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プロローグ

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レイナちゃんはお医者さんを呼んできてくれたみたいだ。30代位のインテリ眼鏡があちこち私を触診、問診しつつ、うーんと首を捻った。

「特に目立った外傷もないですし、何か精神的な要因でしょうか?」

「どうでしょう?心当たりが全くありません」

「申し訳ありません、今の段階で私に出来ることは無いようです。普段どおりの生活を心がける内に、何か思い出すこともあるかもしれませんし、生涯このままの可能性もあります」

まあそうだよね、本当の記憶喪失なら。でもどう考えてもこの体に別人格の私が成り代わった的な感じなんだよね。

私がこのままなら「アンジェリカ」は永遠に戻らないんだろな。んーまぁなってしまったもんは仕方ない。元に戻れるか分からないけど、今はアンジェリカとして生きるしかないよね。
私はあっさり覚悟を決めた。

アンジェリカは両親と兄一人の4人家族。
中々家族仲はいいみたいで、記憶喪失ってぶっちゃけたら、両親卒倒、お兄ちゃんは「心配するな!一生面倒みてやるからな!」なんて叫んでたけど本気かな?まぁそれならそれでありがたいけどね。
あんま深刻に考えずにのほほんとしてたらさ、爆弾投下してくれたよおっかさん!

「アンジェリカ、学園で殿下にお会いすることもあるでしょうけど……様子を見てまだこの事は言わないでおきましょうね」

「え?殿下?」

「ああ、殿下のことも忘れてしまったのね……あなたの婚約者よ」

「こっ……」

こんやくしゃーー!?
さすが貴族だよなぁ。アンジェリカってまだ16歳なんだよ。自由に恋愛も出来ず婚約者なんて決められて結婚しなきゃいけないのか……可哀想というか、これがアンジェリカにとっての常識なんだろな。

あれ、殿下って皇太子殿下とかの殿下だよね?ってことは王子様!?うわあああ……お妃様とかマジめんどくっさ!私はそんなのより自由でいたいよ。
何とか回避できないもんかな……何にしても今は情報がなさ過ぎる。まずは情報収集だ!
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