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ミコナ
強そうに見える
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「え……?」
ティーさんに、
『ワイにはサンギータはんの方が強そうに見えるんやけどな……』
と言われて、サンギータはハッとなりました。そう言われて初めて、彼女は自分と母親の力関係に思い至ったのです。
『あれ……? 言われてみたら、あいつ、私にケンカで勝てるか……?』
と。
確かに仮にも<母親>ですし、この家を一応とはいえ管理しているのは母親です。もっとも、週に一回、ハウスクリーニングの業者を呼んで、サンギータの部屋以外は掃除してもらっているので、果たしてどこまで管理していると言えるのかは微妙でも、少なくともサンギータはやってないので、母親がしてる形にはなっているのでしょう。
そういう意味でこの家での立場は母親の方が上だとずっと考えていたものの、実際の腕力とかでは、小学生としては大柄なサンギータと、大人の女性としては小柄なヴァドヤとでは、もはや大きな差はないかもしれない。それどころか、気迫の点でヴァドヤは間違いなくサンギータに大きく水をあけられている。
力関係はもうすでに逆転している可能性が少なくないんです。
学校でも教師には食って掛かることもあるサンギータですけど、大人でも明らかに弱々しい相手や物腰が柔らかい感じの相手にはそんなに強く食って掛かることもしませんでした。彼女が敵認定するのはいかにも力で自分を押さえ付けようとしている相手。
それで言ったら、母親はどうなんでしょう?
「え……あ……」
それに気付いた瞬間、彼女の中から何かが転がり落ちるみたいにして消えていきました。
「はは……なんだよ……そういやあいつ、あんな弱っちい奴だったじゃん……」
ティーさんに、
『ワイにはサンギータはんの方が強そうに見えるんやけどな……』
と言われて、サンギータはハッとなりました。そう言われて初めて、彼女は自分と母親の力関係に思い至ったのです。
『あれ……? 言われてみたら、あいつ、私にケンカで勝てるか……?』
と。
確かに仮にも<母親>ですし、この家を一応とはいえ管理しているのは母親です。もっとも、週に一回、ハウスクリーニングの業者を呼んで、サンギータの部屋以外は掃除してもらっているので、果たしてどこまで管理していると言えるのかは微妙でも、少なくともサンギータはやってないので、母親がしてる形にはなっているのでしょう。
そういう意味でこの家での立場は母親の方が上だとずっと考えていたものの、実際の腕力とかでは、小学生としては大柄なサンギータと、大人の女性としては小柄なヴァドヤとでは、もはや大きな差はないかもしれない。それどころか、気迫の点でヴァドヤは間違いなくサンギータに大きく水をあけられている。
力関係はもうすでに逆転している可能性が少なくないんです。
学校でも教師には食って掛かることもあるサンギータですけど、大人でも明らかに弱々しい相手や物腰が柔らかい感じの相手にはそんなに強く食って掛かることもしませんでした。彼女が敵認定するのはいかにも力で自分を押さえ付けようとしている相手。
それで言ったら、母親はどうなんでしょう?
「え……あ……」
それに気付いた瞬間、彼女の中から何かが転がり落ちるみたいにして消えていきました。
「はは……なんだよ……そういやあいつ、あんな弱っちい奴だったじゃん……」
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