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ミコナ

そういう心の余裕を持つことができる環境

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ミコナはそれこそ赤ん坊の頃から、思いっ切り遊ばせてもらえてました。力尽きて眠ってしまうくらいまで。そしてそれは今もです。

むしろ逆に、ミコナ自身の方が遠慮して気を遣ってしまうくらいだったり。

いえ、これまで存分に遊べて、そして何より、存分にママやハカセに構ってもらえたから、遠慮できるようになってきたといった方が正しいですね。

タムテルが母親に対して我儘を言えないのや、サンギータが両親を見限ってしまっていたのとは全く違います。タムテルやサンギータのそれは、<諦め>であり、もっと言えば、子供の側から親を見限ってしまっていただけです。

だけどミコナはそうじゃない。

ミコナ自身が、ハカセを気遣いたいと本気で思ってるんです。

今までたくさんたくさん、構ってもらえたから。安心するくらい。満たされるくらい。自分が満たされてるから、自分以外の誰かを気遣う余裕も出てくる。

ミコナがハカセを気遣っているのは、自分が満たされているからこその心の余裕がもたらすものです。

打算じゃありません。

『ここで恩を売っておいた方が後で自分の我儘を聞いてもらえるかもしれない』

というような打算じゃないんです。

そしてタムテルが母親に対して仄暗い感情をあまり向けなくなったのも、サンギータが母親に対してケンカ腰じゃなくなったのも、やっぱり打算じゃありません。

そういう気持ちなんです。

フカやティーさんやガーがほぐしてくれたことで持てた心の余裕がもたらす気持ち。

ミコナは初めからそれを持つことができてた。そういう心の余裕を持つことができる環境だった。

それも事実なんです。

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