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本編

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記憶以外に全く異常なしってことで、私は翌日から学園に登校することになった。お車登校ならぬお馬車登校だよ。思った程揺れなくて座り心地も良いし中々快適だね、これ。

学園までは10分位かな。海外って行ったことないんだけど、ナントカ宮殿みたいな立派な建物にポカーン。ホントに貴族なんだなぁと門の前でしみじみしてたら、なんか急に辺りがザワザワと騒がしくなった。

周りの人達の視線の先を辿ると、目が潰れそうな程キラッキラな馬車がドヤっと私の目の前で止まった。

なんか面倒くさい匂いがプンプンして、こそこそ門をくぐって建物の方に足早に歩きかけた。でも神様は無情にも見逃してはくれないみたいだ。

「俺を無視するとはいい度胸だな、アンジェリカ」

げ!やっぱ知り合いかぁ…渋々振り返ると……うへえええ。
こう絵に書いたような金髪碧眼の王子様、みたいな?なんかそんな男が仁王立ちでふんぞり返ってた。
これまさか私の婚約者なの?私は直ぐ側の男子をつついて小声で尋ねた。

「ねえ、あの人って殿下?」

「え!?あ、ああ。君の婚約者だろ?」

ああああやっぱりいいいい!!モヤシ男とかまじ勘弁だわっ!つか殿下の後ろに控えてる騎士様?みたいな方がタイプだな!

ひとまず、昨日みっちり徹夜で仕込まれた礼儀作法の内、淑女の礼というやつをきめてみる。

「おはようございます、殿下」

これでいいんでしょ?

「それではごきげんよう」

にっこり去ろうとしたら、ポンとカバンを投げて寄越された。思わずキャッチしてしまう私。

「いつものように教室まで持ってこい」

は?なにアンジェリカって殿下の下僕なん?婚約者ってこんなことまでしなきゃいけないん?頭の中で何かがブチっと切れた。

バン!

投げ返したカバンは殿下のお綺麗な顔に直撃した。

「……ざっけんな!お前の下僕じゃねんだよドアホが!」

なんか後ろで声がしてたけど知らない!私は校舎まで逃げるように走った。












アンジェリカは結構有名人みたいでさ、その辺の人達に聞いたら教室もすぐに分かった。まあ髪真っ赤だし目立つよね。

でも今更勉強かぁ……そもそも日本の学力ここで通用すんのかな?
机にダラダラ突っ伏してたら、後ろから首根っこグイって捕まれた。え、これってまさか……

「話がある、来い」

あああんやっぱり王子様あああ!あ、ちょっと鼻の頭赤い……怒ってますよね。私の命も今日までかな……アンジェリカ中の人、マジすまん!切り替えの早い私はあっさり覚悟を決めて殿下に素直に従うことにした。
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