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公爵様は毎晩わたくしに仕置きをなさいます。何が公爵様の気分を損ねてしまっているのか分からないまま、わたくしは神父様のものよりもずっと長く激しい仕置きに耐えるのです。

快感を拾ってはいけません。はしたない声を上げる事など許されません。けれどある日、とうとう堪え切れず甲高い声を一つ零してしまったのです。

「申し訳、ございません……」

「何を謝る?」

「お許しもなく声を……申し訳ございません、公爵様」

「許しがないからこれまでも我慢していたのか?」

「はい……お仕置きを頂いているのに、気持ちいいなどど思ってはいけないと堪えておりました」

「仕置き、だと?お前はこの行為を仕置きだと思っているのか?」

「はい、公爵様。わたくしのような醜い女に好んで触れたいと思う男性など居る筈がありません」

公爵様はググっと腰を入れてわたくしの奥を抉りました。心なしかお顔が曇っておられる様です。愚かなわたくしはまたご不興を買ってしまったのでしょうか。

「仕置きだと感じる程辛い行為だったか?」

「いいえ公爵様。仕置きである筈なのに気持ちがいいと感じてしまう己を罪深いと思っておりました」

「ああ、俺も最高に気持ちが良い、アリーチェ……」

はぁと荒い息を吐きながら公爵様はわたくしに唇を重ねました。これはキスというものでしょうか?神父様ともしたことがありません。仕置きと呼ぶにはとても気持ちの良い行為にわたくしは心底戸惑うのでした。

ピッタリと唇を重ねたまま、公爵様はわたくしの中で精を吐かれました。やがて杭が力を失っても、公爵様はわたくしの裡から中々出てゆこうとはしません。
唇の柔らかな感触と、絡め取られた舌の艶めかしい動きに頭がぼうっとしてまいりました。

主人より先に寝るなど許されることではありません。けれどわたくしはその日公爵様よりも先に意識を失ってしまったのです。







翌日、わたくしは初めて寝坊をしてしまいました。はっと起き上がると既に日は高く昼時を告げておりました。慌ててベッドから抜け出そうとしたところ、後ろから手を掴まれ引き戻されてしまいました。

「今日はいい、休め」

後ろから抱き締めながら、公爵様は大きな手で胸を掴んで揉みしだきました。雇って頂いている身でありながら何たる体たらくでしょう。自己嫌悪と罪悪感とで胸が圧し潰されそうになりながら、わたくしは公爵様からの仕置きをその身に受けるのでした。

そもそもこれは本当に仕置きなのでしょうか?公爵様の手はわざとわたくしの快感だけを引き出すように動くのです。こんなに気持ちのいいだけの行為を仕置きと呼んでいいものでしょうか?けれど他の呼び方をわたくしは知りません。

いけません、こんなどうしようもないわたくしなどもっと酷く罰してください。そう心で願いながら唇を噛みしめて、わたくしは今日も快感の波に耐えるのでした。
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