上 下
2 / 35
第一幕

腐った王宮というテンプレはなかった

しおりを挟む
「スキルとは、大きく2種類に分けられます」
あの後、最低限この世界の知識を身につけることが最優先となったようで、お勉強の時間になった。
もちろんしれっと私は混ざっている。
いないものとして。
チート万歳。
「生来スキルと努力スキルに分けて説明します」
生来スキルは、生まれ持った才能のようなものらしく、生来スキルを極めた者には、努力スキルでは敵わないらしい。
対して、努力スキルとは読んで字のごとく努力して身につけるスキルだ。
取得や伸び率には個人差あれど、誰でも身につけることが出来るという強みがある。
反面、そればかりに時間を費やすと、せっかくの生来スキルが育たず無駄となってしまう。
との事である。
そして、スキルの伸ばし方というのが使い続ければいいらしい。
生来スキルが私のように、使い続けることのハードルが低いものは、どんどん伸びるということであろう。
チート万歳。
努力スキルもやり方は変わらないらしいが、まず取得しないことには始まらない。
幸い、勇者は取得が早い傾向にあるらしいので、ちまちま必要性の高そうなものを取得していこうと思う。
チート万歳。
飽きたわこれ。

授業形式のお勉強は時間の無駄だったので、誤認を駆使し、資料が大量にある書庫へと通うことにした。
スキルも使い続けることになるので一石二鳥である。
この国の歴史、勇者召喚、確認されているスキル、英雄と呼ばれる者達、魔王とは、などなど沢山の資料を読み続けた。
もちろん、戦闘訓練などにも積極的に参加する。
兵士の方のだが。
ボコボコにされているのに、バレないのがだんだん怖くなってきたけれど、お陰様で1ヶ月する頃には何種類かスキルを手に入れた。
ちなみに、あれから半年は経っている。
家が恋しくなることも無く、みんな頑張れているのが怖い。
召喚の際に、パニックを防ぐ目的でなにやら仕込んでいるのは突き止めたが、それ以上は分からなかった。
とはいえ、この王宮内で過ごしていて分かることは、この国は理想的国家であるということ。
権力に溺れるような者はおらず、民のために国のためにを地で行く者達の集まりである。
凄まじい団結力と言えるだろう。
勇者のことは意思のある道具程度にしか思っていないみたいだけど。


それはさておき、ここらで自分のスキルを整理してみようと思う。
がむしゃらにやり過ぎて何を取っていたのか忘れつつあるのだ。
幸い、少し集中するだけで、スキルの情報が頭に浮かぶので困ることは無いが。
気色の悪いシステムである。

生来スキル
誤認(説明は省く)

派生スキル
ー身体能力誤認ー
本人の感じている能力を低下させる。
少しでも違和感を感じると解けてしまう。
自身にかける場合、反応速度のみ上昇させることが可能だが、発動後、身体内部へと甚大なダメージを負う。
他人には、低下のみ。
※バフになるんじゃないかとほんの少し程度で自分に使ったら3日寝込む程の激痛が襲ったので、反応速度上昇は多用できず、練度は上げれない。

ー感覚誤認ー
五感全てを思うように誤認させることが出来る。
直前の正しい認識から大きく齟齬が出る場合は、使用不可。
※剣を素振りしている相手に使用して、剣を取り上げても気づかないが、熱いお湯を浴びた人間に、実は冷水だったかのように誤魔化すのは無理

努力スキル
ー知識収集ー
書物に限らず、学ぶ意志のある行為であれば、あらゆる知識を効率的に取得する。
取得した知識を使って新たに知識を得る際にも効果がある。
※勉強した分、身に付く素敵スキル。

ー隠密ー
気配を隠し、気づかれなくなる。
音を立てるなどの目立つ行為をすると効果がなくなる。
※誤認無しでもバレなくなる便利スキル。

ー諜報ー
情報を得るための行動を最適化する。
※誤認使いながら情報集めしてたせいで身についたスキル。

ー危機察知(自)ー
自らに対する危機だけ、察することができるようになる。
※出来るようにならないと、勇者とバレて死にかねない状況だったから、めちゃくちゃ高性能になるまで勝手に鍛えられた。

ー宮廷作法(偽)ー
宮廷における作法を学んだ証、実践も可能だが、ちゃんと学んだ相手には、細かい指摘点を見破られてしまう。
※ちょっと欲しくて、危険な橋を渡りまくったけれど取得したスキル。お嬢様キャラとかやってみたかった。動機が不純だったからか、偽って付いている。

ー自己熟知ー
自らの状態を正しく認識する。
※健康状態など、自分に対する現在の状態を全て認識できる。試しに自分に誤認を掛けたら、誤認状態などという意味不明な状態異常を認識した。いつ取得したのかも分からない謎スキル。

後のスキルは、剣術だの火魔法だの意識しなくてもいいスキルなので省略する。
覚えているかどうかなど必要ないし。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

