はじまり

天鳥そら

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はじまり48

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~密約~


頬を染めてうつむくクローディアをみつめるシキを 
見て、決心したように口を開きました。 

「シキ、この国に未練はあるだろうか?」 

突拍子もない言葉に、シキが目を見開きます。 
クローディアが不安そうに、二人の顔をみつめました。 

「いえ、特には…」 

この国での生活は気に入ってはいたものの、役目さえなければ 
他の国もまわってみたいと考えたことがあります。 

「では、彼女と一緒にこの国をでてはもらえないだろうか」 

シキは、ぽかんとキール王子の顔を眺めます。 
それから、にっと笑いました。 

「喜んで」 

その言葉に、クローディアがぱっと顔を輝かせ、 
ヨウメイとソウは大きくため息をつき、 
キール王子は満足そうにうなづきます。 

「外の様子を随時、知らせて欲しい」 

「良いですよ。」 

「ソウ王子と一緒に協力してくれればと思う」 

「もちろん」 

くるくると変わっていく現実に、クローディアは 
目がまわりそうでした。 

「で、新しい王妃はどうするんです?」 

ヨウメイの渋い顔と声音に、キールは苦笑します。 

「一人心当たりがいるんだ」 

あとで、連絡をとってほしいという我が主に、恭しく頭を下げました。 




つづく
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