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第一章

予想通りですね

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それから数日、良質なポーションのおかげで、難度の高い依頼も挑戦できるようになり、稼ぎが安定してきた頃、反比例するようにアイリスさんが憔悴して行った。
どうやら、私以外の冒険者が買ってくれなくなり、商人たちも手を引いてしまったとのこと。
もしや、アイリスさん気づいてなかったのでしょうか、そこら中で悪評を広められていることに。

「あの、アイリスさん、廃棄ポーションを再利用して提供してると評判のポーションは誰も買わないと思うんですけど」
「……えっ?」

本当に気づいていなかったようです。
悪評の数々に怒るどころか、無でした。
「私たちのように、追放という処分になった者はこうなるものです」
「……その割に、エミリーさんは特に悪評なんてなさそうですけど」
いっぱいありますよ?
寄生虫とか言われましたし。
うねうねー。

「まずは、ギルドの鑑定士に見てもらって問題ないことを証明してもらいましょう」
それで大半は解決だと思っておりました。

「間違いなく廃棄ポーションです」
はい、そちらがその気ならそれで構いません。

「アイリスさん、辺境になりますが、クレイドルのギルドに移りませんか? あそこは徹底した実力主義です。こんな卑怯なことをすることはありませんよ」
「他に選択肢がないですよ、エミリーさんもかなり評判下げられてますし」
いえ、私は変わってないです。
アイリスさんが知らなかっただけで。

──────────────────
「なぁ、エミリーちゃん、いねぇの?」
「彼女はクレイドルを拠点にするそうです」
ほんの少し前まで、そこではエミリーとアイリスが所属していたギルド。
最近2人とも見かけないので、受付嬢に聞いているのだろう。
「……なんでまた」
「先日、買収されていた鑑定士のせいです」
ギルド公認を得るために、鑑定を依頼した結果、廃棄品であると鑑定結果を偽られたら、二度と利用者はいなくなる。
追放された錬金術士の悪評こそが、ギルドの公認となったのだ、誰が利用するかという話である。
「あー、あいつな。廃棄ポーションとか鑑定を偽造したわけだ」
「お陰様で、当ギルドで鑑定受付が不可能になりました」
それはつまり、素材の買取が出来なくなったことを指す。
ここで出来なければ、当然、できる所に冒険者は頼む。
ギルドの売上のメインとなる部分を失ったことになる。
「潰れるか?」
「いいえ、そこは何とかします」
実行犯と、この騒動に関係を持っている者に全てを償わせる。
ギルドの制裁は容赦がないのである。
「にしても、なんであんな簡単にみんな信じたんだ?」
「魅了の悪魔がいるからですよ。誰が匿っているのか分からないので、余計なことはしちゃいけませんよ」
魅了の悪魔とは、洗脳魔法が制御できていない人間を指す言葉である。
つまり、本人の意思に関係なく、そこら中に洗脳魔法をばら撒く迷惑な存在ということである。
タチの悪いことに、こういった存在は大半が信念を持ち、善行をしているつもりの人間が多いということである。
ただ、それ故に利用されやすい。
今回も、魅了の悪魔は信念のもと、行動したに過ぎない。
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