女領主とその女中~Femme fatale~

あべかわきなこ
恋愛
田舎町ボルドウの女領主ロアとその女中マリアは、悪魔と修道女、使い魔と主人、強いて言うなら恋人同士、という関係性。 ふたりは教会からの依頼をこなし、悪魔祓いとして奮闘するのだが……? 吸血主従百合ダークファンタジー。 ※本作は「女領主とその女中」https://www.alphapolis.co.jp/novel/181074507/37176101 「女領主とその女中~Vacances!~」https://www.alphapolis.co.jp/novel/181074507/400177787 の続編になります。

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

ぼくのスキルは『タマゴ』だそうだ。

烏帽子 博
ファンタジー
騎士の家に産まれたパックは、12歳。『スキル発現の儀』を受ける為に父のイアイに連れられ教会を訪れたが、そこで授けられたスキルは『タマゴ』だった。 『タマゴ』は、過去一度も発現したことのないスキルで、誰もその効果を知らなかった。 父のイアイは、パックを騎士とするためパックがやっと歩き始めた頃から修行をさせて、この日に臨んでいた。 イアイは、落胆し、パックにこう告げたのだ。 「2年後、次男のマックに剣士系のスキルが現れたら、お前を廃嫡にする」 パックは、その言葉を受け入れるしか無かった。

スローン・オブ・ヘブン~歌姫はシュウマツに愛を謳う~

黒幸
ファンタジー
物質界と精神界が融合し、新たな現実が始まった蒼き星。 見慣れぬ異形の隣人を前に人々は絶望する。 希望の光はまるで見えない。 それでも人々は生きて、死んでいく。 まさに終末の世界だ。 しかし、人々は完全に絶望した訳ではない。 歌姫の唄を微かな希望として、胸に抱きながら……。 基本的にはヒロインの一人称視点。 ただし、説明回のような場合などで視点が他のキャラクターの視点になったり、三人称視点になる場合があります。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

百合カップルを眺めるモブになりたかっただけなのに。

蒼風
恋愛
□あらすじ□  百合カップルを眺めるだけのモブになりたい。  そう願った佐々木小太郎改め笹木華は、無事に転生し、女学院に通う女子高校生となった。  ところが、モブとして眺めるどころか、いつの間にかハーレムの中心地みたいになっていってしまうのだった。  おかしい、こんなはずじゃなかったのに。 □作品について□ ・基本的に0時更新です。 ・カクヨム、小説家になろう、ノベルアップ+、noteにも掲載しております。 ・こちら(URL:https://amzn.to/3Jq4J7N)のURLからAmazonに飛んで買い物をしていただけると、微量ながら蒼風に還元されます。やることは普通に買い物をするのと変わらないので、気が向いたら利用していただけると更新頻度が上がったりするかもしれません。 ・細かなことはnote記事(URL:https://note.com/soufu3414/n/nbca26a816378?magazine_key=m327aa185ccfc)をご覧ください。 (最終更新日:2022/04/09)

最後に言い残した事は

白羽鳥(扇つくも)
ファンタジー
 どうして、こんな事になったんだろう……  断頭台の上で、元王妃リテラシーは呆然と己を罵倒する民衆を見下ろしていた。世界中から尊敬を集めていた宰相である父の暗殺。全てが狂い出したのはそこから……いや、もっと前だったかもしれない。  本日、リテラシーは公開処刑される。家族ぐるみで悪魔崇拝を行っていたという謂れなき罪のために王妃の位を剥奪され、邪悪な魔女として。 「最後に、言い残した事はあるか?」  かつての夫だった若き国王の言葉に、リテラシーは父から教えられていた『呪文』を発する。 ※ファンタジーです。ややグロ表現注意。 ※「小説家になろう」にも掲載。

【完結】義妹とやらが現れましたが認めません。〜断罪劇の次世代たち〜

福田 杜季
ファンタジー
侯爵令嬢のセシリアのもとに、ある日突然、義妹だという少女が現れた。 彼女はメリル。父親の友人であった彼女の父が不幸に見舞われ、親族に虐げられていたところを父が引き取ったらしい。 だがこの女、セシリアの父に欲しいものを買わせまくったり、人の婚約者に媚を打ったり、夜会で非常識な言動をくり返して顰蹙を買ったりと、どうしようもない。 「お義姉さま!」           . . 「姉などと呼ばないでください、メリルさん」 しかし、今はまだ辛抱のとき。 セシリアは来たるべき時へ向け、画策する。 ──これは、20年前の断罪劇の続き。 喜劇がくり返されたとき、いま一度鉄槌は振り下ろされるのだ。 ※ご指摘を受けて題名を変更しました。作者の見通しが甘くてご迷惑をおかけいたします。 旧題『義妹ができましたが大嫌いです。〜断罪劇の次世代たち〜』 ※初投稿です。話に粗やご都合主義的な部分があるかもしれません。生あたたかい目で見守ってください。 ※本編完結済みで、毎日1話ずつ投稿していきます。

処理中です...