ミコナとかぷせるあにまるず

教科書を音読しているような

そんなこんなで、翌日から、劇の練習が始まります。

だけど正直、みんなそんなにやる気じゃない。

「はい、それでは、まずは順番にセリフを言ってみましょう」

マインが指揮を執って、取り敢えず台本を見ながら順番にセリフを言ってみます。

「これは、何百年の昔の話です。この頃の世界は、人々が科学技術を発達させていろんなたくさんのものを一度に作れるようになって、いっぱい贅沢ができるようになっていました。だけどその一方で、このことによってたくさんの毒ができることを知らなくて、それで毒の消し方も知らなくて、世界に、いっぱい、いっぱい、毒が溢れてしまって、たくさんの恐ろしい病気が次々と広まってたくさんの人が苦しんで悲しんでとしていたのです」

ナレーションは、セイラの役でした。大統領役は、話の要所要所でちょっと出てくるだけなので、十分、兼ね役もできましたから。そして続けて、

「するとある日、一人の宇宙人が宇宙船に乗って現れて、人々に」

とそこまで言って区切ると、

「……」

「……」

静かになってしまいました。そこでマインが、

「ほら、宇宙人の出番だよ」

と促すと、

「…あ……！」

ようやく宇宙人役の子が自分の出番だと気付いて、

「初めまして。僕は、二百万光年の彼方の星からやってきました。この星の皆さんに大事なことを伝えるために」

とセリフを口にしたんですけど、それはもう完全に、教科書を音読しているようなまさに棒読みのそれでした。

だけど、今はとにかく、誰が何の役をしてどのセリフを話すのかを確かめるだけの段階なので、演技については後回しでよかったのでした。