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帰路

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こうして、ビーフストロガノフの材料を揃えレジに向かうと、

「会計用のカードをそのまま使え、足りるはずだ」

オウが、カリナにそう告げました。すると、実際にカードの範囲で収まったのです。

カリナが預かっているカードは、カードの名義人が一日当たりの使用限度額を決め、名義人の他に使用者も登録できるという、親が子供にお小遣いとして持たせたり、カリナのようなホームヘルパーさんに買い物を頼む時に持たせる、電子マネー専用のカードでした。

ちなみに彼女が預かっているそれの一日当たりの限度額は三千円。オウはちゃんとそれをわきまえて食材を選んでいたのです。ママがいつもやっていたことでした。さすがのそれにカリナも改めて感心します。

こうして買い物を終え、バイク置き場に待たせていたドンキーのコンテナボックスを開き、そこに買い物袋を。なるほどこういう風に使うんだと分かる光景でした。

オウは今度は、開かれたコンテナボックスの縁にとまり、

「では、帰るぞ」

と、号令をかけて、帰路に着きます。

すると、不意に、オウが、

「お前は、ルリアのどこが気に入ったのだ?」

と尋ねてきました。

「え…」

突然のことにカリナが戸惑っていると、

「帰ってから聞いてもよかったのだがな、家だと他のやつらが煩いし、今なら邪魔も入らんし、ちょうどいい。話せ」

と言ってきました。

するとカリナも、話をしたいだけだというオウの意図を察して、

「分かりました。お話しします」

と覚悟を決め、そして、

「ルリア先輩は、一本木で正義感が強くて、憧れてる女子も多かったんです。私が先輩を好きになったきっかけの一つは、小学校の頃に、女子のグループに強引に入らされそうになってた時に先輩が庇ってくれたことですが、そういうのがなくてもきっと、先輩のことを好きになってたと思います」

と答えたのでした。

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