乙女ゲーに転生!?ある日公爵令嬢になった私の物語

ゆーかり

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あああ、なんと重苦しい空気……

「アンリ、もう演技は終わりだ」

グレンから差し出された手を反射的に取ってしまう。

「アンジェ……」

シアさんが寂しそうに笑った。あれ、もしかしてシアさん術が解けてること知ってる?

「僕が解いたんだ。君は気づかれてないと思って演技してくれてたんだろ?」

な、な、な……なんだってえええ!自力で術解けた!とか喜んで迫真の演技とか思ってた私メッチャ恥ずかしい痛いやつやんか!マジ泣きたい……

「君に施したのは精神干渉ではなく暗示のようなものだ。後遺症もないから安心して。1日だけだったけど……君との婚約者ごっこ、楽しかったよ」

あれ、笑顔が儚くありませんかシアさん?私が怪訝な顔してると、騎士達がシアさんを取り押さえた。シアさんは一切抵抗しない。王様に向かって深々と一礼すると、そのまま騎士達に何処かへ連行されていった。

「アンジェリカ、王家の事情に巻き込んで申し訳ない」

わわっ!王様頭下げちゃった!何かこれ良くないよね!

「陛下どうか私などに頭を下げないでください!怪我もなくピンピンしてますからっ!」

ぐっと力こぶ作ってみる。あ!咄嗟にやってしまったけどこんなん淑女のすることじゃない!
つい地が出ちゃって笑顔で冷汗かいてる私を見てグレンが吹き出した。おい!一応ここシリアスな場面だよね!?

「グレン、お前のそんな笑顔は初めて見たな」

ちょっと切なそうに笑う王様に、グレンはごほって咳払いした。

「今後王太子とサリー・ヒートンは魔力遮蔽措置の施された部屋で生涯監禁されることとなる。アニエステ妃は──」

「余が不甲斐ないばかりにすまなかったグレン……お前達が調べ上げた証拠、これまで上がった陳情書などを考慮しても極刑は免れぬな」

極刑……死刑ってことか……
命は大切、何人たりとも奪うことは許されないって価値観で育ったけどさ、昨日のサリーちゃんとのやり取りを思い出しながら私、なんとも言えない複雑な気持ちになっていた。
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