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剣聖編
聖女と回避ヒーラー
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「あっ、セレ姉!」
「私はあんたの姉じゃない」
様子を見にギルドに顔を出したら、向こうから寄ってきた。
うん、元気そう。
「セレ姉! エリクサーってすごいね!」
「その感じだと、王家の在庫のようね」
エリクサーは実は2種類ある。
ひとつは、王家など、国の根幹に関連する人のために用意された、聖女の回復魔法を濃縮するように重ねがけをし続けたポーション。
もうひとつは、龍の霊薬とも呼ばれる、基調素材盛り沢山の錬金術で作る薬。
作り方は知らない。
「へぇ、エリクサーってそんな分け方があったんだ!」
「龍の霊薬だったら、調整してあげないと腕が1本増えたりとか有り得たから見に来たんだけど、運が良かったわね? 最後まで踏んだり蹴ったりにならなくて良かったんじゃない?」
あんなの思い出させないでくださいよー!
と文句を言ってるけど、お手伝いにしろ本気にしろ、男と組む時は警戒をむき出しにするぐらいで丁度いいと言ってたのにあっさりされる方が悪い。
「仕方ないじゃないですか、もっともな理由で呼ばれてダンジョン潜ったらいきなり襲われるとか聞いてないです」
「何度も言ったんだけど? 女1人だとバカをやるやつが多いから油断すんなって」
まぁ、ギルドマスターご指名なら大丈夫と思ったんだろうけど。
「支援職の手足切り落とすとか、思わないじゃないですかー」
「しかも、傷口に高級ポーション掛けられて、くっつけられなかったそうね? 切られた瞬間に繋げたらそんなことにならなかったのに」
無茶言わないでくださいよーなどと言っているが、出来るようにいじめ、
間違えた、鍛えてたんだけどね?
「でも、なんで回避盾持っていかなかったの? あんたの主力でしょうに」
「修理中でした」
あぁ、そういう事。
剣聖がいるから危険なことにはならない。
支援に専念してくれという役割分担ね。
それなら回避盾がなくても大丈夫と思うだろうし、揃うまで待ってくれとも言えないか。
ましてや、あいつ話通じないし。
「んー、じゃあ早いけど渡すものができたから着いてきなさい」
「セレ姉が私に? 昔のローブとかくれるんですか?」
私のローブは強すぎるからだめ。
怠ける。
「回避盾よ、あんた用に私が作り上げたやつ、ほんとは、Sランクに上がったら贈るつもりだったけど、前使ってたヤツが壊れるような腕なら、調整し直さないといけないから今あげる」
今更だが回避盾と言うのは、盾に凄まじい数の加護を付けて作る、攻撃を流す盾のことだ。
流すので後ろにいるともれなく直撃する。
なぜそんな迷惑な盾を作るかと言うと支援職のためである。
回復役と言うのは後ろに待機していて欲しい、でもそうなるの孤立しているため、狙われた時誰も守れない可能性がある。
しかして、それを守るために盾役をそこに置くと今度は前衛が苦戦する。
人数を増やしすぎると小回りが利かず戦いに支障が出る。
ではどうするか、本人が攻撃を対処してくれたらいい。
しかし受け止めると怪我をする、かと言ってパリィはかなりの技術がいる。
結果生まれたのが回避盾である。
盾にさえ当てれば、加護の許す限りどんな攻撃でも逸らしてくれるものなのだが、この子はそれを大いに活用し特殊な戦闘法を編み出した。
それが、ガードリバーサルという技だ。
前線に飛び込み回避盾を2枚使い、流した攻撃をそのまま相手に返すのだ。
1枚は手で持ち、もう1枚は魔力で操作する。
今回は更に付け加えられた要望により魔改造している。
「あれも付いてるんですよね!」
「付けたわよ、ただし、4枚。8枚は加護が反発して上手くいかなかったし、まだあんたには早いから今回は、なし」
シールドビットと呼ぶらしい。
私の知識になかったから本人のオリジナルか、どこかにぶっ飛んだ思想の武器屋がいるんでしょう。
説明するとしたら、加護をつけた板と言えばいいだろう。
これを複数操作して、より多方面に反射させるらしい。
なかなか器用。
「はいこれ、試しは軽い魔法でいいでしょ」
「お願いしますー」
これ、私用に作ろう、面白いこと思いついた。
ということで、お互いに得るものがあったので渡しておいて良かった。
「セレ姉、冒険者に復帰は」
「状況次第、なに? 組みたいの?」
聖女と回避ヒーラーってバランス最悪だね。
「うー」
「唸らない」
まぁ、国とかそんなの関係ない立場になれたらね。
「私はあんたの姉じゃない」
様子を見にギルドに顔を出したら、向こうから寄ってきた。
うん、元気そう。
「セレ姉! エリクサーってすごいね!」
「その感じだと、王家の在庫のようね」
エリクサーは実は2種類ある。
ひとつは、王家など、国の根幹に関連する人のために用意された、聖女の回復魔法を濃縮するように重ねがけをし続けたポーション。
もうひとつは、龍の霊薬とも呼ばれる、基調素材盛り沢山の錬金術で作る薬。
作り方は知らない。
「へぇ、エリクサーってそんな分け方があったんだ!」
「龍の霊薬だったら、調整してあげないと腕が1本増えたりとか有り得たから見に来たんだけど、運が良かったわね? 最後まで踏んだり蹴ったりにならなくて良かったんじゃない?」
あんなの思い出させないでくださいよー!
と文句を言ってるけど、お手伝いにしろ本気にしろ、男と組む時は警戒をむき出しにするぐらいで丁度いいと言ってたのにあっさりされる方が悪い。
「仕方ないじゃないですか、もっともな理由で呼ばれてダンジョン潜ったらいきなり襲われるとか聞いてないです」
「何度も言ったんだけど? 女1人だとバカをやるやつが多いから油断すんなって」
まぁ、ギルドマスターご指名なら大丈夫と思ったんだろうけど。
「支援職の手足切り落とすとか、思わないじゃないですかー」
「しかも、傷口に高級ポーション掛けられて、くっつけられなかったそうね? 切られた瞬間に繋げたらそんなことにならなかったのに」
無茶言わないでくださいよーなどと言っているが、出来るようにいじめ、
間違えた、鍛えてたんだけどね?
「でも、なんで回避盾持っていかなかったの? あんたの主力でしょうに」
「修理中でした」
あぁ、そういう事。
剣聖がいるから危険なことにはならない。
支援に専念してくれという役割分担ね。
それなら回避盾がなくても大丈夫と思うだろうし、揃うまで待ってくれとも言えないか。
ましてや、あいつ話通じないし。
「んー、じゃあ早いけど渡すものができたから着いてきなさい」
「セレ姉が私に? 昔のローブとかくれるんですか?」
私のローブは強すぎるからだめ。
怠ける。
「回避盾よ、あんた用に私が作り上げたやつ、ほんとは、Sランクに上がったら贈るつもりだったけど、前使ってたヤツが壊れるような腕なら、調整し直さないといけないから今あげる」
今更だが回避盾と言うのは、盾に凄まじい数の加護を付けて作る、攻撃を流す盾のことだ。
流すので後ろにいるともれなく直撃する。
なぜそんな迷惑な盾を作るかと言うと支援職のためである。
回復役と言うのは後ろに待機していて欲しい、でもそうなるの孤立しているため、狙われた時誰も守れない可能性がある。
しかして、それを守るために盾役をそこに置くと今度は前衛が苦戦する。
人数を増やしすぎると小回りが利かず戦いに支障が出る。
ではどうするか、本人が攻撃を対処してくれたらいい。
しかし受け止めると怪我をする、かと言ってパリィはかなりの技術がいる。
結果生まれたのが回避盾である。
盾にさえ当てれば、加護の許す限りどんな攻撃でも逸らしてくれるものなのだが、この子はそれを大いに活用し特殊な戦闘法を編み出した。
それが、ガードリバーサルという技だ。
前線に飛び込み回避盾を2枚使い、流した攻撃をそのまま相手に返すのだ。
1枚は手で持ち、もう1枚は魔力で操作する。
今回は更に付け加えられた要望により魔改造している。
「あれも付いてるんですよね!」
「付けたわよ、ただし、4枚。8枚は加護が反発して上手くいかなかったし、まだあんたには早いから今回は、なし」
シールドビットと呼ぶらしい。
私の知識になかったから本人のオリジナルか、どこかにぶっ飛んだ思想の武器屋がいるんでしょう。
説明するとしたら、加護をつけた板と言えばいいだろう。
これを複数操作して、より多方面に反射させるらしい。
なかなか器用。
「はいこれ、試しは軽い魔法でいいでしょ」
「お願いしますー」
これ、私用に作ろう、面白いこと思いついた。
ということで、お互いに得るものがあったので渡しておいて良かった。
「セレ姉、冒険者に復帰は」
「状況次第、なに? 組みたいの?」
聖女と回避ヒーラーってバランス最悪だね。
「うー」
「唸らない」
まぁ、国とかそんなの関係ない立場になれたらね。
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