はじまり

天鳥そら

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はじまり61

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~月~ 


数日が立ち、なんとか港でのことがおさまった頃、 
一人の男性が数人の部下を引き連れて家にやってきました。 
そばには、ソウやシキもいます。 
どうやら、ルナの夫のようでした。 

「あなた」 

「ルナ」 

二人は嬉しそうに抱擁し、ルナの腕の中にいる赤子を 
抱き取りました。 

「男の子か」 

「ええ」 

二人で嬉しそうに赤子をのぞきこんで笑います。 
それから、男性はクローディアの方を振り返って 
頭を下げました。 

「ルナをありがとう、あなた達のおかげです」 

「一緒にいてくださって、私のほうが心強かったですわ」 

双子に視線を向けてから、男性に微笑みます。 
突然二人の子供がやってきたことに、喜びを感じながらも 
不安も大きかったのです。 
それはよかったと微笑んで、男性はルナに視線を向けました。 

「ルナ、我々のことを」 

ルナはふと瞳を揺らして微笑み、クローディアの方を 
みつめました。 
ふわりと少女のように微笑んでいたルナが、姿勢を正して 
翠の瞳に強い光を宿しました。 

「危ないところをお助けいただき、まことにありがとうございます」 

「私は、月の都から参りました。月の皇女、ルナと申します」 

深々と頭を下げるルナの横で、同じように男性も深々と 
頭を下げました。 

「月の…都?」 

突拍子もない言葉にぽかんと頭を下げる二人を見つめます。 
その背後では、シキとソウが同じように突っ立て、どう解釈したら 
良いものかと困ったような顔をしていました。 



つづく
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