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第二部 はじまりは美しい36
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~林檎の木~
あくる朝、ルエラは自分の部屋の窓からのぼりゆく朝日を眺めていました。
気持ちが興奮していたせいか、結局ほとんど眠れませんでした。
朝日がのぼり、海に反射してキラキラと光ります。
少しずつ明るくなっていく空を見上げると、流れ星がひとつきらりと光って駆けていきました。
ぼんやりとしていたルエラは、窓をゆっくり押し開き、窓枠に足をかけました。
そのまま飛び越えようとすると、隣の窓がぱたりと開きます。ひょっこり顔をのぞかせた青年にルエラは笑いました。
「まるで見張られているみたい」
「君はすぐにどこかへ飛んでいってしまうからね」
青年は、窓枠を乗り越えると、ルエラの窓の下にやってきて手をさしのべました。
「ありがとう。リク」
青年の手を取って、窓枠を軽やかに乗り越えました。
そのまま二人で手をつなぎ、いまだ明けきらない朝もやただよう、朝焼けの中を歩きます。
樺の木が立ち並ぶ小道を歩き、少し開けた場所にでました。
真ん中に大きなりんごの木が立っていて、紅い宝石のような実が朝露できらきら光ります。
林檎の大木を樺の木の林がぐるりと囲っています。
林檎の大木の前まで来て、リクとルエラは手をつないで幼い頃から変わらぬ互いの瞳をみつめます。
「本当にいいんだね?」
何がとも何をとも言いませんでした。
ルエラはくすりと笑います。
「あなたがいいの」
ほっとしたように微笑んで、これから妻となる大切な花嫁の唇に、
そっと口づけを落としました。
あたりは、すっかり明るくなり、小鳥がさえずります。
みどりの葉がざわめいて、優しい風が吹き始めました。
つづく
あくる朝、ルエラは自分の部屋の窓からのぼりゆく朝日を眺めていました。
気持ちが興奮していたせいか、結局ほとんど眠れませんでした。
朝日がのぼり、海に反射してキラキラと光ります。
少しずつ明るくなっていく空を見上げると、流れ星がひとつきらりと光って駆けていきました。
ぼんやりとしていたルエラは、窓をゆっくり押し開き、窓枠に足をかけました。
そのまま飛び越えようとすると、隣の窓がぱたりと開きます。ひょっこり顔をのぞかせた青年にルエラは笑いました。
「まるで見張られているみたい」
「君はすぐにどこかへ飛んでいってしまうからね」
青年は、窓枠を乗り越えると、ルエラの窓の下にやってきて手をさしのべました。
「ありがとう。リク」
青年の手を取って、窓枠を軽やかに乗り越えました。
そのまま二人で手をつなぎ、いまだ明けきらない朝もやただよう、朝焼けの中を歩きます。
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真ん中に大きなりんごの木が立っていて、紅い宝石のような実が朝露できらきら光ります。
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林檎の大木の前まで来て、リクとルエラは手をつないで幼い頃から変わらぬ互いの瞳をみつめます。
「本当にいいんだね?」
何がとも何をとも言いませんでした。
ルエラはくすりと笑います。
「あなたがいいの」
ほっとしたように微笑んで、これから妻となる大切な花嫁の唇に、
そっと口づけを落としました。
あたりは、すっかり明るくなり、小鳥がさえずります。
みどりの葉がざわめいて、優しい風が吹き始めました。
つづく
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