落人物語

信濃

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泰平の世の朝

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雀の声で目が覚める、平和な泰平の世の朝である、
支度をして使用人を呼ぶ
「少し散歩に行ってくる」と言うと
「了解いたしました、お気をつけて」と言い使用人は下がった、
道に出ると、私と同じ境遇の者がいた
名前を「名和三左衛門」といい私と共に武田家に支えていた者
朝の挨拶をして軽く立ち話をする
今日の話題は息子たちについてである、
お互いに息子は旗本であるが、最近、忙しいようで滅多に顔を見せてくれないのだ
「忙しいのはわかるが・・・」と三右衛門は言葉を濁した、
「私たちも数年前までは旗本であったであろう」と私は
返事をする、
すると、「そうだな、源左衛門、わしらも数年前まではまともに話す機会もなかったな」と納得していた
申し遅れたが私は「板垣源左衛門」と言う者だ
お互いに拝領した名字であるため、未だ慣れないものである、
その後も話を軽くしてから、別れた、することもないので、私は屋敷に戻り隠居生活を送るのみである。
思ったより長く話していたようで、
巳の刻(10時)の鐘が鳴っていた
もう日も上りきり、街は賑やかになっていた
元気に遊び、走り回る子供達、元気な商人の声
泰平の世を改めて感じるには十分すぎる証拠である
屋敷に戻ると使用人が食事を用意して待っていた、
ありがたいことである。


第1章「泰平の世の朝」ここまで

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