンプにいた時に、上官《うえ》からどぎつい言葉を言われ続けた…

私は、1歳の時にママと別れた…

その直後から、故人(セヴァスチャンじいさん)が決めた計画《プラン》が発動された。

楽しい時間は厳禁だ…

恋愛…

サークル…

ゴーゴン…

…………

ぜーんぶできなかった!!

同級生たちはみな楽しい時間を過ごしたと言うのに、なんで私だけはいかんのだ…

ふざけるな!!

ふざけるな!!

ふざけるな!!

…………

この日書いた日記は、なぐり書きで書いた。

1月9日の日記もなぐり書きで書いた。

1月9日・曇り

この日私は、陸上自衛隊少年工科学校《りくじのだんしこう》の同期生(海田市の駐屯地勤務)のY田と広の駅前広場であった。

Y田は、二人の若い女の子を連れていた。

Y田は、私に対してヘラヘラ嗤《わら》いながら言うた。

『この世の女はオレのものだ…イワマツは非モテだから哀れよのぉ~』

…と言うてY田は私をグロウした。

それは一体どう言うことだ!?

ふざけるな!!

………

まぁええわ。

Y田は駐屯地内で勤務態度が悪いようだから、そのうち痛い目に遭うと思う。

………

その翌日の深夜、Y田は広駅の近くにある酒場街でヤクザと乱闘事件を起こしてケーサツにしょっぴかれた。

そのニュースを聞いた私は、追加書きでこう記した。

追記…

Y田は、なんで陸上自衛隊少年工科学校《りくじのだんしこう》を選んだのか?

聞いた話しによると、あいつは陸上自衛隊少年工科学校《りくじのだんしこう》に入る前に高校退学の危機にひんしていた。

その際に、父親から『北海道の自衛隊に行け!!』と怒鳴られた。

あいつがイヤだと言うたら、あいつの母親は『だったら暴れなかったらいいでしょ!!』と言うた。

あいつはその後、両親と不仲になった末に家出した…

その後、鳴門で警察に保護されたがあいつは両親と断絶した…

陸上自衛隊少年工科学校《りくじのだんしこう》は、父方の親類の紹介で行った。

あいつは、逃げることしか知らないからなにやってもダメだ…

自衛隊にいた時に、運転免許や国家資格…を取らなかった。

こんな無資格人間を雇ってくださる事業所なんかあるものか!!

Y田は、どこのどこまで浮き世をなめているのか?

まあそのうち、Y田は懲戒免職《ツイホー》になるだろう…

オレはY田を一生の友とは思ってない…

ふざけるなボケ!!

1月10日の夕方6時過ぎであった。

ところ変わって、竹原港の待合室にて…

待合室のイスに座って居る私は、日記を書いていた。

1月10日・曇り

私は、生まれてきた家を間違えたと思う。

どちらかと言えば、フツーの家庭の夫婦の子どもで生まれたかった…

生まれてきた時代もよくなかったと思う。

戦後まもない時期で、日本もアジアもヨーロッパも焦土化された時期であった。

だから、青春時代と言える思い出なんかはあるわけない!!

三田明さんが歌っていた『美しい十代』と言う歌があったけど、私の十代はどちらかと言えば『ガマンガマンばかりの十代』であった。

なにが『美しい十代』だが…

舟木一夫さんが歌っていた『高校三年生』の歌もそうだし、西郷輝彦さんが歌っていた『17歳のこの胸に』…もそうだった。

『ジュリー』『キンチャン』『ショーケン』…などとキャーキャーさわいでいた女の子たち…

学生運動で青春をおうかした大学生たち…

………

そんな私には、楽しい青春時代なんかなかった…

ガマンガマンばかりを強いられた!!

『それだったら、しあわせになろうとは思わないのか?』とまわりの大人が言うけど、私はしあわせになりたいと言う気持ちにはなれない…

ふざけるな!!

なにが楽しい青春時代だ!!

なにが『美しい十代』だ!!

ふざけるな!!

私の青春時代を返せ!!

子ども時代を返せ!!

ママの愛に満たされて過ごした幼児期を返せ!!

…………

(パタン…)

ノートを閉じだ私は、全身をブルブルと震わせながら怒り狂った。

許さない…

私の人生を根こそぎ奪ったセヴァスチャンじいさんは…

絶対に許さない!!
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