上 下
49 / 77
本編

47

しおりを挟む
「概ねあの二人にあてられたってとこか?」

「うん、ホント仲良いよねあの二人」

甘すぎてこっちが砂吐きそうだったよ……

「そうだな、放っとくとすぐ二人の世界だな」

あんなに仲良くて浮気を疑うなんて!アーサーどんだけおかしくなってたんだろ?

「レベッカちゃんに初めて会った時、アーサーがサリーちゃんのこと好きなんじゃないかって悩んでたんだよね。サリーちゃん一体何したんだろ?」

「アンリ」

最近グレンの目見ただけで何となく意図を察する術を覚えた……気がする。全くわかんない時もあるけど。

取り敢えず今は黙れ、かな。私が頷くと、グレンは満足そうに笑って私の肩を抱いた。
うっかり文句言いそうになったけど、公の場では私グレン大好きなアンジェリカ⭐︎だからね、絶対分かってやってるよねグレン。

肩抱かれたまま、グレンの──というより王族専用のらしい──個室に連れて行かれた。

「サリー・ヒートンは恐らく精神干渉に関する何らかの術が使えるようだ」

「え!?でも精神干渉って禁呪に相当するんでしょ?サリーちゃんってそんな凄い魔力があるって聞かないけどな?」

「魔法実技は並だった。ちなみにお前は採点不能で補習らしいな」

「な、なんでもうグレンが知ってるの!?」

「一応王族だからな、その気になってできないことの方が少ない」

おのれ権力無駄遣いしおって!

「付き合おうか?」

「え?」

「杖の使い方、まだ慣れてないんだろ?教えてやってもいいぞ」

「いいの!?あ……やっぱいい……」

「何でだ?」

「だってグレンに教えてもらったら高くつきそうだし……」

ただでさえ借り返しきれてないしさ……これ以上借金増やせないよ。
ちょっと俯いてたらグレンにいきなり両手で頬っぺぐっと挟まれた。分かりますか、私今思いっきりタコ口になってますよ!

「アンリは俺の婚約者だろ。そんな事ぐらいで貸しにするかよ」

「ふぁなふぇ!」

グレン吹き出した!乙女に散々変顔させて喜ぶとかこいつマジ変態かよ!

「これまでのアンジェリカの評判守りたいんだろ?」

ぐっと言葉に詰まる。そこを突かれると本気で痛い。評判なんて大そうなものじゃなくて、私は元アンジェリカの血の滲むような努力だけはどうしても守りたいんだ。こんな馬鹿な意地なんて張ってる場合じゃなかったね。

「……おねふぁい」

グレンメッチャ楽しそうに笑うと、私のタコ口にキスしおった!両手でガッツリ固定されてるから逃げらんないし!変顔にキスとか物好きだなホントに……

「明日から厳しく仕込むぞ」

グレンはニヤって笑うとおでこにキスした。もうそういう甘いのヤメテ!ホント反応に困るから!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

妹がいなくなった

アズやっこ
恋愛
妹が突然家から居なくなった。 メイドが慌ててバタバタと騒いでいる。 お父様とお母様の泣き声が聞こえる。 「うるさくて寝ていられないわ」 妹は我が家の宝。 お父様とお母様は妹しか見えない。ドレスも宝石も妹にだけ買い与える。 妹を探しに出掛けたけど…。見つかるかしら?

亡くなった王太子妃

沙耶
恋愛
王妃の茶会で毒を盛られてしまった王太子妃。 侍女の証言、王太子妃の親友、溺愛していた妹。 王太子妃を愛していた王太子が、全てを気付いた時にはもう遅かった。 なぜなら彼女は死んでしまったのだから。

【完】あの、……どなたでしょうか?

桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー  爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」 見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は……… 「あの、……どなたのことでしょうか?」 まさかの意味不明発言!! 今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!! 結末やいかに!! ******************* 執筆終了済みです。

【完結】選ばれなかった王女は、手紙を残して消えることにした。

曽根原ツタ
恋愛
「お姉様、私はヴィンス様と愛し合っているの。だから邪魔者は――消えてくれない?」 「分かったわ」 「えっ……」 男が生まれない王家の第一王女ノルティマは、次の女王になるべく全てを犠牲にして教育を受けていた。 毎日奴隷のように働かされた挙句、将来王配として彼女を支えるはずだった婚約者ヴィンスは──妹と想いあっていた。 裏切りを知ったノルティマは、手紙を残して王宮を去ることに。 何もかも諦めて、崖から湖に飛び降りたとき──救いの手を差し伸べる男が現れて……? ★小説家になろう様で先行更新中

王妃さまは断罪劇に異議を唱える

土岐ゆうば(金湯叶)
恋愛
パーティー会場の中心で王太子クロードが婚約者のセリーヌに婚約破棄を突きつける。彼の側には愛らしい娘のアンナがいた。 そんな茶番劇のような場面を見て、王妃クラウディアは待ったをかける。 彼女が反対するのは、セリーヌとの婚約破棄ではなく、アンナとの再婚約だったーー。 王族の結婚とは。 王妃と国王の思いや、国王の愛妾や婚外子など。 王宮をとりまく複雑な関係が繰り広げられる。 ある者にとってはゲームの世界、ある者にとっては現実のお話。

【本編完結】実の家族よりも、そんなに従姉妹(いとこ)が可愛いですか?

のんのこ
恋愛
侯爵令嬢セイラは、両親を亡くした従姉妹(いとこ)であるミレイユと暮らしている。 両親や兄はミレイユばかりを溺愛し、実の家族であるセイラのことは意にも介さない。 そんなセイラを救ってくれたのは兄の友人でもある公爵令息キースだった… 本垢執筆のためのリハビリ作品です(;;) 本垢では『婚約者が同僚の女騎士に〜』とか、『兄が私を愛していると〜』とか、『最愛の勇者が〜』とか書いてます。 ちょっとタイトル曖昧で間違ってるかも?

愛想を尽かした女と尽かされた男

火野村志紀
恋愛
※全16話となります。 「そうですか。今まであなたに尽くしていた私は側妃扱いで、急に湧いて出てきた彼女が正妃だと? どうぞ、お好きになさって。その代わり私も好きにしますので」

無価値な私はいらないでしょう?

火野村志紀
恋愛
いっそのこと、手放してくださった方が楽でした。 だから、私から離れようと思うのです。

処理中です...