4 / 32
第一章
予想通りですね
しおりを挟む
それから数日、良質なポーションのおかげで、難度の高い依頼も挑戦できるようになり、稼ぎが安定してきた頃、反比例するようにアイリスさんが憔悴して行った。
どうやら、私以外の冒険者が買ってくれなくなり、商人たちも手を引いてしまったとのこと。
もしや、アイリスさん気づいてなかったのでしょうか、そこら中で悪評を広められていることに。
「あの、アイリスさん、廃棄ポーションを再利用して提供してると評判のポーションは誰も買わないと思うんですけど」
「……えっ?」
本当に気づいていなかったようです。
悪評の数々に怒るどころか、無でした。
「私たちのように、追放という処分になった者はこうなるものです」
「……その割に、エミリーさんは特に悪評なんてなさそうですけど」
いっぱいありますよ?
寄生虫とか言われましたし。
うねうねー。
「まずは、ギルドの鑑定士に見てもらって問題ないことを証明してもらいましょう」
それで大半は解決だと思っておりました。
「間違いなく廃棄ポーションです」
はい、そちらがその気ならそれで構いません。
「アイリスさん、辺境になりますが、クレイドルのギルドに移りませんか? あそこは徹底した実力主義です。こんな卑怯なことをすることはありませんよ」
「他に選択肢がないですよ、エミリーさんもかなり評判下げられてますし」
いえ、私は変わってないです。
アイリスさんが知らなかっただけで。
──────────────────
「なぁ、エミリーちゃん、いねぇの?」
「彼女はクレイドルを拠点にするそうです」
ほんの少し前まで、そこではエミリーとアイリスが所属していたギルド。
最近2人とも見かけないので、受付嬢に聞いているのだろう。
「……なんでまた」
「先日、買収されていた鑑定士のせいです」
ギルド公認を得るために、鑑定を依頼した結果、廃棄品であると鑑定結果を偽られたら、二度と利用者はいなくなる。
追放された錬金術士の悪評こそが、ギルドの公認となったのだ、誰が利用するかという話である。
「あー、あいつな。廃棄ポーションとか鑑定を偽造したわけだ」
「お陰様で、当ギルドで鑑定受付が不可能になりました」
それはつまり、素材の買取が出来なくなったことを指す。
ここで出来なければ、当然、できる所に冒険者は頼む。
ギルドの売上のメインとなる部分を失ったことになる。
「潰れるか?」
「いいえ、そこは何とかします」
実行犯と、この騒動に関係を持っている者に全てを償わせる。
ギルドの制裁は容赦がないのである。
「にしても、なんであんな簡単にみんな信じたんだ?」
「魅了の悪魔がいるからですよ。誰が匿っているのか分からないので、余計なことはしちゃいけませんよ」
魅了の悪魔とは、洗脳魔法が制御できていない人間を指す言葉である。
つまり、本人の意思に関係なく、そこら中に洗脳魔法をばら撒く迷惑な存在ということである。
タチの悪いことに、こういった存在は大半が信念を持ち、善行をしているつもりの人間が多いということである。
ただ、それ故に利用されやすい。
今回も、魅了の悪魔は信念のもと、行動したに過ぎない。
どうやら、私以外の冒険者が買ってくれなくなり、商人たちも手を引いてしまったとのこと。
もしや、アイリスさん気づいてなかったのでしょうか、そこら中で悪評を広められていることに。
「あの、アイリスさん、廃棄ポーションを再利用して提供してると評判のポーションは誰も買わないと思うんですけど」
「……えっ?」
本当に気づいていなかったようです。
悪評の数々に怒るどころか、無でした。
「私たちのように、追放という処分になった者はこうなるものです」
「……その割に、エミリーさんは特に悪評なんてなさそうですけど」
いっぱいありますよ?
寄生虫とか言われましたし。
うねうねー。
「まずは、ギルドの鑑定士に見てもらって問題ないことを証明してもらいましょう」
それで大半は解決だと思っておりました。
「間違いなく廃棄ポーションです」
はい、そちらがその気ならそれで構いません。
「アイリスさん、辺境になりますが、クレイドルのギルドに移りませんか? あそこは徹底した実力主義です。こんな卑怯なことをすることはありませんよ」
「他に選択肢がないですよ、エミリーさんもかなり評判下げられてますし」
いえ、私は変わってないです。
アイリスさんが知らなかっただけで。
──────────────────
「なぁ、エミリーちゃん、いねぇの?」
「彼女はクレイドルを拠点にするそうです」
ほんの少し前まで、そこではエミリーとアイリスが所属していたギルド。
最近2人とも見かけないので、受付嬢に聞いているのだろう。
「……なんでまた」
「先日、買収されていた鑑定士のせいです」
ギルド公認を得るために、鑑定を依頼した結果、廃棄品であると鑑定結果を偽られたら、二度と利用者はいなくなる。
追放された錬金術士の悪評こそが、ギルドの公認となったのだ、誰が利用するかという話である。
「あー、あいつな。廃棄ポーションとか鑑定を偽造したわけだ」
「お陰様で、当ギルドで鑑定受付が不可能になりました」
それはつまり、素材の買取が出来なくなったことを指す。
ここで出来なければ、当然、できる所に冒険者は頼む。
ギルドの売上のメインとなる部分を失ったことになる。
「潰れるか?」
「いいえ、そこは何とかします」
実行犯と、この騒動に関係を持っている者に全てを償わせる。
ギルドの制裁は容赦がないのである。
「にしても、なんであんな簡単にみんな信じたんだ?」
「魅了の悪魔がいるからですよ。誰が匿っているのか分からないので、余計なことはしちゃいけませんよ」
魅了の悪魔とは、洗脳魔法が制御できていない人間を指す言葉である。
つまり、本人の意思に関係なく、そこら中に洗脳魔法をばら撒く迷惑な存在ということである。
タチの悪いことに、こういった存在は大半が信念を持ち、善行をしているつもりの人間が多いということである。
ただ、それ故に利用されやすい。
今回も、魅了の悪魔は信念のもと、行動したに過ぎない。
0
お気に入りに追加
29
あなたにおすすめの小説
女神の心臓
瑞原チヒロ
ファンタジー
「ねえ、精霊。もしもいるのなら――どうしてお母さんを助けてくれなかったの?」
人間と精霊が共存する世界。森に住む少年アリムには、精霊の姿が見えなかった。
彼を支えていたのは亡き母の「精霊があなたを助けてくれる」という言葉だけ。
そんなアリムはある日、水を汲みに訪れた川で、懐かしい姿を見つける。
一方その頃、町ではとある青年が、風精の囁きに応じ行動を始めていた。
表紙イラスト:いち様 pixiv:http://www.pixiv.net/member.php?id=1688339
■小説家になろう、エブリスタ・カクヨムにも掲載。
★現行の「女神の心臓」は、勝手ながら現状の第二話をもって終了となります。
そして、作者に余裕ができたらリニューアルして新「女神の心臓」として復活させます。ちょっと雰囲気変わります。
現行の分を「完結」表示にするかは、まだ決まっておりません。
作者にその余裕ができるのか謎ですが…。現行のお話を読んでくださったみなさま、本当にすみません。そしてありがとうございます。
星の愛し子は異世界でも最強?
白狗
ファンタジー
とある世界のとある場所の一軒家に住む少し変わった家族の少年が召喚されて行く、異世界物語。
彼の家族は変わっており、彼に危機や困ったことがあれば空間を越えて彼を助けに来る。
行き過ぎた『子供への愛情』を持つ母、『過保護過ぎる』父、『ずっと手元に置いていたいと考える姉妹』、彼を必ず『守る』対象として動く多くの家族と少年の異世界の旅が今始まる。
===============================
誤字脱字、ヤンデレ要素がある可能性がありますのでご容赦下さい。
田舎暮らしと思ったら、異世界暮らしだった。
けむし
ファンタジー
突然の異世界転移とともに魔法が使えるようになった青年の、ほぼ手に汗握らない物語。
日本と異世界を行き来する転移魔法、物を複製する魔法。
あらゆる魔法を使えるようになった主人公は異世界で、そして日本でチート能力を発揮・・・するの?
ゆる~くのんびり進む物語です。読者の皆様ものんびりお付き合いください。
感想などお待ちしております。
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
42歳メジャーリーガー、異世界に転生。チートは無いけど、魔法と元日本最高級の豪速球で無双したいと思います。
町島航太
ファンタジー
かつて日本最強投手と持て囃され、MLBでも大活躍した佐久間隼人。
しかし、老化による衰えと3度の靭帯損傷により、引退を余儀なくされてしまう。
失意の中、歩いていると球団の熱狂的ファンからポストシーズンに行けなかった理由と決めつけられ、刺し殺されてしまう。
だが、目を再び開くと、魔法が存在する世界『異世界』に転生していた。
ドグラマ2 ―魔人会の五悪党―
小松菜
ファンタジー
※登場人物紹介を追加しました。
悪の秘密結社『ヤゴス』の三幹部は改造人間である。とある目的の為、冷凍睡眠により荒廃した未来の日本で目覚める事となる。
異世界と化した魔境日本で組織再興の為に活動を再開した三人は、今日もモンスターや勇者様一行と悲願達成の為に戦いを繰り広げるのだった。
*前作ドグラマの続編です。
毎日更新を目指しています。
ご指摘やご質問があればお気軽にどうぞ。
パーティを抜けた魔法剣士は憧れの冒険者に出会い、最強の冒険者へと至る
一ノ瀬一
ファンタジー
幼馴染とパーティを組んでいた魔法剣士コルネは領主の息子が入ってきたいざこざでパーティを抜ける。たまたま目に入ったチラシは憧れの冒険者ロンドが開く道場のもので、道場へ向かったコルネはそこで才能を開花させていく。
※毎日更新
小説家になろう、カクヨムでも同時連載中!
https://ncode.syosetu.com/n6654gw/
https://kakuyomu.jp/works/16816452219601856526
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる