377 / 837
ミコナ
さすがにそこまでは……
しおりを挟む
『庭にテント立てるさけ、そっちで話しまひょ』
そう提案するティーさんに、
「え? でも、さすがにそこまでは……」
サンギータは慌ててしまいます。でも、ティーさんは言うのです。
「ああ、ああ、かましまへん。誘ったのはワイなんやから。それに大した手間やおまへんし」
言いながらリビングを出て、玄関を出て、ガレージのシャッターを開け、
「はい、どっこい!」
掛け声と共に、たたまれたテントを引っ張り出してきました。野球のボールくらいの大きさしかないティーさんが、明らかに数キロはある、一辺二メートル近くあるそれを軽々と運び出す様子に、サンギータは唖然とします。
「すげえな……」
「まあ、ワイらは小型やいうてもマナ転換炉やからな。出力は十分あるんや。こんくらいは普通やねん」
そう言って笑うティーさんはそのまま庭にたたまれたテントを置いて、ストッパーを外しました。でも、何も起きません。
「ありゃ、電池切れてんのやろか。ちょっと待っててや」
呟いたティーさんが家に戻ってまたすぐ出てきます。その手には乾電池みたいなものが。
「こいつは古いヤツやから無線給電対応やおまへんねん。でも、この乾電池型の無線給電受信機を使たら、と」
ティーさんが古い電池を外して乾電池型の無線給電受信機を入れると、パシュンッ!と音を立ててテントが現れました。
それは、電気刺激で元の形に戻る形状記憶樹脂の骨組みを持つテントでした。ストッパーを外すとスイッチが入って電気が流れ、骨組みが本来の形に戻ってテントになるという。もっとも、今ではよく使われている形式ですから、それなりの値段以上のライトユース向けのはみんなこれですけど。
サンギータの部屋にあるものも、無線給電対応で電池要らずのそれでした。
そう提案するティーさんに、
「え? でも、さすがにそこまでは……」
サンギータは慌ててしまいます。でも、ティーさんは言うのです。
「ああ、ああ、かましまへん。誘ったのはワイなんやから。それに大した手間やおまへんし」
言いながらリビングを出て、玄関を出て、ガレージのシャッターを開け、
「はい、どっこい!」
掛け声と共に、たたまれたテントを引っ張り出してきました。野球のボールくらいの大きさしかないティーさんが、明らかに数キロはある、一辺二メートル近くあるそれを軽々と運び出す様子に、サンギータは唖然とします。
「すげえな……」
「まあ、ワイらは小型やいうてもマナ転換炉やからな。出力は十分あるんや。こんくらいは普通やねん」
そう言って笑うティーさんはそのまま庭にたたまれたテントを置いて、ストッパーを外しました。でも、何も起きません。
「ありゃ、電池切れてんのやろか。ちょっと待っててや」
呟いたティーさんが家に戻ってまたすぐ出てきます。その手には乾電池みたいなものが。
「こいつは古いヤツやから無線給電対応やおまへんねん。でも、この乾電池型の無線給電受信機を使たら、と」
ティーさんが古い電池を外して乾電池型の無線給電受信機を入れると、パシュンッ!と音を立ててテントが現れました。
それは、電気刺激で元の形に戻る形状記憶樹脂の骨組みを持つテントでした。ストッパーを外すとスイッチが入って電気が流れ、骨組みが本来の形に戻ってテントになるという。もっとも、今ではよく使われている形式ですから、それなりの値段以上のライトユース向けのはみんなこれですけど。
サンギータの部屋にあるものも、無線給電対応で電池要らずのそれでした。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
じいちゃんから譲られた土地に店を開いた。そしたら限界集落だった店の周りが都会になっていた。
ゆうらしあ
ファンタジー
死ぬ間際、俺はじいちゃんからある土地を譲られた。
木に囲まれてるから陽当たりは悪いし、土地を管理するのにも金は掛かるし…此処だと売ったとしても買う者が居ない。
何より、世話になったじいちゃんから譲られたものだ。
そうだ。この雰囲気を利用してカフェを作ってみよう。
なんか、まぁ、ダラダラと。
で、お客さんは井戸端会議するお婆ちゃんばっかなんだけど……?
