151 / 159
第三部幸福のひと24
しおりを挟む
~めまい~
強く左腕を掴まれて、驚いて振り向きます。
「さが…した。」
そこには、苦しそうに呼吸をするリクの姿がありました。
リクの左手には、お面があります。
汗びっしょりの銀髪と緑の瞳が心配そうにゆがんでいるのを
みて、ルエラはほっとしました。
一瞬ですが、先ほどの男性かと思ったからです。
ルエラもお面をとります。
気づけば、まわりのみんなもすでにお面を取っていました。
ほっとしたからでしょうか。ルエラは、めまいを感じました。
少し頭もズキズキしているようです。
なぜか、足が震えてふんばりがききませんでした。
よろけるようにして、リクの胸に飛び込み、
さっき自分の身に起きた不思議な体験を話そうとしました。
「あの、私、あのね」
いまだ息の整わないリクが、額の汗をぬぐってルエラをみます。
リクの緑の瞳をみながら、なんとか言葉にしようとしました。
「おなかがすいたわ」
一生懸命探した言葉は、するりとどこかへ逃げ去って、
でてきた言葉はなんの変哲もないものでした。
リクはきょとんとしてから、楽しそうに笑います。
「うん、僕もだ。」
今日は暑いから水分も取った方がいいね、とルエラの手を引いて
屋台の方へと向かいます。
リクに手を引かれて歩くうちに足の震えがおさまってきました。
頭の痛みが徐々にやわらいできます。
それと同時に、先ほどの出来事も最初からなかったことのように
白く淡い霞となって消えていきました。
つづく
強く左腕を掴まれて、驚いて振り向きます。
「さが…した。」
そこには、苦しそうに呼吸をするリクの姿がありました。
リクの左手には、お面があります。
汗びっしょりの銀髪と緑の瞳が心配そうにゆがんでいるのを
みて、ルエラはほっとしました。
一瞬ですが、先ほどの男性かと思ったからです。
ルエラもお面をとります。
気づけば、まわりのみんなもすでにお面を取っていました。
ほっとしたからでしょうか。ルエラは、めまいを感じました。
少し頭もズキズキしているようです。
なぜか、足が震えてふんばりがききませんでした。
よろけるようにして、リクの胸に飛び込み、
さっき自分の身に起きた不思議な体験を話そうとしました。
「あの、私、あのね」
いまだ息の整わないリクが、額の汗をぬぐってルエラをみます。
リクの緑の瞳をみながら、なんとか言葉にしようとしました。
「おなかがすいたわ」
一生懸命探した言葉は、するりとどこかへ逃げ去って、
でてきた言葉はなんの変哲もないものでした。
リクはきょとんとしてから、楽しそうに笑います。
「うん、僕もだ。」
今日は暑いから水分も取った方がいいね、とルエラの手を引いて
屋台の方へと向かいます。
リクに手を引かれて歩くうちに足の震えがおさまってきました。
頭の痛みが徐々にやわらいできます。
それと同時に、先ほどの出来事も最初からなかったことのように
白く淡い霞となって消えていきました。
つづく
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる