19 / 77
本編
17
しおりを挟む
レベッカちゃんは学園で私より一つ学年が上だった。ちなみにグレンのクラスメイト。だからグレンとも面識あったんだね。
私早速会いに行っちゃったよ。地球時代もそうだけど、上級生の教室に行くのって緊張するよね。ちょっとドキドキしながら教室覗くと、すぐドアの側に居た生徒とバッチリ目が合った。
「あれ、君は……グレンに会いに来たの?」
私のこと知ってるのか。しかもグレン呼びとは仲良いんだな。誰だろ?顔より青い髪に目が行っちゃう。私には見慣れない髪色もこの世界では普通に多いんだよね。アンジェリカもだけどさ。
「いえ全然違います。レベッカちゃんはいますか?」
「レベッカ?ちょっと待っててな」
そう言うと青髪君おいでおいでするみたいに手振った。
「何してるんです?」
「ああ、ベッキー……レベッカは俺の婚約者でさ、念を送れば伝わる刻印が互いに刻んであるんだ。今彼女呼んだとこ」
お、こやつが例の浮気男か。ふーん……中々男らしい顔で結構カッコいい。体もガッチリしてて体だけならタイプだ。体だけね!
「へえそんな便利なものが……ん?刻印なんてしたら別れた時どうなるの?」
「別れること前提に刻印なんてしないぞ。って俺より優秀な君の方がそういうの詳しいんじゃないのか?」
「え!あ、あははそうだったかな!?」
記憶ないです!って公言できないからこういう時面倒なんだよね。笑って誤魔化してるウチに、レベッカちゃんが本当にやってきた。
「まあ、アンジェリカ様!」
「レベッカちゃん会いたくてきちゃった!」
「あら、うふふ」
もう仕方ない子ね、みたいにレベッカちゃんが優しく笑ってくれた。んーやっぱ綺麗なお姉さんだなあ。
「アンジェリカ様、それでは後でランチでもご一緒に如何ですか?」
「え!いいの!?嬉しいなあ」
こんな綺麗なお姉さんとランチなんてそらもうでへって顔緩んじゃうよね。
「お前は今日もだらしない顔だな」
うわっ!出たグレン!ちょっとはしゃぎ過ぎて気付かれてしまったか。
「あんたに用はないよ。レベッカちゃんに会いに来ただけ」
つんって顔背けると、グレンに鼻摘まれた。
「ふがっ!何ふんのよ!?」
「この俺がわざわざ来てやったのに生意気な奴だな」
「頼んでないひっ!」
「あ、あの!殿下も宜しければランチご一緒に如何ですか?」
「レベッカ嬢たっての誘いなら断れないな」
おい、貴様誰だよ。私以外にはやけに紳士的じゃないか。キラッキラのスマイル付きとかさ。そもそも乙女の鼻つまむとかありえないしっ!
「グレンも行くのか?なら俺も混ざりたいな」
レベッカちゃんはやれやれって感じで溜息つくと、困った様に私の顔を見た。あ、私まだ鼻つままれたままやん!
「アンジェリカ様、彼は私の婚約者アーサーです。彼もよろしいでしょうか?」
「俺アーサー・グリフィン。よろしくな!」
アーサーはニカって屈託なく笑った。うーん陽キャだ。そしてこの笑顔にもなんかムクムクと既視感が湧いてきたよ。あああ!やっぱいたよこの顔!パッケージにさ!彼も攻略対象だ(当然未攻略だけど)。
ちなみにグリフィンは伯爵家。確か古い家柄で名門だった筈。
「もつろん!あたしアンジェリカ、よろふくねアーサー」
鼻つまんでるグレンの手ペシペシ叩きながらアーサーに挨拶すると、アーサー吹き出す。何だこれコントかよ。
「いいね、こんなグレン初めてみたわ。アンジェリカちゃん噂とは随分違う子なんだな」
ひーひー笑いながらアーサー……こいつは私と同じ匂いがする。考えなしに発言しちゃって後で痛い目見るタイプだ。だからかな、何か憎めないんだよなあ。
ぺちっとグレンの手を叩き落とした所でアーサー爆笑。
「アンジェリカ様、彼悪気はないんです。すみません……」
こういうしっかり者に手綱握って貰って彼は丁度いいね、うん。
「私は大丈夫!アーサー」
私は腹抱えてゲラゲラ笑ってる彼の顎を掴んで上向かせると、(笑い過ぎで)涙溜めてる目を下からぐっと覗き込んだ。
「レベッカちゃん泣かせたら許さないからね」
ニコって笑うとアーサーは「お、おう」って目シパシパさせながら頷いた。よし私の気は済んだ。またねって帰ろうとしたらグイって首根っこ掴まれた。ぐえってなったよ酷いよ!