「おぉ〜っ!!? 腰が!! 腰が痛くないよ!?」
「あ、足が軽いよぉ〜っ!!」
「あの時みたいに頭が冴えるわ…!!」
あ、あのー…?
その場所には何故か特別な事が起こり続けて…?
これは後々、地球上で異世界の扉が開かれる前からのお話。
※HOT男性向けランキング1位達成
※ファンタジーランキング 24h 3位達成
※ゆる〜く、思うがままに書いている作品です。読者様もゆる〜く呼んで頂ければ幸いです。カクヨムでも投稿中。
転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~
月
恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん)
は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。
しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!?
(もしかして、私、転生してる!!?)
そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!!
そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?
愛されない皇妃~最強の母になります!~
椿蛍
ファンタジー
愛されない皇妃『ユリアナ』
やがて、皇帝に愛される寵妃『クリスティナ』にすべてを奪われる運命にある。
夫も子どもも――そして、皇妃の地位。
最後は嫉妬に狂いクリスティナを殺そうとした罪によって処刑されてしまう。
けれど、そこからが問題だ。
皇帝一家は人々を虐げ、『悪逆皇帝一家』と呼ばれるようになる。
そして、最後は大魔女に悪い皇帝一家が討伐されて終わるのだけど……
皇帝一家を倒した大魔女。
大魔女の私が、皇妃になるなんて、どういうこと!?
※表紙は作成者様からお借りしてます。
※他サイト様に掲載しております。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
【書籍化進行中】魔法のトランクと異世界暮らし
猫野美羽
ファンタジー
※書籍化進行中です。
曾祖母の遺産を相続した海堂凛々(かいどうりり)は原因不明の虚弱体質に苦しめられていることもあり、しばらくは遺産として譲り受けた別荘で療養することに。
おとぎ話に出てくる魔女の家のような可愛らしい洋館で、凛々は曾祖母からの秘密の遺産を受け取った。
それは異世界への扉の鍵と魔法のトランク。
異世界の住人だった曾祖母の血を濃く引いた彼女だけが、魔法の道具の相続人だった。
異世界、たまに日本暮らしの楽しい二拠点生活が始まる──
◆◆◆
ほのぼのスローライフなお話です。
のんびりと生活拠点を整えたり、美味しいご飯を食べたり、お金を稼いでみたり、異世界旅を楽しむ物語。
※カクヨムでも掲載予定です。
聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい
金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。
私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。
勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。
なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。
※小説家になろうさんにも投稿しています。
悪役令嬢と弟が相思相愛だったのでお邪魔虫は退場します!どうか末永くお幸せに!
ユウ
ファンタジー
乙女ゲームの王子に転生してしまったが断罪イベント三秒前。
婚約者を蔑ろにして酷い仕打ちをした最低王子に転生したと気づいたのですべての罪を被る事を決意したフィルベルトは公の前で。
「本日を持って私は廃嫡する!王座は弟に譲り、婚約者のマリアンナとは婚約解消とする!」
「「「は?」」」
「これまでの不始末の全ては私にある。責任を取って罪を償う…全て悪いのはこの私だ」
前代未聞の出来事。
王太子殿下自ら廃嫡を宣言し婚約者への謝罪をした後にフィルベルトは廃嫡となった。
これでハッピーエンド。
一代限りの辺境伯爵の地位を許され、二人の幸福を願ったのだった。
その潔さにフィルベルトはたちまち平民の心を掴んでしまった。
対する悪役令嬢と第二王子には不測の事態が起きてしまい、外交問題を起こしてしまうのだったが…。
タイトル変更しました。
異世界をスキルブックと共に生きていく
大森 万丈
ファンタジー
神様に頼まれてユニークスキル「スキルブック」と「神の幸運」を持ち異世界に転移したのだが転移した先は海辺だった。見渡しても海と森しかない。「最初からサバイバルなんて難易度高すぎだろ・・今着てる服以外何も持ってないし絶対幸運働いてないよこれ、これからどうしよう・・・」これは地球で平凡に暮らしていた佐藤 健吾が死後神様の依頼により異世界に転生し神より授かったユニークスキル「スキルブック」を駆使し、仲間を増やしながら気ままに異世界で暮らしていく話です。神様に貰った幸運は相変わらず仕事をしません。のんびり書いていきます。読んで頂けると幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる