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ミコナ

さすがにそこまでは……

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『庭にテント立てるさけ、そっちで話しまひょ』

そう提案するティーさんに、

「え? でも、さすがにそこまでは……」

サンギータは慌ててしまいます。でも、ティーさんは言うのです。

「ああ、ああ、かましまへん。誘ったのはワイなんやから。それに大した手間やおまへんし」

言いながらリビングを出て、玄関を出て、ガレージのシャッターを開け、

「はい、どっこい!」

掛け声と共に、たたまれたテントを引っ張り出してきました。野球のボールくらいの大きさしかないティーさんが、明らかに数キロはある、一辺二メートル近くあるそれを軽々と運び出す様子に、サンギータは唖然とします。

「すげえな……」

「まあ、ワイらは小型やいうてもマナ転換炉やからな。出力は十分あるんや。こんくらいは普通やねん」

そう言って笑うティーさんはそのまま庭にたたまれたテントを置いて、ストッパーを外しました。でも、何も起きません。

「ありゃ、電池切れてんのやろか。ちょっと待っててや」

呟いたティーさんが家に戻ってまたすぐ出てきます。その手には乾電池みたいなものが。

「こいつは古いヤツやから無線給電対応やおまへんねん。でも、この乾電池型の無線給電受信機を使つこたら、と」

ティーさんが古い電池を外して乾電池型の無線給電受信機を入れると、パシュンッ!と音を立ててテントが現れました。

それは、電気刺激で元の形に戻る形状記憶樹脂の骨組みを持つテントでした。ストッパーを外すとスイッチが入って電気が流れ、骨組みが本来の形に戻ってテントになるという。もっとも、今ではよく使われている形式ですから、それなりの値段以上のライトユース向けのはみんなこれですけど。

サンギータの部屋にあるものも、無線給電対応で電池要らずのそれでした。

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