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第二章
第7話 公爵家へ
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時は少し戻り、王国歴752年。ハーズワート公爵領。
魔王がカートライア辺境伯領に現れて9年目。
そして、アイシャ・フィアローディが聖女の力に目覚めたその翌年。
東隣のゼガータ侯爵領が魔物に滅ぼされて久しい。
何とか、そちらからの難民を受け入れる事は出来たが、魔物の勢いは衰える事を知らず、ついに最前線の城塞都市ロビリアが落とされた。
どうも、かなりの大型魔物が目撃されており、そいつの出現によって、有象無象を跳ね除け続けて来た防衛の要が、たったの一晩で壊滅したとのことだった。
ハーズワート公爵領の領都は、ゼガータ侯爵領寄りに建設されており、ロビリアからは目と鼻の先の距離、二、三の小さい村や町を除けば、次に狙われるのは、人口の多さからして、ハーズワート公爵領都であった。
今はその最前線にあたるラピラの村に緊急防衛線を敷いて、何とか持ちこたえている状況だった。
実は前年に、遥か南東に位置するフィアローディ伯爵領にて聖女が誕生していたが、まともに戦える年になるまではと、その事実は王家とフィアローディ伯爵家以外には秘匿されていた。
それゆえ他の領地は、未だ聖女の救いを期待できない状況にあった。
「ふっ! ふっ! ふっ!」
ハーズワート公爵領都にある、公爵邸。
9歳になった俺はそこで剣を振り続けていた。
「ルレーフェ、今日も剣の鍛錬か? 今や、我らがハーズワートは存亡の危機。父上もイェルゴも慌てふためいているというのに、何故9歳のお前が、そんなに落ち着いていられるのだ?」
一番上の兄上、ヴェローニが俺に話しかけて来た。
「ふっ! イェルゴ兄さまはともかく! ふっ! そういう! 兄上も! 落ち着いて! ふっ! いらっしゃるではありませんか!」
「私は公爵家の跡取りだ。みっともない格好を皆に見せる訳にはいくまい」
そう言ってヴェローニは堂々とした足取りで俺のところまで歩いて来た。
そういう兄上だって、まだたかが14歳ではないか。魔物の侵攻に対して堂々としていられるような歳では無いはずだ。
「ふぅ」
兄上を無視するわけにはいかなかったので、俺はひとまず剣を収めた。
「全てを忘れるには、剣を振るうのが一番です」
「そんなに全てを忘れたいほど嫌な事でもあったのか?」
兄上の言葉を聞いて、俺は過去の映像が頭にフラッシュバックした。
「いいえ。逆です」
「逆?」
「剣を振るう事で安寧の日常を忘れる。そうすると、忘れてはいけない悲しい出来事だけが蘇ってきます。僕はそれを忘れないようにしているんです」
「……そうか」
兄上はきっと勘違いしただろう。
滅ぼされたゼガータ侯爵領は、ハーズワート公爵家と懇意にしていた。そして俺にはそれなりにに仲良くしていた、同年代の侯爵令息と令嬢がいた。
領地が魔物に滅ぼされ、侯爵一家は全員消息不明との事。恐らく生きてはいまい。兄上は俺が彼らの事を思い出したのだろうと、そう思った。
しかし、彼らには悪いが、俺が剣を振りながら思い出すのは、全く別の人だった。
魔物に四肢を食いちぎられながらも、最期まで抵抗して死んだ、愛するかつての妹。
そして、その妹を守るために、体の半分を食われながらも、槍を振るい、そして俺の手の中で息絶えた最愛の人。
……ミュー。
……エフィリア。
俺は、彼女たちの運命を変えるために、今ここに生きている。
それを常に忘れないように、鮮明に思い出しながら、剣を振るっていた。
そう。
俺は、ハーズワート公爵家の三男、ルレーフェ・ハーズワート。
かつては、広瀬雄介、そしてヴァルクリス・カートライアという名前であった者だ。
俺が再び生を受けたのは、ハーズワート公爵家。国王陛下は父上であるグレットン・リュド・ハーズワートの従兄にあたる。かなり王族の直系に近い家系だった。
母は、ファナ・ハーズワート。あの、妖精のような長く美しく白髪をした母上は、もとは男爵令嬢だったらしい。
その話を聞いた時、このサクセスストーリーをヒューリアに聞かせたら卒倒しそうだな、と思ったものである。
兄弟は俺を除いて二人。
長兄のヴェローニ・ハーズワート。14歳。今俺の目の前にいる、綺麗な銀髪を耳が隠れる程に伸ばした彼は、豪胆、優秀を絵にかいたような男であった。
次兄のイェルゴ・ハーズワート。11歳。先ほど兄ヴェローニが、「慌てふためいている」と形容した彼は、一言で言うと、憎めないお調子者の馬鹿だ。でも、俺はそんなイェルゴが嫌いでは無かった。イェルゴを見ていると、なんとなくロヴェルを思い出すからだ。
ちなみに、父上は、母上とは対象に漆黒の髪色をしていたので、我がハーズワート家は、髪の色で、どちらの血を強く受け継いだかが一目で判る、というのが昔からの共通の話題だった。
長兄ヴェローニは、母上譲りの銀髪。
次兄イェルゴは、父上と同じ黒だった。
そして、俺、ルレーフェ・ハーズワート。9歳。髪の毛は中間の薄い灰色。産まれた当時は、これで父上と母上が「どっち似だ」と喧嘩にならなくて済む、なんて良く言ってたっけな。俺は0歳だったけど、言葉はわかるからな。
当然、二つの前世の記憶をもって生まれ変わった俺は、文武において、公爵家の天才、奇跡の神童の名を欲しいままにしていた。
別に、チヤホヤされたいためでは無かった。
しかし今世では、それなりに特別扱いされていたほうが、今後の展開的にも都合が良い。
あくまでも俺の作戦である。
まあ、チヤホヤされるのは嫌では無かったけど。
それにしても、ベル様は、キチンと俺を公爵家に産まれさせてくれた。これには感謝である。
俺の立場ならば、きっと国王陛下や、その側近と話すことも難しい事ではないだろう。そのタイミングで、『なぜフェリエラが王都には出現できないのか?』の秘密を探らねばならない。
まだ王宮に行ったことも無いけど、その機会はいずれ来る。その時まで、ひとまずその話は俺の中で保留中であった。
そして、多分だけど。
ここで一つ、残念なご報告がございます!
……いや、誰にだよ。
俺は再びこうして無事、フェリエラ期に産まれたわけだが……。
魔法使いとしての才能は授かりませんでした!!
くそー!
ちくしょー!
いや、マジでさ。「『魔法使いになってみたい!』って思ったけど、ヴィ・フェリエラ期に産まれたからノーチャンス!」って言われてさ、その後ちゃんとフェリエラ期に産まれ直してさ。
いや、こんなの絶対に魔法使いに生まれる流れだったでしょ?!
そういう伏線だったんじゃねぇのかよ?!
これが、異世界転生モノの小説かなんかだったら、絶対にそうなる所だぞ? ったく。
……淡い期待だったってのは分かってるよ。
でも、一度は魔王フェリエラに瞬殺された事を考えると……。
魔法使いになりたかった!
いやさ、魔法を使ってみたかった!
絶対に楽だったし!
こんなに、欲求と実益を兼ね備えた願いって、他にあります!? クソが!
……まあ、無いもんはしょうがないけどね。
競馬の三連単どころか、コンビニのアイスの当たりすら引いたことの無い俺には、難易度が高すぎる抽選だったようだ。
はあ……。
内心との温度差が凄すぎるので、いったん心を落ち着けよう。
そういえば今世では、前世よりも前もっての知識があった為、かなり時間が余った。
なので、まだ知らない情報、つまり「魔法使いと魔法」について調べてみた。
すると、ここの書庫にはかなりの文献が揃っていたので、なかなか細部にまで渡って調べる事が出来た。さすがは公爵家である。
『魔法使いは、不思議な一つの力を授かるらしい』
ここまでは知っていた。
気になったのはその『一つの力』だ。
俺が思い描いたパターンは3つ。
わかり易いので地球のRPG風に例えてみよう。
ここでは仮に炎魔法を、弱い方から順に、そうだな……モエ、ガンモエ、ゲキモエとかだとしよう。ネーミングセンスが壊滅的なのは、もう周知の事実なので放っといてくれ。
パターン1。
どれか一つの魔法を覚えるパターン。
つまり、ゲキモエを覚えたら、ガンモエは使えない、というパターンだ。
そしてパターン2。
どれか一つの属性を覚えるパターン。
つまり、モエ、ガンモエ、ゲキモエの炎魔法のみを一通り全て使えるパターン。
そしてパターン3。
どれか一つの用途を覚えるパターン。
つまり、強化魔法ができる、防御魔法ができる、移動魔法ができる。
みたいなパターンだ。
結果から言うと、この世界の魔法は、パターン3が一番近いようだ。
つまり、良く言えば『攻撃魔法が得意』とか『防御魔法が得意』とか。悪く言えば『攻撃しか出来ない』『防御しか出来ない』みたいな?
そして、それらは特別な呪文によって、効果を発現させるらしい。
その呪文とやらはどこで習うのかって言われても知らん。魔法使いに聞いてくれ。
とまぁ、ひとまずここまでが、俺の調べた魔法についての情報だった。
ちなみに聖女は別格。攻撃も防御もなんでもござれの万能タイプらしかった。
くそー、結局聖女様が主人公で勇者かよ。
と、会ったこともない聖女様に、何度と無く悪態をついたものである。
「それで、兄上? こんなところにまで来て、わざわざ私ごときに何か用ですか?」
俺は涼しい顔をして、汗を拭きながら兄上に改めて聞いた。
そう、兄上が俺のもとにわざわざ来るときは、決まって重要な情報が入って来た時だ。
兄上は、公爵家の天才と呼ばれた弟である俺を、信用し、頼ってくれている。新情報が入った時は、俺にそれを一番に伝え、俺の意見を聞くのが定番になっていた。
「ルル。お前に『ごとき』などと謙遜されては、私の立つ瀬がないのだが?」
「いえ、兄上は十分に尊敬に値するお方です。卑下なさる必要などありませんよ」
「イェルゴは?」
「イェルゴ兄さまは……面白いです」
俺の次兄への評価に、兄上は声を出して笑った。
「ははは、是非、本人に伝えてやると言い。『ルルに面白いと言われるなんて、最高の誉め言葉だ』と喜ぶに違いない」
「はは、そう言うところですよ」
イェルゴの反応が目に浮かんだ。
ちなみに、『ルル』と言うのは俺の略称である。
風邪薬かよ! とも思ったが、まあ前世のアレに比べれば、まだかわいいものである。
「で? 本題に戻りましょう。イェルゴ兄さまのことで笑える余裕があるという事は、そこまで深刻なお話では無いのでしょう?」
「う……ん。全く、お前と言うヤツは。まあ、落とされたロビリア砦方面の状況は依然として芳しくは無いが、新情報としては、明るい話題だろう」
兄さまと俺は、庭園のテーブルに腰かけた。
「去年、フィアローディ伯爵領に、幹部クラスの魔物が現れたという噂は聞いていただろう?」
「はい」
そう、ちょうど一年ほど前に、そういう噂が公爵家に入って来た。
幹部魔物に標的にされた領地はまず助からない。奴らが何の気まぐれか、標的を変えない限りは。
そしてフィアローディ伯爵家には、ヴェローニ兄さまの婚約者がいた。
確かリーシャ、と言ったか。数年前に一度だけ見たことがあったが、とても可愛らしい女の子だった気がする。
こと、そういう事に関しては堅物だと思っていた兄上は、なんとリーシャに一目惚れし、この戦乱のフェリエラ期にも関わらず、婚約を取り付けたのだった。
だから、フィアローディ伯爵領に幹部魔物が現れたと聞いた時の兄上の取り乱しようと言ったら無かった。いつ、フィアローディ伯爵家滅亡の知らせが届くのかと、気が気でない毎日を過ごしていた。
そう言えば、あれからなんだかんだで一年近くなる。そちらの情勢はどうなったのだろう。
「フィアローディ伯爵家は、魔物を一掃し、今はすでに滅ぼされた西隣のリハリス子爵領の奪還に着手し始めたそうだ。さらに、ここ最近では、フィアローディ伯爵領に現れたとされている幹部魔物、魔鬼バルガレウスはどこにも目撃されていない」
「なんですって!? という事はつまり……」
「ああ、すぐにピンと来たようだな。さすがだ」
幹部魔物に目をつけられて、それを撃退するどころか、魔物に滅ぼされた隣の領地にまで侵攻をする。それが意味するところはひとつだ。
フィアローディ伯爵領内で「聖女、あるいは魔法使いが見つかった」という事に他ならない。
今、大陸各地で発見されている幹部魔物は四体。
魔人ドーディア
魔女シャルヘィス
魔獣ゲージャ
そして魔鬼バルガレウス
この辺はきちんとテンプレに則っているようだ。ダサいので『四天王』とか『四魔天』とかは言いたくない。ってか四天王ってそもそも仏教用語だろ。
ともあれ、こいつらは皆言葉を話し、普通の魔物なんかでは比べ物にならない強力な力を持っている。特に魔鬼バルガレウスは、侵略と殺戮を楽しむ最も好戦的な要注意魔物であった。
「であれば、リーシャ殿の身の安全も問題ないようですね。良かったですね、兄上」
「ン……ああ、まあ、な」
分かり易く照れている。全く、朴念仁なんだから、うちのパーフェクトお兄様は。
(しかしまあ、やっとか。やっと現れてくれた)
力を目覚めさせた奴が、聖女なのか魔法使いなのか知らんが、俺にとっては待ち望んでいた情報であった。
さらには、幹部魔物の一人を殺ってくれたのならば、これはもう最高級のラッキーだ。将来的に俺の敵になる奴は、幹部クラスと魔王フェリエラだけなのだから。
「リハリス子爵領が奪還されれば、我が公爵家への行き来はしやすくなる。フィアローディ伯爵領から、聖女様か魔法使い様の援軍が届けば、或いはあの大型魔物も何とかしてもらえるかもしれん。それまで防衛することが出来ればきっと……」
ヴェローニ兄様にしては珍しく他力本願な望みを口にした。まあ、こんなディストピアな世界だし、しょうがないか。しかし……。
「いえ、それはどうでしょう」
「え?」
俺は兄上の言葉に、頭を振って答えた。その俺の反応に、兄上は一瞬絶望的な表情をした。その表情が絶望的であればあるほど、皮肉にも、それは兄上の、俺の頭脳と助言への信頼の証となってしまっていた。
「なにか問題があるのか? ルル」
「はい。今はフェリエラ期に入ってすでに九年。つまり、聖女様か魔法使い様かは分かりませんが、仮にフェリエラ期元年に産まれて、力を目覚めさせたとしても、その御方は、まだ9歳です。
リハリス子爵領を奪還したとしても、逆隣のサンマリア男爵領は魔物の支配下。そこを放置して、わざわざ我が領地にまで、幼いその方を派遣するとは到底思えません。きっと、力を使いこなせるように、しばらくはフィアローディ軍全軍でお守りしつつ、周辺の領地の掃討にあたるのではないでしょうか?」
これは、以前、パリアペートの聖女博物館でミューと話した内容だ。だから余計に覚えていた。
聖女様は目覚められても、少なくとも四、五年は情報を秘匿しつつ、周囲の掃討のみに当たられることだろう。どう考えても、最高でも9歳、という今の状況で旅に出られるはずも無かった。
ヴェローニ兄様は、俺の言葉に納得し、更にその表情に悲壮感を漂わせた。
「ルル、では、フィアローディからの援軍は、いつくらいになると?」
「はい、今が目覚められてから一年とすると、最低でも後三年から四年はかかるかと」
「そんな……。しかし、奇跡の神童と謳われたお前が言うのだ、きっとそうなのだろうな……」
ロビリア砦を落とした大型魔物は幹部クラスではないにしろ、その力は災害級だ。見つかったら最後、その視界に入れば、数十人単位が一撃でミンチにされてしまう。
(よし、そろそろ良い頃合いか)
「兄上、大丈夫ですよ、全く問題ありません」
ニッコリと微笑み、余裕綽々でそういう俺に、ヴェローニ兄様は、仏でも見るような、眩しそうな視線で俺を見た。
ああ、なるほど、後光って、こういう時に射すものなんだな。ってか、リアルに眩しそうな表情をするとは……。
「どどど、どういう意味だ、ルル!」
そしてガクガクと俺を全力で揺さぶる。
揺れる揺れる! 脳が!
今しがた後光が射していた相手にすることちゃいまっせ、兄上!?
「おおお、落ち着いて、兄上」
俺は、兄上の手を掴み、何とかなだめると、たっぷりと、かつわざとらしく不敵の笑みを浮かべてこう言った。
「予言します。大型魔物は、すぐに討伐されるでしょう」
俺のその言葉は、ヴェローニにとってはなんの根拠もない、無茶苦茶な話だったに違いない。
しかし、目の前の奇跡の神童の浮かべるその自信満々な表情に、生唾を飲み込んで頷くしかなかった。
それは、強制的に納得させられた、まるでそんな様子だった。
さて、ようやく待ち望んでいた情報が届いてくれたのだ。
ここからが俺の計画の始まりである。
「そういえば、兄上。明後日は騎士隊を率いて最前線のラピラの村に向かわれるのですよね。それに私も同行させて頂けませんでしょうか?」
俺はその計画の始まりとなる言葉を、兄ヴェローニに告げたのだった。
(第8話『計画の始まり』へつづく)
魔王がカートライア辺境伯領に現れて9年目。
そして、アイシャ・フィアローディが聖女の力に目覚めたその翌年。
東隣のゼガータ侯爵領が魔物に滅ぼされて久しい。
何とか、そちらからの難民を受け入れる事は出来たが、魔物の勢いは衰える事を知らず、ついに最前線の城塞都市ロビリアが落とされた。
どうも、かなりの大型魔物が目撃されており、そいつの出現によって、有象無象を跳ね除け続けて来た防衛の要が、たったの一晩で壊滅したとのことだった。
ハーズワート公爵領の領都は、ゼガータ侯爵領寄りに建設されており、ロビリアからは目と鼻の先の距離、二、三の小さい村や町を除けば、次に狙われるのは、人口の多さからして、ハーズワート公爵領都であった。
今はその最前線にあたるラピラの村に緊急防衛線を敷いて、何とか持ちこたえている状況だった。
実は前年に、遥か南東に位置するフィアローディ伯爵領にて聖女が誕生していたが、まともに戦える年になるまではと、その事実は王家とフィアローディ伯爵家以外には秘匿されていた。
それゆえ他の領地は、未だ聖女の救いを期待できない状況にあった。
「ふっ! ふっ! ふっ!」
ハーズワート公爵領都にある、公爵邸。
9歳になった俺はそこで剣を振り続けていた。
「ルレーフェ、今日も剣の鍛錬か? 今や、我らがハーズワートは存亡の危機。父上もイェルゴも慌てふためいているというのに、何故9歳のお前が、そんなに落ち着いていられるのだ?」
一番上の兄上、ヴェローニが俺に話しかけて来た。
「ふっ! イェルゴ兄さまはともかく! ふっ! そういう! 兄上も! 落ち着いて! ふっ! いらっしゃるではありませんか!」
「私は公爵家の跡取りだ。みっともない格好を皆に見せる訳にはいくまい」
そう言ってヴェローニは堂々とした足取りで俺のところまで歩いて来た。
そういう兄上だって、まだたかが14歳ではないか。魔物の侵攻に対して堂々としていられるような歳では無いはずだ。
「ふぅ」
兄上を無視するわけにはいかなかったので、俺はひとまず剣を収めた。
「全てを忘れるには、剣を振るうのが一番です」
「そんなに全てを忘れたいほど嫌な事でもあったのか?」
兄上の言葉を聞いて、俺は過去の映像が頭にフラッシュバックした。
「いいえ。逆です」
「逆?」
「剣を振るう事で安寧の日常を忘れる。そうすると、忘れてはいけない悲しい出来事だけが蘇ってきます。僕はそれを忘れないようにしているんです」
「……そうか」
兄上はきっと勘違いしただろう。
滅ぼされたゼガータ侯爵領は、ハーズワート公爵家と懇意にしていた。そして俺にはそれなりにに仲良くしていた、同年代の侯爵令息と令嬢がいた。
領地が魔物に滅ぼされ、侯爵一家は全員消息不明との事。恐らく生きてはいまい。兄上は俺が彼らの事を思い出したのだろうと、そう思った。
しかし、彼らには悪いが、俺が剣を振りながら思い出すのは、全く別の人だった。
魔物に四肢を食いちぎられながらも、最期まで抵抗して死んだ、愛するかつての妹。
そして、その妹を守るために、体の半分を食われながらも、槍を振るい、そして俺の手の中で息絶えた最愛の人。
……ミュー。
……エフィリア。
俺は、彼女たちの運命を変えるために、今ここに生きている。
それを常に忘れないように、鮮明に思い出しながら、剣を振るっていた。
そう。
俺は、ハーズワート公爵家の三男、ルレーフェ・ハーズワート。
かつては、広瀬雄介、そしてヴァルクリス・カートライアという名前であった者だ。
俺が再び生を受けたのは、ハーズワート公爵家。国王陛下は父上であるグレットン・リュド・ハーズワートの従兄にあたる。かなり王族の直系に近い家系だった。
母は、ファナ・ハーズワート。あの、妖精のような長く美しく白髪をした母上は、もとは男爵令嬢だったらしい。
その話を聞いた時、このサクセスストーリーをヒューリアに聞かせたら卒倒しそうだな、と思ったものである。
兄弟は俺を除いて二人。
長兄のヴェローニ・ハーズワート。14歳。今俺の目の前にいる、綺麗な銀髪を耳が隠れる程に伸ばした彼は、豪胆、優秀を絵にかいたような男であった。
次兄のイェルゴ・ハーズワート。11歳。先ほど兄ヴェローニが、「慌てふためいている」と形容した彼は、一言で言うと、憎めないお調子者の馬鹿だ。でも、俺はそんなイェルゴが嫌いでは無かった。イェルゴを見ていると、なんとなくロヴェルを思い出すからだ。
ちなみに、父上は、母上とは対象に漆黒の髪色をしていたので、我がハーズワート家は、髪の色で、どちらの血を強く受け継いだかが一目で判る、というのが昔からの共通の話題だった。
長兄ヴェローニは、母上譲りの銀髪。
次兄イェルゴは、父上と同じ黒だった。
そして、俺、ルレーフェ・ハーズワート。9歳。髪の毛は中間の薄い灰色。産まれた当時は、これで父上と母上が「どっち似だ」と喧嘩にならなくて済む、なんて良く言ってたっけな。俺は0歳だったけど、言葉はわかるからな。
当然、二つの前世の記憶をもって生まれ変わった俺は、文武において、公爵家の天才、奇跡の神童の名を欲しいままにしていた。
別に、チヤホヤされたいためでは無かった。
しかし今世では、それなりに特別扱いされていたほうが、今後の展開的にも都合が良い。
あくまでも俺の作戦である。
まあ、チヤホヤされるのは嫌では無かったけど。
それにしても、ベル様は、キチンと俺を公爵家に産まれさせてくれた。これには感謝である。
俺の立場ならば、きっと国王陛下や、その側近と話すことも難しい事ではないだろう。そのタイミングで、『なぜフェリエラが王都には出現できないのか?』の秘密を探らねばならない。
まだ王宮に行ったことも無いけど、その機会はいずれ来る。その時まで、ひとまずその話は俺の中で保留中であった。
そして、多分だけど。
ここで一つ、残念なご報告がございます!
……いや、誰にだよ。
俺は再びこうして無事、フェリエラ期に産まれたわけだが……。
魔法使いとしての才能は授かりませんでした!!
くそー!
ちくしょー!
いや、マジでさ。「『魔法使いになってみたい!』って思ったけど、ヴィ・フェリエラ期に産まれたからノーチャンス!」って言われてさ、その後ちゃんとフェリエラ期に産まれ直してさ。
いや、こんなの絶対に魔法使いに生まれる流れだったでしょ?!
そういう伏線だったんじゃねぇのかよ?!
これが、異世界転生モノの小説かなんかだったら、絶対にそうなる所だぞ? ったく。
……淡い期待だったってのは分かってるよ。
でも、一度は魔王フェリエラに瞬殺された事を考えると……。
魔法使いになりたかった!
いやさ、魔法を使ってみたかった!
絶対に楽だったし!
こんなに、欲求と実益を兼ね備えた願いって、他にあります!? クソが!
……まあ、無いもんはしょうがないけどね。
競馬の三連単どころか、コンビニのアイスの当たりすら引いたことの無い俺には、難易度が高すぎる抽選だったようだ。
はあ……。
内心との温度差が凄すぎるので、いったん心を落ち着けよう。
そういえば今世では、前世よりも前もっての知識があった為、かなり時間が余った。
なので、まだ知らない情報、つまり「魔法使いと魔法」について調べてみた。
すると、ここの書庫にはかなりの文献が揃っていたので、なかなか細部にまで渡って調べる事が出来た。さすがは公爵家である。
『魔法使いは、不思議な一つの力を授かるらしい』
ここまでは知っていた。
気になったのはその『一つの力』だ。
俺が思い描いたパターンは3つ。
わかり易いので地球のRPG風に例えてみよう。
ここでは仮に炎魔法を、弱い方から順に、そうだな……モエ、ガンモエ、ゲキモエとかだとしよう。ネーミングセンスが壊滅的なのは、もう周知の事実なので放っといてくれ。
パターン1。
どれか一つの魔法を覚えるパターン。
つまり、ゲキモエを覚えたら、ガンモエは使えない、というパターンだ。
そしてパターン2。
どれか一つの属性を覚えるパターン。
つまり、モエ、ガンモエ、ゲキモエの炎魔法のみを一通り全て使えるパターン。
そしてパターン3。
どれか一つの用途を覚えるパターン。
つまり、強化魔法ができる、防御魔法ができる、移動魔法ができる。
みたいなパターンだ。
結果から言うと、この世界の魔法は、パターン3が一番近いようだ。
つまり、良く言えば『攻撃魔法が得意』とか『防御魔法が得意』とか。悪く言えば『攻撃しか出来ない』『防御しか出来ない』みたいな?
そして、それらは特別な呪文によって、効果を発現させるらしい。
その呪文とやらはどこで習うのかって言われても知らん。魔法使いに聞いてくれ。
とまぁ、ひとまずここまでが、俺の調べた魔法についての情報だった。
ちなみに聖女は別格。攻撃も防御もなんでもござれの万能タイプらしかった。
くそー、結局聖女様が主人公で勇者かよ。
と、会ったこともない聖女様に、何度と無く悪態をついたものである。
「それで、兄上? こんなところにまで来て、わざわざ私ごときに何か用ですか?」
俺は涼しい顔をして、汗を拭きながら兄上に改めて聞いた。
そう、兄上が俺のもとにわざわざ来るときは、決まって重要な情報が入って来た時だ。
兄上は、公爵家の天才と呼ばれた弟である俺を、信用し、頼ってくれている。新情報が入った時は、俺にそれを一番に伝え、俺の意見を聞くのが定番になっていた。
「ルル。お前に『ごとき』などと謙遜されては、私の立つ瀬がないのだが?」
「いえ、兄上は十分に尊敬に値するお方です。卑下なさる必要などありませんよ」
「イェルゴは?」
「イェルゴ兄さまは……面白いです」
俺の次兄への評価に、兄上は声を出して笑った。
「ははは、是非、本人に伝えてやると言い。『ルルに面白いと言われるなんて、最高の誉め言葉だ』と喜ぶに違いない」
「はは、そう言うところですよ」
イェルゴの反応が目に浮かんだ。
ちなみに、『ルル』と言うのは俺の略称である。
風邪薬かよ! とも思ったが、まあ前世のアレに比べれば、まだかわいいものである。
「で? 本題に戻りましょう。イェルゴ兄さまのことで笑える余裕があるという事は、そこまで深刻なお話では無いのでしょう?」
「う……ん。全く、お前と言うヤツは。まあ、落とされたロビリア砦方面の状況は依然として芳しくは無いが、新情報としては、明るい話題だろう」
兄さまと俺は、庭園のテーブルに腰かけた。
「去年、フィアローディ伯爵領に、幹部クラスの魔物が現れたという噂は聞いていただろう?」
「はい」
そう、ちょうど一年ほど前に、そういう噂が公爵家に入って来た。
幹部魔物に標的にされた領地はまず助からない。奴らが何の気まぐれか、標的を変えない限りは。
そしてフィアローディ伯爵家には、ヴェローニ兄さまの婚約者がいた。
確かリーシャ、と言ったか。数年前に一度だけ見たことがあったが、とても可愛らしい女の子だった気がする。
こと、そういう事に関しては堅物だと思っていた兄上は、なんとリーシャに一目惚れし、この戦乱のフェリエラ期にも関わらず、婚約を取り付けたのだった。
だから、フィアローディ伯爵領に幹部魔物が現れたと聞いた時の兄上の取り乱しようと言ったら無かった。いつ、フィアローディ伯爵家滅亡の知らせが届くのかと、気が気でない毎日を過ごしていた。
そう言えば、あれからなんだかんだで一年近くなる。そちらの情勢はどうなったのだろう。
「フィアローディ伯爵家は、魔物を一掃し、今はすでに滅ぼされた西隣のリハリス子爵領の奪還に着手し始めたそうだ。さらに、ここ最近では、フィアローディ伯爵領に現れたとされている幹部魔物、魔鬼バルガレウスはどこにも目撃されていない」
「なんですって!? という事はつまり……」
「ああ、すぐにピンと来たようだな。さすがだ」
幹部魔物に目をつけられて、それを撃退するどころか、魔物に滅ぼされた隣の領地にまで侵攻をする。それが意味するところはひとつだ。
フィアローディ伯爵領内で「聖女、あるいは魔法使いが見つかった」という事に他ならない。
今、大陸各地で発見されている幹部魔物は四体。
魔人ドーディア
魔女シャルヘィス
魔獣ゲージャ
そして魔鬼バルガレウス
この辺はきちんとテンプレに則っているようだ。ダサいので『四天王』とか『四魔天』とかは言いたくない。ってか四天王ってそもそも仏教用語だろ。
ともあれ、こいつらは皆言葉を話し、普通の魔物なんかでは比べ物にならない強力な力を持っている。特に魔鬼バルガレウスは、侵略と殺戮を楽しむ最も好戦的な要注意魔物であった。
「であれば、リーシャ殿の身の安全も問題ないようですね。良かったですね、兄上」
