5 / 10
5
しおりを挟む
「公爵様がこのようなこと……どうか自分でやりますのでお止めくださいませ」
何を言っても公爵様は無言でわたくしの体を頭から爪先まで念入りに洗い清め、湯船に沈めました。
湯船に公爵様と向かい合う形となり、わたくしはさすがに困っておりました。公爵様は一体何をなさりたいのでしょう?
「髪も染めていたのか……何てことだ……」
公爵様は大変難しい顔をされております。
「お見苦しい姿を……申し訳ございません」
見るに耐えないわたくしの姿に、益々公爵様のご不興を買ってしまったのだ、とわたくしは理解しました。
もう本当にここには居られないかもしれませんね。けれど幸いにもわたくしはまだ若く、仕事を選ばなければどこででも暮らしてゆけます。
大丈夫、追い出されてもきっと何とかなります。前向きに考えれば気持ちも明るくなってきました。
「お前、処女じゃなかったな。誰かの情婦なのか?」
「わたくしのような者が情婦など……神父様はお仕置きをして下さっただけなのです。決して性の捌け口などではございません」
「は!?神父だと!?」
公爵様の目の色が変わりました。一体どうされたのでしょう?
「その仕置きとやらはいつからされていたんだ?」
「わたくしが15になった歳からです。お前は罪深い存在だから、と」
公爵様は忌々しげに舌打ちなさると、わたくしを抱きしめました。とても鍛えられているのでしょうか、公爵様の体は硬くてゴツゴツとしております。
「……お前名前は?」
「アリーチェと申します」
「姓はないのか?」
「わたくしは孤児ですから、ただのアリーチェです」
「歳はいくつだ?」
「今年18になりました」
公爵様はそこで深々と溜息をつかれると、わたくしの胸を揉みながら乳首をきゅっと摘みました。思わず漏れそうになる声をわたくしは必死で堪えます。
「アリーチェ、今日から夜は俺の部屋で寝ろ」
何と恐れ多い……けれど主人の命令は絶対なのです。わたくしは戸惑いながらも承諾するほかありませんでした。
「承知いたしました公爵様。お仕事は今まで通りさせて頂けますか?」
「働きたいのか?」
「はい、わたくしは仕事が好きですので」
「いいだろう。ただしこれまで通り髪は染め眼鏡も決して外すな」
「ありがとうございます公爵様」
その夜からわたくしは公爵様のお部屋で寝起きをすることとなりました。同じベッドなど恐れ多いとさすがに固辞したのですが、公爵様のご不興を買ってしまい大変厳しいお仕置きを頂いたのでした。主人の命令は絶対、わたくしは恐縮しつつも公爵様と同じベッドで寝ることになりました。
何を言っても公爵様は無言でわたくしの体を頭から爪先まで念入りに洗い清め、湯船に沈めました。
湯船に公爵様と向かい合う形となり、わたくしはさすがに困っておりました。公爵様は一体何をなさりたいのでしょう?
「髪も染めていたのか……何てことだ……」
公爵様は大変難しい顔をされております。
「お見苦しい姿を……申し訳ございません」
見るに耐えないわたくしの姿に、益々公爵様のご不興を買ってしまったのだ、とわたくしは理解しました。
もう本当にここには居られないかもしれませんね。けれど幸いにもわたくしはまだ若く、仕事を選ばなければどこででも暮らしてゆけます。
大丈夫、追い出されてもきっと何とかなります。前向きに考えれば気持ちも明るくなってきました。
「お前、処女じゃなかったな。誰かの情婦なのか?」
「わたくしのような者が情婦など……神父様はお仕置きをして下さっただけなのです。決して性の捌け口などではございません」
「は!?神父だと!?」
公爵様の目の色が変わりました。一体どうされたのでしょう?