「一度も俺には会いに来ないくせに、本当に憎たらしい奴だな」
「会いたいならあんたが来ればいいでしょ!」
「お前は……俺に会いたくないのか?」
は?何この流れ?キャラ変?
「何だかんだ毎日会ってるじゃん」
全く教室の入り口でする話じゃないよね。話切り上げようと首根っこ捕まえてるグレンの手握ったら後ろから抱き締められた。何だこれ?
「また後で、な」
頬っぺたに生暖かい感触。この時グレンの顔見る勇気なくて私そのまま教室飛び出しちゃった。
心臓バクバクしてるのは走ったせい。ただの生理現象だから!
その後の授業はどこか上の空で、機械的にカメラアイでただ板書を写しとるだけだった。
今更頬っぺにチューくらいで何動揺してるんだ私は。しょっぱなキスだってされてるのにさ。私自身は恋愛経験だってそれなりにある。でも何だろ、この甘酸っぱい様なお尻がむず痒い感じ?これが青春ってやつなの?やめてーそんな柄じゃないから!
ペチって両手で頬っぺた挟んだらちょっとスッキリした。私はまずここで生きてく目標探さないとね!気持ち切り替えよっと!
私早速会いに行っちゃったよ。地球時代もそうだけど、上級生の教室に行くのって緊張するよね。ちょっとドキドキしながら教室覗くと、すぐドアの側に居た生徒とバッチリ目が合った。
「あれ、君は……グレンに会いに来たの?」
私のこと知ってるのか。しかもグレン呼びとは仲良いんだな。誰だろ?顔より青い髪に目が行っちゃう。私には見慣れない髪色もこの世界では普通に多いんだよね。アンジェリカもだけどさ。
「いえ全然違います。レベッカちゃんはいますか?」
「レベッカ?ちょっと待っててな」
そう言うと青髪君おいでおいでするみたいに手振った。
「何してるんです?」
「ああ、ベッキー……レベッカは俺の婚約者でさ、念を送れば伝わる刻印が互いに刻んであるんだ。今彼女呼んだとこ」
お、こやつが例の浮気男か。ふーん……中々男らしい顔で結構カッコいい。体もガッチリしてて体だけならタイプだ。体だけね!
「へえそんな便利なものが……ん?刻印なんてしたら別れた時どうなるの?」
「別れること前提に刻印なんてしないぞ。って俺より優秀な君の方がそういうの詳しいんじゃないのか?」
「え!あ、あははそうだったかな!?」
記憶ないです!って公言できないからこういう時面倒なんだよね。笑って誤魔化してるウチに、レベッカちゃんが本当にやってきた。
「まあ、アンジェリカ様!」
「レベッカちゃん会いたくてきちゃった!」
「あら、うふふ」
もう仕方ない子ね、みたいにレベッカちゃんが優しく笑ってくれた。んーやっぱ綺麗なお姉さんだなあ。
「アンジェリカ様、それでは後でランチでもご一緒に如何ですか?」
「え!いいの!?嬉しいなあ」
こんな綺麗なお姉さんとランチなんてそらもうでへって顔緩んじゃうよね。
「お前は今日もだらしない顔だな」
うわっ!出たグレン!ちょっとはしゃぎ過ぎて気付かれてしまったか。
「あんたに用はないよ。レベッカちゃんに会いに来ただけ」
つんって顔背けると、グレンに鼻摘まれた。
「ふがっ!何ふんのよ!?」
「この俺がわざわざ来てやったのに生意気な奴だな」
「頼んでないひっ!」
「あ、あの!殿下も宜しければランチご一緒に如何ですか?」
「レベッカ嬢たっての誘いなら断れないな」
おい、貴様誰だよ。私以外にはやけに紳士的じゃないか。キラッキラのスマイル付きとかさ。そもそも乙女の鼻つまむとかありえないしっ!
「グレンも行くのか?なら俺も混ざりたいな」
レベッカちゃんはやれやれって感じで溜息つくと、困った様に私の顔を見た。あ、私まだ鼻つままれたままやん!
「アンジェリカ様、彼は私の婚約者アーサーです。彼もよろしいでしょうか?」
「俺アーサー・グリフィン。よろしくな!」
アーサーはニカって屈託なく笑った。うーん陽キャだ。そしてこの笑顔にもなんかムクムクと既視感が湧いてきたよ。あああ!やっぱいたよこの顔!パッケージにさ!彼も攻略対象だ(当然未攻略だけど)。
ちなみにグリフィンは伯爵家。確か古い家柄で名門だった筈。
「もつろん!あたしアンジェリカ、よろふくねアーサー」
鼻つまんでるグレンの手ペシペシ叩きながらアーサーに挨拶すると、アーサー吹き出す。何だこれコントかよ。
「いいね、こんなグレン初めてみたわ。アンジェリカちゃん噂とは随分違う子なんだな」
ひーひー笑いながらアーサー……こいつは私と同じ匂いがする。考えなしに発言しちゃって後で痛い目見るタイプだ。だからかな、何か憎めないんだよなあ。
ぺちっとグレンの手を叩き落とした所でアーサー爆笑。
「アンジェリカ様、彼悪気はないんです。すみません……」
こういうしっかり者に手綱握って貰って彼は丁度いいね、うん。
「私は大丈夫!アーサー」
私は腹抱えてゲラゲラ笑ってる彼の顎を掴んで上向かせると、(笑い過ぎで)涙溜めてる目を下からぐっと覗き込んだ。
「レベッカちゃん泣かせたら許さないからね」
ニコって笑うとアーサーは「お、おう」って目シパシパさせながら頷いた。よし私の気は済んだ。またねって帰ろうとしたらグイって首根っこ掴まれた。ぐえってなったよ酷いよ!
「一度も俺には会いに来ないくせに、本当に憎たらしい奴だな」
「会いたいならあんたが来ればいいでしょ!」
「お前は……俺に会いたくないのか?」
は?何この流れ?キャラ変?
「何だかんだ毎日会ってるじゃん」
全く教室の入り口でする話じゃないよね。話切り上げようと首根っこ捕まえてるグレンの手握ったら後ろから抱き締められた。何だこれ?
「また後で、な」
頬っぺたに生暖かい感触。この時グレンの顔見る勇気なくて私そのまま教室飛び出しちゃった。
心臓バクバクしてるのは走ったせい。ただの生理現象だから!
その後の授業はどこか上の空で、機械的にカメラアイでただ板書を写しとるだけだった。
今更頬っぺにチューくらいで何動揺してるんだ私は。しょっぱなキスだってされてるのにさ。私自身は恋愛経験だってそれなりにある。でも何だろ、この甘酸っぱい様なお尻がむず痒い感じ?これが青春ってやつなの?やめてーそんな柄じゃないから!
ペチって両手で頬っぺた挟んだらちょっとスッキリした。私はまずここで生きてく目標探さないとね!気持ち切り替えよっと!
