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ミコナ

不幸中の幸いだったのは事実

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一方、家に帰ってきたサンギータは、

「……?」

なんだか楽し気な鼻歌がダイニングの方から聞こえてくることに戸惑いながらも、自分の部屋にティーさんと一緒に入っていきました。

するとティーさんは、

「ガーはんはうまいことやってるみたいでんな」

嬉しそうにそう言う。けれどサンギータは、

「あんな迷惑掛けといて……」

自分の母親がガーを攫ってきたのに、そのガーに優しくしてもらってるのが納得できなくて、不機嫌な表情になります。そんな彼女に、

「まあまあ、あれがガーはんでんねん。せやから、こっちはこっちで普通にしてたらええんや」

ティーさんは笑顔で言うんです。

「ホントにそれでいいのか……?」

サンギータは戸惑うものの、

「かまへんかまへん!」

やっぱりティーさんはにこやかに。

「……」

腑に落ちない様子のサンギータですけど、ティーさんにそこまで言われたらもう二の句が継げません。仕方ないので宿題を出してきて、始めます。そんなサンギータをティーさんはやっぱり笑顔で見守るんです。

どんなことでも一足飛びに解決しようとすると無理が出る。ティーさんにはそれが分かっていました。サンギータとヴァドヤのことについても、サンギータが生まれるずっと以前からの蓄積があってこうなっているんですから、それが一日や二日でどうにかなるなんて、その方がおかしいですよね。

だからティーさんは待つんです。サンギータとヴァドヤの両方が、これまでと少し状況が変わったことで心境に変化が出てくることを。

ヴァドヤがガーを攫ってくるという突発的なトラブルも、攫われたのがガーだったことで結果として不幸中の幸いだったのは事実なのでした。

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