「その仕置きとやらはいつからされていたんだ?」
「わたくしが15になった歳からです。お前は罪深い存在だから、と」
公爵様は忌々しげに舌打ちなさると、わたくしを抱きしめました。とても鍛えられているのでしょうか、公爵様の体は硬くてゴツゴツとしております。
「……お前名前は?」
「アリーチェと申します」
「姓はないのか?」
「わたくしは孤児ですから、ただのアリーチェです」
「歳はいくつだ?」
「今年18になりました」
公爵様はそこで深々と溜息をつかれると、わたくしの胸を揉みながら乳首をきゅっと摘みました。思わず漏れそうになる声をわたくしは必死で堪えます。
「アリーチェ、今日から夜は俺の部屋で寝ろ」
何と恐れ多い……けれど主人の命令は絶対なのです。わたくしは戸惑いながらも承諾するほかありませんでした。
「承知いたしました公爵様。お仕事は今まで通りさせて頂けますか?」
「働きたいのか?」
「はい、わたくしは仕事が好きですので」
「いいだろう。ただしこれまで通り髪は染め眼鏡も決して外すな」
「ありがとうございます公爵様」
その夜からわたくしは公爵様のお部屋で寝起きをすることとなりました。同じベッドなど恐れ多いとさすがに固辞したのですが、公爵様のご不興を買ってしまい大変厳しいお仕置きを頂いたのでした。主人の命令は絶対、わたくしは恐縮しつつも公爵様と同じベッドで寝ることになりました。
1
お気に入りに追加
713
あなたにおすすめの小説
【完結】野獣な辺境伯は、婚約破棄された悪役令嬢を娶る
紫宛
恋愛
5月4日
グザルの母親の年齢を間違えていたため修正しました。32→35です(ᴗ͈ˬᴗ͈⸝⸝)
アッシュフォード王国の北方に位置する領土は、雪山に囲まれているため、王都からは隔離された領土だった。
この地の領主は、ギルフォード辺境伯だった。王都では、大男で有名で女性からは野獣と称され敬遠されていた。
それが原因で、王都には極力近寄らず、 余程のことがない限りは、領地を出ることも無かった。
王都では、王太子に婚約破棄された侯爵令嬢が旅立とうとしていた。両親は無関心で気にもとめず、妹はほくそ笑み、令嬢は1人馬車に乗り込み、辺境伯の元へ嫁いだ。
18歳の少女は、29歳の大男と共に幸せを掴む。
※素人作品です※
1月1日
第2話 第3王子→王太子に修正しました。
寡黙な彼は欲望を我慢している
山吹花月
恋愛
近頃態度がそっけない彼。
夜の触れ合いも淡白になった。
彼の態度の変化に浮気を疑うが、原因は真逆だったことを打ち明けられる。
「お前が可愛すぎて、抑えられないんだ」
すれ違い破局危機からの仲直りいちゃ甘らぶえっち。
◇ムーンライトノベルズ様へも掲載しております。
【R18】いくらチートな魔法騎士様だからって、時間停止中に××するのは反則です!
おうぎまちこ(あきたこまち)
恋愛
寡黙で無愛想だと思いきや実はヤンデレな幼馴染?帝国魔法騎士団団長オズワルドに、女上司から嫌がらせを受けていた落ちこぼれ魔術師文官エリーが秘書官に抜擢されたかと思いきや、時間停止の魔法をかけられて、タイムストップ中にエッチなことをされたりする話。
※ムーンライトノベルズで1万字数で完結の作品。
※ヒーローについて、時間停止中の自慰行為があったり、本人の合意なく暴走するので、無理な人はブラウザバック推奨。
王女、騎士と結婚させられイかされまくる
ぺこ
恋愛
髪の色と出自から差別されてきた騎士さまにベタ惚れされて愛されまくる王女のお話。
性描写激しめですが、甘々の溺愛です。
※原文(♡乱舞淫語まみれバージョン)はpixivの方で見られます。
色々と疲れた乙女は最強の騎士様の甘い攻撃に陥落しました
灰兎
恋愛
「ルイーズ、もう少し脚を開けますか?」優しく聞いてくれるマチアスは、多分、もう待ちきれないのを必死に我慢してくれている。
恋愛経験も無いままに婚約破棄まで経験して、色々と疲れているお年頃の女の子、ルイーズ。優秀で容姿端麗なのに恋愛初心者のルイーズ相手には四苦八苦、でもやっぱり最後には絶対無敵の最強だった騎士、マチアス。二人の両片思いは色んな意味でもう我慢出来なくなった騎士様によってぶち壊されました。めでたしめでたし。
【完結】お義父様と義弟の溺愛が凄すぎる件
百合蝶
恋愛
お母様の再婚でロバーニ・サクチュアリ伯爵の義娘になったアリサ(8歳)。
そこには2歳年下のアレク(6歳)がいた。
いつもツンツンしていて、愛想が悪いが(実話・・・アリサをーーー。)
それに引き替え、ロバーニ義父様はとても、いや異常にアリサに構いたがる!
いいんだけど触りすぎ。
お母様も呆れからの憎しみも・・・
溺愛義父様とツンツンアレクに愛されるアリサ。
デビュタントからアリサを気になる、アイザック殿下が現れーーーーー。
アリサはの気持ちは・・・。
元男爵令嬢ですが、物凄く性欲があってエッチ好きな私は現在、最愛の夫によって毎日可愛がられています
一ノ瀬 彩音
恋愛
元々は男爵家のご令嬢であった私が、幼い頃に父親に連れられて訪れた屋敷で出会ったのは当時まだ8歳だった、
現在の彼であるヴァルディール・フォルティスだった。
当時の私は彼のことを歳の離れた幼馴染のように思っていたのだけれど、
彼が10歳になった時、正式に婚約を結ぶこととなり、
それ以来、ずっと一緒に育ってきた私達はいつしか惹かれ合うようになり、
数年後には誰もが羨むほど仲睦まじい関係となっていた。
そして、やがて大人になった私と彼は結婚することになったのだが、式を挙げた日の夜、
初夜を迎えることになった私は緊張しつつも愛する人と結ばれる喜びに浸っていた。
※この物語はフィクションです。
R18作品ですので性描写など苦手なお方や未成年のお方はご遠慮下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる