勇者置き去りの案内人

雪蟻

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第1章

♪(視点が数回変わります)焼却処分

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「ここに、負傷者として少女が保護されてはいないだろうか」
「おう、やっと来たか、あんたらが護衛だな?」
リリーシャに死体役をしてもらって直ぐに、奴らは来た。
「王女様はどちらに」
「すまんが、あんたらが来る前に息を引き取った。見つけた時にはもう既に助かるような状態じゃなかったからな。しきりに護衛が護衛がとうわ言のように繰り返していたからな、よほどあんたらの事を心配していたと見える。確認するか? 普段ならアンデッドとして蘇ってもらっても困るからな、燃やすなりして処分という形になるんだが、身なりから王女様であろうと思ってな、そのままにしてある。酷い有様だがどうする」
「確認する、極刑は免れんだろうが、報告せねばならぬ」
万が一にでも王女様が生きてたら極刑だろうよ。
殺し屋さんよ。
「こっちだ、何度も言うが、酷い有様だからな」
「覚悟している」


すんなりと、確認は終わった。
そりゃそうだろうな、どう見ても死んでるし、どう見ても、そうやって弄ばれて死んだように見えるよ。
とんだスキルだこと。
しかも燃やせって指示だからな。
どんなスキルを自動取得してんだか。

「じゃあ、燃やすぞ? あまり長く置いておくとアンデッド化しちまう」
「……頼む」
という事で、思い切り燃やした。
大丈夫なのか、これは。
炭にしか見えんぞ。

────────────

「終わったな」
無事に王女は消した。
しかし、危うかった。
もし、護衛が裏切り者だと告げられていたら大事にせねばならんところだった。
運が向いていたな。
しかし、惜しいことをしたな。
あれはもっと楽しめたというのに。

────────────

「復活」
「怖いわ!」
無事に復活してあげたというのにな。
「さて、後は王女様のイメチェンね」
「イメチェンですか?」
幸い髪の毛ものっそいロングの子だったから、楽だよね。
さぁ、バッサリと切ろうか。
「結ぶのではだめなのでしょうか」
「思い入れがあるのかもしれないけど、結ぶと解いた時に印象が戻るわ。つまり、王女とバレる」
ふとした時に、バレるのが一番困る。
特に髪を解く時はリラックスしてる時だ。
油断しているとも言うが、そんなタイミングで急な来客なんてものが重なれば、死んだはずの王女様がと大騒ぎだ。
何のために焼けてみたのか分からんことになる。
「分かりました、お任せします」
「後は隷属の首輪付けてくれる? 間違いなくバレなくなるんだけど」
王女様奴隷落ちは、誰も予想すまい。
「私としては構いませんが、目立ちませんか?」
「冒険者が連れてる奴隷ってなると半数以上が真っ当な借金奴隷か更生の余地ありとか、致し方ないと判断された犯罪奴隷になるから、誰も詮索しないし、不自然に見えない。可愛い子が借金返済の為に奴隷になってたから買っちゃった。とでも言えば、からかわれる話題にこそなれ、悪目立ちはしないわ」
連れ歩いても変に思われないし、万事解決。
「いや、それならもっといい方法がある」
「そんなのあるの?」
まさか、冒険者として私のパーティにするとか言わないよな?
ソロ志望の私がパーティ組んだになると目立ち過ぎるんだが。
「ギルド調査員として俺が雇う。その教育係としてリリーシャ、お前に指名依頼を出す。もちろん、普段はいつも通り依頼をこなしてくれて構わない。こうすれば、数年単位で一緒にいても不自然じゃなくなる上に、お前は定期的な収入。王女様は、安全確保してくれる仲間、俺は優秀な調査員を得るわけだ。誰も損しない、いい案だと思うんだが?」
「乗った」
かくして、私は王女様の教育係になり、王女様は、ギルド調査員という仕事を手にし、ギルマスは優秀な人材を手にしてウハウハというわけである。
楽しい日々になりそうじゃないか。
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