はじまり

第二部 はじまりは美しい２４

 ～協力者～ 


｢それなら、ここを拠点にすればいい｣ 

資産家の提案にノエルの両親は驚きました。 
ノエルの両親は、家族で商売を営んでおります。 
子どもも例外なく、商人として両親を助けていました。 
ですから、海へでる時は家族皆一緒です。 
今回も一緒に行くつもりでしたが、家を引き払ってしまうことに 
抵抗がありました。 

この島に帰ってくるのが何年先になるかわかりません。 
本当に、事業が軌道にのるかもわかりません。 
大きいチャンスは、時として大きな不安ととってかわります。 
できれば、帰ってくる場所を残しておきたいと思っていました。 

ルエラの両親は、何かあった時には自分達の住んでいる屋敷を 
使えばいいと申し出てくれたのです。 

｢迷っているなら、思い切ってやってみたほうがいい｣ 

ルエラの両親のあたたかい申し出に、ノエルの両親は決心しました。 
今までどおりの変わらない支援も約束してくれました。 

実の父親は、少し寂しい想いもしましたが、 
子供のためにもなると賛成しました。 
自分が商船に乗っていたので、息子も同じように海にでて、 
さらに広い世界をみることになるだろうと思うと嬉しくもありました。 


つづく