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第二幕

復讐の後は

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私がミアの所に着いた時は、かなり苦戦していた。
と言っても、ミア自体が弱かったからじゃない。
ネクロマンサーのスキル持ちがいたのだ。
まぁ、私でもアディや黒姉さんにフェリーシア様とか知り合いの幻影を出されたら一瞬止まる自信がある。
ましてや、それが、大切な妹の魂そのものだったなら……
「ミア、貴女の聖属性魔法はその程度じゃないでしょう。何ができるか今一度思い出しなさい!」
復讐相手を私が殺すわけにはいかない。
周りだけ排除しよう。
「望み通りの1体1よ、分かってるわね?」
「……ありがとう、ご主人様。成し遂げるわ!」
「けっ、残念だが俺もネクロマンサーのスキルは持ってんだよ! さぁ、殺せるか? 大切な妹なんだろ?」
笑いながら言ってるし、このクズ私が消したい。
けど我慢。
大丈夫、ミアの魔法なら救えるし、倒せる。
「ホーリーサークル」
浄化の陣。
さまよう魂に、安らぎを与え、行くべき場所へと誘うことも出来る。
本来は、解毒や解呪のためのものであるが、その浄化の力はゴースト系の魔物や、ネクロマンサーによって縛られた魂にも効果がある。
ネクロマンサーにとって、聖女は相性の悪い敵となる。
ただし、逆もまた然りである。
なぜなら、浄化を受けたネクロマンサーによって縛られた魂は、弾け飛ぶように消える。
もちろん、救われるだけで、なんのダメージもないが、見る側は辛い。
苦悶の表情で身内が弾け飛ぶ様を見せられて、心に傷を負わない方が珍しいだろう。
だから、私がちょっとだけ2人を救う。
「ソング」
魔法で奏でる歌。
私が使える、安らぎの魔法。
森の持つ、神秘をここに。
『ありがとう、お姉ちゃん』
「ごめんね、こんなことしか出来なくて」
それは、確かにそこにあった瞬きの安らぎ。
「ホーリーブレス」
そして、容赦ない一撃。
あれされると、蘇生できないんだよね。
強制的に魂が粉砕されるんだよね。
あー、相手がクズだったらの話ね。
浄化の対象になるから。
「ご主人様、助かったわ」
「よしよし、頑張ったわね」
頭撫でようとすると、私の身長が足りないので屈んでもらう。
「他の皆は大丈夫なのかしら?」
「もうすぐ、終わります。正直、戦況を左右する可能性のあった勇者は、今ので最後でしたから」
実際、ここと私以外の持ち場はそんなに苦戦する要素がない。
「戻りましょう、騒がしいのがいなくなれば、森を再生させないといけませんし」
そうして、私達は多数の勇者を滅し、何事も無かったかのように神樹へと戻った。

「黒姉さーん、戻りましたー」
「私とベッドにするかい?」
吹き出した私を許して欲しい。
「ご主人様を抱き枕にでもするの?」
「抱き枕扱いぐらいなら構いませんけど」
あとで、フェリーシア様に聞いてみよう。
すごく、嫌な予感がする。
「とりあえずは、森を再生させます。幸い、大量に魔力が手に入りましたし」
「そうしとくれ、私の神樹だけじゃ危険すぎるからね」
私の森を例えるなら、要塞である。
私の魔力がそこら中に流されているので、入り込んだ時点で私の攻撃範囲にいることになる。
生命魔法を主力にしてる私にとって、遠隔で魔力をチャージし続けれるので地味に強い。
とは言え、問答無用で生命力を奪い尽くすというのは、実は多用できない。
回収できる器としては私は誰にも負けない代わりに、一度に注げる量は少ないのだ。
なので、一気に奪うと魔力がどん詰まりして撒き散らしてしまうのだ。
ゆっくりと吸い上げることは得意だが、早食いは無理ということである。
身体が成長してくれば、もっと一気に取り込んでも平気になるだろう。
「魔王スキルを発動させたようだな」
「あっ、フェリーシア様、おかえりなさい。手に入れた魔法は微妙でした」
元が強すぎるから、我慢しろと言われました。
むぅ、魔王だけの魔法期待してたのに。
「それで、どうする? 魔王として宣言でもしておくか?」
「いえ、別に魔王として世界をどうこうなんて考えてませんし、森に引きこもろうかなと」
なんて楽なことはさせてくれないとは思うけどね。
「ご主人様、さすがに放って置かれはしないと思うわよ?」
「ですよねー、勇者を殺し過ぎですからね、私達」
実際、今回だけで30人はいたと思う。
それと、それに追随するきっと勇者じゃないと思う人達。
どこの国の人達かは知らないけどね。
「でも、とりあえず見に行きたい国はあるんですよね」
「ほう、珍しいな。どこだ?」
聖国 アルディス
リリアナ様のいる国である。
あまりに、名前を聞かな過ぎて何かあったのではないかと思っているのだ。
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