0
お気に入りに追加
2,151
あなたにおすすめの小説
挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました
結城芙由奈
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】
今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。
「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」
そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。
そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。
けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。
その真意を知った時、私は―。
※暫く鬱展開が続きます
※他サイトでも投稿中
一年で死ぬなら
朝山みどり
恋愛
一族のお食事会の主な話題はクレアをばかにする事と同じ年のいとこを褒めることだった。
理不尽と思いながらもクレアはじっと下を向いていた。
そんなある日、体の不調が続いたクレアは医者に行った。
そこでクレアは心臓が弱っていて、余命一年とわかった。
一年、我慢しても一年。好きにしても一年。吹っ切れたクレアは・・・・・
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
王妃さまは断罪劇に異議を唱える
土岐ゆうば(金湯叶)
恋愛
パーティー会場の中心で王太子クロードが婚約者のセリーヌに婚約破棄を突きつける。彼の側には愛らしい娘のアンナがいた。
そんな茶番劇のような場面を見て、王妃クラウディアは待ったをかける。
彼女が反対するのは、セリーヌとの婚約破棄ではなく、アンナとの再婚約だったーー。
王族の結婚とは。
王妃と国王の思いや、国王の愛妾や婚外子など。
王宮をとりまく複雑な関係が繰り広げられる。
ある者にとってはゲームの世界、ある者にとっては現実のお話。
私はただ一度の暴言が許せない
ちくわぶ(まるどらむぎ)
恋愛
厳かな結婚式だった。
花婿が花嫁のベールを上げるまでは。
ベールを上げ、その日初めて花嫁の顔を見た花婿マティアスは暴言を吐いた。
「私の花嫁は花のようなスカーレットだ!お前ではない!」と。
そして花嫁の父に向かって怒鳴った。
「騙したな!スカーレットではなく別人をよこすとは!
この婚姻はなしだ!訴えてやるから覚悟しろ!」と。
そこから始まる物語。
作者独自の世界観です。
短編予定。
のちのち、ちょこちょこ続編を書くかもしれません。
話が進むにつれ、ヒロイン・スカーレットの印象が変わっていくと思いますが。
楽しんでいただけると嬉しいです。
※9/10 13話公開後、ミスに気づいて何度か文を訂正、追加しました。申し訳ありません。
※9/20 最終回予定でしたが、訂正終わりませんでした!すみません!明日最終です!
※9/21 本編完結いたしました。ヒロインの夢がどうなったか、のところまでです。
ヒロインが誰を選んだのか?は読者の皆様に想像していただく終わり方となっております。
今後、番外編として別視点から見た物語など数話ののち、
ヒロインが誰と、どうしているかまでを書いたエピローグを公開する予定です。
よろしくお願いします。
※9/27 番外編を公開させていただきました。
※10/3 お話の一部(暴言部分1話、4話、6話)を訂正させていただきました。
※10/23 お話の一部(14話、番外編11ー1話)を訂正させていただきました。
※10/25 完結しました。
ここまでお読みくださった皆様。導いてくださった皆様にお礼申し上げます。
たくさんの方から感想をいただきました。
ありがとうございます。
様々なご意見、真摯に受け止めさせていただきたいと思います。
ただ、皆様に楽しんでいただける場であって欲しいと思いますので、
今後はいただいた感想をを非承認とさせていただく場合がございます。
申し訳ありませんが、どうかご了承くださいませ。
もちろん、私は全て読ませていただきます。
愛想を尽かした女と尽かされた男
火野村志紀
恋愛
※全16話となります。
「そうですか。今まであなたに尽くしていた私は側妃扱いで、急に湧いて出てきた彼女が正妃だと? どうぞ、お好きになさって。その代わり私も好きにしますので」
〖完結〗私との婚約を破棄?私達は婚約していませんよ?
藍川みいな
恋愛
「エリーサ、すまないが君との婚約を破棄させてもらう!」
とあるパーティー会場で突然、ラルフ様から告げられたのですが、
「ラルフ様……私とラルフ様は、婚約なんてしていませんよ?」
確かに昔、婚約をしていましたが、三年前に同じセリフで婚約破棄したじゃないですか。
設定はゆるゆるです。
本編7話+番外編1話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる