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第三章

引き抜きの打診という名の使い魔強奪

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広範囲に死霊の気配を探知するために魔力を張り巡らせる。
穴に巣を作る蜘蛛のように。
どこまでも広く、そして、緻密に。
見つけた強力な気配にゆっくりと絡めていき、道筋を作る。

「ふむ、普段から共にいる訳ではなさそうですね。まぁ、契約が緩いですからね。殺されないように自衛しているのでしょう。では、主の鞍替えでもしてもらうために交渉しに行きましょう」
幻惑を掛けて、今の主(仮)には寝ていてもらいます。
今は安眠のできる素敵な時間ですよー。
おやすみなさーい。

「来てあげましたよ。グレーターレイスのメス」
「見た目以外に意味の無い情報ですわね? まぁ、いいですわ。来てくれたということは、貰ってくれるのかしら」
あら、生前はお姫様だった可能性がありますね?
なるほど、だから不定形を選んでいたんですね。
「ええ、使役しているつもりになっている人間のオスに身の程を知らせてあげないといけませんので」
「私が欲しいわけじゃないのですね」
何を勘違いしているのです?
私が要らないものの為に、貴重な魔力をくれてやるとでも?

「はい? ハイエルフがわざわざ、嫌がらせのために欲しくもないものに時間を割くとでも?」
「もう、紛らわしいことを仰るからですわ! そういう事でしたら、喜んでこの身を捧げますわ」
では、手早く終わらせましょう。
結論から言いましょう。
ぶっ倒れました。

「あら? 吸いすぎたかしら? えっと、死んでませんわよね? もしもーし」
「死んでませんよ、動けませんが」
「それは良いことを聞きました」
「サンクチュアリ」
ふっ、枯渇したわけではないのですよ。
甘く見ましたね。
「痛い、痛いですわ。ちょっと、全身を快感で埋めつくしてみたかっただけですの。さぁ、無駄な抵抗はやめるのです」
生前の未練がそれとは、言いませんよね?
やめてくださいよ?

「ぐぬぬぬ、往生際が悪いですわよ」
「そちらこそ、ご主人様に対して、失礼すぎますよ」
サンクチュアリの粉砕をしようと頑張る、見た目清楚な姫の死霊と突っ伏して動けない私の、追加の聖域の勝負です。

「諦めてちょっと快楽に溺れましょう。主様」
「嫌ですよ、そちらこそ諦めて私の支配下に入りなさい色ボケ霊」
グレーターレイスがこんなに面倒だとは思いませんでしたよ。
感情優先とは、厄介ですね。
私も似たようなものであるのは、認めますが。

「わたくしの勝利ですわ」
「甘いですね。悪魔の責め苦の方がまだ、酷かったです」
「泣き叫んでましたわよね?」
うるさいです。
ハイエルフは、この手の感覚に慣れないのです。
ひゃあ、とか、あ、あん。やめ、く、ふぁぁ。
とか言いたくは無いのです。

「大体、主人を性的に襲うとは、どういう了見ですか」
「わたくし、生前に侍女に手を出し過ぎて、処刑されたのですわ。ちょっと、女の子がしちゃいけないぐらいの表情になるまで、可愛がっただけでしたのに」
やばいのを使い魔にしてしまいました。
ルリが襲われなければ良いですが。
自称姉? あれはこれの好みではないでしょう。

「さて、魔力も戻ったので、帰りますよ」
「あら? 嫌がらせはいいんですの?」
起きた時に、さぞ困るでしょうから、放置でいいんですよ。
支配下に置いてるつもりだった死霊は、私が解放しておきましたので。

「リジェちゃんは、えげつないですわね」
「未成熟な体のメス相手に、あそこまでやる色ボケ霊には言われたくないですね」
名前で呼んでくださいましと、うるさかったので、名前を聞いてやりました。
やたらと長い王族としての名は、さらっと聞き流しましたが。

「長ったらしいので、エロでいいですね」
「やめてくださる?」
エレオノール・ローデンブルク・フロイゼンとか長すぎます。

「エロフ」
「やめてくださる? ハイエロフ」
あぁん?
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