「ン……ああ、まあ、な」
分かり易く照れている。全く、朴念仁なんだから、うちのパーフェクトお兄様は。
(しかしまあ、やっとか。やっと現れてくれた)
力を目覚めさせた奴が、聖女なのか魔法使いなのか知らんが、俺にとっては待ち望んでいた情報であった。
さらには、幹部魔物の一人を殺ってくれたのならば、これはもう最高級のラッキーだ。将来的に俺の敵になる奴は、幹部クラスと魔王フェリエラだけなのだから。
「リハリス子爵領が奪還されれば、我が公爵家への行き来はしやすくなる。フィアローディ伯爵領から、聖女様か魔法使い様の援軍が届けば、或いはあの大型魔物も何とかしてもらえるかもしれん。それまで防衛することが出来ればきっと……」
ヴェローニ兄様にしては珍しく他力本願な望みを口にした。まあ、こんなディストピアな世界だし、しょうがないか。しかし……。
「いえ、それはどうでしょう」
「え?」
俺は兄上の言葉に、頭を振って答えた。その俺の反応に、兄上は一瞬絶望的な表情をした。その表情が絶望的であればあるほど、皮肉にも、それは兄上の、俺の頭脳と助言への信頼の証となってしまっていた。
「なにか問題があるのか? ルル」
「はい。今はフェリエラ期に入ってすでに九年。つまり、聖女様か魔法使い様かは分かりませんが、仮にフェリエラ期元年に産まれて、力を目覚めさせたとしても、その御方は、まだ9歳です。
リハリス子爵領を奪還したとしても、逆隣のサンマリア男爵領は魔物の支配下。そこを放置して、わざわざ我が領地にまで、幼いその方を派遣するとは到底思えません。きっと、力を使いこなせるように、しばらくはフィアローディ軍全軍でお守りしつつ、周辺の領地の掃討にあたるのではないでしょうか?」
これは、以前、パリアペートの聖女博物館でミューと話した内容だ。だから余計に覚えていた。
聖女様は目覚められても、少なくとも四、五年は情報を秘匿しつつ、周囲の掃討のみに当たられることだろう。どう考えても、最高でも9歳、という今の状況で旅に出られるはずも無かった。
ヴェローニ兄様は、俺の言葉に納得し、更にその表情に悲壮感を漂わせた。
「ルル、では、フィアローディからの援軍は、いつくらいになると?」
「はい、今が目覚められてから一年とすると、最低でも後三年から四年はかかるかと」
「そんな……。しかし、奇跡の神童と謳われたお前が言うのだ、きっとそうなのだろうな……」
ロビリア砦を落とした大型魔物は幹部クラスではないにしろ、その力は災害級だ。見つかったら最後、その視界に入れば、数十人単位が一撃でミンチにされてしまう。
(よし、そろそろ良い頃合いか)
「兄上、大丈夫ですよ、全く問題ありません」
ニッコリと微笑み、余裕綽々でそういう俺に、ヴェローニ兄様は、仏でも見るような、眩しそうな視線で俺を見た。
ああ、なるほど、後光って、こういう時に射すものなんだな。ってか、リアルに眩しそうな表情をするとは……。
「どどど、どういう意味だ、ルル!」
そしてガクガクと俺を全力で揺さぶる。
揺れる揺れる! 脳が!
今しがた後光が射していた相手にすることちゃいまっせ、兄上!?
「おおお、落ち着いて、兄上」
俺は、兄上の手を掴み、何とかなだめると、たっぷりと、かつわざとらしく不敵の笑みを浮かべてこう言った。
「予言します。大型魔物は、すぐに討伐されるでしょう」
俺のその言葉は、ヴェローニにとってはなんの根拠もない、無茶苦茶な話だったに違いない。
しかし、目の前の奇跡の神童の浮かべるその自信満々な表情に、生唾を飲み込んで頷くしかなかった。
それは、強制的に納得させられた、まるでそんな様子だった。
さて、ようやく待ち望んでいた情報が届いてくれたのだ。
ここからが俺の計画の始まりである。
「そういえば、兄上。明後日は騎士隊を率いて最前線のラピラの村に向かわれるのですよね。それに私も同行させて頂けませんでしょうか?」
俺はその計画の始まりとなる言葉を、兄ヴェローニに告げたのだった。
(第8話『計画の始まり』へつづく)
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