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本編

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それから死ぬ程寝て、私の魔力は3日程ですっかり回復した。

その間グレンや騎士がやってきて、私の体調見ながら事情聴取とやらを受けた。ずっとマチルダちゃんの様子が気になってたんだけど、今は静養に専念しろって教えてもらえなかった。

一応第三王子の婚約者を狙ったんだもんね、逮捕とかされちゃうんかな?まあ人の心配より今は自分を治さないとね。

……という訳で大分元気にはなったけど、外出はできないから庭園を散歩してると、ばったりグレンと行き合った。

「え!?何でここに!?」

「夫人にここに居ると聞いたんだ」

グレンは私の顔ジーって見てる。

「ん?私の顔何かついてる?」

グレンは苦しそうに眉を潜めると私のことぎゅって抱き締めた。

「ぐ、グレン!?」

「……りぃ……」

「え?」

「悪ぃ……守るって言ったのに危険な目に遭わせた」

「そんなんグレンのせいじゃないよ!むしろ助けてくれたんでしょ?ありがとね」

「……アーサーもメレディスも精神干渉受けてたんだ」

「え!?」

あの時感じた違和感を思い出す。アーサーらしくない行動だなって思ったんだよね。

「じゃあアーサー達は……」

「ああ、記憶が定かでないそうだ。ヒートン男爵令嬢と接触した記憶もないらしい。あの日令嬢はあの場に居なかったしな」

アーサーとメレディスさんは私を殺そうとする輩に操られていた。でもそれが誰かは分からないのか。

「マチルダちゃんは?私を結界に閉じ込めたのは彼女じゃないの?」

「彼女は……体は回復したんだが……」

何?何か歯切れ悪くない?

「錯乱している。まるで会話にならない状態だ」

ほう……錯乱、ねぇ。

「グレン、お願いがあるの!」

私のおねだり上目遣いに、グレンは思いっきりイヤそうに顔をしかめた。
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